プリンセスの休日 第19話

重機装士ヴァルダー

楯岡彩葉と入れ替わり、久我美輝に案内されてスーパーヒーロー事業部に駆けつけて来たアストリッド王女は、誘拐された阿佐光花の救出作戦への協力要請を快諾する。事前に打ち合わせた段取り通り、わざと誘拐犯一味に囚われるアストリッドだったが…。

※chatGPTで生成した文章に、一部編集を加えております。

Aパート

 ――都内某所。

 人気のない建物の地下深くに、その部屋はあった。

 コンクリート打ちっぱなしの壁。薄暗い蛍光灯が不規則に明滅し、湿った空気が肌にまとわりつく。

 その部屋の片隅に――阿佐光花は座らされていた。

 両手両足は縄で拘束され、口には無造作に貼られたガムテープ。

 身じろぎするたびに縄が軋み、自由を奪われた身体は小刻みに震えていた。

 周囲には、数人の見張りの男たち。

 だが彼らは緊張感とは無縁だった。

 「チッ、また負けかよ!」とトランプを投げる者。
 カップラーメンをズルズルと啜る者。
 マンガ雑誌をめくりながらあくびをする者。

 ――妙に緩んだ空気。

 それもそのはず、雇い主からスマートフォンの持ち込みを禁じられ、外界との連絡も断たれている。

 やることのない彼らは、退屈を持て余していた。

 そんな中――

 一人の男が、ふと光花の方へ視線を向ける。

「なあ、この嬢ちゃん……本物の王女様とは違うんだろ?」

 別の男が肩をすくめた。

「あぁ。ただのそっくりさんだとよ。本物を捕まえるまでの間、何かに使えるから生かしておけって話だが……」

 その言葉に、最初の男の口元が歪む。

「だったらよぉ……」

 ゆっくりと立ち上がる。

「少しくらい“味見”したって構わねぇよなぁ?」

 空気が変わった。

 他の男たちも、にやにやといやらしい笑みを浮かべながら立ち上がる。

「フフフッ……確かにな」

「どうせ処分されるかもしれねぇしなぁ……」

 じりじりと、光花へと距離を詰めていく。

 囲まれる。

見張りの男たちに取り囲まれる阿佐光花の画像生成AIイラスト@cryravens.bsky.socialによる投稿 — Blueskyは、旅鴉様提供。

 逃げ場はない。

「んむぐっ……! うむぐううぅぅ!!」

 必死に身体をよじり、抵抗しようとする。

 だが拘束された手足ではどうすることもできない。

 恐怖に瞳が大きく見開かれる。

 そして――

 一人の男の手が、ゆっくりと光花へと伸びた。

 その瞬間。

「――ギャアアッ!!」

 凄まじい悲鳴が、地下室に響き渡った。

 男の身体が宙を泳ぐように崩れ落ちる。

 背後から斬り伏せられていた。

 静寂。

 次の瞬間、全員の視線が一斉にそこへ向く。

 倒れた男の背後に――

 一人の男が立っていた。

 抜き放たれた刀。

 冷たい殺気を纏う、侍の姿。

 風祭兵庫介

男を切り捨てる風祭兵庫介の画像生成AIイラスト@cryravens.bsky.socialによる投稿 — Blueskyは、旅鴉様提供(一部手描きで加工してます)。

「……か、風祭の旦那!?」

 見張りの一人が、声を震わせる。

 兵庫介は、ゆっくりと刀を振り払った。

「愚か者めが……!」

 低く、しかし鋭い声。

 その一言だけで、場の空気は一変する。

 張り詰めた恐怖。

 誰一人、軽口を叩く者はいない。

 その光景を――

 光花は、かろうじて見ていた。

 だが、極限の恐怖と緊張が限界を超えたのだろう。

 瞳から力が抜け、意識が遠のいていく。

(……こわ……)

 そのまま、糸が切れたように――静かに気を失った。

 兵庫介は一瞥すらくれない。

「目障りだ」

 冷酷に言い放つ。

「そいつを片付けろ。他の者は持ち場に戻れ」

「は、はいッ!!」

 男たちは慌てて動き出す。

 倒れた仲間を引きずり、血の跡を処理し、散らばっていく。

 統制された動き。

 先ほどまでのだらけた雰囲気は跡形もない。

 そこへ――

 静かに現れた影が一つ。

「兵庫介様」

 白夜叉の伽羅

 だがその声音には、わずかな緊張が滲んでいた。

 兵庫介は振り向きもせずに問う。

「……その様子では、綾瀬秀太郎の娘を取り逃がしたようだな?」

 一瞬の沈黙。

「……申し訳ございません」

 伽羅は頭を垂れる。

「ただ――本物のアストリッド王女の身柄は確保したと、連絡が入っております」

 その報告に、兵庫介の口元がわずかに歪んだ。

「よし」

 短く言い放つ。

「直ちに次の手筈に移れ」

 地下室の空気が、さらに重く沈む。

 事態は――確実に、次の段階へと進もうとしていた。

Bパート

 荒れ果てたアジトの廊下に、靴音と乱暴な足取りが響いていた。

引っ立てられるアストリッド王女の画像生成AIイラスト@cryravens.bsky.socialによる投稿 — Blueskyは、旅鴉様提供。

「んむむうう、むぐぐぐうう!!」

 必死にもがくアストリッドの身体が、男たちの手によって半ば引きずられるように運ばれていく。

「コラッ、ジタバタするな!」
「大人しくしろ!」

 両腕を掴まれ、逃げ場はない。

 だがアストリッドはなおも抵抗をやめなかった。

 王族としての誇りか、それとも強い意志か――その瞳は、恐怖に屈してはいなかった。

 やがて一行は、ひとつの部屋の前で立ち止まる。

 重い扉がギィ、と鈍い音を立てて開かれた。

 その中に――

 アストリッドの目が、大きく見開かれる。

(……光花さん!?)

 そこには、同じように手足を縛られ、口を塞がれた阿佐光花の姿があった。

 床に座らされ、ぐったりと項垂れている。

 男たちはアストリッドをその隣へと乱暴に座らせる。

「ほらよ、大人しくしてろ」

 ドサリ、と床に押しつけられる衝撃。

 だがアストリッドはそれを気にする様子もなく、すぐに光花の方へと身体を寄せた。

「んんっ!!んんむっ!!」

 必死に声を上げる。

 ガムテープ越しのくぐもった声でも、必死さは伝わる。

(お願い、光花さん……気づいて……!)

 懸命に呼びかける。

 数秒――いや、もっと長く感じられる沈黙の後。

「……ん、んんっ……」

 光花の指がわずかに動いた。

「んむむっ……!?」

 ゆっくりと目を開く。

 焦点が合い、隣の顔を捉えた瞬間――

(あれっ……アストリッド様!?)

 驚きに瞳が見開かれる。

 その反応に、アストリッドの胸に安堵が広がった。

 言葉は交わせない。

 だが――

 アストリッドは、まっすぐに光花の目を見つめる。

(大丈夫です。もうじき助けが来ます)

 その視線は、強く、揺るがない。

(それまで……どうか、耐えてください)

 光花は一瞬戸惑いながらも――やがて、わずかに頷いた。

 不安は消えない。

 だがその瞳には、かすかな希望の光が灯る。

 ――その時。

 背後で、男の声が響いた。

「すぐに本物の王女様は別の場所に移動だ」

 アストリッドの身体がわずかに強張る。

「そっくりさんの女の子の方は……もうご用済みかな?」

 いやらしい笑み。

 ぞわりと、空気が冷える。

「フフフッ……」

 その含みのある言葉に、光花の身体がビクリと震えた。

「んむっ……! んむうぅ……!」

 恐怖に怯え、必死に身を縮める。

 逃げられない現実が、彼女を押し潰そうとする。

 ――その瞬間。

 アストリッドが、ゆっくりと顔を上げた。

 そして。

縛られている阿佐光花とアストリッド王女の画像生成AIイラスト@cryravens.bsky.socialによる投稿 — Blueskyは、旅鴉様提供。

 見張りの男を、真っ直ぐに睨みつける。

 王族としての威厳。

 どれほど拘束されようと、決して折れない精神。

 その瞳は、明確に告げていた。

(そのような真似……決して許しません)

 言葉はなくとも、圧倒的な意思が空気を震わせる。

 一瞬、男はたじろいだ。

 だがすぐに舌打ちし、視線を逸らす。

「……チッ、生意気な女だ」

 吐き捨てるように言いながら、背を向ける。

 再び、重苦しい静寂。

 しかし――

 アストリッドの瞳の光は、消えていなかった。

 その隣で、光花もまた、かすかな勇気を取り戻しつつあった。

(つづく)


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