綾瀬早弥香を賭けて、舘小路悠雅とテニスで決闘することになった皆上遼馬だったが…。
※chatGPTで生成した文章に、一部編集を加えております。
テニス対決、決着
――決着は、あまりにもあっけなかった。

鋭いサーブ、正確無比なリターン、無駄のないフットワーク。
皆上遼馬のプレーは、テニスの“型”から逸脱しているにもかかわらず、結果だけを見れば完璧だった。まるで空手の間合いと読みを、そのままラケット競技に持ち込んだかのような異質さ。
対する舘小路悠雅は――
「うわあぁぁ~んんっ!! ママァァ~ッッ!!」
ウワァァ━━。゚(゚´Д`゚)゚。━━ン!!
ラケットを放り出し、顔をぐしゃぐしゃにして泣きながらコートの外へ駆け出していた。
その背中を、取り巻きたちが慌てて追いかける。
「ま、待ってください!! 悠雅さぁぁ~んっっ!!💦」
さっきまでの尊大な空気は跡形もなく、コートには微妙な静けさだけが残った。
――そこへ。

「何があったのぉ?」
のんびりとした声とともに、テニスウェア姿の阿佐光花が現れる。その後ろから、西沢基樹もひょこっと顔を出した。
「たった今、舘小路先輩が鼻っ柱をへし折られたんです」
ルナ=ハートウェルがさらりと説明する。
「あぁ、あのスカした先輩か……」
基樹は腕を組んでコートを見渡した。
「そいつは俺も見たかったな」
「見てたらたぶん、拍手してたと思うよ」
ルナがくすっと笑う。
コートの中央では、ラケットを肩に担いだままの遼馬に、早弥香が歩み寄っていた。
「ありがとう、遼馬」
少しだけ照れたように微笑む。
「実は以前から舘小路先輩に言い寄られてて……ちょっと困ってたんだ」
「これでしばらくは、あいつも早弥香に付きまとったりはしないだろう」
遼馬はあっさりと言う。
「うん……」
早弥香は小さく頷いた。その表情には、確かな安堵が浮かんでいた。
そこへ、基樹がずかずかと近寄ってくる。
「聞いたぜ遼馬。舘小路の野郎、ボコボコにしてやったんだって?」
「基樹?」
遼馬は少し目を丸くした。
「テニス部の幽霊部員が珍しいな」
「たまには俺も部活の練習には顔を出さないとな」
どこか誇らしげに胸を張る基樹。
しかしその直後。
「そんなこと言って、どうせ光花先輩から怒られて渋々来たんでしょ?」
ルナの鋭いツッコミが飛ぶ。
「おいおい、それは言いっこなしだよハートウェルさん!💦」
慌てて否定する基樹に、周囲から小さな笑いが起きる。
光花はそんな様子を見て、ふわっと微笑んだ。
「でもぉ、来てくれたのは嬉しいよぉ?」
「……はいはい、次からはちゃんと来ますって」
(たぶん)
その“たぶん”は、誰にも聞こえなかった。
穏やかな空気が流れる中、早弥香はふと腕時計に目を落とす。
「あっ……」
表情が変わる。
「大変、もうこんな時間だ」
顔を上げて、皆を見回した。
「みんな、私、今日は練習は早退して先に帰るね」
「何かあったのか?」
遼馬が尋ねる。
「今日はお父さんと一緒に、夕方の大事なパーティーに出席しなきゃいけないの」
少しだけ困ったように笑う。
「本当はお母さんが出るはずだったんだけど、急に風邪で寝込んじゃって……私はその代わり」
「そっか。いろいろ大変だな」
遼馬は短く頷いた。
「部長には私から言っておくね」
ルナが軽く手を挙げる。
「ありがとう、ルナ!」
早弥香は明るく笑い、
「じゃあまたね♪」
そう言って駆け出していった。
風に揺れるポニーテールが、陽の光を受けてきらりと輝く。
その背中を見送りながら、遼馬はふっと息をついた。
「……さて」
ラケットを握り直す。
「せっかく来たし、ちょっと体動かすか」
「おっ、やる気じゃん」
基樹がにやりと笑う。
「ただし手加減しろよ? 俺、ガチでやられると死ぬからな」
「知らねぇよ」
軽口を叩き合う二人。
その様子を見ながら、光花がやさしく声をかけた。
「じゃあみんなぁ、ケガしないようにねぇ~」
笑い声が広がるテニスコート。
日常の一幕は、何事もなかったかのように、またゆっくりと動き出していくのだった。
パーティー会場にて
都内の一流ホテル、その大宴会場。
天井から降り注ぐシャンデリアの光は柔らかく、磨き上げられた床に反射して、まるで水面のようにきらめいていた。格式ある弦楽四重奏が静かに流れ、グラスの触れ合う音と低い談笑が空間を満たしている。
今宵は、北海の小国――ヴァルクルンド王国より来日中の王女、アストリッド=エルシア=ヴァルクルンドを歓迎するためのパーティー。
険しい山脈とフィヨルドに囲まれたその国は、人口こそ少ないが、世界にただ一つしか存在しないレアメタル「ルミナイト・オルガニウム」の産出国として、各国の注目を集めていた。
銀青色に淡く輝くその金属は、量子演算から軍事技術に至るまで、現代文明の根幹を支える資源。
その価値は、もはや一国の枠を超えていた。
壇上では、政権与党の幹事長にして日本=ヴァルクルンド交流議員連盟会長、ヴァレンタイン綾子女史が堂々とした口調で歓迎のスピーチを行っている。
「――両国の友好関係は、これからの時代において、より重要な意味を持つことでしょう――」
拍手が起こる。
だが、その華やかな空間の片隅で。
ひとり、やや居心地悪そうに立っている少女がいた。
綾瀬早弥香。
深い青のパーティードレスに身を包み、髪もきちんと整えられている。普段の彼女を知る者なら、その大人びた姿に驚くだろう。
だがその表情は、どこか落ち着かない。
(……なんか、場違いな気がする)
周囲を見渡す。
政治家、財界人、外国の外交官――いずれも年齢層は高く、会話の内容も難解で、どこか遠い世界の話のように聞こえる。
同世代の姿は、見当たらない。
(お母さんの代理とはいえ……やっぱりちょっとキツいな……)
なるべく目立たないように、壁際でグラスを手にしたまま佇む。
その時だった。
「あ、あの……!」
少し緊張した、けれどはっきりとした声。
振り向くと、そこには一人の少女が立っていた。
年の頃は、自分と同じくらいか、少し年下。
きちんとしたドレスに身を包んでいるが、どこか慣れていない様子で、指先がほんの少し震えている。
「えっと……失礼します……あの、もしかして……亜斗夢重工の綾瀬社長のお嬢さんですか?」
「えっ、あ、はい」
思わず答える。
少女はほっとしたように胸に手を当てた。
「よかった……間違ってたらどうしようかと思って……」
少し照れくさそうに笑う。
「私、来島陽依って言います。父が……衆議院議員の来島士門で……」
「あっ、あの来島先生の……」
名前には聞き覚えがあった。与党の有力議員の一人だ。
「はじめまして、綾瀬早弥香です」
軽く会釈をする。
「よ、よろしくお願いします……!」
陽依もぺこりと頭を下げる。その仕草がどこか初々しくて、早弥香は思わず少しだけ肩の力が抜けた。
一瞬の沈黙。
しかしすぐに、陽依が小さく笑った。
「あの……その……」
「うん?」
「同じくらいの年の人が、誰もいなくて……ちょっと心細くて……」
その言葉に、早弥香も思わず笑ってしまう。
「わかる。私も同じ」
「ほんとですか!?」
ぱっと表情が明るくなる。
「うん。なんか、大人の世界って感じで……ちょっと浮いてるよね」
「ですよねぇ……!」
その一言で、距離が一気に縮まった。
それから二人は、自然と並んで立ち、ぽつぽつと会話を始める。
学校のこと、普段の生活、こういう場に慣れているかどうか――
どれも特別な話ではない。
けれど、同じ目線で話せる相手がいるというだけで、その時間は驚くほど心地よかった。
「早弥香さんって、大学生なんですよね?」
「うん。工学部」
「すごい……私、まだ高校生で……」
「大丈夫だよ。私も最初は何も分かんなかったし」
くすっと笑う。
「でも、こういう場所より、テニスコートの方が落ち着くかな」
「テニスされるんですか?」
「うん、大学のサークルでね」
そんな何気ないやり取りに、陽依も自然と笑顔になる。
遠くでは、再び拍手が起こる。
壇上では、王女が優雅に微笑んでいた。
けれどこの片隅では、まるで別の時間が流れているかのようだった。
(……来てよかったかも)
早弥香はふと、そう思う。
場違いだと思っていた場所で、思いがけず見つけた“同じ側の人”。
その存在が、少しだけこの場を優しいものに変えていた。
「ねぇ、陽依ちゃん」
「はい?」
「よかったら、もう少し一緒にいない?」
「……はい!」
嬉しそうに頷く陽依。
華やかなパーティーの喧騒の中で。
ふたりの少女は、小さな安心を分け合うように、静かに笑い合っていた。

瓜二つのプリンセス
華やかな喧騒の中、会場の隅で――
「それで、その先生がすっごく厳しくて……」
「わかる、それ絶対レポート山ほど出すタイプだよね」
くすくすと笑い合う早弥香と陽依。最初のぎこちなさはもう消え、すっかり打ち解けた空気が二人の間に流れていた。
その時。
「おや、早弥香。お友達かい?」
落ち着いた低い声が背後からかかる。
「あっ、お父さん!」
振り向いた早弥香の視線の先には、端正なスーツ姿の綾瀬秀太郎が立っていた。周囲の財界人たちとも自然に溶け込む、堂々とした佇まい。
陽依は一瞬姿勢を正し、丁寧に頭を下げる。
「はじめまして。来島陽依と申します」
「来島……」
秀太郎はその姓を口にした瞬間、ほんのわずかに表情を曇らせた。
だが、それは一瞬のことだった。
すぐに穏やかな微笑を浮かべる。
「もしかして、来島士門議員のお嬢さんかな?」
「はい。来島士門は私の父です」
「そうか」
短く頷く。
「来島先生には、我が社も以前からいろいろとお世話になっていてね。――是非、うちの娘とも仲良くしてやってください」
「ありがとうございます」
陽依はほっとしたように微笑んだ。
そのやり取りを見ながら、早弥香が口を挟む。
「陽依ちゃんとは、この会場でついさっき知り合ったばかりなの」
「……そうか」
秀太郎は娘を見て、ほんの少し柔らかい表情になる。
「それはよかった」
そしてふと、何かを思い出したように言った。
「ところで早弥香、せっかくの場だ。お前にも紹介しておこう」
「え?」
秀太郎が軽く身を引くと、その背後に一人の少女が現れた。
場の空気が、わずかに変わる。
淡いブロンドの髪が、シャンデリアの光を受けて静かに輝いている。透き通るような白い肌と、澄んだ瞳。気品に満ちた立ち居振る舞いは、周囲の大人たちとはまた違う“別格”の存在感を放っていた。
「ヴァルクルンド王国第一王女にして、本日の主賓――アストリッド王女殿下だ」
秀太郎の言葉に、早弥香は目を見開く。
「えっ……!?」
少女――アストリッドは、優雅に微笑み、軽く会釈した。
「はじめまして、サヤカさん。アストリッド=エルシア=ヴァルクルンドです。綾瀬社長からお噂はかねがね――」
流暢な日本語で話すその声は澄んでいて、どこか柔らかな響きを持っていた。

だが。
早弥香は、それどころではなかった。
(え……ちょっと待って……)
顔を、まじまじと見る。
さっきは遠くの壇上にいたので気づかなかったが、近くで見るとその容貌は――
見間違いようがないほどに、よく似ていた。
今日の昼間、テニスコートで会ったばかりの――
「……光花先輩?」
思わず、ぽつりと呟く。
アストリッドは小首をかしげた。
「どうされました? わたくしの顔に何かついておりますか?」
「光花先輩、どうしてここに!?」
思わず声が大きくなる。
周囲の視線が、一瞬こちらに集まった。
陽依も「えっ?」と戸惑った表情で二人を見比べる。
だが、当のアストリッドは、ほんの一瞬だけ目を瞬かせ――
次の瞬間には、くすりと小さく笑った。
「……ミツハ先輩、とは?」
その問いかけは穏やかだが、どこか試すような響きを含んでいる。
早弥香は混乱したまま、言葉を詰まらせた。
「え、いや、その……うちの大学の……テニス部の先輩で……」
視線が、再びアストリッドの顔に吸い寄せられる。
似ている、なんてレベルではない。
まるで――
(双子……? いや、でもそんな話……)
秀太郎はそんな娘の様子を不思議そうに見つめていた。
その目は、どこか意味ありげに細められている。
華やかなパーティーの一角で。
思いがけない“邂逅”が、静かに波紋を広げ始めていた。
(つづく)
今回のゲストキャラクター
舘小路 悠雅 tatekoji yuga

海防大学経営学部3年の男子テニス部員で、舘小路グループの御曹司。
綾瀬早弥香本人非公認ファンクラブ会員番号№001で、いつも取り巻きたちを引き連れている典型的なボンボン。
早弥香の亡き祖父・兵衛が存命中の頃は、孫娘の許婚(政略結婚相手)有力候補の一人として選ばれていたらしい。
アストリッド=エルシア=ヴァルクルンド Astrid Elsia Valklund

ヴァルクルンド王国の第一王女。阿佐光花と顔がそっくりな瓜二つ。
ヴァルクルンド王国は険しい山脈とフィヨルドに囲まれた自然豊かな王国で、人口は少ないが、世界的に重要なレアメタル資源を独占的に産出することで国際的影響力を持つ。

コメント