アクションスター密着取材　第12話

今期待の新星である若手アクションスター・左文字賢龍の密着取材に臨んでいる小寺洸介、桜庭陽平、鳳凰院優、漆崎亜沙美ら、いつもの鷺島国際大学報道部取材班の4人だったが、賢龍の妹・美藤美虎の話から、賢龍が何者かに脅迫されていることを知る。そして洸介、陽平、優、亜沙美の4人も巻き込む形で賢龍自身も犯罪組織ベラドンナに誘拐されるが、密かに尾行して監禁場所に潜入していた美虎によって助け出された。賢龍と美虎の兄妹は手分けして残りの人質たちの居場所を探していたが、助け出した陽平から美虎も囚われたと聞かさせる。賢龍は単身で妹を救出に向かうが、自身も囚われの身となってしまう。

※chatGPTで生成した文章に、一部編集を加えております。

偽りの皮、真の刃

　重たい静寂が、廃工場の一室を包んでいた。
　黒服たちが出て行って数分。誰もいないその空間で、毬雄は一歩前に進み、腰のポーチから小さな工具を取り出した。

　カチリ――金属音が小さく響く。
　彼は鎖の錠前を次々と外していく。

「……ちょ、ちょっと、何するつもりよ!?」
　美虎が警戒の目を向ける。

「静かにしていろ。今、自由にしてやる」
　毬雄の低い声は妙に落ち着いていて、先ほどまでの軽薄さが消えていた。

　ガチャリ。
　賢龍、次に美虎、最後に亜沙美。三人の手足が次々と解放される。

　だが――自由を得た瞬間、賢龍と美虎は視線を交わした。
　次の瞬間には、二人がかりで毬雄に飛びかかる。

「こいつッ、大人しくしろッ！」
「観念しなさいッ!!」

　美虎が腕を押さえ、賢龍が背後から羽交い絞めにする。
　毬雄はたまらず身を捩じりながら叫んだ。

「お、おいおいちょっと待て！ 俺はお前たちの味方だ！💦」

「味方ぁ……？」
　美虎がまだ半信半疑の様子で眉をひそめる。

　その時だった。
　部屋の外からヒールのような靴音が響き、鋭い声が飛んできた。

「毬雄、アンタそんなところで何してんの！？」
　紅虎だ。
　その隣には、チャラついた笑みを浮かべる弟・累児がいる。

「約束の場所にいないと思ったら……人質たちを逃がすなんて、どういうつもりだ？」

　紅虎が唇の端を吊り上げ、殺気を放つ。
　毬雄は舌打ちし、乱暴に腕を振り払った。

「チッ……もう戻ってきやがったか！」

　次の瞬間、彼の身体が小さく閃光を放つ。
　何かを引き裂くような音がし、赤髪が剥がれ落ちる――。

　ピタリと止まった三人の視線の先で、毬雄の姿が変わっていた。
　紅い髪の下から現れたのは、漆黒の短髪。
　鋭い眼差し、口元には冷ややかな笑み。

「……なっ!?」
　紅虎が絶句する。

　そこに立っていたのは――アスカロン財団のエージェント、ライトシーカーの一人。
　加藤段十郎。

「おい、左文字賢龍！」
　彼は懐から閃光弾を取り出しながら叫ぶ。
「ここは俺が引き受けた！ お前は女の子二人を連れて、すぐ逃げろ!!」

「な、何だかよく分からないけど……恩に着るぜ！」
　賢龍は混乱しながらも頷いた。
「ミィ！ 亜沙美さん！ 行こう！」

「は、はい💦」
「分かった！」

　三人は廊下へ駆け出す。

「お待ちなさぁい！ 逃がさないわよ！」
　紅虎が叫び、指を鳴らす。累児が即座に動こうとするが――

　段十郎が彼らの前に立ちはだかった。
　投げつけられた閃光弾が白い光を弾けさせ、視界を奪う。

「おっと……お前たちの相手はこの俺だ」

　光の中で、段十郎が上着を翻す。
　黒いタクティカルスーツの下から伸びた腕が、鋭く構えを取った。

　紅虎は妖艶な笑みを浮かべ、長い脚を前に出す。
「アタシを敵に回すなんて、いい度胸じゃないの……？」

　累児が吹き矢の筒を構える。
「兄貴の顔を騙った報い、きっちり払ってもらうぜ！」

　段十郎の目が鋭く光る。
「上等だ。来い――ベラドンナの狩人ども」

　次の瞬間、床を蹴る音とともに、廃工場の空気が爆はぜた。
　紅虎の脚が鋭く唸り、段十郎の拳が閃く。

　アスカロンのエージェントとベラドンナの精鋭――
　昼の光が差し込む中、極限のバトルが始まった。

洸介救出

廃工場の中は、昼だというのに薄暗く、どこからか雨漏りの音がぽつり、ぽつりと響いていた。
金属の腐食臭と油の匂いが混じり合い、空気は重く湿っている。

陽平は懐中電灯を掲げながら、何度目かのため息をついた。
「ねぇ優ちゃん、さっきの場所に戻ろうよ！　賢龍さんも“動くな”って言ってたじゃないかぁ……」

前を行く鳳凰院優は、振り返りもせずに歩き続けた。
白いスコートの裾が、埃を巻き上げて揺れる。
「だからって、いつまでもじっとしてなんかいられないわ！　怖いなら、桜庭くん一人だけで戻っててもいいのよ？」

「はいはい、分かったよ！　分かりましたよ！」
陽平は両手を上げて観念したように笑い、苦々しくもその背に従った。

――その時。

錆びた扉の奥から、微かなうめき声が聞こえた。

「……今の、聞こえた？」
「うん……こっちだ！」

二人は足音を忍ばせながら、音のする方へ向かう。
扉を開けると、そこは鉄骨むき出しの小部屋――
中央に、鎖で椅子に繋がれた青年の姿があった。

「小寺！？」
「小寺くん！？」

洸介は目を見開き、 「んんーっ!! んんーっ!!」と必死に声を上げる。口はガムテープでふさがれ、手足は鉄鎖に縛られていた。
陽平が駆け寄り、ガムテープをはがす。

「んぐっ……ふぅーっ、助かったよ。桜庭、優、ありがとな！」
「もう、どんな目に遭ってたのよ！」
優が腕を組んで息をつく。陽平は急いで鎖の鍵を探し、ようやく外した。

解放された洸介は両手首をさすりながら立ち上がる。
「これで全員そろったのか？」
「いいえ。あとは亜沙美と美虎ちゃんを助けるだけよ♪」

その瞬間――廊下の奥から、コツ、コツ、と規則正しい靴音が近づいてきた。

「……誰だ！？」
陽平が身構え、洸介も拳を握る。優は小さく呼吸を整え、目を細めた。

足音の主は、やがて薄暗い部屋の入り口に姿を現した。
白いロングシャツにショートパンツという軽装。
長く流れる銀髪は光を受けて淡く輝き、北欧の湖のように透き通った青い瞳が三人を見つめる。

彼女は穏やかな微笑みを浮かべ、少し首をかしげた。
「安心してください。私は味方です」

――その声は柔らかく、まるで春先の陽だまりのように温かい。
だが同時に、どこか冷たい光がその奥に潜んでいることに、三人はまだ気づいていなかった。

彼女の名は、リネア＝フリーデン＝ヴァイサー。
アスカロン財団のエージェント――ライトシーカーの一人。

しかし、その微笑みの裏に潜むものが“本物”のリネアではないことを、誰も知る由もなかった。

（つづく）

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