報道部部室占拠事件！

籠城事件発生！

鷺島国際大学サークル棟にある報道部の部室に、警察に追われて大学構内に迷い込んだ凶悪逃走犯が押し入り、たまたまその場に居合わせた部員の小寺洸介と漆崎亜沙美、そして部室に遊びに来ていた綾塚音祢と柏葉美佳の計4名が人質に取られる事件が発生した！

「んっ、んんっ…んんーっ！！」
「警察をもっと下がらせろ！ 金と逃走用のヘリの準備は出来たのか！？」

警察の包囲網が事件現場を取り囲む中、焦る犯人はますます要求をエスカレートさせている。このままでは中の人質も体力的にも精神的にも限界に近づいてしまう。しかし人質となっている仲間や妹を心配して急遽駆けつけて来た桜庭陽平と鳳凰院優、羽鳥瑠璃華、逢沢彩人、柏葉章介たちは、ただ手をこまねいて見ている他はないのであろうか。

「くっ、こんな時にジャック兄さんはどこに行ったんだ！？💦」

膠着状態に焦り歯ぎしりする彩人。ついこの間まで鳳凰院優に融合していた異星人ヒーローのミラージュジャックは、いつの間にか優の身体からは離脱していたらしく、最近は全然音沙汰すらない。

「こうなったらしょうがない！ 俺一人でやってやる！ 待っててくれ綾塚さん！ それに美佳ちゃんも！」

彩人は変身の瞬間を誰にも見られないようにコッソリと一人で校舎裏に回り、ミラージュXに変身しようとするが……。

「ぐっ…!?」

突然何者かに後頭部を殴打され気絶。気がついたら見たこともなく何処か分からない怪しげな研究施設で拘束されていた。

彩人も囚わる

「…くそっ、放せ！！」

両手両足を鉄枷と鎖で拘束されて身動きが出来ない彩人の目の前には、マッドサイエンティスト風の老博士が立っていた。

「…だ、誰だよお前は！？ あの立て籠もり犯人の仲間なのか！？」
「立て籠もりの犯人だと?? 天才の儂をあんな凶暴な野獣なんかと一緒にするな。儂はこのご町内に研究所を構えているしがない科学者で黒ヶ崎という者だ」
「……黒ヶ崎??　そうか、最近学校の近所に引っ越して来て異星人の存在を訴えているとかいう変人のじいさんってのはアンタか！？」

黒ヶ崎茂蔵くろがさき しげぞう博士―――最近彩人たちの通う高校の近所に引っ越してきた異星人マニアの科学者で、不審者として学校から生徒たちにも決して関わらないようにと注意喚起が出されていた。どうやらその口ぶりから、報道部の部室に籠城している犯人とは無関係らしいが…？

「俺なんかを誘拐してどうするつもりなんだ！？ 俺は綾塚さんたちを助けに行かなきゃいけないんだ！ 早く俺を解放してくれ！！」
「そうはいかん。少年、お前が実は異星人と融合していることは先刻承知じゃ！」
「な、何だって！？💦」

黒ヶ崎博士はミラージュ星人のスーパーヒーローが出没しているというこの街に引っ越して来て、ここ数日間、彩人に目星をつけて注意深く監視・観察を続けていたという。勿論そんなことを認めたらミラージュ上司から蛙にされてしまうので、彩人は頑なにそれを否定するのであった。

「異星人と融合してるだって…？　な、なんのことかなぁ～💦💦」
「惚けおって。だがいつまで白を切り通せるかな？」(￣ー￣)ﾆﾔﾘ
「…な、何をするつもりだ!?　や、やめろォォッッ!!」

Lilyの二人も…。

あーあ、彩人くんのポンコツめ、肝心な時に役に立たないんだから。┐(´д｀)┌ﾔﾚﾔﾚ
こうなったら喫茶店Lilyの女警察官コンビに、この人質救出を頼むしかないぞ！
しかし……

その頃、笹南侑衣梨巡査は、世界征服を狙う悪の組織おかめ党の幹部寺瀬詩郎と怪人ぽっちゃりトカゲ男に捕まっていた！

「放しなさいよ！ 私をどうするつもり！」
「大人しくするトカ～ゲェェェッッ!!」
「今、おバカな後輩婦警をわざわざ助けに、アンタの先輩女刑事が近くまで来てるぜ！ww」

侑衣梨を囮にする形で仕掛けた罠にまんまと鷹松優姫刑事をおびき出したおかめ党。早くも突入したアジト内部で戦闘員たちに取り囲まれた彼女はピンチに！

「キキ―ッ!! そこまでだ鷹松優姫！」
「とうとうお前も年貢の納め時だなッ！」

「侑衣梨はどこ！？ そこをどきなさい！ さもないと撃つわよ!!」

銃を構える優姫刑事を取り囲む戦闘員たち！
果たして彼女はこの状況を突破できるのであろうか！？

思わぬ味方

なんてことだ。Lilyのコンビも外に出払っていてこちらに来れないとは…！
京都の検非違使、琉那市のシブルリックオーダーは今から関東圏まで呼ぶには遠すぎて時間がかかる！
えっ!? TEAM FRIENDSだって!?　あんな一般市民なんか呼んだところで、余計に人質が増えるだけやんか！💢

誰か…誰かこの危機的状況を打開できる正義の味方はどこかにいないのか！？

「優ちゃん、章介くん、こうなったら僕たちだけでやるしかない！ 実は部室に地下から密かに通じている秘密の通路があるんだ。そこから忍び込んで小寺たちを救出しよう！ 羽鳥さんも協力してくれ！」
「分かったわ！」
「大事な妹の命がかかってるんだ！ 俺もやるぜ！」

「やめておけ！」

意を決して自分たちだけで人質を救出しようと陽平たちが決意を固めた矢先、どこかからそれを制止する声が聞こえた。

「だ、誰だ！？」

陽平たちが驚いて振り返ると、そこには赤く染めた髪にピンク色のポロシャツを着た青年と、同じく茶色のマッシュヘアをしていて青いテーラードジャケットを羽織ったもう一人のハーフっぽい青年が立っていた。見たところ陽平や優と同世代の大学生のようだが…？

「アンタたち素人の手に負える相手じゃない。ここは俺たちに任せときな！」
「あなたたち、見ない顔ね。うちの大学の学生じゃないでしょ？」
「そんなことよりも、お友達を一刻も早く助けたいんだろ？ ならその抜け道とやらを僕たちにも教えてくれないかな？」
「あ、あぁ…分かった💦」

なんとなく雰囲気に呑まれて、半ば押し切られるような形で秘密の抜け道への入り方を謎の青年二人組に教えてしまう陽平。そこからは電光石火の速さだった。言われた通り秘密の抜け穴から部室へと潜入した青年二人は、瞬く間に人質の安全を確保して犯人を制圧してしまったのである。

「今だイサム！」
「分かった！ こっちは任せろ！ 晴彦は人質を早く安全な所へ!!」

「…だ、誰だてめえ達は!? くそっ!!…ぐっ…ぐわああァァッッ!!💦💦」

犯人は警察に逮捕され、人質となっていた洸介や音祢たちは無事に解放されたのである。

「大丈夫か美佳！？」
「お兄ちゃん！ 怖かったよぉぉ!!」( ﾉД`)ｼｸｼｸ…
「面目ない。俺がついていながら、むざむざと捕まってしまって…」
「洸くんは悪くないよ。一緒に捕まっている間も犯人から私たち女の子を必死に庇ってくれたじゃない！」
「それはそうと、亜沙美ちゃんも音祢ちゃんも怪我はない？」
「はい、私は大丈夫です。こうして助かったのも、あの人たちのおかげですね…」
「あれっ!? そういえばあの二人は??」

今回の事件の立役者である謎の青年二人組は、いつしか姿を消していたのである。
果たして彼らは何者なのであろうか！？　敵か？　それとも味方か！？

END

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