作:bakubond様
「乗り心地はいかがかしら?」
お姫様カットの女は笑いながら言った。
「んっ、んんんーんっ」
「うっ、うううーっ、」
「んーん、んーん」
三人ともガムテープを口に張られているため思うように声を出せず呻きもがいているしかなかった。
「どうやら気に入っていただけたようね。このパパからの誕生日プレゼントに人を乗せるのは初めてなんだけど、それがあなたたちだったとはね」
女は後ろを振り向いて言った。
「お嬢様、しっかり前を向いて運転願います」
黒い背広姿の屈強な男は女に注意を促した。
ここ数日、鷺島国際大学の周辺で10代後半から20代前半の男女が失踪する事件が頻発しており、取材に乗り出した3人は大学に通う社長令嬢が関与していることを突き止めたが、その矢先に配下のボディーガードに捕まり、社長令嬢に引き渡されたのだった。
「流石報道部にいるだけあって好奇心は旺盛なようね。こちらとしてもその好奇心に応える用意は十分にしてあるからそこは安心していいわよ」
3人にはこの社長令嬢の言葉は嫌味以外の何物にも聞こえなかった。
「真ん中のあなた、優ちゃんっていったかしら。男の人二人に挟まれて最高の気分でしょ」
優の顔は羞恥で赤くなったが、ガムテープを張られた状態では反論もできず、うめき声をあげるのがやっとだった。
「ほら、顔が赤くなってるわよ。折角だから着くまでの間その最高の時間を満喫した方がいいわよ」
社長令嬢の言葉に優は泣きたい気分になった。
「みんなは私の別荘で今のあなたたちと同じようにいろんな服装で縛られているの。私そういうのを眺めているのが好きなのよね。あなたたちはどんな服装が似合うかしら」
社長令嬢は意地悪な笑みを浮かべながらハンドル操作を続けた。車は高速に入り、別荘へと向かって行くのだった。
END
コメント
この度は拙作を制式採用いただき誠にありがとうございます。従来のフリー素材に代わりまして後部座席の背景画を利用した最初の作品ということでSSを提供させていただきました。
あれから多くのキャラクターをこちらに乗せてきたわけですが、ブログ記事として改めて見ると感慨ひとしおです。
こちらこそbakubond様にはいつもお世話になっております。
今後も旧ブログのコメント欄に投稿されたSSを随時こちらに転載して参ります。
「好奇心は猫をも殺す」この3人にはこの言葉が良く似合いますね、
>「お姫様カットの女は笑いながら言った」
女性の悪役ってなんか興奮しますよね~、野郎とはまた別の責め方してきますからね~
この社長令嬢、またこちらのサイトでも活躍して欲しいものですね~
社長令嬢、まさかのレギュラー化!?
もし実現したら学生報道部の宿敵となりそうですね。