滞在中の都内のホテルから真夜中に脱走したヴァルクルンド王国のアストリッド王女は、SPに追われていたところをデート中だった皆上遼馬と綾瀬早弥香に助けられる。アストリッドのお忍びに付き合わされることになった遼馬と早弥香だったが…。
※chatGPTで生成した文章に、一部編集を加えております。
Aパート
アニフォルテで買い物を楽しんだ後、アストリッドと遼馬、早弥香の3人が次に訪れたのは――
埼玉県某市――日向宮神社。
地元では「縁結び」「学業成就」の神として親しまれ、奈良の昔よりこの地を見守ってきた古社は、今日も静かな空気に包まれていた。
日常系コメディアニメ『ひより日和』の舞台のモデルとなり、境内に立つ大きなケヤキの御神木は、長い年月を経てなお力強く枝を広げていて、作中では登場人物たちの集合場所として頻繁に登場。アニメ放送後、絵馬掛け所がファンのイラスト絵馬で埋め尽くされ、正月には参拝客が通常の10倍に増加した。
その前を通り、本殿へ。

遼馬、早弥香、そしてアストリッドの三人は、横一列に並んだ。
鈴の音。
二礼二拍手一礼。
静かな祈りの時間が流れる。
やがて、手を下ろす。
「……」
誰もすぐには言葉を発しなかった。
その沈黙を破ったのは、アストリッドだった。
「リョウマ、サヤカ」
ゆっくりと振り返る。
「今日は、わたくしに付き合わせてしまってごめんなさい」
少しだけ照れたように笑う。
「とても楽しかったですわ」
その笑顔は、心からのものだった。
遼馬は軽く肩をすくめる。
「楽しんでくれたならよかったよ」
気負いのない、いつもの調子。
だがその言葉に、アストリッドはほんの少しだけ目を細めた。
「……ええ」
そして、ふと空を見上げる。
「もう、戻らないといけませんわね……」
その声には、わずかな寂しさが滲んでいた。
「アストリッド……」
早弥香が小さく呼びかける。
だが、アストリッドは首を横に振った。
これ以上、迷惑はかけられない。
SPたちも、老執事も、きっと今も自分を探している。
自分は王女であり――勝手気ままに過ごしていい存在ではない。
それは、よく分かっている。
それでも。
今日という一日は、かけがえのないものだった。
「……」
その思いが込み上げる。
気がつけば、瞳が潤んでいた。
「おかげでもう、日本で思い残すことはありません」
涙をこらえながら微笑む。
「本当に、ありがとう」
遼馬は少しだけ間を置いて言う。
「ホテルまで送って行くよ」
だが。
「いえ」
アストリッドはきっぱりと首を振る。
「わたくし一人で帰りますわ」
その表情は、もう“ただの少女”ではなかった。
「これ以上、お二人のせっかくのデートの邪魔はできませんから」
決意のこもった言葉。
その時――
ヒュンッ!!
空気を裂く鋭い音。
「危ない!」
遼馬の反応は、一瞬だった。
アストリッドの肩を強く押し、地面に倒れ込ませる。
「きゃっ!?」
次の瞬間。
カンッ!!
手裏剣が石畳に突き刺さり、乾いた音を響かせた。
「……っ!」
遼馬はアストリッドを庇うように覆いかぶさったまま、周囲を見渡す。
空気が変わっていた。
静寂が、張り詰めた殺気へと変わる。
気配。
一つや二つではない。
――囲まれている。
木々の陰。
社殿の屋根。
竹林の奥。
次々と姿を現す影。
黒装束に身を包んだ忍たちが、無言のまま三人を取り囲んでいた。
「……何者だ!?」
遼馬が鋭く問いかける。
だが――
答えはない。
ただ、静かに。
すっと刀が抜かれる音だけが響いた。
その切っ先は、明確に一人へ向けられている。
アストリッド。
「……こいつら、狙いはアストリッドか……!」
遼馬の表情が引き締まる。
「早弥香!」
振り向きざまに叫ぶ。
「隠れてろ!!」
「う、うん……!!」

早弥香は咄嗟に頷き、境内裏手の竹林へと駆け込む。
ざわり、と葉が揺れる。
その姿が見えなくなるのを確認すると同時に――
忍たちが一斉に動いた。
地を蹴る音。
黒い影が、音もなく迫る。
「下がってろ!」
遼馬はアストリッドを背後に庇い、構えを取る。
拳を握る。
視線は鋭く、相手の動きを捉える。
次の瞬間。
最初の一人が斬りかかってきた。
火花のように、戦いが弾ける。
静かな神域は、一転して戦場へと変わった。

王女を巡る争いが――
いよいよ、その牙を剥いたのだった。
Bパート
鋭い金属音が境内に響き渡る。
刀を振るう黒装束の忍たちに対し、皆上遼馬は素手で応戦していた。
踏み込み、かわし、打つ。
空手で鍛えた体捌きは確かに鋭い。だが――
「チッ……!」
数が多い。
しかも、ただの相手ではない。無駄のない動き、連携、そして容赦のなさ。
その上で――背後には守るべき存在がいる。
「下がってろ、アストリッド!」
「は、はい……!」
その一瞬の気配の乱れ。
それが、致命的だった。
「キャアアッ!!」
「しまった! アストリッド!!」
忍の一人が素早く回り込み、彼女を背後から捕らえる。
手際よく縄を打ち、抵抗の隙も与えない。
さらに――
嘶き。
どこからともなく現れた馬へと引き上げられる。

忍が手綱を握り、その前にアストリッドを押し込む。
「イヤッ!! 放してください!! 助けてぇ!!」
「待てこの野郎!!」
遼馬は地を蹴った。
全力の跳躍。
走り出した馬の背へ――飛び乗る!
「うおおおっ!!」
馬上での激しい揉み合い。
揺れる体勢の中、忍が刀を抜こうとする。
だがその前に。
「どけっ!!」
遼馬の蹴りが炸裂した。
バランスを崩した忍が、地面へと転げ落ちる。
手綱を奪う。
「ドォードォー!!」
強く引き絞り、馬を制御する。
荒々しい呼吸を繰り返しながら、ようやく馬は止まった。
「はぁ……はぁ……」
遼馬はすぐに馬から降ろしたアストリッドの縄を解く。
「アストリッド! どこにも怪我はないか!?」
「……は、はい」
彼女は息を整えながら、こくりと頷く。
「助けてくれてありがとうございます……リョウマ」
その瞳には、驚きが浮かんでいた。
「お強いんですのね……正直、驚きました」
「……そんなこと――」
言いかけた、その時。
空気が変わった。
ぞわり、と肌を撫でる感覚。
それは、これまでの忍たちとはまるで違う――
“圧”だった。
ゆっくりと、一人の男が歩み出る。
腰に刀を差した、現代には場違いな侍風の男。
静かだが、圧倒的な存在感。
「……誰だ!?」
遼馬が問いかける。
男は、わずかに口元を歪めた。
「小僧、今時の若者にしてはなかなかやるな」
低く、よく通る声。
「だがその様子では、まだ人を斬ったことは一度もあるまい?」
「人を斬る……?」
遼馬の眉が吊り上がる。
「ふざけんな! ヒーローが人殺しなんかするわけないだろ!!」
その言葉に、男は薄く笑った。
「だが、その甘さが――いずれは己の命取りになる」
「……っ」
言い返そうとして、言葉が詰まる。

動けない。
足が、地面に縫い付けられたように動かない。
視線が外せない。
その男――風祭兵庫介から放たれる気配。
血の匂い。
殺意。
これまで戦ってきたどの敵とも違う、“本物”。
「リョウマ……?」
アストリッドの不安げな声。
だが遼馬は、答えられない。
体が言うことを聞かない。
恐怖。
純粋で、逃れようのないそれが、全身を支配していた。
「……終わりだ」
兵庫介が、静かに刀を抜く。
鞘走る音が、やけに大きく響いた。
そして――
踏み込む。
振り下ろされる刃。
その瞬間。
――パンッ!!
乾いた銃声が、空気を裂いた。
「……?」
兵庫介の動きが止まる。
遼馬の目も、見開かれる。
視線の先。
そこに立っていたのは――
黒スーツの男。
片手に拳銃を構え、銃口から白い煙を立ち上らせている。
「その辺にしておけ」
低く、冷めた声。
「そいつは、お前と違って潜って来た修羅場の数が少なすぎる」
「……また貴様か」
兵庫介が舌打ち混じりに呟く。
「いつも我らの邪魔をしおって。いい加減にしろ」
男――加藤段十郎は、軽く肩をすくめる。
「それはこっちの台詞だ」
口元に、わずかな嘲り。
「てめえこそウゼェんだよ、ヒゲ野郎。映画村にでも行け!」
「……」
一瞬の静寂。
次の瞬間、兵庫介の目が鋭く細まる。
「その生意気な口……今日こそきけなくしてやる」
刀を構える。
段十郎もまた、銃をわずかに上げる。
空気が張り詰める。

銃と刀。
異なる時代の武器を携えた二人が、真正面から対峙する。
その間にあるのは――
一触即発の、極限の緊張だった。
(つづく)
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