かんなづき駅 その一

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※この作品はフィクションであり、実在の人物・団体・事件とは一切関係ありません。
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女子大生・星愛怜美花は、ある日東海地方を走る某ローカル私鉄の電車に乗車中、うっかり寝過ごしてしまい、気が付いたら車窓の外はすっかり暗くなっていた。

「…う、うそっ!? もう夜になっちゃったの!? お、降りますッッ!!」

つい慌てて何も考えずに次の停車駅で降りてしまった怜美花だが、いざ降りてみるとそこは無人の小さな駅。周囲には建物は一切なく、見えるのは辺り一面に広がる草原と山のみ。どう考えても秘境駅レベルの辺境の田舎である。「しまった!」と思い急いで電車に戻ろうとしたが時はすでに遅し。電車は出発した後だった…。

「あ、行っちゃった…。どうしよう……」

仕方なく次の電車を待つことにした怜美花。しかしこの駅、どこにも時刻表が置かれていない。駅標示を見ると、ここの駅名は『かんなづき駅』と書かれていた。すぐさま怜美花はスマホで『かんなづき駅』を検索して調べるが、何と検索結果は0件でヒットしなかった。駅から外へ出ても公衆電話もタクシーも見当たらない。GPSも反応しない。すっかり困り果てた怜美花は、同じ大学に通うボーイフレンドである千隼祐一郎ちなみに最近、自動車運転教習所で免許を取得したばかり)に助けを求めて車で迎えに来てもらおうと考えるが、夜も遅く時間も時間なので迷惑になるかもと電話を掛けるのを躊躇する。そうしているうちにどこかから太鼓や鈴などの祭囃子が聞こえてきた。

「ラッキー! やっぱり人がいるんじゃない!!」

喜んだ怜美花は音の聞こえる方向に歩いて行こうとするが、その時背後から「そっちに行ってはいけなない!」と何者かに声を掛けられた気がした。

星愛怜美花イラストは、和泉 せな様。

「えっ!?何っ!?何なの!?…」

怜美花は怖くなって一目散に駆け出した。しかしいくら走っても一向に祭囃子の聞こえる場所には辿り着けない。

「ハァ…ハァ…。一体どうなってるのよ…!?」

切羽詰まった怜美花は、とうとう意を決して祐一郎に助けを求める電話を掛けることにした。

「もしもし祐一郎?」
「ふぁ~っ…怜美花か? 今何時だと思ってんだよ…」

スマホ越しに欠伸をしながら眠たそうな祐一郎の声が聞こえる。

「休んでたところ起こしてごめんなさい! お願い、助けて!」
「助けてって……いったいどうしたんだ?」

どうやら憔悴している怜美花の声の様子で、祐一郎にも深刻な事態であることが伝わったようだ。

「変な場所に迷い込んじゃったの! うっかり電車で寝過ごしたら”かんなづき駅”っていう変な駅に辿り着いて…」
「かんなづき駅だって!?」

かんなづき駅と聞いて途端に祐一郎の様子が変わった。

「祐一郎、もしかしてかんなづき駅とのこと知ってるの…?」
「知ってるも何も、そこは……」

ところが二人の電話の最中に、祐一郎からの返事を遮るかのようなタイミングで突然割って入った者がいた。たまたま怜美花の近くを通りかかった車に乗った親切そうな男性が、こんな夜遅くに若い女性が一人で山奥にいることを心配して声を掛けて来てくれたようだった。男性は怜美花を一番近くの人里まで車に乗せて送ってあげると申し出てくれた。

「ごめん、祐一郎。こっちは何とかなりそう。夜遅くに電話かけちゃってゴメンね。それじゃあ」
「待て怜美花! そいつの車に乗っちゃいけない!! まだ電話を切るなッッ!!」

しかし電話は無情にも切られてしまった。祐一郎は慌ててこちらから怜美花の番号に掛け直すが、一向に繋がらない。

「くそっ、怜美花…どうか無事でいてくれッ!!」

真夜中にもかかわらず、急いでパジャマから外出着に着替えて学生寮アパートの自室から飛び出る祐一郎。彼はかんなづき駅の正体について、何かを知っているのであろうか?
そして、親切そうな男の運転する車について行ってしまった怜美花は…?

イラストは、シンセンニラカイ様。

「ンング…ウウウムググゥ!!!!!!」
「フフフッ…馬鹿ナオ嬢サンダ。小学校デ”知ラナイオジサンニハツイテ行ッテハイケナイ”ト習ワナカッタノカナ?」

今、怜美花に危機が迫る!?

かんなづき駅 その二に続く。

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コメント

  1. 旅鴉 より:

    とうとう本編始まりましたね~、
    予告と人物を変えてきましたね、それか第一の犠牲者が怜美花ちゃんなだけで、玲奈ちゃんも後の犠牲者になるのか、それともよくあるプロローグで出る最初の犠牲者が玲奈ちゃんなのか、色々と想像してしまいますね。

    どこにも時刻表が置かれていない駅、周囲には建物は一切なく、見えるのは辺り一面に広がる草原と山のみ…これが昼でBGMが「日曜日よりの使者」だったら楽しい雰囲気になったのでしょうけど、夜でこの景色は都市伝説でなくても気味悪いですよね…

    >そうしているうちにどこかから太鼓や鈴などの祭囃子が聞こえてきた。

    「ラッキー! やっぱり人がいるんじゃない!!」

    >男性は怜美花を一番近くの人里まで車に乗せて送ってあげると申し出てくれた。

    「ごめん、祐一郎。こっちは何とかなりそう。夜遅くに電話かけちゃってゴメンね。それじゃあ」

    こんな怪しげな状況なのに、警戒心なく行動し過ぎですよ怜美花ちゃん、あなたは虫ですか?(失礼だろ
    案の定人外っぽい何かに捕らわれの身になってしまった怜美花ちゃん、相手が得体のしれない存在だけに本当にどうなってしまうのか気になるところです…
    そして怜美花ちゃんに声をかけたきた存在とはいったい何者なのか…そして「かんなづき駅」の存在を知っていた祐一郎くん、この幽界と思われる場所へどうやって怜美花ちゃんを助けに向かうのか、自分的にはこの方々のご登場を願いたいところですね↓
    https://okamenogozen.com/takamori-yuki/
    https://okamenogozen.com/tsubaki-ayana/
    https://okamenogozen.com/kaedeko/
    伝手を辿って頼れる霊能者を探す祐一郎くん、そして見つけたのは…って感じで、
    …まず、祐一郎くんの覚悟を確かめるために、法外な依頼料を吹っ掛けられるところからですかね。

    • > 予告と人物を変えてきましたね、それか第一の犠牲者が怜美花ちゃんなだけで、玲奈ちゃんも後の犠牲者になるのか、それともよくあるプロローグで出る最初の犠牲者が玲奈ちゃんなのか、色々と想像してしまいますね。

      ネタバレになりますが、琴川玲奈は次回登場させる予定です。星愛怜美花よりも先に数日前に異世界に迷い込んでしまった設定にしようかと考えております。

      > 自分的にはこの方々のご登場を願いたいところですね

      その3人のデビューはまだまだ先になりますが、椿姫絢那の巫女服姿を追加掲載しました。よろしければご覧ください。
      https://okamenogozen.com/tsubaki-ayana/#toc2

      • 旅鴉 より:

        巫女服きましたね、自分の好きな衣装の1つです、絢那ちゃんも清楚な感じになりましたね。
        絢那の巫女服バージョンのアクションスタイルとかも見たいですね。

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