テニサー学生が異世界召喚されて超テニスで無双します！　第7話

ニューフォークルデル西海岸

首都圏にある某公立大学に通い、同じテニスサークルに所属している勢川理人、岸本愛実、平瀬倫生、藤永沙織の4人は、ある日、青き龍神ブルードラゴンによって異世界タシェニュヴルアへと召喚された。魔王討伐の旅の途中、人買い一味に捕まってしまった理人たちは、そのまま北の隣国フォークルド公国領に連行されてしまうのだった。4人を買い取った地方有力貴族のカハシェラケン伯爵は、魔王軍と裏取引し公国から独立を勝ち取ろうと企んでいた。

「んんむーっ!!」
「んぐぐぐーっ!!」

ニューフォークルデル植民地の西海岸まで連れて来られ、夜陰に乗じて魔王配下のグレーターデーモンの前に引き出された理人と倫生。カハシェラケン伯爵は異世界からやって来た勇者の身柄を引き渡す代わりに、自分の謀反に味方して援軍を出すよう魔王軍に要請していたのだった。

「勇者は全員で4人の筈だ。もう二人はどうした」
「あとの2人は成功報酬として後払いだ。土壇場で約束を反故にされては堪らんからなww」
「チッ、人間とはつくづく用心深いものよ！」
「…で、この勇者2人をこれからどうするのだ？」
「魔王様に楯突く不埒な輩だ。今すぐこの場で処刑してくれよう！」

グレーターデーモンはファイヤーボールの魔法で理人と倫生を消し炭にしてしまおうとする。もはやこれまでと二人が覚悟を決めた瞬間、ブリザードの嵐が吹き、ファイヤーボールの炎は掻き消された！

「何やつ！？」

その場にいた全員が驚いて丘の方を見やると、そこに立っていたのはラケットを構えている岸本愛実と藤永沙織だったのだ！

「んむむむっ！？（…愛実！？）」
「待ってて理人、平瀬くんっ、今助けるから！」
「これでもくらいなさいッ！！」

沙織は海にめがけてボールを打ち込むと、海面が大波を立てつつ轟音と共に巨大なクラーケンが姿を現し、陸にいる魔王軍や伯爵軍に触手を伸ばして襲い始めた！　たちまち現場は大混乱。逃げ惑う伯爵配下の兵士や魔物たち。しかし伯爵の居館で捕まっていたはずの愛実と沙織がどうしてこの場にいるのか？

「き、貴様らよくも裏切ったな！」
「裏切ったのはそっちだろ！　裏で魔王軍とつるんでたなんて聞いてないよ！」

カハシェラケン伯爵が裏で魔王軍と繋がっていたことを知らされていなかった人攫いの賊一味が激怒し、愛実と沙織を解放したのだ。

「別にいいではないか！　魔王軍と繋がっていようがいまいが、お前たち人攫いたちは約束の金さえ払えば文句はあるまい！」
「そうはいかないねぇ。アタシらだって盗賊は盗賊なりに人としての誇りがあるんだ。魔族の豚どもに使われるつもりはないよ！！」
「お、おのれぇ～！！」

救出された理人と倫生も戦力に加わり、グレーターデーモンを撃破。そして一人残された伯爵もフルボッコにして見事に成敗したのであった。

エピローグ

取り押さえた伯爵の身柄を公都からやってきた役人に引き渡し、事件を一件落着へと導いた理人たち。

「力を貸してくれてありがとう」
「勘違いするんじゃないよ。今回はあたしたちをコケにしてくれたあの伯爵にお礼参りをするのが目的だっただけだ。今度会ったらまた改めてお前たちを捕まえて見せるからね。次を覚悟しておきな！」

それだけ言って人攫いの賊の男女2人組は立ち去ろうとする。

「待って！　あなたたちは私たちと同じ地球人なの！？」
「さあて、どうだろうな…」
「せめて名前を聞かせて～！」
「俺の名はシャーセル！」
「あたいの名前はウォノア！　その脳裏によく刻んでおくんだね！！」

こうして賊の2人は去って行った。

「行かせちゃってよかったのか？　アイツら、また俺たちを捕まえに来るつもりだぜ」
「でも本当はそんなに悪い人じゃないんじゃないかな？」
「まあその時はその時だ。僕たちの旅はまだ始まったばかりだ。そろそろ出発しよう！」
「あぁー、待ってよ理人ったら！！」

こうして理人たちは再び旅を続けるのであった。
果たしてこの先に彼らを待ち受けているのは何か！？
まずは一区切りとして一巻の終わりといたしとうございます。<(_ _)>

第一部　完

あとがき

「俺たちの戦いはこれからだー！」という典型的な打ち切りエンドですが💦、TEAM FRIENDSの事件簿シリーズはしばらくお休みします。代わりに新企画が動き出す予定です。お楽しみに！