前回、ヤクザ風の男たちに車で拉致されてしまった桜庭陽平。彼は連行された先で、自分にUSBメモリを託した女性・笹南侑衣梨と再会した。お互いに縛られていて口にも猿轡を噛まされているため、意思の疎通はできないのだが…。
心なしか、陽平には侑衣梨が何か自分に対して怒っているように見えた。しかし陽平は、まだこの時点では彼女が実は犯罪組織を内偵中だった警察官だなどとは知らない。いや、ましてや知ったところで警察官なら尚のこと、こうして一般人である自分を危険に巻き込んだ責任は感じてもらいたいところだろう。
「………(何だよ、この女。誰のせいでこんな状況に巻き込まれたと思ってるんだ! 言われた通りUSBメモリならあの喫茶店に届けたんだから、感謝されこそすれ文句を言われる筋合いは無いはずなんだけどな! そもそもあのUSBメモリは一体何なんだよ!?)」
このように陽平が内心憤慨しているところへ、犯罪組織の男たちがやって来た。
「この男も例のUSBメモリを持っていなかったのか?」
「はい、身体の隅々までボディチェックはしましたが、残念ながら…」
「兄貴、こうなるとUSBメモリはとっくにサツの手に入っていると考えるしかありませんぜ!」
「う~む、困ったぞ。あのメモリの中には人身売買組織のネットワークの詳細が詰まっているんだ。それが公に明らかになった日には我々の組織は壊滅だ」
男たちの会話を聞き、どうやらとんでもないことに巻き込まれたぞ!と一気に緊張感が増す陽平。
「こうなったら今夜のうちに海外へ高飛びだ。お前ら、急いで準備を始めろ!」
「この二人はどうしやす?」
「東京湾に沈めてサメの餌にしてしまえ!」
陽平と侑衣梨は男たちによって牢屋から連れ出されて、無理矢理車へと乗せられた。
「ンング…ウウウムググゥ!」
「ンンムゥッムムムムムグゥッ!」
暴れて抵抗しようとするも、縛られている状態では大したことも出来ず、2人はとうとう東京湾の海辺へと連れて来られる。もう時刻は日も沈み、周囲もすっかり真っ暗で自分たちの他に人は一人もいない。ああ、もはやこれまでか。やっぱりつまらない意地など張らずに洸介と優の取材について行けばよかった。すでに諦めかけて脳裏に走馬灯が巡っていた陽平だったが、その時だった!
「動くなッ!警察よッ!!」
声のした方向にいたのは喫茶店Lilyの三つ編みヘアの女性店長……ではなく、銃を構える警視庁誘拐組織特別対策班の鷹松優姫警部補とその他パトカー、機動隊の大群であった。
「ああ~~んんッ!!!! 先輩、もうダメかと思いましたよォォッッ!!」( ノД`)シクシク…
「もうっ、手間かけさせてくれたわね!」
泣きつく侑衣梨を優しく抱きしめる優姫。そしてその様子を呆然とただ見つめているだけの陽平。
「助かったのはよかったけど、一体何がどうなってるんだ…??」
数日後、取材から帰って来た洸介と優に、陽平は2人の留守中に起こった出来事を自慢げに話した。
「きっとあの喫茶店は警察の秘密組織のカモフラージュされた拠点に違いないんだ!」
「そんな小説やドラマみたいなことってあるのかな?」
「何を言ってるんだ! 僕が証人だぞ! 大体2人とも異世界トンネルとやらを取材に行って、結局収穫はゼロなのかい?ww」
「いやぁ、それは…面目ない」
「何故か知らないけど、ここ一週間の記憶が何となく曖昧なのよねぇ~」
異世界に繋がる洞窟の都市伝説を取材に入ったものの結局何も収穫は得られなかった洸介と優に対し、陽平は「そら見たことか!」と言わんばかりに報道部ディレクター権限で強引に喫茶店Lilyへの突撃取材を敢行することに決めた。しかし渋々付き合う洸介と優を連れて、いざLilyに乗り込んだものの、店員である優姫と侑衣梨からは「陽平とは初対面だ」としらを切られてしまう。
「お客様、何か勘違いをされていらっしゃるのではないでしょうか?」
「お客様とお会いするのは今日が初めてですよ」
「何だ、結局桜庭だって寝ぼけてたんじゃないか」
「ち、違う! そんなはずは! 一体どうなってるんだァァッッ!!?」
優姫と侑衣梨に惚けられ、地団太を踏む陽平であった。
「くそー、警視庁秘密組織の女刑事ペア、鷺島国際大学報道部の名に懸けて、必ずその正体を暴いてやるからなぁ…!!」
これからもジャーナリストの端くれとして、喫茶店Lilyの正体に迫る決意を固める陽平であった。
END
コメント
理不尽だー!!確かにきっちり仕事をしたのに巻き込まれて捕まるわ、勝手にUSBを押し付けてきた謎の美女はキレ気味だわ…陽平くんの気持ちも解る気がします(笑
男達の正体は人身売買もおこなっているヤバい組織、割と洒落にならない状況…このまま2人は海外へ…ってサメの餌だぁ!?野郎はともかく(オイ)何勿体ないことしとんねん…っと思わずいけないツッコミを入れてしまいました…
さて車でもがいている間に東京湾に、このまま沖でサメに美味しく食べられそうなところで良いタイミングで警察隊登場、今回は優姫さんのDIDシーンはお預けのようですね、
>「ああ~~んんッ!!!! 先輩、もうダメかと思いましたよォォッッ!!」( ノД`)シクシク…
「もうっ、手間かけさせてくれたわね!」
ここはおもわず「あら^~」っと声が出てしまいました(笑)女性同士の絡みはやっぱり眼福ですよね~
洞窟から帰って戻ってきて一週間記憶が飛んでる洸介くんと優ちゃん、大きな事件に巻き込まれた筈がどうやら気のせいで警察の秘密組織の隠れ家と思われた喫茶店は実は普通の喫茶店だったとどうやら悪い夢を見ていたらしい陽平くん、最近はイタズラする狐が多いようですね~
まあ、こちらの世界では記憶までは消せないみたいですけどね。
> 今回は優姫さんのDIDシーンはお預けのようですね、
bakubond様のコメントでも次回以降の予想がありましたが、今度は優姫さん、洸介君、優ちゃんの3人連縛にしてみるのもよさそうですね。
あるいは優姫と侑衣梨が所属する誘拐事件対策特別捜査班(仮称)の発足誕生秘話についてもやろうかなとも考え中です。
侑衣梨ちゃんに続いて陽平君、そしてついには優姫さんまでも…、と思いきや今回は優姫さんは純粋に救出役に徹しておりましたね。今回はうまくごまかしたものの二人は陽平君のことを厄介な存在となってしまったと思っていることでしょう。
喫茶店Lilyの正体に迫ろうとする報道部と女性警察官二人、誘拐事件が絡みながらの今後の関係に期待しております。
もし次回があるとすれば今回はお預けになった優姫さんと洸介君と優ちゃんの連縛ということになりそうですね。
> もし次回があるとすれば今回はお預けになった優姫さんと洸介君と優ちゃんの連縛ということになりそうですね。
はい、是非とも検討させていただきます。
他にも琴川玲奈と椎穂亜弥もせっかく戦闘ポーズのイラスト素材がありますので、彼女たち2人を普段は喫茶店Lilyの常連客の女子高生、実は優姫と侑衣梨が所属する誘拐事件対策秘密捜査班(仮称)の民間人協力者(エージェント)という設定にしちゃおうかなと。勿論そうなったきっかけは、過去に玲奈と亜弥が誘拐された際、優姫と侑衣梨のコンビに助けてもらったからだったりします。
拝読しました。
洸介君と優ちゃんも異世界から戻ってくなり巻き込まれて連縛?とも思いましたがさすがにタイムラグがあったようですね。ともあれ一件落着となりましたが、今回優姫さんと侑衣梨ちゃんにすっとぼけられた陽平君は今後も喫茶店Lilyを張り込んでまたまた事件に巻き込まれて攫われる羽目になりそうな気もします。
一方で、優姫さん&侑衣梨ちゃんとLilyには学生報道部だけでなくTEAMFRIENDSやその他の登場キャラクターを絡ませたり、あるいはLilyを軸にしてグループ同士のクロスオーバーなどもできそうで話がいろいろと膨らみそうですね。優姫さんか侑衣梨ちゃん(あるいは二人そろって)がその度に悪人に捕まって縛られるのもお約束になりそうですが。
> 一方で、優姫さん&侑衣梨ちゃんとLilyには学生報道部だけでなくTEAMFRIENDSやその他の登場キャラクターを絡ませたり、あるいはLilyを軸にしてグループ同士のクロスオーバーなどもできそうで話がいろいろと膨らみそうですね。
まさにS-A様が考えておられたそのままの構想を予定しております。喫茶店Lilyとはすなわちクロスオーバーのための重要なツール。
Lilyの近くにはTEAM FRIENDSの面々の通う大学もありますので、何も知らない理人たちが普通に客としてLilyに顔を出し、それがきっかけで事件に巻き込まれるというのも大いにありそうです。