亜沙美VS石鼠一味 第10話

こちら学生報道部
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※この作品はフィクションであり、実在の人物・団体・事件とは一切関係ありません。
※掲載されている画像の無断転載を禁じます!
※アフィリエイト広告を利用しています。

誘拐組織に属する女狩人(ハンター)・石鼠に再度捕獲されてしまった鷺島国際大学報道部の小寺洸介桜庭陽平鳳凰院優漆崎亜沙美の4人。しかしそこへ正義のスーパーヒーローであるミラージュマスクが颯爽と駆けつける!
まずは陽平を救出したミラージュマスクによる残りの人質たちの捜索が続くが…。

洸介救出

男は後回しにして、まずは女の子から先に助け出そうなどとよからぬことを考えているミラージュマスク。しかしたまたま小寺洸介が捕まっている牢屋の前を通りかかってしまう。

小寺洸介イラストは、ぽよい様。
ミラージュマスクは、無料イラスト/フリー素材なら「イラストAC」 (ac-illust.com)様のみょうち麒麟様のフリー素材より拝借しました。
鉄格子は、トップページ – ニコニ・コモンズ (nicovideo.jp)様の過田 玄白様のフリー素材より拝借しました。
背景は、トップページ – ニコニ・コモンズ (nicovideo.jp)様のhiropon様のフリー素材より拝借しました。

「…お、おい! 俺を無視して行くなよ!!」💦

わざとらしく気づかないふりをして通り過ぎようとするミラージュマスクを慌てて呼び止める洸介。

「チッ…華麗にスルーしてこのまま通り過ぎようとする私の策がバレたか」
「バレいでかッ!!(# ゚Д゚) 早くこの鎖と枷を外して牢屋から出してくれよ!!」

渋々鉄格子をこじ開けて洸介を救出するミラージュマスク。そこへちょうど陽平と優がやって来た。

「桜庭くんが助けに来てくれて本当に助かったわ。あと少し来てくれるのが遅かったら今頃どうなっていたか…」
「優ちゃんの声が聞こえたと思って行ってみたら案の定だったもんな。あの化け物も、そこら辺に置いてあった鉄パイプを振り回したら勝手に逃げて行ってよかったよ」
「あっ! コラァァッッ!! ミラージュマスクゥゥぅ!! よくもさっきはわたしを見殺しにしようとしたわねェェッ!?」

ミラージュマスクの姿を見つけた優は怒りの形相で詰め寄るが、このポンコツヒーローはどこ吹く風で反省の色は全く無しのようだ。

「フン。あんな紛らわしい捕まり方をしていた君が悪いんだろ?」
「ねえ、このインチキヒーロー、一発殴ってもいいかしら?」⁽⁽(੭ꐦ •̀Д•́ )੭*⁾⁾
「まあ気持ちは分かるけど落ち着けよ。漆崎さんが心配だ。早く彼女を見つけないと!」

亜沙美、絶体絶命!

「残るはこの部屋だけだ」

洸介、陽平、優とミラージュマスクは、アジト内の全ての部屋を調べ尽くし、残る最後の部屋の扉の前に立った。亜沙美がいるとすればここしかない。いざ、扉を開けて部屋の中に踏み込む3人の報道部員と1人の異星人ヒーローだったが…。

「キャアアッ!!」

亜沙美の悲鳴と共に、部屋の中は一気に地獄絵図と化した!
なんと仕掛けられていた油に火が引火し、囚われている亜沙美の周囲が炎に包まれたのだ!

漆崎亜沙美イラストは、ぽよい様。
背景は、トップページ – ニコニ・コモンズ (nicovideo.jp)様のトリンケット様のフリー素材より拝借しました。

「助けてェェッ!!」

このままでは炎に巻かれた亜沙美が焼け死んでしまう。

「フハハハハハ!! こんな炎を消すくらいのことは私なら簡単だ! 食らえ! ミラージュ絶対零度凍結ビーム!!」
「ちょっと待て!! そんな物騒な光線を撃ったら、炎が消える前に亜沙美ちゃんが凍死しちゃうぞ!!」
「むむっ、ならどうしろというのだ!?」
「このままじゃ亜沙美が!!」
「ああもうちくしょー!!」

意を決して「ちくしょー」と叫んだ洸介は、たまたま近くにあったバケツの水を頭から被り、全身を濡らしてから炎の中に突入する!

「待て小寺!! 無茶だ!!」
「小寺くん!!」

陽平と優が止めるのも聞かず、なんとか亜沙美の傍に辿り着いた洸介。

「あ…熱い…熱いよ……」
「亜沙美ッ!! しっかりしろ!! くそっ、これどうやったら外れるんだ!?」
「洸くん…もういいよ。せめてキミだけでも逃げて……」
「バカッ!! お前を置いて逃げられるか!! 気をしっかり持て亜沙美!!」

エピローグ

結論から言うと、洸介の活躍で亜沙美は大した怪我もなく救出された。無論洸介も無事だ。ミラージュマスクが消火ビームで火事を鎮火させたのだ(だったらそれを最初から使えよ!💦という…)。

そして今日も平和な鷺島国際大学報道部の部室。

「…で、結局あの後、石鼠の一味は逃げたんだな?」
「面目ない。見張りだった僕が優ちゃんを助けに行った隙に、奴らの姿が見えなくなってしまっていたんだ」
「陽くんのせいじゃないよ。あのオバサン、きっとまたあたしたちに挑戦して来るに違いないわ! 今度こそ報道部の名にかけて決着をつけてやらなくちゃ!!」

宿敵・石鼠との来るべき再戦に改めて闘志を燃やす亜沙美だったが、気を取り直したのかニコニコ笑みを浮かべながら、椅子に座って寛いでいる洸介に近寄って話しかける。

「ねえ洸くん?」
「な、なんだよいきなり…?」
「あたしを助けてくれた時、いつもとは違う呼び方をしてたよね?」
「そ、そうだったかな……」
「ねえ、今ここでもう一度あたしを呼んでみて?」
「あ…亜沙………漆崎さん」
「もうっ、洸くんのバカ―!!」

終わり。

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コメント

  1. bakubond より:

     女の子優先で野郎は後回しというミラージュマスク、いい性格してますねえ。これがおかめマンなら誘拐されてしまえば後は優先順位は付けないような気がします。

    >「亜沙美ッ!! しっかりしろ!! くそっ、これどうやったら外れるんだ!?」
    「洸くん…もういいよ。せめてキミだけでも逃げて……」
    「バカッ!! お前を置いて逃げられるか!! 気をしっかり持て亜沙美!!」

     遂に来ました洸介君の魂の呼びかけ、でも平常モードになると元に戻ってしまうというのもよくあるパターンですね。
     陽平君が優ちゃんを救出している隙を利用して脱出に成功した石鼠一味次はどんな罠を仕掛けてくるんでしょうか?かなり借金をしているようなので返済に追われて先のことにはなりそうですが…。

    • > かなり借金をしているようなので返済に追われて先のことにはなりそうですが…。

      石鼠たちの直接のボスである魔女殿の動向にもよりますが、おかめ党が借金を肩代わりしてあげる代わりに彼女たちに何か仕事を頼むかもしれませんね。実はそれだけ「おかめの御前」は石鼠たちを評価しております。

      • 旅鴉 より:

        >石鼠たちの直接のボスである魔女殿の動向にもよりますが、おかめ党が借金を肩代わりしてあげる代わりに彼女たちに何か仕事を頼むかもしれませんね。実はそれだけ「おかめの御前」は石鼠たちを評価しております。

        う~んどうしましょうか、実はプロローグ的なSSも考えてたりしました、今回の件の裏で組織が動いてた的な、ちなみに石鼠にはアンシーリーを差し向けてます。

        ただ、おかめ党が借金肩代わりして石鼠に仕事を依頼するって展開も面白いですね、その場合、石鼠がおかめ党にヘッドハンティングされるか、組織を通しておかめ党が依頼してくるかでも変わってきますね。

        組織を通してとなると、新たな仲介者を用意してはいます。

        • > う~んどうしましょうか、実はプロローグ的なSSも考えてたりしました

          あっ、それは是非読みたいです!

          > ただ、おかめ党が借金肩代わりして石鼠に仕事を依頼するって展開も面白いですね、その場合、石鼠がおかめ党にヘッドハンティングされるか、組織を通しておかめ党が依頼してくるかでも変わってきますね。

          そうですねぇ…。自主独立を旨とするおかめ党としては、魔女殿の頭越しに石鼠姐さんをヘッドハンティングして、魔女殿の誘拐組織に喧嘩を売るのもまた一興ですが、ここは穏便に組織を通しての依頼にしておきましょうか。

  2. 旅鴉 より:

    とことんまで野郎より女の子を助けることを優先しようとするクソヒーローミラージュマスク、ブレませんね~

    仕方なく、野郎…洸介くんを助けだしたミラージュマスク、そこへ陽平くんと、先ほど見捨てようとした優ちゃんが…

    >「ねえ、このインチキヒーロー、一発殴ってもいいかしら?」⁽⁽(੭ꐦ •̀Д•́ )੭*⁾⁾

    君の「優」って名前は優しさからきているのでは…まあ、勝手な勘違いで見捨てられた命の危機に晒された挙句、舐めた態度とられれば、ガ〇ジーでも助走つけて殴ってきますよね…普段温厚な優ちゃんでもそりゃキレますわな…

    そして最後の1人亜沙美ちゃんが捕らわれている部屋へ…だが部屋に入った瞬間トラップ発動、炎に囲まれる亜沙美ちゃん、絶体絶命、どうする…!?

    >「フハハハハハ!! こんな炎を消すくらいのことは私なら簡単だ! 食らえ! ミラージュ絶対零度凍結ビーム!!」

    やたらめったら大技ぶっ放そうとすんじゃねーよこの蜃気楼野郎、お前は爆裂魔法しかぶっ放さないどこぞのアークウィザードか!?

    >意を決して「ちくしょー」と叫んだ洸介は、たまたま近くにあったバケツの水を頭から被り、全身を濡らしてから炎の中に突入する!

    漢ですね~洸介くん、君こそ真のヒーローだ、おいそこの赤いの、邪魔だどいとけ!

    >「洸くん…もういいよ。せめてキミだけでも逃げて……」
    「バカッ!! お前を置いて逃げられるか!! 気をしっかり持て亜沙美!!」

    言えたじゃねえか、ここは亜沙美ちゃんも「トゥンク♡」くるところではないでしょうかね、このまま燃えちゃえリア充ども!

    >ミラージュマスクが消火ビームで火事を鎮火させたのだ(だったらそれを最初から使えよ!💦という…)。

    まあ水鉄砲よりはマシな働きをするんですねこいつも…

    そして地獄から無事に生還した報道部、つかの間ではあるのでしょうか平和な日々がようやく戻り、亜沙美ちゃんと洸介くんとの仲も…

    >「ねえ洸くん?」
    「な、なんだよいきなり…?」
    「あたしを助けてくれた時、いつもとは違う呼び方をしてたよね?」
    「そ、そうだったかな……」
    「ねえ、今ここでもう一度あたしを呼んでみて?」
    「あ…亜沙………漆崎さん」
    「もうっ、洸くんのバカ―!!」

    進展せんのかい…小学生かよ…

    • > 進展せんのかい…小学生かよ…

      管理人の想定する公式カップリングは「小寺洸介✖鳳凰院優」と「桜庭陽平✖漆崎亜沙美」ですので、洸介くんと亜沙美ちゃんの関係はあくまで友情の範囲内を超えることはありません。次回は陽平くんと亜沙美ちゃんのコンビにスポットを当てた話をやりたいですね。

  3. 旅鴉 より:

    >実はプロローグ的なSSも考えてたりしました
    それを言うならエピローグですよね…💦
    まあ…次に繋がる序章ということにしておいてください…

    SSって言うにはかなり長くなってしまいました、
    余り面白くない文かもしれませんが、管理人様が書かれる次のストーリーの参考になればと思います、
    ちなみに組織も決めてしまおうと思います。

    組織名は「ベラドンナ」です

    『次に向けて』

    「姐さん…あいつら無事に逃げたみたいですよ…」

    双眼鏡を覗き込みながら、毬雄が石鼠に声を掛ける。

    「チッ…あのわけわかんねえあのクソヒーローモドキが現れなければ上手くいってたのにさ、何なんだよアイツ!」

    憎々しげにそう吐き捨てながら、立ち上る煙を見つめる石鼠。

    「どうします姐さん、このままあいつらを行かせても?」

    そうたずねる累児に、溜息を漏らしながら醒めて目で返す石鼠。

    「潮時だ…まだあのわけわかんないのが居るし、これ以上は無理だ…だが次はもっと準備をして、あいつらを存分に泣かせてやるさ…」

    そう言いながら立ち去ろうとした石鼠とブラザーズだったのだが…

    「ちょっと君たち、いいかな?」

    突如何者かに声を掛けられる石鼠達、声のする方へ目を向けるとそこには、制服を着た警察官が立っていた。

    「何か怪しい人物がうろついてるって通報があって来てみたんだが、君たちはどこから来たのかな、ちょっと話を聞かせてもらえると助かるんだが?」

    (チッ…こんな時にポリかよ、見る限り1人か…あの煙にもすぐに気づくだろうし、面倒くせえ…ここで〇ってしまうか…)

    そう思いながらブラザーズ達に目配せをする石鼠、それを見て察したかのように身構えるブラザーズ。

    「おまわりさ~ん、この人達なんか変なことしようとしてますよ、気をつけて~」

    突如それは現れた、警察官に気をとられていて気づかなかった、仮にも裏社会のプロである石鼠達がである。
    とつぜん声を上げた主は10代前半にも見える少年だった、金色の髪にブラウンとブルーのオッドアイの瞳が特徴的な美少年、彼は微笑みながら石鼠のすぐ傍に立っていた。

    (なぜこんなところに子供…いや待て、警官に気をとられていたとはいえ、私達に気づかれずにここに…いや…こいつ…は…)

    「アンシーリーコート!!」

    石鼠は叫ぶように声を上げながら隠していたナイフを抜き、目の前の少年に向かって振り上げる。
    だがそれよりも速く、まるで手品のように少年の手の中にナイフが現れ、それが石鼠の胸に突きつけられる。

    「年上の先輩には”さん”をつけるのがこの国の常識じゃねーのかクソビッチが」

    そう言いながら、その顔には似つかわしくない邪悪な笑みを浮かべながら石鼠を見上げる少年…いや確か彼は年上と言った、目の前の石鼠よりも…。
    そう、彼は立派な成人の男である、彼もまた誘拐を得意とする組織のエージェントの1人『アンシーリーコート』である。

    「え…!?」

    「アンシーリーコートって」

    毬雄と累児、ブラザーズの2人は思わずそちらの方に意識が行ってしまった、だがその2人の目の前に警察官の影が迫る。

    「累児っ!!」

    累児に向かって声を上げる毬雄、累児は慌てて目の前の警察官の攻撃を繰り出す、だが警察官は素早い動きでそれを躱し懐に潜りこむと強烈なボディブローを累児に叩きこんだ。
    悶絶して倒れる累児。

    「やろうっ!!」

    毬雄は懐に手を入れ得物を取り出そうとするが、それよりも速く警察官に銃を突きつけられる。

    「公務執行妨害で逮捕だ」

    「黙れ偽警官が…てめぇ『背骨』だろ…」

    「ご明察だよ駄犬」

    そう言いながらニヤリと笑う警察官、彼は『背骨』、役割は違うがブラザーズと同じ猟犬である。

    「これはつまり、私達の始末に、アンタが差し向けられたってことかい…アンシーリー…さん…」

    アンシリーに恨めし気な表情を向けながら、声を絞り出す石鼠。

    「まあ、お前ら引き際も考えずに動こうとしたらそうしろって言われてた…」

    そう言いながらアンシーリーは手からナイフを消し、クククと喉を鳴らしながら笑い出した。

    「まあ今回は相手が悪かったし、見てて楽しかったから不問だとよ、良かったな」

    「見てて…楽しかった…?」

    どうゆうことか意味が理解出来ず、怪訝な表情を向ける石鼠に、アンシーリーは笑いながら答える。

    「お前ら派遣的立場とはいえ組織に所属してるんだぜ、それが組織の頭越えて裏業者に普通に発注出来ると思ってたのか?」

    「それじゃ…」

    「お前らが依頼した業者に組織が手を回してるに決まってんだろ、あの場所には至る所にカメラも仕込んでるし、奴らが死なないようにトラップにも仕掛けがしてある、仮にも裏で名の通った業者があんな不良品よこすわけねーだろ、あの火もあの仮面野郎が動かなくても勝手に消えるようになってたんだ、今頃処理屋が向かってる、すぐに元の廃墟に戻ってるだろうさ」

    「なら私たちの行動は全て…」

    「うん、把握してるよ、おかげでミラージュマスクって奴のデータも手に入れる事も出来たし、助かったってボス喜んでたぜ、今回掛かった費用だが組織に方で払っとくってよ、借金生活せず済んで良かったな」

    そう言いながら笑顔を見せていたアンシーリーだったが、直ぐに表情を真顔へと変える。

    「だが…あまり良い気になってんじゃねえぞ、本来だったらお前ら処分されてる身なんだからな、それを誰が助けたと思ってる、仲介者の張だ、奴がまだお前らが使えるから処分は早いってボスに頼み込んだから命が繋がってんだ、なんか最近あのボスも妙に機嫌が良いし、今回の件も遊びってことで許されてはいるが、次は本当にないと思えよ…」

    そう言って再び笑顔に戻るアンシーリー。

    「まあ、今回の的…どこぞの大学の報道部だっけ?あいつらやたらと目立ってるから色んな変な奴らに狙われてるらしい、いずれ正式な依頼がくるかもだから、そん時は俺がその依頼受けてお前の仇とってやろうか?」

    「余計なお世話っすよ…先輩…」

    不機嫌な表情を隠そうともせずに答える石鼠。

    「冗談だよ、心配するな、お前の獲物はとらないでおいてやるよ、俺はな…まあリベンジに備えて今回は大人しくどっかに潜って英気でも養っとくんだな。

    そう言いながらアンシーリーは『背骨』に顎で合図を送る、『背骨』は銃を収めると軽く毬雄に手を振り、アンシーリーの後を追う、そして2人はそのままその場を立ち去る。

    「…調子にのりやがって…累児…起きてんだろ」

    2人の後ろ姿を睨みつけながら倒れている累児に声をかける毬雄。

    「…っ、ああ、大丈夫だ、すぐにやれる」

    「姐さん、俺達2人なら『背骨』は軽くやれます、その後3人であのガキ面を…」

    「今の状態で組織に弓を引くっての?」

    毬雄の言葉を遮るように、石鼠が口を開く。

    「今あいつらとやりあうって事は組織に歯向かうってことよ、そんぐらい解んだろ馬鹿か、それに…」

    立ち去るアンシーリーを目で追いながら、石鼠は忌々しげに言った。

    「アンシーリーコート、奴だけでも今のうちらじゃ3人がかりでも勝てるかどうか怪しい…それにあの『背骨』もそれなりに腕も立つ、どう考えても分が悪いだろ…」

    そして石鼠は、呟くように吐き捨てる。

    「まあ…いつか覚えとけよクソがってやつだ…」

    暗い部屋の中、白いワンピースの寝衣を着た赤い髪に金色の瞳の女が、ベッドの上に座り、窓から外の月を眺めていた。

    コンコンと部屋の扉がノックされる。

    「やあプロセルピナ、起きてるかい?」

    「ええ、起きてるわ、どうぞ入っておじ様」

    プロセルピナと呼ばれた女が扉に向かって声を掛ける、その声に答えるように男が遠慮がちに部屋の中へと入ってくる。

    「すまないなこんな夜遅くに…」

    「大丈夫よ、おじ様ならいつでも大歓迎」

    そう言いながら優しく微笑み、プロセルピナは囁くように言った。

    「私もとうとう始末されてしまうの…?」

    「なんでそうなる?」

    男は呆れたような表情で答える。

    「だって…前の仕事でしくじったもの…」

    「あれは仕方がない…あんなの予想できる筈がない、私でもね…」

    そう言いながら男は、女の頬を優しく撫でる、それに対して女はうっとりした表情で男を見つめた。

    「ボスも君を気に入ってるし、私も君を〇したくはない、だから冗談でもそんなこと言わないでくれ」

    そう言いながら男は、プロセルピナに優しく微笑みかけた。

    「ただ…ちょっとボスから頼まれごとを託かってね、いや君にはちょっと嫌な仕事かもしれないけど…」

    男は申し訳なさそうな表情を浮かべながら言った。

    「知ってると思うけど、最近…ハンターの石鼠がね…」

    「うん知ってるわ、立て続けに仕事に失敗してるそうねあのクソ女、今回は私怨で動いてよくわからないイロモノヒーロー負けちゃったんですってね」

    そう言いながらクスクスと笑うプロセルピナ。

    「ああそれでね…次の仕事、また厄介な奴が現れた時には彼女らのフォローをして貰えないかなと…まあ君にとっては嫌な役回りかもしれないけど…」

    「いいわよ」

    男の申し出をあっさりと承諾するプロセルピナ。

    「あの女…私に助けられたとなればさぞ悔しがるでしょうからね、その時にどんな顔するか見てみたいわ」

    そう言いながら意地の悪そうな笑みを浮かべるプロセルピナ。

    「でも…最近やたらと邪魔が入る…検非違使は前に相手したと思うが、他にもやたらハイテクな組織や謎のヒーローモドキとか、少々面倒な奴らを相手することになるかもしれないが…」

    「大丈夫よおじ様、私はあの女のように簡単にやられたりしないわ、だから安心して任せて」

    そう言いながらそっと男に抱きつくプロセルピナ。

    「頑張ったらまたいっぱい褒めてねおじ様」

    「ああ、くれぐれも無理をしないようにね、あくまでサポートだからね」

    そう言いながら男はプロセルピナの頬に軽くキスをする。

    「それじゃ、おやすみプロセルピナ」

    「ええ、おやすみおじ様」

    そう言って、部屋を出て行く男を見送るプロセルピナ。

    「メアリー、そこにいるんでしょ?」

    「はい、姉様!」

    男と入れ替わるように部屋に現れたのは、全身黒のゴシックファッションの色白の女だった。

    「今の聞いてたでしょメアリー?」

    「勿論です姉様!サポートするフリしてあの鼠女と犬どもをブチ〇ス!ってことですね!」

    メアリーと呼ばれた女は、満面の笑みを浮かべながら親指を立てる。

    「変な解釈はしない、流れ的にそうなっちゃったら仕方ないかもだけど、言われた通りにサポートしましょ」

    「なんかそれ、つまんないですね~」

    「そうでもないかもしれないわね、なんの偶然だかわからないけど、最近ヘンテコな外星人タイプのヒーローが現れるらしいわよ」

    「それはおもしろいですね!」

    プロセルピナの言葉に、子供のように喜ぶメアリー。

    「ヒーロー…いいな~、いくら銃で撃っても、ぶん殴っても、簡単に壊れないんですよね?」

    「そうね、あなたにとっては良い遊び相手になるかもね、だけどそんな奴にも効きそうな良い武器、私持ってるんだけど」

    「へー、そんなものどうしたんですか?」

    メアリーが小首を傾げながらプロセルピナにたずねる。

    「前にねハント星人とかいう頭の悪そうな外星人を利用したことがあったの、その時にこっそりと拝借しといた武器があってね、自分達にとっては猛毒な金属で作られたナイフなんですって、それ使ったら案外とそのヒーローさんとやらにも通用するかもしれないわね、今度仕事の前にあなたに預けておくわ」

    「ありがとうございます!でもいいんですか、もしかしたらヒーロー〇しちゃうかもしれないですよ」

    そう言いながら楽し気に微笑むメアリー。

    「いいんじゃない、だって私達ヴィランでしょ?」

    「ははは、そうでしたね姉様、よーし、待っててくださいよヒーローさん、私があなたをぶっ〇してあげますからね!」

    まるで愛しい相手に会いにいくような喜びに溢れた表情で、メアリーはまだ見ぬ強敵を思い浮かべ、拳を握りしめた。

    とある一室、豪華なソファーにもたれかかりながら、ドレスを纏った可憐とも妖艶ともとれる女がワイングラスを傾けていた。
    その横でテイラードジャケットにタイトスカートを穿いたストレートロングのブロンド髪の女が、何かを報告していた。

    「アンシーリーコート様が石鼠様とお会いし、今回の件に関しての報告を行ったそうです」

    ブロンド髪の女の報告にドレスの女が微笑を浮かべながら答える。

    「〇ったって報告がないところをみると、これ以上馬鹿はやらなかったみたいね、でも私の手の平の上で踊ってたって知ったアイツはさぞ不機嫌だったでしょうね」

    そう言いながらドレスの女は楽し気にクスクスと笑う。

    「それとプロセルピナ様ですが…」

    「そっちは気にしてないわ、秀狼のお願いにあの子が逆らう筈ないでしょ」

    「でも大丈夫なのでしょうか?石鼠様とプロセルピナ様は相当な犬猿の仲ですが」

    「だからいいのよ、プロセルピナは解ってる子よ、もしもの時はどう動くべきかと」

    そう言いながらドレスの女は怪しげに微笑む。

    「それよりも、うちを嗅ぎまわってた奴だけど、吐いた?」

    「ええ、やはりおかめ党の構成員でした」

    「やっぱりね…」

    ブロンド髪の女の報告に、ドレスの女が溜息混じりに答える。

    「どうやらおかめ党首領、おかめの御前は石鼠様に興味をお持ちのようです、あの方のことを随分と調べはじめているようで」

    「あの女随分とモテるわね、地味で色気もないのにね~」

    そう言いながら不思議そうな顔をするドレスの女。

    「でも本当に…何考えてるのか掴めないわねおかめの御前って男は、ここいらでこちらから接触してみようかしら」

    そう言いながら、ドレスの女がブロンド髪の女の方に目をやる。

    「行ってくれるかしらイザベル」

    その言葉にブロンド髪のイザベルと呼ばれた女が、静かに膝をつき頭を下げる。

    「仰せのままにマスター」

    「とはいえ、どうしたものかしらね~、間接的とはいえ何度か敵に回した相手だから警戒されてるだろうし、伝手もあるわけではないし、あの捕虜が交渉に使えるかどうかも怪しいし…そもそもアジトどこよ?」

    う~んと唸りながら首を捻るドレスの女に、イザベルがある提案を口にする。

    「私がおかめ党に捕らわれる形で入り込むのはどうでしょうか?」

    「どうゆう意味かしら?」

    怪訝な表情でドレスの女がイザベルを見る。

    「あの捕虜を使ってアジトへと案内させますが、多分罠に誘い込まれ捕まるでしょう、ここで私もアジトへと連れて行かれるます、若い女を捕虜にしたとなればあのおかめの御前はきっと興味を持つでしょうから、彼が私の前に現れたらそこでこちらの旨を伝えます」

    「随分と無茶な作戦ね、すごく危険よね」

    「おかめの御前は無駄に人の命を奪わないと聞きます…まあ私が彼の好みと己惚れるつもりはないですが、直ぐに命を奪われることはないでしょう」

    「それでも何もされないという保証はないわ」

    「少しぐらい酷い目に遭う事など覚悟の上です、それに以前から申しております、貴女に拾われたこの命、どうぞいつでも使い捨てください」

    「簡単に使い捨てられる駒じゃないんだけどねあなたは…」

    そう言いながら溜息をつくと、ドレスの女は覚悟を決めたかのようにイザベルに命じる。

    「仲介者イザベル、おかめ党の中に入りおかめの御前と接触し、話が出来る相手かどうか確かめてきなさい、そして…なんとしてでも私の元に帰って来なさい」

    「御意、それでは直ちに」

    そう言いながらイザベルは再度深く頭を下げると、素早く部屋を後にする。

    「さて…石鼠の馬鹿も少しは役に立つか、おかめの御前があれに興味があるならそれを利用して上手くビジネスが出来るかもね…まあイザベルが帰ってこないとそれもなしだけどね…」

    ドレスの女は、物憂げに天井を見上げながら1人呟く。

    「unknownのジジイ…どうしよ…怒るかな~?」

    • ミラージュマスク……どうやらとんでもない奴に命を狙われる羽目になったようですねぇ。ついにあのポンコツ二流ヒーローも年貢の納め時が近づいているのでしょうか?
      そしてイザベルさん(初登場キャラかな? 間違ってたらゴメンナサイ🙇)が、我がおかめ党にわざと捕まってくれるみたいですねぇ。是非その時には白色ショートパンツを着用して来てほしいですねぇ。「おかめの御前」の持つ性癖については、当然リサーチ済みでしょうから。

      • 旅鴉 より:

        >イザベルさん(初登場キャラかな? 間違ってたらゴメンナサイ🙇)

        実は…前「おかめの御前の隠し館」で書かせて頂いたSSの『王女誘拐と闇のDIDリゾート』にメイド役でちょこっと出しました…
        http://okamenogozen.blog.fc2.com/blog-entry-434.html
        いや、こんなんわかるかってやつですよね…実はこの頃からもう1人の仲介者として考えてはいたのですが…

        そろそろボスの魔女とイザベルのプロフィも書かないとですね…

        >我がおかめ党にわざと捕まってくれるみたいですねぇ。是非その時には白色ショートパンツを着用して来てほしいですねぇ。

        OKでーす、この娘は出来る子です、その辺は弁えてると思います!

  4. bakubond より:

     旅鴉様SSお疲れ様です。組織名は「ベラドンナ」ですか。まさに付き合い方によっては毒にも薬にもなるといった意味合いが感じられますね。おかめの御前が石鼠一味の獲得に動き出したのに呼応する形でおかめ党潜入作戦を展開するとはボスも大胆な手に出ましたね。プロセルピナさん相変わらずいい性格をしているようで犬猿の仲の相手に嫌がらせができることを相当楽しみにしてますね。
     メアリーもミラージュマスクが相手ということでかなり興奮しているようですが、あの通りのポンコツですので漫画版仮面ライダークウガで自衛隊相手にゲゲルを展開した時のガドル閣下みたいに消化不良感に捕らわれないといいのですが…。

  5. 旅鴉 より:

    流石bakubond様、お詳しい!
    ちなみに「ベラドンナ」は花言葉もかなりやばいんですよね(笑

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