消えた小寺洸介　第1話

洸介失踪

３日前、某所にて……。

鷺島国際大学報道部のカメラマン・小寺洸介が、何者かに銃口を向けられていた！

「や、やめろ…！ 俺をどうしようっていうんだ！？」
「君はいろいろと知り過ぎた。このまま我々と一緒に来てもらおう」

いつもの報道部の部室にて

そして３日後、鷺島国際大学のサークル棟にある報道部の部室では、今日もDRYADES女子メンバーたちがお茶とお菓子を勝手に持ち込んでガールズトークを楽しんでいた。

「コラッ!! また君たちか！ ここはDRYADESの部室じゃないんだぞ！💢」
「だって…大学がDRYADESを正式サークルとして認めてくれないから、こっちは独自の部室がないんだもん！ いいじゃないケチ！！」
「いつも取材ネタ探しにも協力してあげてんじゃん！！」
「ぐっ…!!💦」

実質部室を占拠している状態のDRYADES女子メンバーたちに対して、すぐさま出て行くよう咎める桜庭陽平だったが、逆に彩美や寿莉愛から反撃されタジタジだ。

「すみません💦すみません💦申し訳ありません💦💦」
「あー、別に気にしないでいいよ。基本的に五月蠅いのは陽くん一人だけで、アタシや優は別に気にしてないから♪」
「そうね。わたしもDRYADESのみんながいつも顔を出してくれる方が、部室もにぎやかで楽しいわ」

女先輩たちの非礼についてひたすら平謝りする逢沢彩人に、漆崎亜沙美と鳳凰院優は寛容な態度を示す。

「あれっ！？ ところで小寺くんは今日いないの？」

DRYADESのメンバーである里恵が口を開いた。その問いに陽平が答える。

「小寺なら2日前から急病で大学を休んでるよ」
「えーっ！？なになに！？何の病気なの！？」
「さあ…。3日前に小寺からメールで急に連絡が着て、入院するからしばらく報道部の方にも来れないって…。”大した病気ではないから心配しないでくれ”とはメールに書いてたけどな」
「ちょっとー、それって心配じゃない！ 入院するほどなのに大した病気じゃないわけないよー！」
「みんなでお見舞いに行こうよ！」
「そうだな…。そろそろアイツの様子でも見に行ってやるか。優ちゃんと亜沙美ちゃんはどうする？」
「勿論行くよ！ 洸くんのことが心配だもん」
「わたしも行くわ」
「よし、じゃあ決まりだな」

こうして急遽、報道部メンバーとDRYADESメンバーたちは、小寺洸介のお見舞いに行くべく病院へと向かったのであるが…。

面会謝絶？

しかしお見舞いに来た一行は、病院の受付で洸介は面会謝絶であると告げられ、彼が入院している病室が何階の何号室なのかすら教えてもらえないまま、事実上門前払いをされてしまった。

「ちょっとー、どーなってんのよー！？」
「僕に聞かれたって知らないよ💦」
「陽くん、洸くんにメールは送ってみたの？」
「ああ、あれから何回もメールやSNSのメッセージを送ってるけど、返事が来るどころか既読すらついてないんだ」
「うっそー！？ やっぱり重症なんだよー！」
「小寺くん、大丈夫かな……」
「ここで考えていてもしょうがない。一旦引き上げよう」
「せっかくお見舞いに買って来たケーキ、無駄になっちゃったね…」
「うん……」
「大丈夫だよ優ちゃん、アイツがそう簡単にくたばったりなんかするもんか。今に元気な姿を見せて来るさ♪」
「……だといいのだけれど」

こうして報道部＆DRYADESメンバーたちは帰って行ったのだが、それを見届けた受付の女性がどこかへ電話を掛ける。

「もしもし…小寺洸介を見舞いに来た連中は面会謝絶だと言って追い返しました。ご安心ください。それで次の指示は？……はい…はい…了解しました。直ちにそのように」

しかしその受付女性の電話で何者かと通話している内容を遠くから聞いていた者がいた！
ミラージュ星人と融合したことにより、通常の地球人より数十倍の聴力を身に着けた逢沢彩人だ！

「取り越し苦労ならいいけど、どうも事件の匂いがする。今晩、病院を張ってみるか…」

思わぬミラージュ兄弟の再会

「よし、そろそろ中に踏み込むか！」

夜陰に紛れて病院の中へと忍び込もうとしていた彩人だったが、それを背後から止めた者がいた！

「待て、まだ早すぎるぞＸ！」
「…あ、あなたは、寿莉愛さん！？」

なんと彩人を制止したのは、同じDRYADESメンバーの寿莉愛だった！

「寿莉愛さん、どうしてこんなところに！？」
「未熟者め！ まだ分からないのかＸ！ 私だ！」
「えっ！？ ま、まさか…あなたはジャック兄さん！？」

衝撃の事実！　実は現在の寿莉愛の身体には、ミラージュ兄弟の次男ミラージュジャックが融合していたのだ！

「いやー驚きましたよ。ジャック兄さんも地球に来ていたのですね。それにしても兄さん、どうして地球人女性の体の中に？ 言うまでもなく兄さんの性別は男の筈…」
「うむ、実は以前から地球人女性の女体の神秘に並々ならぬ興味があってな」
「え～～～！💦」

少しも悪びれる様子もなく真顔で言い切った寿莉愛（ミラージュジャック）に、何と反応してよいか困り果てて言葉に詰まる彩人（ミラージュＸ）。

「見ろ、職員の通用口から例の受付の女が出て来たぞ！」

寿莉愛（ミラージュジャック）が指差すと、確かにその方向には病院の職員駐車場へと向かう受付嬢の姿が。おそらく自分の車で帰宅の途に就くのだろう。あるいはこれから例の電話の相手に接触する可能性もある。

「尾行するぞ！」
「了解しました兄さん！」

果たしてミラージュ兄弟初の合同捜査は、小寺洸介の行方の手がかりを掴むことができるのであろうか！？
そして洸介の身を案じる優にも、敵の魔手が迫ろうとしていた！

つづく。

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