おかめ党、新幹部出現か!?

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※この作品はフィクションであり、実在の人物・団体・事件とは一切関係ありません。
※掲載されている画像の無断転載を禁じます!
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部屋から脱出、地下室探索へGO

※旅鴉様の洋館潜入! – おかめの御前の創作文庫 (okamenogozen.com)コメント欄投稿より引用。

監禁されている恋中七香の部屋に男が入ってくる。

「随分と大人しくなったな、ようやく逃げられないってわかったか」

ソファの上で縛られ転がされている七香を、男は笑みを浮かべながら見下ろす。

「まあ良い子にしてたらおま…ぐぁっ!!」

突然男は背後から首を締めあげられる、扉の後ろに隠れていた祐宜が襲い掛かったのだった。
更に体重をかけ男の首を絞め上げる祐宜、必死に暴れていた男だったが、しばらくすると腕を力なく下げ意識を失う。

「はい、おやすみなさい」

そう言って祐宜は男を床に引き倒すと、七香に向かって合図をする、七香はソファから立ち上がる、それと同時に彼女を縛っていた筈の縄がスルリと体から落ちる。

「こいつを縛っておくからその縄をくれ、ついでに良ければその布も、猿轡しときたいから」
「ええ…私の口に入ってたもんそいつの口に入れるなんて、なんかちょとヤダ!」
「ええやろ別に、直接口づけするわけとちがうんやさかい…」

そう言って手を出す祐宜、自分の口に猿轡をしていた布を嫌そうな顔をしながら渋々祐宜に渡す七香。
男の口にその布で猿轡を噛まし、更に七香を縛っていた縄で男を縛る祐宜。

「ところで地下室の場所はわかるか?」
「わかるわけないでしょ、ずっとこの部屋に監禁されてたんだから」
「そりゃそうか…とにかく俺のの傍から離れなや」

そう言って静かに部屋から外へと出る祐宜と七香。

「それにしても広い屋敷やな」

広い廊下にいくつもの部屋、これは地下室を探すのは大変だなと少しウンザリしていた祐宜、その時廊下の曲がり角から足音が聞こえてきた。

「静かに、音を立てなや」

身を潜め足音が近づくのをじっと待つ祐宜、元いた部屋に戻るという選択肢もあったがこの足音の主がその部屋に向かってきたらそれこそ面倒くさい、ここで仕留めていた方が楽だ、そう考えていた祐宜。
足音の主が曲がり角から姿を現したその瞬間、

「て…おい!」

飛び出したのはなんと七香だった。

「な…っ⁉」

突然、角から姿を現したその男の側頭部に強烈な膝下蹴りが飛ぶ、その衝撃にふらつきながら体勢を立て直そうとする男に間髪入れず回し蹴りが炸裂、悶絶する男に更に顔面に正拳突きが炸裂、これで男の意識は飛んだ。

「ふぅ…ちょっと卑怯だったけど、そんなこと言ってられないよね」

そう言って振り向きながら悪戯っぽく笑う七香。

「お前…恐い女やな…」
「それはレディに対して失礼なんじゃないかな?」

そう言って頬を膨らます七香。

「これ、レディ扱いされたい女のするこっちゃあらへんやろ…」

そう言って呆れたような表情を見せる祐宜。

「でも、これで私が足手まといにならないって解ってくれたかな?」
「まあ、自分の身ぐらいは守れそうやな、そやけど次はもっと慎重にやっとくれ…」

祐宜は肩をすくめながらそう言った。

謎の青年は何者か!?

一方その頃、悪の組織おかめ党の本拠地おかめ城では……。

「詩郎~! 詩郎はいるッすかァァッッ!!」

おかめ城謁見の間で、おかめ党の首領であるおかめの御前が誰かを呼んでいる。やがてその呼びかけに応えるかのように、一人のラフでカジュアルな今風の若者の服装をした青年が姿を現した。

おかめの御前イラストは、円山楸様。
謎の青年イラストは、miyabi roro様。
背景は、無料イラストなら「イラストAC」 (ac-illust.com)様のyosei様のフリー素材より拝借しました。

「俺を呼んだか? おかめの御前」
「おぉー詩郎、そこにいたッすか!」

おかめの御前に呼び捨て・タメ口で話しかける、「詩郎しろう」と呼ばれたその青年に対して、おかめの御前は新たな指令を告げる。

「ようやく天岸アンジェリカ愛優美ちゃんの居場所が分かったッすよ。君は直ちに出撃して、敵対者の手から愛優美ちゃんの身柄を奪還して来るッス!」
「ちょっと待て。例の巨大ロボット建造計画は放棄したんじゃなかったのかよ?」
「放棄…? フフッ、まさかまさかww あれはあくまでも敵の目を欺くためのブラフッすよ」
「かったりぃーなぁ。そんな面倒臭い仕事なら、また前みたいに姉貴にでもやらせろよ」
「彼女はまだ傷心を癒す旅の最中ッすよ。頼りになるのは君しかいなかったッスが、どうしてもイヤだというなら仕方がないッス。他の者に任せるとするッスか…」
「あぁ…そうしてくれ」
「それにしても残念ッスねぇ…。どうも今回は検非違使が動いている気配があるというのに」
「検非違使……だとッ!?」

検非違使という言葉を聞いた瞬間、それまでつれない態度だった詩郎は目の色と表情を一変させた。

「気が変わったぜ! 是非今回の任務、俺にやらせてくれ! 俺たち姉弟は検非違使には恨みがあるんだ!?」
「フフフッ…君ならきっとそう言ってくれると思ったッス」( ̄ー ̄)ニヤリ

果たしてこの詩郎と呼ばれる謎の青年は何者か!?
そして詩郎と検非違使の間には、どのような過去の因縁が存在するのであろうか!?

オマケ(女の子の部屋)

さて、今回のストーリーとは全く関係ありませんが、このままだと今回は女の子のピンチ画像がないまま終わってしまいますので、これは本当におまけです。

椎穂亜弥と琴川玲奈イラストは、KazuHanabi様。
男(犯人)の後ろ姿シルエットは、凛ちゃん24様。
背景は、DIMENSHOP 素材部 | ASMR(耳かき)効果音素材・ゲーム背景素材・立ち絵素材・3Dベクター素材などなど。ゲーム向け素材サイト。 (sakura.ne.jp)様の様のフリー素材より拝借しました。

学校から帰宅して自分の部屋に入った玲奈ちゃんは、そこで自宅に侵入していた犯人と遭遇して縛り上げられてしまいます。そこへ放課後に玲奈ちゃんの自宅で一緒に遊ぶ約束をしていて私服に着替えた亜弥ちゃんがやって来ます。玄関で呼びかけるも応答なし。しかし玄関の鍵は開いていたので、そのまま彼女は家へと上がり、階段を上って2階の玲奈ちゃんの部屋へ。そこで縛られた玲奈ちゃんの姿を見て驚く亜弥ちゃん。しかもタイミングが悪いことに、他の部屋を物色していた犯人が玲奈ちゃんの部屋へと戻って来て……。

そこから先は、ご覧の皆さんのご想像にお任せします。

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コメント

  1. 旅鴉 より:

    新幹部きたああああ!!詩郎…良い名前です。
    おかめの御前様にも臆することがない、ちょっと闇を抱えた感じのキャラクター…嫌いじゃないです!

    >俺たち姉弟は検非違使には恨みがある

    この辺の因縁も気になるところですね~、お姉さまってひょっとして…
    http://okamenogozen.blog.fc2.com/blog-entry-194.html

    >オマケ(女の子の部屋)
    このままこの2人も今回の誘拐抗争に巻き込んでしまうのもありかな~って思ってしまうのですが、それはちょっと管理が大変になりますかね…?

    ちなみに…地下室の愛優美ちゃんと音祢ちゃん、プロセルピナとメアリーのストーリーも載せておきます!

    その頃地下室にて…

    天岸アンジェリカ愛優美は、最初はおかめ党なる組織に父親にある仕事をさせるための人質として誘拐されたのであった、しかし父親の手引きで一度は逃げ出すことに成功したのだが、おかめ党員達からの追跡から逃れることは出来ず再度捕えらえてしまう、そして再びおかめ党のアジトに連れ戻されそうになったところで、突如襲撃を受けた。
    そして再び目を覚ますと、そこは見知らぬ拷問部屋のようなところで吊るされていた。

    (ボク…このままどうなるの…恐いよ…パパ…)

    禍々しい拷問道具が並ぶ部屋で、1人吊るされていた愛優美、これから自分の身におこるであろう最悪なことを考えながら身を震わせていた愛優美だったが、何も危害を加えられることなく別の部屋へと移された、どうやら画像が撮りたかっただけのようだった、何が目的なのか、再び父親への脅迫に使われるのか、それは解らないがまた捕らわれの生活が続くのは確かなようだった。
    だが、今度は今までとは違っていた、なぜなら、今度はもう1人居たからだ。
    連れて来られた部屋には長い黒髪を首の後ろで束ねた清楚な感じの雰囲気の美少女が手足を縛られ猿轡をされたまま座らされていた。

    「ほら、お仲間連れてきてやったぞ、寂しくないだろ」

    愛優美を連れて来た男はそう言いながら男は、黒髪の少女の横に縛った愛優美座らせるとその足も縛っていく。
    そして愛優美が動けなくなったのを確認すると、「大人しくしてるんだぞ」と一言言って部屋の外へと出て行った。

    「うむむ、んううっ…むぐぅっ!」

    「ん!うううんっ、うむぅぅッ!」

    薄暗い部屋に2人の少女の呻き声が響く。

    (綺麗な女の子だな、この子は何を目的に連れてこられたんだろ…そもそもここってどこ、あのおかめ党とかいうのと違うみたいだけど…いったいボク達はどうなるの…?)

    そんな事を思い、不安になりながら横の黒髪の少女の顔を覗きこんだ愛優美、その時猿轡をされているので表情が解りにくかったが、少女の顔が微笑んだように見えた。
    そして…スルッと少女の手から縄が抜ける。
    少女は体に巻きつく縄を器用に解くと猿轡を外す、そして愛優美の背後に回るとその縄を解きながら話しかけてきた。

    「他に捕らわれている女の子がいると男達の話から聞えたのですが、あなただったのですね、何とか縄が解けて良かった…待ってくださいね、今縄を解きますから、あ…私、綾塚音祢といいます、あなたと同じくここに…いや元々は別の変な人達に誘拐されそうなっていたのですが…そこへ襲撃してきた人達がいて…今度はその人達が私を…ってその、何言ってるのか解らないでしょうけど…」

    「うん、何となく解る、多分ボクと同じ状況だ…」

    どうやら2つの組織が争っていて、その組織同士で自分達を取り合いしているらしい、そのことだけは愛優美にはどうにか理解できた。

    「ありがとう、ボクの名前は天岸アンジェリカ愛優美」

    縄から解放された手をさすりながら、自己紹介をする愛優美。

    「あまぎし…アン…」

    「ああ、愛優美でいいよ、アンジェリカでも、え~っと綾塚さんだっけ、君ボクと同じ高校生ぐらいに見えるけど…」

    「私は…高校二年生、17歳です」

    「じゃあボクと同じだね、よろしく、音祢ちゃんって呼んでいいよね!、あと為年なんだから敬語はやめてね!」

    そう言いながら握手しながらぐいぐい迫ってくる愛優美、そのコミュニケーション能力の高さにやや圧されながら、「よ…よろしく」と小さく答える音祢。

    「でもすごいね、縄抜け出来るって~」

    「うん、ちょっと慣れてて…」

    「え…」

    音祢の答えに、やや驚いた表情を見せる愛優美。

    「あ…ちがっ…変な意味じゃなくて…自分もちょっと襲われ体質というか…あと先輩が捕縛術とか得意でよく実験させられたりして…本当に変な意味とかじゃないから…」

    変な誤解を招かないように、慌てて手をぶんぶん振りながら否定する音祢。

    「う~ん、なんか大変そうだね音祢ちゃんは…っとまあとにかく…ここから何とか逃げ出さないとね…でも部屋の鍵をどうにか…」

    愛優美がそんな事を言ったその瞬間、外側から部屋の扉が開かれる、もしかして助けが来たのか…その希望はあっさりと崩れ去る。

    「獲物を移動して直ぐに、また移動って…なんなんだよもうぉ…しかも何で別の誘拐専門組織の奴らに偉そうにされなきゃならんのだ…」

    そうぶつくさ言いながら部屋に入ってきたのは、先ほど愛優美を連れてこの部屋に来た男だった。

    「…ってあれ、何でお前ら縄を解いて…」

    その刹那、先に動いたのはなんと音祢だった、自分を縛っていた縄を素早く拾い上げると男の顔めがけて投げつけたのだ。
    鞭のようにしなりながら男の顔面に縄が炸裂する。

    「ぐぁっ!め…目がっ…!」

    思わず目を抑え苦しむ男の懐に間髪入れずに音祢が入り込み、そして男の手首と腕の関節を極めながら取り、身を屈めるように体を潜らせるとそのまま足を払って男を床に叩き落とした。

    「ぐあっ!!」

    声を上げながら床に落ちる男、更に音祢は男の背後に周りそのまま腕を極めながら首を絞めた。

    「ご…ごめんなさい…」

    そう言いながら男を絞め上げる音祢。

    「すっご…」

    その一連の動きに、思わず見とれていた愛優美だったが、ふと我に返りバタバタ暴れる男の体を懸命に押さえつける。

    暫くして男は力なく腕をたらしながら落ちていく。

    「ふぅ…」

    男が動かなくなったのを見て、漸く安心して溜息を付く音祢。

    「す…凄いね音祢ちゃん!大人しそうな顔して強かったんだね!」

    「いや全然…護身レベルだよ、私なんか…結局何も出来ずに誘拐されちゃったんだし」

    「いやいや、ボクなんか腰抜かしそうになってワタワタしてただけだもん、本当に凄いよ」

    そう言いながら思わす拍手をする愛優美、だが…

    パチパチパチ

    別の方向から拍手が聞えて来た、それは部屋の扉の方向から。

    「Awesome awesome, that was very cool.」

    それは英語のようだった、声色からして女。

    声の方に愛優美と音祢が目を向ける、そこに立っていたのは病的な程に白い肌に、ややクセ毛美味なセミロングの黒髪、淡褐色の瞳を持つ全身黒ずくめのゴスロリチックな格好をした西洋人の女だった。

    (女の子…ボク達とあまり変わらないぐらいの歳に見えるけど…あれ…この子どこかで…)

    突然現れたのが女の子だったことに、驚き思わずほうけてしまった愛優美、そこへ音祢が緊張した声で囁きかける。

    「愛優美ちゃん…私が飛び掛かった後直ぐに横をすり抜けて逃げて、あれは…」

    音祢が話しを終えるより先にゴスロリ女が動き出す、慌て女に掌打を放つ音祢、だがその攻撃は躱されその腕を掴まれる音祢、すかさずその手を払うとその手を掴み返しその腕を捻り投げ飛ばす音祢、女の体が宙に舞う。

    「やったぁ!!」

    また今度も見事に音祢が相手を投げ飛ばし、先ほどのように制圧できるそう思った愛優美。

    ひらりっと、ゴスロリ女は華麗に床に足をつけた、まるで猫のように。
    そして女は素早く音祢の懐に潜り込み、自分の腕を掴んでいる手を捩じ上げ、逆に音祢を引き倒した。

    「あうっ!!」

    うつ伏せに床に組み伏せられ、腕を後手に極められ、激痛に悲鳴を上げる音祢。

    「そ…そんな…」

    まるで相手にならなかった、圧倒的な力の差を感じた、愛優美の表情が希望から絶望へと変わる。

    「なかなかやるようデスガ、やっぱりアマチュアデスネ」

    拙い日本語を喋りながら女は、その顔に笑みを浮かべながら音祢を見下ろす。

    「に…逃げて…愛優美ちゃん…」

    何とか言葉を絞り出しながら、愛優美に逃げるように促す音祢。

    「逃げる…そんな…音祢ちゃんを置いて…私だけ…」

    愛優美の頭の中にあの時の事が浮かぶ、父におかめ城から逃がして貰ったあの時の事が。

    (また…またボクだけ逃げるの…)

    思わず足が竦む愛優美、体が動かせない。

    「は…はやく…このままじゃ2人とも…」

    「ぼ…ボクはもう…」

    「what are you doing mary?(メアリー、何してんの?)」

    そしてまた別の女の声が聞えて来た、再び英語だった、愛優美が目を向けると、そこにはロングの赤髪に金色の目、黒いレースのワンピースを着た西洋人の女が立っていた。

    「なによ~、なんでこの子ら縄解いてるのよ~?」

    「ああ姉様、なんか自力でロープ解いたみたいです~」

    音祢を押さえつけたままノンキに風に話すゴスロリ女。

    「あらあら、油断も隙もないわね~…で、アンダーグラウンドの警備員はノビてると、本当につかえないわね~、あのお爺ちゃん安いところに頼んだんじゃないかしら?」

    そう言いながら赤毛の女は床で気を失っている男を一瞥したあと、愛優美に目をむけ柔和な笑みを浮かべた。

    (ボク…この人も…初めて会った気がしない…もしかしたら忘れている記憶に…)

    愛優美は思わず後退る、その女から何か底知れる恐怖を感じた。

    「大丈夫よ~、良い子にしてたら乱暴にはしないから、悪いけどもう一度捕まってくれないかしら?」

    女は流暢な日本語で話しかけながら、愛優美の頬をそっと触れる、愛優美は女に見つめられ蛇に睨まれた蛙のように動けなくなってしまった。

    (今度も…今度もまた逃げられなかったよ…パパぁ…)

    愛優美は絶望のあまり涙を流しながら、糸が切れた操り人形のように床に膝をついた。

    ゴッ!!

    男の頭が思いっきり蹴り上げられる。

    「うぉっ!!」

    間抜けな声を上げながら男が起き上がる、見上げると赤毛の女とゴスロリ女が見下ろしていた。

    「何やってんのよ役立たず、警備はあなた達の担当でしょ、まったくなんで私達が専門外の時間外労働させられてるのよ…」

    「はっ!!女達は⁉」

    慌てて辺りを見渡す男、赤毛の女が顎で方向差す、そこには再び手足を縛られ猿轡をかまされた愛優美と音祢がいた。

    「ふぅ~良かった~」

    ゴッ!!

    安心して息を吐いた男の頭に、再び蹴りが飛ぶ。

    「どうします姉様、こいつ処します?」

    「油断したすまない…だから殺さないで!!」

    情けなく頭を下げる男に、赤毛の女は呆れたような顔をして溜息をつく。

    「一応協力関係である組織の人間を無駄に殺すわけないでしょ、トラブル起こしたら私がおじ様に怒られるし、ただ足だけは引っ張らないで頂戴、それより…」

    女は天井に向かって指を差す。

    「侵入者が入ってきたみたい、獲物の1人が奪われたみたいよ、早く応援にいったら」

    「え、なんだって!?」

    それを聞き、慌てて扉から外へと出て行く男。

    「さてと…」

    赤毛の女は縛り上げた愛優美と音祢に目を向ける、思わず身を震わせる2人。

    「逃げ出そうとする悪い子達にはオシオキが必要なようね~」

    「んんっ、んんむぅっ、んんぐぅっ!」

    女の言葉に、英語が理解出来る愛優美は言葉にならない声を上げながらもがく、愛優美のその反応に自分達がよからぬ目に遭わされることを理解した音祢は更に恐怖で顔を青くする。

    「オシオキ!姉様のオシオキ!」

    その言葉にゴスロリ女が体をビクリと反応させる、顔にはなぜか笑顔が浮かんでいる、ケモノ耳でもあったら立っていたことだろう。

    「オシオキのキーワードに反応してんじゃないわよ変態、それよりも…侵入者と逃げた獲物だけど、アナタも行って捕まえてきて頂戴、あいつらだけじゃ不安だから」

    「了解です姉様の頼みなら、侵入者の方はプチっとやっちゃっていいんですね!」

    「ほどほどに、クライアント様からはこのお屋敷はなるべく汚すな荒らすなって言われているから」

    「はいはいで~す、それで姉様は?」

    「言ったでしょ、この悪い子たちにオシオキするって、アナタも後で遊んであげるから行ってきなさい」

    「やっほ~い、秒で始末してきます!」

    そう言いながらゴスロリ女は、部屋の外へ走り出していった。

    「さて…悪い子はどちらだったのかしら?」

    そう言いながら赤毛の女は2人の前に屈みこむ。
    すっと音祢が、恐怖で身を震わせながら愛優美と女の間に割り込むように身を乗り出す。

    「そう…音祢ちゃんのほうだったのね~」

    そう言うと、女は音祢の足の縄を解くと無理矢理立ち上がらせる。

    「さあ、アナタには別の部屋に移ってもらうわ、せっかく仲良くなれたみたいだけどお別れね」

    そう言って音祢を無理矢理部屋から連れ出そうとする女、音祢は愛優美の方に振り向きながら不自由な口で言った。

    「んふぅっ、んんむぅ、むぅんむぅ(また会おうね、愛優美ちゃん)」

    涙目になりながら頷き、音祢を見送る愛優美。

    (うん、また会おうね音祢ちゃん)

    侵入者が入ってきたと女は話ていた、1人獲物が奪われたとも、誰かが自分達を助けに侵入している、だとしたらまだ助かる希望は残っている。

    (侵入者さん、どうか無事でいて、そしてボク達を助けて!)

    愛優美は一縷の望みに掛け、ただ祈り続けた。

    • > お姉さまってひょっとして…

      フフフッ…やはり勘の鋭い方にはすぐ分かっちゃいますね。( ̄ー ̄)ニヤリ
      詩郎のフルネームも、いずれそう遠くない日に明らかになると思います、

      > ちなみに…地下室の愛優美ちゃんと音祢ちゃん、プロセルピナとメアリーのストーリーも載せておきます!

      キタ━━━━。゚+.ヽ(´∀`*)ノ ゚+.゚━━━━!
      これこれ!これが読みたかったんですよぉー!!
      会ったばかりながら早くもお互いに仲良くなった様子の音祢ちゃんと愛優美ちゃんが何とも微笑ましいです。
      早速挿絵付きの記事にさせていただきました。
      https://okamenogozen.com/sonokorochikashitsunite/
      特に新規イラストはないのですが、よろしければご覧くださいまし。

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