アクションスター密着取材　第13話

今期待の新星である若手アクションスター・左文字賢龍の密着取材に臨んでいる小寺洸介、桜庭陽平、鳳凰院優、漆崎亜沙美ら、いつもの鷺島国際大学報道部取材班の4人だったが、賢龍の妹・美藤美虎の話から、賢龍が何者かに脅迫されていることを知る。そして洸介、陽平、優、亜沙美の4人も巻き込む形で賢龍自身も犯罪組織ベラドンナに誘拐されるが、密かに尾行して監禁場所に潜入していた美虎によって助け出された。賢龍と美虎の兄妹は手分けして残りの人質たちの居場所を探していたが、助け出した陽平から美虎も囚われたと聞かさせる。賢龍は単身で妹を救出に向かうが、自身も囚われの身となってしまう。そんな賢龍たちのピンチを救ったのは、アスカロン財団の加藤段十郎だった。

※chatGPTで生成した文章に、一部編集を加えております。

廃工場 ― 再会と決意

　薄暗い廃工場の通路を、左文字賢龍、美藤美虎、漆崎亜沙美の三人が慎重に進んでいた。
　壁は錆びつき、鉄骨の軋む音が耳障りに響く。微かに漂うオイルの匂いと埃っぽい空気が、緊張をいっそう強める。

「……あの二人、あれほど“動くな”と言っておいたのに……！」
　賢龍が奥歯を噛み締め、鋭い眼光を走らせる。
　彼の額には、冷や汗がにじんでいた。焦燥と苛立ちが入り混じる声だった。

　その時、美虎が何かを見つけて叫んだ。
「――あっ！　あそこに誰か倒れてる！」

　三人が駆け寄ると、コンクリートの床の上に、ぐったりと横たわる二つの影――小寺洸介と桜庭陽平の姿があった。

「おい、洸介くん！　陽平くん！　しっかりしろ！」
　賢龍が肩を揺さぶる。
「みんな！　しっかりして！！」
　亜沙美も懸命に声をかける。

　しばらくして、洸介の指先がわずかに動いた。
「……う、ううっ……こ、ここは……？」
　陽平も目を開け、ぼんやりと辺りを見回す。

「よかった……気が付いたのね！？」
　美虎の声が、ほっとしたように震えた。

　二人はまだ意識が朦朧としていたが、断片的に記憶を思い出したようだった。
　洸介が眉をしかめながら言う。
「……たしか……銀色の髪の女が現れて……何か、目を見た瞬間……眠くなって……」
　陽平も頷く。
「そうだ……なんか、頭がぼやけて……それから何も覚えてないんだ」

　その瞬間、洸介がハッと顔を上げた。
「そういえば……優は！？　優はどこに行ったんだ！？」
「優ちゃんがいない！？　優ちゃんは！？」と陽平も叫ぶ。

　美虎が静かに首を振った。
「……私たちが来た時には、優さんの姿はなかったんです」
　洸介は拳を握りしめ、唇を噛む。
「くそっ……！　きっと優は、あの銀髪の女に連れ去られたんだ！　俺たちがついていながらッ！」

　陽平も悔しさに声を震わせた。
「優ちゃんを助けに行かないと！」

　その言葉に、賢龍が低く、しかし力強く言い放つ。
「それは俺が何とかする。ミィ、お前は洸介くんたちを連れて、一刻も早くこの廃工場から外に出るんだ！」

　美虎は一瞬だけためらったが、すぐに頷いた。
「……うん、分かった。ケンも気をつけてね」

「心配するな。すぐに追いつく」
　短く言い残すと、賢龍は振り返らずに走り出した。
　薄暗い廊下を駆け抜けるその背中には、長年の拳法家としての覚悟と、仲間を守る者の決意がにじんでいた。

　残された美虎は、洸介と陽平、亜沙美を先導して出口へと向かう。
　だが彼女の胸中にも、いやな予感が静かに広がっていた――。

段十郎VS黒狗

廃工場の奥、昼間だというのに薄暗く、鉄骨の隙間から差し込む光が埃を照らしていた。
金属の匂いと焦げた油の臭気が漂う中、加藤段十郎は二人の敵――紅虎と累児を圧倒していた。

紅虎「アンタ、本物の毬雄はどうしたの？」
加藤「フッ、すぐにお前らもアイツと同じところに送ってやるよ！」
紅虎「小賢しいッ!!」

紅虎の脚がしなやかに薙ぎ払う。が、加藤は紙一重でかわし、そのまま懐に飛び込み、掌底一撃で紅虎の鳩尾を撃ち抜いた。
続けて飛び出した累児の吹き矢は、加藤の指先の忍び札によって弾き返される。

加藤「風を読むことだな、小僧」
累児「チッ、速ぇっ！」

次の瞬間、二人の身体は床に叩きつけられ、忍び縄で縛られていた。

紅虎「フン、アンタなかなかやるじゃない。もう好きなようにおしっ！」
加藤「……いい覚悟だ」

紅虎が観念したように唇を噛んだ、その時だった。
足音が一つ、廃工場の通路を響かせて近づいてくる。

「……リネア？」

銀髪を風になびかせ、青い瞳をした美女――リネア＝フリーデン＝ヴァイサーが姿を現す。
しかし、加藤はその瞬間に微かに眉をひそめた。

（歩き方が違う。呼吸が浅い……それに、あの香り――あれはリネアが好む香水じゃない）

彼はわざと気づかぬふりで距離を詰め、声を低くした。
加藤「……リネア、どうした？　本物の毬雄を見張ってたんじゃなかったのか」
“リネア”「ええ、任務は完了しました。それで報告を――」

その瞬間、加藤の掌が風を切った。
空気が裂け、手裏剣が“リネア”の頬をかすめる。仮面のような薄皮が剥がれ、下からまったく別の女の顔が現れた。

紅虎「なっ……!?」
累児「もしかして…演劇部かッ!?」

女はニヤリと笑い、艶めいた声で言った。
演劇部「……バレちゃった？　残念、もう少し“ヒロインごっこ”を楽しみたかったのに」

ベラドンナの「猟犬（ハウンド）」――演劇部。
その名の通り、彼女はどんな役にもなりきる化けの者。

加藤「……ベラドンナの演劇部、か。お前の芝居は相変わらず気持ち悪いほど完成度が高いな」
演劇部「褒め言葉として受け取っておくわ、ライトシーカーさん」

その時――鉄扉が大きな音を立てて開く。
そこに現れたのは、ラフなパーカー姿の男。黒髪に無精髭、どこにでもいそうな若い男――だが、その目だけは、獣のように鋭い。

黒狗（こくく）。ベラドンナの狩人（ハンター）。

彼の背後には、猿轡を噛まされ鎖で縛られた本物のリネア、そして鳳凰院優が引きずられていた。

黒狗「演劇部、もう遊びは終わりだ。さっさと引き上げるぞ」
演劇部「はいはい、分かってるわ。……でもちょっと惜しいのよねぇ、せっかく舞台が盛り上がってきたところだったのに」

加藤「……女を盾にするとは、姑息な真似を」
黒狗「お互い様だろ。そっちも紅虎たちを捕まえてるじゃねぇか」

加藤は苦笑し、肩をすくめる。
加藤「どうやら話は通じそうだな。……なら、人質を交換といこうか」
黒狗「いい判断だ」

お互いが慎重に距離を詰める。
張り詰めた空気。

ほんの一瞬の沈黙。

「――今だ！」

二人が同時に叫び、人質を放す。

黒狗はちらと紅虎たちを見て言う。
黒狗「紅虎、累児。本物の毬雄はこちらで逃がした。お前らは俺の指示に従って今すぐ離脱しろ」
紅虎「了解。……黒狗ちゃん、あとは任せたわよん♪」

累児「すまねぇ、借りができたな！」
演劇部も軽くウィンクを飛ばし、紅虎と累児は転がるように離脱し、共にすたこらさっさと撤退していった。演劇部も煙幕を張り、瞬く間に姿を消す。

そして残ったのは――
加藤段十郎と黒狗、そして解放されたされたリネアと優。

リネア「加藤さん、申し訳ありません。不覚を取りました」
加藤「琴川玲奈の方は無事に送り届けたんだな？」
リネア「それは間違いなく。私が黒狗と演劇部に襲われたのは、玲奈さんを安全圏に送り届けた後でしたから」
加藤「なら問題ない」

次の瞬間、黒狗の拳が唸りを上げる。
加藤は紙一重でそれを受け流し、背後に回り込む――。

金属音が弾けた。忍び刀とナイフがぶつかり、火花が散る。

加藤「石鼠に紅虎ときて……今度は黒狗か。お前ら、コードネームがいちいちダセェんだよ」
黒狗「うるせぇ……余計なお世話だが俺も自覚はある。だが、お前ら“ライトシーカー”もな、ネーミングセンスは大差ねぇだろ」
加藤「……ふっ、言うじゃねぇか」
黒狗「口だけじゃないって証明してやる」

再び、二人の影が交錯する。
拳と刃、足と足がぶつかり合い、衝撃波が周囲の鉄骨を震わせた。

――光と闇の狭間で、忍と狩人、二つの異なる流儀がぶつかり合う。
その戦いは、まるで昼の工場に落ちた一瞬の夕影のように、静かで、そして激しかった。

（つづく）

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