※一部除く文章は、chatGPTで生成しております。
堕神戦争
――これは数年前の出来事。
時空を超えて現れた謎の敵「堕神」によって全宇宙を巻き込む形で引き起こされた「堕神戦争」。その戦禍と脅威は、太陽系第三惑星・地球にも及んでいた。地球の平和を守る世界各地のスーパーヒーローとヒロインたちは、地球防衛組織「ブレイバーズ」を結成してこれに対抗。地球人類の自由と存亡をかけた激しい戦いが続いていた。
灼熱の炎がビル街の間を引き裂く。

燃え盛る赤の輝きが、巨大な怪物を飲み込む。グリムゾンフレア──紅蓮の乙女と二つ名で呼ばれるスーパーヒロイン、グリムゾンエンジェルの放つ炎の一撃だ。
「とどめよ!」
グリムゾンエンジェルの掛け声に応えるように、天凰輝シグフェルの紅蓮の翼が燃え上がる。
「了解! フィア・バースト!」
シグフェルの右腕が展開し、灼熱のエネルギー弾が怪物に叩き込まれた。衝撃と共に、怪物は轟音を立てて爆発し、黒い霧のような残骸を散らしながら消滅していく。
夜の街は静寂を取り戻した。
グリムゾンエンジェルは宙に舞い上がると、しなやかに地上へと降り立つ。その表情は冷静で、戦い慣れた者特有の落ち着きを感じさせる。
シグフェルも変身を解除し、普段の姿を現した。牧村光平は、まだ肩で息をしながら、悔しげに唇を噛みしめる。後に堕神戦争を勝利に導いた英雄となり、戦後に一度休眠した後で再興された新生ブレイバーズの長官となる彼も、まだこの頃は17歳の高校2年生であり、ヒーローの中では新人のルーキーに過ぎない。
「……俺、また足引っ張っちゃいました」
力ない声が静かな夜に溶けていく。グリムゾンエンジェル──朝比奈梢は、自らの変身を解いた。その姿は普段の女子大生のものだが、戦士としての威厳と優しさを湛えている。
「光平くん、そんなに落ち込まないで。今日だって、最後の一撃は決めてくれたじゃない」
「でも……俺がもっと早く動けてたら、梢さんにフォローさせることもなかったのに……」
光平は悔しげに拳を握る。戦いの最中、彼は敵の動きを読み違え、一瞬の隙を生んでしまった。その隙をグリムゾンエンジェルが即座にカバーしたが、それがなければ彼自身がダメージを受けていたかもしれない。
梢は優しく微笑み、光平の肩に手を置いた。
「誰だって最初はうまくいかないものよ。でも、今日の戦いで確実に光平くんは成長してる。私はそれを信じてるよ」
光平は驚いたように梢の顔を見た。その眼差しには、まるで本当の姉のような温かさがあった。
「……ありがとうございます、梢さん」
その言葉には、少しだけ晴れた心が滲んでいた。
夜風が静かに二人の間を通り過ぎる。遠くには、まだ眠らぬ街の灯が揺らめいていた。
やがて最後の敵「破壊女神ニューリス」は、立派な一人前の戦士へと成長した天凰輝シグフェルをはじめとするスーパーヒーローたちの活躍によって倒され、堕神戦争は終結した。地球と宇宙に平和が戻り、長き戦いの幕が下ろされた。
地球防衛組織「ブレイバーズ」も、その役割を終えたことにより、組織としての活動は停止されることとなった。平和を守り抜いた立役者であるスーパーヒーローたちは、それぞれが感慨にふけりながら、戦いの日々を振り返っていた。
そんな中、グリムゾンエンジェルこと朝比奈梢は、静かにスーパーヒロインの引退を宣言した。
「私は、普通の女の子としての生活に戻るわ。」
長き戦いの中で、梢は心身ともに疲弊していた。平和が訪れた今、彼女にとって必要なのは、戦い続けることではなく、穏やかな日常を取り戻すことだった。
同僚のヒーローたちは驚き、惜しむ声を上げたが、彼女の意思は揺るがなかった。
「光平くん、ありがとう。これまで一緒に戦ってくれて。」
後輩であるシグフェル――牧村光平は、しばし梢の言葉を噛み締めた。そして、彼はすぐに笑顔を浮かべ、彼女の決意を尊重するかのように頷いた。
「梢さんが決めたことなら、俺は何も言わない。でも……今まで本当にお疲れさまでした。」
「ふふっ、ありがとう。光平くんも、これからも頑張ってね。」
静かに微笑む梢に、光平もまた、はっきりとした笑顔を返した。
こうして、戦いを終えたヒーローたちはそれぞれの道を歩み始めた。グリムゾンエンジェルとして戦い続けた朝比奈梢もまた、新たな人生の扉を開く。
夕暮れの空に、かつての戦友たちの笑顔が映える中、彼女はそっと未来へと歩みを進めた。
そして現在、
静かな店内に、コーヒーメーカーが微かに唸る音が響く。カウンター席に座る朝比奈梢は、ぼんやりと視線を宙に漂わせていた。
かつての戦いの日々。破壊女神ニューリスとの最後の決戦。そして、それを終えた後の決断――スーパーヒロインとしての人生を終え、普通の生活へ戻ると誓ったあの日。
「オーナー! オーナーったら!」
突然の声に、梢はハッとして顔を上げた。
「…えっ!? あ、ご、ごめんなさい。少し考え事をしていたの」
目の前には、店員の藤永沙織が立っていた。肩まで伸びたツインテールの髪を揺らしながら、怪訝そうな表情を浮かべている。
「もう、なんだかぼーっとしてましたよ? どうしたんですか?」
梢は苦笑しつつ、軽く首を振った。
「ううん、ちょっと昔のことを思い出していただけよ」
「ふーん?」
沙織は納得したようなしないような表情を浮かべたが、あえて深く突っ込むことはしなかった。
今の梢は「朝比奈テニスショップ&スクール」を経営するオーナーなのだ。
一方、カウンターの向こうでは、勢川理人、岸本愛実、平瀬倫生の三人が、沙織の様子を見てヒソヒソと話し始める。
「ねぇねぇ、オーナーどうしたんだろう?」沙織が小声で囁くと、理人は軽く肩をすくめた。
「僕も知らないけど、最近たまにこういうことあるよね」
「もしかして、恋?」愛実が冗談めかして言うと、倫生が呆れたように笑った。
「いや、岸本さん、それはないだろ。オーナーだぞ?」
「うーん、でも、何か思い出してたっぽいよね」沙織が少し気になったように呟く。
カウンター越しにその会話が聞こえたのか、梢はエプロンを身に着けつつ微笑みながら軽く手を振った。
「みんな、そんなに気にしなくていいわよ。ちょっと遠い昔の話を思い出していただけだから」
その言葉に、理人たちは顔を見合わせた。
「遠い昔の話、か……」理人が静かに呟く。
彼らには想像もつかない過去が、梢にはあるのかもしれない――そんなことを考えながら、それぞれの仕事へと戻っていった。
店の外では、心地よい風が吹いていた。
アスカロン財団の使者
店内の時計が午後三時を指した頃、朝比奈テニスショップの扉が静かに開いた。小さな鈴の音が響くと同時に、店内へと一人の男が足を踏み入れる。見上げるほどの長身に、分厚い胸板、そして何度も戦場を潜り抜けてきたことを物語るような顔の傷。その風貌は、ただの客とは思えなかった。
「失礼、オーナーは今いらっしゃるかな?」

低く響く英語混じりの発音に、レジカウンターにいた岸本愛実は驚いた表情を浮かべた。
「…えっ!? あ、はい、今呼んできます。オーナー! お客さんですよ~!」
愛実の声に応じて、奥の事務室から梢が姿を現した。
「いらっしゃいませ……あなたは?」
男はゆっくりと片手を差し出しながら、名乗った。
「私はグレッグ・ボードマン。アスカロン財団の者だ。」
梢の表情が一瞬強張る。グレッグは彼女の視線の変化を見逃さなかった。
「話がある。できれば、他の人間がいない場所でな。」
理人たちの前では話せない内容だと察した梢は、一度彼らに目を向けると、「少し席を外すわね」とだけ告げ、グレッグを事務室へと案内した。
ドアが閉まるや否や、グレッグは切り出した。
「朝比奈梢さん、私は貴女のことをこう呼ぶことも出来る。紅蓮の乙女――グリムゾンエンジェルとね」
「………」
「単刀直入に言おう。グリムゾンエンジェル――君に、スーパーヒロインとして復帰してもらいたい。」
梢はグレッグの目を真っ直ぐに見据えた。ため息をつきながら、椅子に腰を下ろす。
「まさか、こんな日が来るとはね……でも、悪いけど、その申し出はお断りします。」
グレッグは眉をひそめた。
「考え直せ。君の力が必要なんだ。」
「私の耳にも、最近の噂は入ってきています。新生ブレイバーズとアスカロン財団の間が、微妙な関係にあるとか。……例えば、アスカロン財団側が牧村光平君を解任に追い込んで、後釜の新長官に都合のいい人間を据えようとしている、なんて話もね。」
グレッグの目が細くなる。
「ほぉー、よくご存じですな。」
梢は冷たく微笑みながら腕を組んだ。
「舐めないでください。それくらいの情報は、今の私の耳にも入ってきます。」
静寂が漂う。グレッグは数秒間梢の表情を探るように見つめていたが、やがて肩をすくめた。
「なるほど……どうやら、こちらの考えを見透かされているようだな。」
「私は、ブレイバーズとアスカロン財団の対立抗争に巻き込まれるのは真っ平御免です。私が戦うべき時は、自分で選びます。」
グレッグは小さく息をつき、椅子から立ち上がった。
「残念だが、今は引き下がるしかなさそうだ。だが、日を改めてまた来る。」
「ご自由に。でも、答えは変わりませんよ。」
梢の毅然とした態度に、グレッグは口の端をわずかに持ち上げると、静かに事務室を後にした。
つづく。
コメント
紅蓮の乙女グリムゾンエンジェル…朝比奈梢さん、只者ではないだろうなと思ってましたがまさかそんな過去があったとは…そしてまだ23歳、その若さで人生濃密すぎやしませんか?
そしてスーパーヒロインを引退し、どこぞの冒険者ギルドの受付嬢のごとく、平穏な日々を送ろうとテニスショップのオーナーになった彼女だったが…それを許してくれるほど世の中は優しくはなく…
アスカロン財団の使者…
突如朝比奈テニスショップに訪れたのは、スカーフェイスの強面マッチョ、B.A.Dの隊長グレッグ・ボードマン!
とんでもないのよこしましたねレイチェル、ほら愛実ちゃん怯えてるやんけ…
グレッグ隊長が訪れた理由は、どうやら梢さんに再び紅蓮の乙女グリムゾンエンジェルに戻って欲しいということらしいのですが、ヒーローが足りないってだけでなくアーロン会長には他に思惑があるみたいですね~
それには梢さんも気づいているらしく、簡単には首を縦にふってはくれないようですね、
なにやら新生ブレイバーズとアスカロン財団との関係も把握しているみたいですし、現役を退いた今でも、まだ繋がりのある人間とかもいそうですね。
> とんでもないのよこしましたねレイチェル、ほら愛実ちゃん怯えてるやんけ…
テリーサ&マッテオのコンビとグレッグ隊長のどちらを登場させようか迷いましたが、今回はとりあえずグレッグ隊長の方にしてみました。
> ヒーローが足りないってだけでなくアーロン会長には他に思惑があるみたいですね~
来たるべきブレイバーズ乗っ取り計画!?に備えて、少しでも自分の傘下にいるヒーローの手駒を増やしてブレイバーズの組織内に派閥を形成する目的かもしれません。
コーヒー&テニスショップのオーナー・・・きっといつかは、戦線復帰してくれるフラグでしょうか・・・!?なんとなく雰囲気が、某酒場にて仲間を預かってくれる女性のような・・・(^▽^)/
もう戦線復帰は確定路線ですね。
今後理人くんたちが誘拐された時、救出するのは主に彼女の仕事?になります(^^♪
『こちら学生探偵社!』における武智恭介探偵のポジションに近いかも…。
梢オーナー満を持しての登場になりましたね。ウルトラマンレオのコミカライズ版での東光太郎のごとくアスカロン財団の支援要請を拒むオーナーですが、こちらはブレイバーズとアスカロン財団の暗闘を知っている分闇の深さを感じさせてくれます。
TEAMFRIENDSの面々が事件に巻き込まれることで一度だけと心に決めてグリムゾンエンジェルに戻るも正体がバレて恒久的に…、といったことになりそうです。シグフェルの苦戦を見かねて…、というのを間に挟んで…、とも考えましたが、光平君は今回は役職停止中で鹿児島に帰省中ということですのでその線はなさそうですね。ただ、帰省先でレイチェルに出会うということでこれがストーリー展開に影響を与えそうな気が…。
> こちらはブレイバーズとアスカロン財団の暗闘を知っている分闇の深さを感じさせてくれます。
ブレイバーズ組織運営の主導権を握りたいアスカロン財団のアーロン=A=ギブソン会長は、出来るだけ数多くのヒーローを財団の傘下に組み込もうと動いているようです。
> TEAMFRIENDSの面々が事件に巻き込まれることで一度だけと心に決めてグリムゾンエンジェルに戻るも正体がバレて恒久的に…、といったことになりそうです。
はい、大体bakubond様のお察しの通りでございます(;^_^A アセアセ・・・
> 光平君は今回は役職停止中で鹿児島に帰省中ということですのでその線はなさそうですね。ただ、帰省先でレイチェルに出会うということでこれがストーリー展開に影響を与えそうな気が…。
今回、回想シーン以外で牧村光平の出番はない予定です。鹿児島に帰省するエピソードは、『紅蓮の天使』編とは別個で独立したストーリーになります。
グリムゾンエンジェルって誰だっけ、と一瞬思いましたが朝比奈梢さんようやく本格登場ですね(いつの間にかすごい設定が💦)。アスカロン財団の使者が接触して来たということはTEAM FRIENDSの救出役のみならず、いずれブレイバーズ編にも登場して共闘する展開になりそうです。
ところでちょっと確認しておきたいですが、時系列は堕神戦争→対ゼルバベル·魔王ヴェズヴァーン戦→現在、ということでよろしいでしょうか。
> 時系列は堕神戦争→対ゼルバベル·魔王ヴェズヴァーン戦→現在、ということでよろしいでしょうか。
はい、それで間違いありません。