暗黒大博士の陰謀　第9話

　新規オープンした外資系テーマパーク『イマジンネイション・キングダム』を取材に訪れた鷺島国際大学報道部のメンバーたち。しかしその地下では暗黒大博士ダークプロフェッサーによる恐るべき陰謀が進められていた。

　テーマパークの取材に同行していた鳳凰院優とはぐれてしまった小寺洸介は、漂着した無人島の廃墟で助け出した譜久里知世と一緒に人喰いワニに食べられてしまい、一方の桜庭陽平と共に捕らえられていた漆崎亜沙美は陽平とは引き離されて、貴族の洋館に監禁されていた。

いきなり急展開

　仲間の貴族の屋敷に連れて行かれると聞いていた漆崎亜沙美だったが、何故かその話は有耶無耶になり、気がつくと邪神を呼び出す召喚の儀式に生贄として引き出されていた！

「古の邪神よ、今こそこの娘を生贄に捧げん！！」
「んんむーっ！！んんむーっ！！」

　目の前の魔法陣中央から這い出るように出現した怪物の姿に恐怖する亜沙美だったが、これでも気丈な彼女にはまだ冷静に周囲の状況を観察する思考が残っていた。

「………（いくら何でもおかしいわ。話が急展開すぎる。前の場面と全然話が繋がっていない。もしかしてこれは夢なの？　それも自然な夢じゃない。おそらく人為的な…?? だとしたらお願い私！どうか目を覚まして！！）」

「…ハッ!?」ﾋﾞｸｩｯΣ(ﾟωﾟﾉ)ﾉ

　長い長い悪夢から目を覚ました亜沙美は、何か見たこともないメカ装置に鎖で繋がれて拘束されていた。

「…チッ、覚醒予想時刻より3時間も早く目を覚ましおったか。まだまだこのシステムにも改良の余地がありそうだな」
「誰なの！？ 姿を見せなさいよ！！」

　姿は見せず、頭上のスピーカーから聞こえてくる老人の声に対して、必死に食って掛かるように問いかける亜沙美。

「儂の名は暗黒大博士ダークプロフェッサー。このイマジネイション・キングダムの真のオーナーだ」
「何ですって！？ 一体今まで私に何をしていたの！？」
「お前は今まで儂が発明した仮想空間バーチャルワールド発生システムの実験体として、作られた幻の世界を彷徨っておったのだ」

　暗黒大博士ダークプロフェッサーの話によると、検査室で麻酔を嗅がされた直後辺りからすぐに亜沙美は幻の仮想空間へと送り込まれていたらしい。

「もしかして他のみんなも仮想空間に閉じ込められているの！？ 早くみんなを解放しなさいよ!!💢」
「儂にそんな生意気な口をきいていいと思っておるのか？ あれを見よ！」
「……あ、あれは…優ッ！？ 優ゥゥ―ッ!!💦」

「んんっ、んんんっ！！」

　亜沙美の目の前に配置されている巨大メカ兵器のコクピット（操縦席）には、なんと縛られた鳳凰院優が座席に座らされていたのだった！！

人喰いワニの体内？

　譜久里知世と一緒に獰猛なワニに丸呑みされてしまったと思われていた小寺洸介は、気がつくと何かの生物の胃の中のような空間で倒れていた。

「ここはワニの体内なのか…？　いや、だとしてもいくら何でも広すぎる。それに一緒だった知世ちゃんはどこに行ったんだ？」

　周囲に知世の姿はなく、ただ茫然と立ち尽くしている洸介。そんな時、頭上から垂れるように落ちて来た液体が洸介の腕に当たった。

「痛ッ!!」

　謎の液体が当たった腕の素肌の部分に焼けるような激痛が走る。胃酸だ！ 胃酸が洸介を消化しようとしているのだ！

「じょ、冗談じゃないぜ!! こんなところで溶かされてたまるかよ!!💦」

我に返った洸介は、果たしてこの窮地から脱出できるのか！？

つづく。

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