アクションスター密着取材　第11話

今期待の新星である若手アクションスター・左文字賢龍の密着取材に臨んでいる小寺洸介、桜庭陽平、鳳凰院優、漆崎亜沙美ら、いつもの鷺島国際大学報道部取材班の4人だったが、賢龍の妹・美藤美虎の話から、賢龍が何者かに脅迫されていることを知る。そして洸介、陽平、優、亜沙美の4人も巻き込む形で賢龍自身も犯罪組織ベラドンナに誘拐されるが、密かに尾行して監禁場所に潜入していた美虎によって助け出された。賢龍と美虎の兄妹は手分けして残りの人質たちの居場所を探していたが、助け出した陽平から美虎も囚われたと知り、賢龍は単身で妹を救出に向かう。

※chatGPTで生成した文章に、一部編集を加えております。

囚われの妹を求めて

　廃工場の中を、左文字賢龍の足音が鋭く響いた。
　粉塵が舞う陽光の中、錆びた鉄骨の隙間から差し込む光が、彼の瞳の奥に宿る闘志を一層際立たせる。

　賢龍は拳を握り締め、声を張り上げた。
「妹を返してもらいに来た！」

　その声が反響した瞬間、鉄板の影から黒服たちが一斉に飛び出してくる。
「飛んで火にいる夏の虫だ！」
「やっちまえ！」

　賢龍の身体が閃光のように動いた。
　拳が唸りを上げ、脚が疾風のごとく黒服たちを薙ぎ払う。
　一撃、二撃――どの動きにも無駄はない。
　黒服たちが次々と壁に叩きつけられ、呻き声を上げて崩れ落ちていった。

「次は誰だ！」
　怒号とともに、賢龍は周囲を見渡す。しかし、その背後から男の声が響いた。

「そこまでよ！」

　ブーツの音が鉄床に鳴り響く。現れたのは、紅虎――ベラドンナの幹部にして、異様な威圧感を放つ長身の男。
　その前には、黒服の男二人、そして鎖で縛られた二人の少女の姿があった。

「……ミィ！？　亜沙美さん！？」
　鎖の端を握る黒服に引きずられるように現れたのは、妹の美藤美虎。そして漆崎亜沙美だった。

　紅虎は紅い唇を歪め、愉悦を含んだ声で言い放つ。
「大人しくおし、左文字賢龍。さもないと――この二人のお嬢さんが、一生お嫁に行けない体になっちゃうわよ？」

「くっ……卑怯だぞ！」
　怒りで奥歯を噛み締める賢龍。だが、紅虎の背後で黒服がナイフをちらつかせるのを見て、動けない。

　美虎が涙混じりに叫んだ。
「ケン、ごめん……！」

　続けて、亜沙美が毅然と声を上げる。
「賢龍さん！　あたしたちに構わず戦ってください！」

　その言葉に、賢龍の拳が震えた。
　しかし彼は、深く息を吸い込み、静かに拳を下ろす。

「……仕方がない。投降するよ。ただし――女の子二人には手を出すな。」

　紅虎は勝ち誇ったように笑い、腰に手を当てて高らかに言った。
「オーホッホッホ！　聞き分けのいい子ねぇ！」

　黒服たちが素早く動き、賢龍の両腕に鎖を巻きつける。
　硬い鎖が肌に食い込み、金属音が響いた。

　紅虎は満足げに頷くと、部下たちに命じた。
「アタシはこれから累児と一緒に、合流してくる筈の毬雄と打ち合わせをしてくるわ。――人質を、よぉく見張っておくのよ！」

「分かりました、紅虎さん！」

　紅虎は累児を引き連れ、陽光の差す出口へと向かっていく。
　残されたのは、鎖に繋がれた三人――賢龍、美虎、そして亜沙美。

　鉄の匂いが濃く漂う室内に、紅虎の笑い声だけがいつまでもこだましていた。

偽りの救済

　鉄錆と油の臭いが充満する薄暗い廃工場の一室。
　窓の外から差し込む昼下がりの光が、埃を帯びて揺らめいていた。

　その中央には、椅子に縛り付けられた三人の姿がある。
　左文字賢龍、美藤美虎、そして漆崎亜沙美。三人とも鎖で厳重に拘束され、動くことすらままならなかった。

　見張りの黒服男が二人、部屋の隅に立ち、煙草を吸いながら気だるげに談笑している。
　時間がゆっくりと過ぎていく中で、ふと、そのうちの一人――黒服男Bが、いやらしい笑みを浮かべて立ち上がった。

「……へへ、退屈だな。ちょっと、”味見”でもしてみるか」

　視線の先には、怯えた表情の亜沙美。
　彼女の肩が小さく震えた。
「……い、イヤッ……やめて……!!」

　黒服男Bがゆっくりと彼女に近づいていく。
　鎖で繋がれた賢龍と美虎が、激しく身をよじった。

「おい！ やめろッ！」
「やめなさいよアンタッ!!」

　だが、黒服男Bは苛立つように威嚇する。
「うるせぇな。黙ってろ！」

「おい、何をする気だ？」
　もう一人の黒服男Aが、低く声をかける。
「やめておけ！ 後で紅虎さんにどやされるぞ！」

　黒服男Bは振り返りもせずに肩をすくめた。
「いいじゃねぇか別に。ちょっとくらいバレやしねぇよ。そもそも大事な”商品”は左文字賢龍の方で、こっちはオマケなんだからよ。ほら、なぁ……」

　その瞬間だった。

　――ガンッ!!

　鉄扉が勢いよく開かれ、赤い髪にメッシュを入れた男が姿を現した。
　右耳の牙のピアスが、光を受けてギラリと光る。

「おいお前！　そんなところで何をやっている！？」

　その声に、黒服男Bが凍り付いた。
「……ま、毬雄さん！？　い、いや、こ、これは――！💦」

　言い訳を最後まで言う暇もなかった。
　毬雄は一歩踏み込み、拳を振り抜いた。

　ドガッ――！

　重い音とともに、黒服男Bが床に吹き飛ばされる。
　鼻血を流して倒れ込んだ彼の胸倉をつかみ、毬雄は低く唸るように言った。

「てめぇ……またいつもの悪い癖が出たなッ！」

「す、すいやせん！　つい……その……出来心で！💦」
　黒服男Bは情けない声で泣きながら謝った。

　亜沙美は震える肩を押さえながらも、安堵の息を漏らした。
　賢龍と美虎も、黙ってその光景を見つめるしかなかった。

　黒服男Aが慌てて駆け寄り、言葉を発した。
「毬雄さん、紅虎さんたちと合流してたんじゃないんですか？」

　すると毬雄は、一瞬だけ不自然な間を置き、慌てたように答えた。
「……えっ！？　あ、ああ、いや……そのな、急に予定が変更になったんだよ！　それよりお前たち、逃げ出した他の人質を探してこい！」
　そして、威圧を込めて顎をしゃくる。
「ここは俺が見張っといてやるからよ」

　黒服男Aは頷き、黒服男Bの腕を引っ張りながら言った。
「了解しました。おい、行くぞ！」

「チェッ……分かったよ……」
　血を拭きながら、黒服男Bは舌打ちしつつも従う。

　鉄扉がバタンと閉じられ、再び静寂が戻る。
　室内に残されたのは、鎖で繋がれた賢龍・美虎・亜沙美――そして毬雄、ただ一人。

　外では、昼の風が工場の壁を叩く音だけが響いていた。

（つづく）

---