北関東某県にある蛇ノ谷村の公営キャンプ場へと合宿にやって来た、鷺島国際大学のテニスサークル「Seabreeze Aces」のメンバーたちだったが、2年の白川澪が大庭竜二と田淵毅の二人組に拉致されてしまうが、柏葉美佳と黒瀬律によって無事に保護される。しかし先日の集中豪雨の土砂崩れによって道路は寸断され、蛇ノ谷村は完全に孤立してしまう。さらに今度は2年の南條陽菜と1年の高槻紗季が大庭たちによって拉致され、早乙女陽飛も捕らえられてしまった。
※chatGPTで生成した文章に、一部編集を加えております。
廃工場――捕らわれた早乙女陽飛
森に囲まれた廃工場の内部には、昼間だというのに薄暗く、湿った空気が漂っていた。

錆びついた鉄骨。剥がれ落ちた壁の塗装。床に散乱する木片や金属くず。かつて何らかの製造施設として使われていたらしいその建物は、今や指名手配中の凶悪犯、大庭竜二と田淵毅が身を隠すためのアジトと化していた。
その一室では、早乙女陽飛が鉄骨の柱に縛りつけられていた。

頬には殴られた痣が浮かび、口元にも痛々しい傷が見える。それでも陽飛の瞳からは、決して屈しないという強い意志が失われていなかった。
「いい加減、吐いちまいな! お前たちの残りの仲間の名前と人数、それにどのコテージに誰と誰が泊まっているのか教えろ!」
田淵が苛立たしげに怒鳴りつける。
「くっ……! 誰が言うもんかッ!」
「まだ痛めつけられたいか?」
大庭が一歩前に出て、陽飛を睨みつけた。
その威圧的な眼差しにも、陽飛は怯まなかった。
「たとえ僕がどうなっても、絶対に言わないぞ!」
「チッ……!」
大庭は不愉快そうに舌打ちした。
そのすぐ傍では、同じく捕らわれの身となっている南條陽菜と高槻紗季が、両手を後ろ手に縛られ、口にガムテープを貼られた状態で座らされていた。
二人とも、陽飛が自分たちを守ろうとしていることを理解していた。だからこそ、目の前で彼が痛めつけられる姿を見るのは耐え難かった。

「んんっ! むぐぐぐ! んむぐぅぅ!!」
陽菜が必死に声を上げる。

「んむっ! むぐぐううぅ!!」
紗季も涙目になりながら身体をよじった。
だが、口を塞がれた二人の声は、薄暗い室内にくぐもって響くだけだった。
「見た目に反して、しぶといガキだぜ。兄貴、どうしやす?」
田淵が大庭の顔色をうかがう。
大庭は腕を組み、しばらく陽飛を眺めていたが、やがて口元を歪めた。
「しょうがねぇ……。お前が話してくれないなら、代わりに女の子たちの身体に聞いてみてもいいんだぜ?」
「――ッ!」
陽飛の表情が一変した。
陽菜と紗季も、その言葉の意味を察して、恐怖に身体を強張らせる。
「んんっ! んむむぐぐっ!!」
「んむっ! むぐぅぅっ!!」
二人は必死に首を振り、逃れようともがいた。
「やめろーッ! 彼女たちに手を出すなー!!」
陽飛の叫びが室内に響き渡る。
しかし、大庭は面白がるように鼻を鳴らしただけだった。
「だったら、さっさと――」
その時だった。
ぐぅ~~~~……。
妙に間の抜けた音が、静まり返った室内に響いた。
「…………」
「…………」
「…………」
陽飛も、大庭も、田淵も、そろって動きを止めた。
陽菜と紗季まで、何が起こったのか分からないという顔で、きょとんとしている。
数秒間の沈黙の後、田淵がおずおずと口を開いた。
「……あ、兄貴。すいやせん……」
「何だ、お前かタケ!?」
大庭が呆れたように振り返る。
「いや、その……朝からろくなもん食ってなくて……💦」
「ったく、こんな時に腹鳴らしてんじゃねえ!」
「す、すんません!」
田淵は申し訳なさそうに頭を下げた。
だが、大庭も一度そう言ってしまうと、自分まで空腹を意識してしまったらしい。腹のあたりを押さえ、舌打ちする。
「……まあ、確かに腹も減ってきたな」
大庭は陽飛を見下ろし、それから田淵へと顎をしゃくった。
「まずは腹ごしらえでもしてくるか。尋問の続きはその後だ。おい、ガキを柱から降ろしてやれ」
「へい、兄貴!」
田淵は大庭とともに陽飛の背後へ回り、柱に巻きつけられていた縄を解いた。
「うっ……!」
自由になったものの、殴られた痛みが残っている陽飛は、思わず顔をしかめる。
しかし、解放されたのも束の間だった。

二人は陽飛を古びた椅子に座らせると、今度はその身体を椅子ごと縄で固定してしまった。さらに、口にはガムテープを貼りつける。
「……な、何を……んぐっ!? むぐぐっ!」
「これから俺たちは飯を食ってくる」
大庭は陽飛の肩を乱暴に叩いた。
「その間、くれぐれも逃げようなんて思うんじゃねえぞ?」
田淵も陽菜と紗季を見やり、念を押す。
「お前らも、おとなしくしてろよ。余計なことをしたら、戻ってきた時にどうなるか分かってるよな?」
「んむぐっ! んむむむっ!!」
「んんむぐぐううぅ……!」
三人は口を塞がれたまま、必死に抗議する。
だが、二人の男は取り合おうともしなかった。
「じゃあ、行くぞ」
「あいよ、兄貴!」
大庭と田淵は、ろくに振り返りもせず部屋を出ていった。
やがて、廊下を歩く二人の足音が遠ざかり、工場の中は再び静寂に包まれた。
「んむぐっ……! んむむむっ!」
陽飛は椅子に縛りつけられたまま、必死に身体をよじった。陽菜と紗季も何とか縄をほどこうとするが、手首を縛る縄は固く結ばれており、簡単には緩まない。
三人だけが残された薄暗い部屋。
助けを呼ぶことも、仲間に居場所を知らせることもできない。
それでも陽飛は、諦めてはいなかった。
――みんな……早く、ここを見つけてくれ……!
声にならない願いを胸に、陽飛は必死に仲間たちの到着を待つのだった。
村の中心部――黒猫を連れた少女
一方、その頃。
蛇ノ谷村の中心部では、羽柴蒼真と九条玲沙が、柏葉美佳を宿泊先の民宿まで送り届けるために歩いていた。
もっとも、村の中心部といっても、都会のような賑やかな商店街があるわけではない。
道端に小さな雑貨屋が一、二軒。あとは、古びた瓦屋根の民家がまばらに並んでいるばかりだ。ところどころに畑が広がり、道沿いの電柱には、長い年月を経て色褪せた広告が貼られている。

昨夜の豪雨による土砂崩れで村は外部から孤立している。さらに、指名手配中の凶悪犯が潜伏しているという不穏な状況だ。
それでも、空は相変わらず晴れ渡り、木々の葉の間から差し込む陽光は穏やかだった。
「美佳ちゃん、宿まではもう少しだからね」
「はい。わざわざ送っていただいて、ありがとうございます」
美佳は恐縮した様子で頭を下げた。
「気にしないで。こんな状況なんだから、女の子一人で歩かせるわけにはいかないよ」
蒼真は柔らかく微笑んだ。
「それにしても……あの犯人たち、まだ村のどこかにいるのよね?」
玲沙が周囲に視線を向けながら言った。
「管理人さんも警察に連絡しようにも、今は簡単にはいかないだろうし……。とにかく、みんなで慎重に行動するしかないよ」
蒼真がそう答えた、その時だった。
前方から、一人の少女が歩いてきた。
黒髪の長い髪を背中に垂らし、眼鏡をかけた中学生くらいの少女。白いブラウスに紺色の膝丈スカートという、どこか上品で落ち着いた服装をしている。
そして、その足元には一匹の黒猫が寄り添っていた。
少女は黒猫を連れ、まるで自分の庭でも散歩しているかのような足取りで、こちらへ向かってくる。

美佳は、思わずその少女に目を留めた。
――へえ……この村にも、私と同じくらいの年頃の子がいるんだ。
もっとも、見た目の印象は美佳とはずいぶん違っていた。
整った身なりに、どこか都会的な雰囲気。少なくとも、田舎に住んでいる少女という印象ではない。
――どこかの家のお孫さんが、帰省しているのかな?
そんなことを考えながら、美佳は少女とすれ違った。
少女も一瞬だけ美佳たちに視線を向けたが、特に挨拶をすることもなく、そのまま通り過ぎていく。
「美佳ちゃん、何してるの? 行くわよ!」
「…あっ、はい! 今行きます!」
玲沙に声をかけられ、再び歩き出す美佳。
その時、蒼真がふと思い出したように美佳へ尋ねた。
「あれ? そういえば美佳ちゃん。あの黒いリスみたいな、君のペットは今は一緒じゃないのかい?」
「……あっ!?」
美佳の肩がびくりと跳ねた。
そういえば、先ほどからクロエルの姿が見当たらない。
テニスコートでは自分の肩に乗っていたはずなのに、いつの間にか姿を消してしまっていたのだ。
「え、ええと……そのうち勝手に戻ってくると思うので、大丈夫です!💦」
「そうか? ならいいんだけど」
蒼真はそれ以上、深く追及しなかった。
しかし、美佳の内心は穏やかではなかった。
――もうっ、クロエルったら! こんな時にどこへ行っちゃったのよ……!
自分の正体を隠すためにも、あの相棒にはなるべく傍にいてほしいところなのだが……。
美佳は表情に出さないよう気をつけながら、蒼真と玲沙の後について歩き続けた。
宿命のライバル
その背後では、先ほどすれ違った少女と黒猫が、村の細い道を並んで歩いていた。
「……なんだ、こんな限界集落にもガキがいるんだな」
少女は、すれ違った美佳たちの姿を思い返すように呟いた。
「こんなシケったカビ臭い村の住人にしては、なんか明るいツラしてたな」
言葉遣いこそ荒っぽいが、その声には年相応の少女らしい響きがあった。
彼女の名は、佐々倉紫乃。
黒髪のロングヘアに眼鏡、白いブラウスと紺色のスカート。どこにでもいそうな、ごく普通の中学生――少なくとも、表向きはそう見える少女である。
そして、彼女の傍らを歩く黒猫の名は、ルナフィリス。
紫乃の魔法の師であり、契約者であり、使い魔のような存在でもある、不思議な黒猫だった。
ルナフィリスは、紫乃の言葉に耳を傾けながら、先ほどすれ違った一団のことを考えていた。
――この村の住民の孫かしら。それとも、たまたま帰省しているだけ?
先ほどの少女は、紫乃と同じくらいの年頃だった。
ただし、一緒にいたのはテニスウェアを着た年上の男女二人。彼らの雰囲気からすると、地元の家族というより、何らかの用事で村を訪れている人々のようにも見えた。
(ねえ、紫乃。さっきの子、誰なのかしらね? 特にあのテニスウェアを着てた学生っぽい二人連れ)
「あぁ?」
紫乃は、面倒くさそうにルナフィリスを見下ろした。
「そんなの、いちいち知らねえよ!」
(でも、少し気にならない?)
「ならねえよ! あのツインテールの兄貴か姉貴か、従兄か従姉なんじゃねえの?」
紫乃は吐き捨てるように言った。
「それより、そんなことどうでもいいだろ。いちいち他人のことなんか気にしてられるかよ!」
(……そうね)
ルナフィリスは、それ以上追及しなかった。
紫乃は不機嫌そうに頬を膨らませると、再び歩き始める。
彼女には、ほかに考えるべきことがあった。
彼女の心の奥底に潜む、歪んだ執着。
そして、自分がいつか必ず相まみえることになる、たった一人の少女の存在――。
紫乃にとって、ルミナは単なる敵ではない。
かつて憧れ、信じ、そして今では歪んだ感情を向けるようになった、特別な存在だった。
しかしルミナの変身前の姿がさっきすれ違ったばかりの柏葉美佳であることは、今はまだ知らない。
そして美佳の側もまた、すれ違った少女が自分の宿命のライバル――常闇のレギーナ=ノクタその人であるとは、夢にも思っていなかった。
互いの正体を知らぬまま、二人は同じ村の中にいる。
片や、正義を信じて戦う魔法少女。
片や、彼女との戦いに異常なまでの執着を抱く、闇の魔法少女。
その距離は、ほんのわずかだった。
だが、二人の運命が交わる時は、まだ訪れていない。
そして今、村の森の奥では、指名手配犯に捕らわれた三人の大学生が、助けを待っていた。
魔法少女たちの因縁と、凶悪犯による事件。
別々に進んでいるように見える二つの物語は、やがて蛇ノ谷村という小さな舞台の上で、思いもよらぬ形で交差していくことになるのだった。
(つづく)
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