サバゲ―サークル「DRYADES」の新規加入メンバーである上江洲紗樹は、夜に自宅近くで変質者に襲われたところを星彩のルミナに救われた。それ以来、紗樹はルミナの熱烈なファンとなる。
しかしその後、女子大生を狙った新たな拉致監禁事件が発生。アスカロン財団の加藤段十郎も喫茶店Lilyに姿を現し、またDRYADES代表を務める羽鳥瑠璃華の発案で学生たちによる自発的な夜間パトロールも始まり、事態は俄かに動き出す。
小寺洸介と別城寿莉愛は、D地区をパトロール中、怪しげな不審車を目撃し、その車が敷地内に入って行った廃墟ホテルの内部へと潜入するが、ホテルから脱出直前に寿莉愛は行方不明となり、洸介は加藤段十郎と再会する。しかしその頃、羽鳥瑠璃華たちは、埼玉県警の則元刑事によって夜間パトロール隊を強制的に解散させられてしまうが、瑠璃華はその後単独行動を開始、そして笹南侑衣梨と意外な形でペアを組むことに。加藤段十郎も敵のアジトの廃墟ホテルで鷹松優姫と合流した。
※chatGPTで生成した文章に、一部編集を加えております。
優姫とリネア
廃墟ホテル一階、吹き抜けになったホール。
割れた窓から差し込む街灯の光の中で、加藤段十郎と鷹松優姫は、いまだ途切れることのない小型武装ドローンの群れと対峙していた。
天井付近を旋回しながら、四方から狙いを定めてくる無機質な光点。
段十郎は歯を食いしばる。
「くっ……このままじゃキリがねぇ……!」
引き金を引くたび、確実に一機ずつ撃ち落としている。
だが、次の瞬間には、また別の影が闇の奥から現れる。
まるで無限に湧いてくるかのようだった。
「数が……多すぎる……!」
優姫の声にも、はっきりと疲労がにじんでいた。
肩で息をしながら、必死に銃を構え続ける。
そのときだった。
一瞬、床に散らばった破片に足を取られた優姫の身体が、ぐらりと大きく傾く。
「……っ!」
倒れかけた、その瞬間――
無言で伸びてきた腕が、彼女の身体を支えた。

段十郎だった。
無表情のまま、片腕で優姫の肩を引き寄せる。
「……大丈夫か?」
思いがけない距離の近さに、優姫は一瞬言葉を失った。
「……あ……」
ほんのわずか、頬が赤くなる。
「……あ、ありがとう……」
それだけ言うのが精一杯だった。
だが――
次の瞬間。
カチッ。
二人の銃口から、乾いた空音が同時に響いた。
段十郎も、優姫も。
弾切れだった。
「……マズいな」
段十郎が低くつぶやく。
優姫も銃を握りしめたまま、唇を噛んだ。
「まさか……ここまでなの……!」
ドローンたちは、まるで好機を悟ったかのように、ゆっくりと高度を下げ始めていた。
万事休す――
誰もがそう思った、その瞬間。
「――下がってください!」
澄んだ声が、ホールに響いた。
次の瞬間、入口側の闇が弾けるように開き、
リネア=フリーデン=ヴァイサーと、星彩のルミナが駆け込んで来た。
「今です、ルミナ!」
「はいっ!」
空間にいくつものルーン文字が浮かび上がり、同時に、星の光が舞い散る。
リネアのルーン魔法と、ルミナの《エトワール・ブレイザー》。
正確無比な迎撃が、残っていたドローンを次々と撃ち抜いていく。
火花と光が交錯し――
数秒後。
ホールには、静寂だけが残った。
段十郎が小さく息を吐く。
「……助かったぜ!」
すぐさまリネアが近づき、段十郎の手に小さな黒い物を差し出した。
「加藤さん。予備の弾倉です」
「……サンキュ」
受け取った段十郎は、慣れた動作で愛銃――SIG PRO SP2340に弾倉を装填する。
金属音が、やけに大きく響いた。
その背後で、ルミナが静かに目を閉じ、両手を胸の前に重ねていた。
淡い星光が、床と壁をなぞるように広がっていく。
「……ありました」
ルミナが、壁の一角を指差す。
「ここです。地下への入り口」
よく見なければ分からないほど巧妙に隠された、小さな扉。
段十郎はにやりと笑った。
「よし、行くぞ」
そして、隣の優姫にちらりと視線を向ける。
「女刑事さんよ。アンタはどうする?」
優姫は、使えなくなった拳銃をホルスターに戻し、きっぱりと答えた。
「もちろん行くわ」
そして、ぎゅっと拳を握る。
「たとえ弾切れでも……私には、これがあるもの」
段十郎は鼻で笑った。
「フン。好きにしな」
そのやり取りを、少し離れた場所から見ていたリネアは――
なぜか、その場で立ち止まっていた。
「……」
段十郎が振り返る。
「……どうした、リネア?」
はっとして、彼女は小さく首を振った。
「いえ……何でもありません……」
「遅れるなよ?」
「……はい」
一行は、ルミナの示した隠し扉を開き、地下へと続く階段へ向かって進み出す。
その最後尾を、リネアは静かについていった。
だが、その胸の奥は――
なぜか、落ち着かなかった。
先ほど。
優姫がよろめき、段十郎に抱き留められた、あの一瞬の光景が、
何度も頭の中に浮かんでくる。
(……何だろう……)
リネアは、そっと胸元に手を当てた。
(胸が……苦しい……)
自分でも理由が分からない感情。
(別に……私とダンは、ただのパートナーで……そういう関係でも、ないのに……)
薄暗い地下への階段を下りながら、
リネアは、誰にも聞こえないほど小さく息を吐いた。
その胸のざわめきの正体を、まだ――言葉にできないまま。
危機一髪、亜沙美と音祢!
真夜中の住宅街は、昼間とはまるで別の顔をしていた。
街灯の白い光が、アスファルトの上に細長い影を落とし、風に揺れる植え込みの音だけが、やけに大きく耳に残る。

漆崎亜沙美は、その静けさを切り裂くように走っていた。
「はぁ……はぁ……!」
鳳凰院優。桜庭陽平。副部長の白鳥玲音。
報道部の仲間たちと、どうしても連絡がつかない。
ようやく繋がった小寺洸介から返ってきたのは、何かを隠すような、はっきりしない言葉だけだった。
(絶対に……何か起きてる)
夜間パトロール。
その言葉が、胸の奥で不安の塊になって膨らんでいく。
亜沙美は藁にもすがる思いで、DRYADESのメンバーである綾塚音祢に連絡を入れ、近所のコンビニ前で落ち合う約束を取り付けていた。
「もう少し……!」
角を曲がれば、車通りの多い大通りだ。
コンビニの明るい看板も、もう見える距離だった。
――その時だった。
前方と、横、そして背後。

まるで待ち伏せしていたかのように、複数の男たちが無言で姿を現し、亜沙美を取り囲んだ。
「……え?」
反射的に立ち止まった瞬間、逃げ道は完全に塞がれていた。
「な、何よアンタたち……!?」
声が、わずかに震える。
男の一人が、無機質な声で言った。
「お嬢さん、こんな夜更けに一人で外を出歩くとは感心しないな」
続いて、別の男が同じ調子で口を開く。
「少しお説教が必要なようだ。俺たちと一緒に来てもらおう」
感情の欠片も感じられない視線。
まるで、人を見るというより、物を見るような目だった。
「ちょっと……やめて――!」
次の瞬間、腕を掴まれた。
「な、何すんのよ!!」
数人がかりで身体を押さえ込まれ、亜沙美は必死に抵抗する。
「誰か助けてぇ――!」

だが、口元を手で塞がれ、声は夜に掻き消された。
――その時。
「亜沙美さん!?」
聞き覚えのある声が、闇を切り裂いた。
「……っ!」
亜沙美の視界の端に、駆け寄ってくる人影が映る。
綾塚音祢だった。
「んんーっ!! んむむーっ!!」
声にならない叫びをあげながら、亜沙美は必死に目で訴える。
(音祢ちゃん……逃げて! 私のことはいいから!)
だが、音祢は一瞬も迷わなかった。
「離れてください!!」
男の一人が振り向いた、その一瞬。

音祢は踏み込み、相手の腕を掴むと、その勢いを利用して身体を回転させる。
「――っ!」
次の瞬間、男の身体が宙を舞い、地面に転がった。
「なっ……!?」
別の男が掴みかかろうとしたが、音祢は低く身を沈め、足を払う。
続けて、肩口に体重を乗せて押し倒した。
動きに無駄がなかった。
「亜沙美さん、大丈夫ですか!」
次々と倒されていく仲間を前に、男たちは一瞬、戸惑ったように動きを止める。
その隙に、音祢は亜沙美の腕を引いた。
「今です、離れましょう!」
男たちの拘束が外れ、亜沙美はよろめきながらもその場を離れる。
「……ありがとう、音祢ちゃん」
息を切らしながら、亜沙美は思わず言った。
「でも……びっくりした。音祢ちゃんが、こんなに強いなんて……」
音祢は少し照れたように視線を逸らした。
「父や叔父から、格闘術の手ほどきを受けているんです。護身用ですけど……まだまだですよ」
「ううん。すごくかっこよかったよ」
心からの言葉だった。
――だが。
その直後だった。
「……フフフッ」
低い笑い声が、背後から聞こえた。
「え……?」
亜沙美と音祢を追って来た男の一人が、いつの間にか追いついて来ていた。
音祢が振り返ろうとした、その背中に――
「油断したな」

バチッ、という鋭い音。
「キャアアッ!!」
音祢の身体が大きく跳ね、力なくその場に崩れ落ちる。
「音祢ちゃん!?」
亜沙美が駆け寄ろうとした瞬間、他の男たちも一斉に立ち上がった。
「や、やめて……!」
再び腕を掴まれ、今度は抵抗する間もなかった。

「放して!!」
音祢も、意識が朦朧としながら引きずり起こされる。
二人は無理やりトラックの荷台へと押し込まれた。
「何すんのよ! 放してぇ――!!」
「連れて行け!」
叫び声は、勢いよく閉められた扉に遮られ、夜の中に消えた。
エンジン音が響き、トラックはそのまま走り去っていく。
――その光景を、少し離れた場所から目撃していた人物がいた。
「……今のは……」
羽鳥瑠璃華を探して、住宅街を歩いていた小寺洸介だった。
街灯の下で、走り去るトラックを呆然と見送ったあと、はっと我に返る。
「漆崎さんと……音祢ちゃん……!?」
背筋に、冷たいものが走る。
「た、大変だ……!」
洸介は必死にトラックの後ろ姿を目に焼き付け、車両ナンバーを頭の中で反復した。
そして、震える指でスマートフォンを取り出す。
「……110、110……!」
耳に当てたスマホの向こうに、繋がる呼び出し音。
洸介は、かすれる声で必死に告げるのだった。
「い、今……拉致されるのを見ました……女子大生と女子高校生が合わせて二人……!」
(つづく)

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