武装インダストリアルメック
「ちくしょー!!放せーっ!!」
「ジタバタするんじゃねえ! 大人しくしろッ!………よしっ、フフフッ…これでもう動けねーだろう?」
滝沢美香とレイラジェーンウィルソンを誘拐した脱獄犯一味のアジトに乗り込んだものの、まんまと自身も捕まってしまった中村弘樹。
「バカな奴だぜ。あの時お前だけは見逃してやったのに、こうしてわざわざ自分から捕まりに来るんだからなww」
「お前ら、僕をどうするつもりだ!? それにレイラさんはどこにいるんだ!?」
「眼鏡のお嬢ちゃんの方なら奥の部屋で大人しくしてるよ。…それで、そうだなぁ~、お前はいずれこの島から高飛びする際、船から海に突き落として鮫の餌にでもしてやるよ。それまで二人のお嬢ちゃんと同様に人質として生かしておいてやる。有難く思いなッww」
弘樹は、さっき自分を捕まえた巨大な武装インダストリアルメックに視線を向ける。
「おい、あの武装インダストリアルメックは一体何なんだ!? あれってテロリストとかがよく使う違法な代物だよな?」
弘樹の疑問に、脱獄犯の子分が「あれは“さる組織”から俺たちへの贈り物さ!」と口が軽くペラペラ喋ってしまうが――
「おいコラッ!! 余計な事まで喋るんじゃねえッ!!💢」
「…す、すいやせん兄貴!!💦」
慌てて子分の口を制止する脱獄犯。何か他に知られると都合が悪いことがあるようだ。果たして彼らの背後にいる黒幕とは…!?
拓斗と俊彦の作戦とは?
一方その頃、ようやくA地区の廃工場の入り口まで来てい、橘拓斗と滝沢俊彦の二人だったが、案の定というべきか、立ちはだかるガードマンに門前払いを食らっていた。素直におとなしく帰って行ったと見せかけ、少し離れた場所から廃工場の様子を窺う拓斗たち。
「セレナが美香の家にかかって来た脅迫電話の内容を傍受してくれた。それによると犯人は”警察に通報したければ勝手にしろ。どのみちマヌケなポリ公どもに捕まるような俺じゃない”と言っていたそうだ」
「随分と挑発的なんだな…」
「普通”警察に通報したら人質に危害を加える”っていう誘拐犯の常套文句を、今回の犯人は使用しなかった。ということは、犯人はむしろ警察に介入して来てほしいってことだと思う」
俊彦の披露する推理に、拓斗は驚く。
「それって、どういう…? 犯人は身代金が欲しくないのかよ?」
「誘拐事件の捜査に人手が割かれれば、それだけ警察の脱獄犯への検問が手薄くなってしまう。誘拐事件は目くらましで、犯人の真の目的は、あくまでこの島からの高飛びだ」
「待て待て! もしそうなったらレイラと美香ちゃんはどうなるんだ!?」
「あまりこういうことは言いたくないが、用済みとなれば彼女たちは始末される可能性が高い」
「くそっ!! そんなことさせてたまるかッ!! 俊彦、今回はお前にとってあまり乗り気になれないド派手な手を使うぜ! いいよな!?」
「…分かった。本来ならあまり目立つ手は使いたくないが、レイラと美香の命がかかっているんだ。この際多少のことは目を瞑ろう。ただし段取りは僕に決めさせてもらう」
「OK! それでいいぜ♪」
アクアライザー出撃
専用のアストラルロイド AE-78X アクアライザーに乗り込み、廃工場に強引に乗り込んで派手に暴れ回る拓斗。驚いた脱獄犯は、例の武装インダストリアルメックに乗り込んで応戦する。
「あれが巷で噂の、街の治安を守っているとかいう白い巨大ロボットか!? 相手にとって不足はねえ。俺の自慢のインダストリアルメックで片付けてやるぜww」
激闘を繰り広げる二体の巨大ロボット。戦いはアクアライザーの側が優勢に進めていたが、ここで脱獄犯の子分が人質にした弘樹を引っ立てて来た。
「おーい! 白いロボットのパイロット! これが見えるか―!? それ以上抵抗を続けると、この小僧の命はねーぞッ!!」
「あそこにいるのは、もしかして弘樹か!? どうしてこんなところに!?💦」
弘樹が捕まっていたことに驚く拓斗。いつの間に工房から抜け出してここに来ていたのだろう? しかし弘樹を人質に取られている以上、これ以上の抵抗は出来ない。仕方なく拓斗はアクアセイバーを停止させると、コクピットから降りて投降の意思を示した。
「…あれっ? あのパイロットは、どこかで見たような……」
白い巨大ロボットの操縦席から出て来たパイロットは、意外に若かった。どう見ても弘樹と同世代の高校生くらいの年頃だ。それに弘樹には、ヘルメットを被っているせいで顔はよく見えないものの、初めて見るそのパイロットがどこかで会ったような気がしてならなかった。
「てめえが噂の正義のスーパーロボットのパイロットか? 思ったよりも随分と若いな…。まあいい、お前もこのロープで縛られてもらうぜ。ついでにそのヘルメットも脱いで素顔を拝ませてもらおうか?」
拓斗を縛り上げようと、両手にロープを持って迫り来る脱獄犯の子分。果たして拓斗もこのまま捕まってしまうのか!?
一方、その頃。
脱獄犯たちが拓斗とアクアライザーに気を取られている最中、俊彦は別の侵入口から廃工場内に潜入。レイラが監禁されている部屋へと辿り着くことに成功していた。
「お待たせレイラ♪」
「んんっ、んむむっ!?(…俊彦なの!?)」
「今そのロープを解いてやる。ちょっと待っててくれ」
レイラ救出に成功した俊彦。その足で、すぐに窮地の拓斗の救援へと向かってくれ!
つづく。
コメント
インダストリアルメック・・・
カラーリングを見るにどことなくサイコなガンダムを連想しますね(^▽^)/
操縦できるのは、特殊なパイロットだけなのでしょうか・・・
インダストリアルメックは一般に普及している巨大ロボットという設定ですから、自動車免許と同じ感覚で、資格さえ取得していれば基本的に誰でも操縦できます。ただ今回のは軍事用にカスタマイズされている機体ですから、事前にちょっとした訓練は必要でしょう。
ご無沙汰しております。俊彦君がレイラちゃんの救出に成功したことで旅鴉様の懸念材料が一つ減ったということでよろしいでしょうか?そう考えるのはまだ早計でしょうか?
「さる組織」から脱出支援のため巨大な武装インダストリアルメックの提供を受けた脱獄犯の兄貴分、一体どんな奴でしょうか。刑事ドラマ辺りでは一見そこらのチンピラだった奴が実は組織にとっての重要人物だった、(例:麻薬組織における麻薬の精製技師)という展開がよくありますがあんな感じなんでしょうか。まあその点は次回明らかになるとは思いますが…。
> 俊彦君がレイラちゃんの救出に成功したことで旅鴉様の懸念材料が一つ減ったということでよろしいでしょうか?
どうやら俊彦くんは捕まらなさそうですが、レイラちゃんがあっさり助け出されてしまったのは残念がっておられるかもしれません。
> 「さる組織」から脱出支援のため巨大な武装インダストリアルメックの提供を受けた脱獄犯の兄貴分、一体どんな奴でしょうか。刑事ドラマ辺りでは一見そこらのチンピラだった奴が実は組織にとっての重要人物だった、(例:麻薬組織における麻薬の精製技師)という展開がよくありますがあんな感じなんでしょうか。まあその点は次回明らかになるとは思いますが…。
それはちょっとbakubond様の深読みのし過ぎかと…。スキンヘッド男はただの登場一回限りのゲスト悪役です。
>「バカな奴だぜ。あの時お前だけは見逃してやったのに、こうしてわざわざ自分から捕まりに来るんだからなww」
まあ…確かに…パシフィックゲートウェイ島に来てから足引っ張りキャラになっとりゃせんですか弘樹くん、お姉ちゃん方はまだ可愛げあるんですけど…
さて、なぜかたかが脱獄犯の傍にはティ〇ーンズのMSのような巨大ロボットが…
>「おい、あの武装インダストリアルメックは一体何なんだ!? あれってテロリストとかがよく使う違法な代物だよな?」
随分詳しいですね弘樹くん、拓斗くんに色々教えて貰っているのか、後々トロピカル・ギアーズのメンバーとして覚醒するのか、うっかり八兵衛枠でいくのか、これからが気になるところですが…なにはともあれ、脱獄犯のチンピラどもが本来持つものではないですね、“さる組織”とはいったい…
さて廃工場に乗り込んできた連邦の白い…じゃなくAE-78X アクアライザー、黒いMS…ではなく武装インダストリアルメックと激突、所詮チンピラの操縦するインダストリアルメック…勝負にならない…っと思ったら、やっぱり人質に使われる弘樹くん、このまま脱獄犯の前に為す術もなく拓斗くんも捕まってしまうのか…
…っとまあ、彼はそこまで考えなしではないようで、そう言えばもう1人いましたね、表で騒ぎを起こしている間に俊彦くんがレイラちゃんを、このまま反撃開始といくのでしょうか、でもまだ美香ちゃんがいますよね…
> まあ…確かに…パシフィックゲートウェイ島に来てから足引っ張りキャラになっとりゃせんですか弘樹くん、お姉ちゃん方はまだ可愛げあるんですけど…
まあ管理人が意図的にそうさせている部分はありますからね(;^_^A アセアセ・・・
> 随分詳しいですね弘樹くん、拓斗くんに色々教えて貰っているのか、
弘樹くんもテロ事件とか海外での国際紛争とかのニュースをテレビやネット動画で目にする機会もあるでしょうから、きっと同型の軍事用インダストリアルメックを見たこともあるのでしょう。あるいは学校の同じ教室にミリタリー関係に詳しい軍事オタクの友達がいるとか。
> …っとまあ、彼はそこまで考えなしではないようで、そう言えばもう1人いましたね、表で騒ぎを起こしている間に俊彦くんがレイラちゃんを、このまま反撃開始といくのでしょうか、でもまだ美香ちゃんがいますよね…
たぶん次回で、拓斗くんが捕まる直前にそれぞれの持ちメカに乗って来た俊彦とレイラが悪党一味を粉砕。弘樹くんと美香ちゃんを助け出してめでたしめでたしで完結ですね。…で、その時に巷で噂の白い巨大ロボットの操縦者の正体が拓斗であると、弘樹くんと美香ちゃんにもバレてしまうでしょう。