BRAVERS EDITION　episode.65

ブレイバーズとシブルリックオーダーが旅行で宿泊中の霧深温泉郷に唯一繋がる県道で崖崩れが発生！
温泉郷一帯がが完全に孤立する中、天凰輝シグフェルとレギウス隊は他のメンバーをホテルに残し、直ちに現場の復旧及び救助作業のために出動した。

※文章は、chatGPTで生成しております。

奪われたドラゴンファイヤーX1

牧村光平たちが出動し、ホテルの外へと消えていった直後のロビーには、ざわめきが残っていた。宿泊客たちは不安そうな表情でフロント周辺に集まり、誰もが「どうなってしまうのか」と口々に騒ぎ立てている。

その中で、フィリス=ミラ=エクセリアはロビーの一角を離れると、廊下でスマートフォンを取り出して耳に当てた。

「……もしもし、詩歩？　緊急事態なの。大至急、ドラゴンファイヤーX1を霧深温泉上空に向かわせて！」

しかし、電話の向こうから返ってきたのは、聞き慣れたオペレーター ――磯崎詩歩の声ではなかった。

「もしもし…こちら、ドラゴンファイヤーX1」

妙に艶のある女の声。冷たい冗談のような口調に、フィリスの眉がぴくりと動いた。

「……誰なの、あなた？」

「フフフッ……さあ、誰でしょうね？」

その嘲るような笑い声に、フィリスの中で警戒心が一気に高まる。まさか――そんなはずは――いや、可能性はある。彼女は即座に結論を導き出した。

（ドラゴンファイヤーX1が、乗っ取られた……！？）

おそらく乗組員クルーの磯崎詩歩や立見凌央、滝川詢真の3人は、ハイジャック犯によって人質に取られている可能性が高い。そこへ、ロビーを見回っていた瀬尾梨帆がフィリスの様子に気づき、駆け寄ってきた。

「フィリス、どうしたの？」

フィリスはスマートフォンを耳に当てたまま、視線を逸らさずに答える。

「ドラゴンファイヤーX1が……何者かに乗っ取られたわ」

「……な、何ですって！？」

梨帆の瞳が大きく見開かれる。だがフィリスは声のトーンを崩さず、通話を続けた。

「詩歩や凌央くんたちは無事なんでしょうね？」

「ええ、今のところはね。私たち、まだ“やさしい”方だから」

「要求は何？」

「要求？　うーん……特にないわ。強いて言うなら――あなたたちはそのままホテルの中で、じっとしていてもらうことかしら。じゃあ、またあとで電話するわね」

「――ま、待って！」

フィリスの声が鋭くなるが、それを遮るように、ピッという音とともに通話が一方的に切れた。

「……っ！」

怒りのような感情が一瞬だけフィリスの顔をよぎる。だが次の瞬間には、何事もなかったかのように冷静さを取り戻していた。

「どうしよう、フィリス！？ 詩歩さんたちは大丈夫なの！？💦」梨帆が声を上げる。

フィリスは静かに、しかし力強く首を横に振る。

「梨帆、落ち着いて。今は、私たちにできることをやるしかない。まずは宿泊客の人たちを安心させること。混乱が広がれば、それこそ敵の思う壺よ」

「……うん！」

フィリスはスマートフォンをバッグにしまい、優雅な微笑を浮かべると、ロビーへと足を踏み出した。その目には、冷徹な判断力と、戦場で鍛えた覚悟が宿っている。

「私たちがここにいる意味を、忘れてはいけないわ」

その言葉を聞いた梨帆もまた、背筋を正す。

こうして、フィリスと梨帆、そしてホテルに残された面々は、混乱の中の静かな戦いを始めたのだった。
人質の安否、ドラゴンファイヤーX1の奪還、そして敵の正体――。
すべてを見極めるために。

ホテル襲撃

ロビー中央にある長テーブルの周囲に集まったのは、フィリス、紫城心翔、美濃本敦、沢渡優香、錦織佳代、瀬尾梨帆、クリス、獅場楓花、稲垣健斗の面々。
沈痛な面持ちのフィリスが、手元のスマートフォンをテーブルに置き、静かに口を開いた。

「……ドラゴンファイヤーX1が、何者かに乗っ取られたわ」

その言葉は、まるで爆弾のように場を震わせた。

「なっ……」
「ドラゴンファイヤーX1が乗っ取られた！？」

心翔と敦が、同時に声を上げる。

「それって本当なのか、フィリス！？」敦が身を乗り出すように問い詰める。

フィリスの視線は鋭く、それでいて冷静だった。

「冗談でこんな話をするわけないでしょう。……あまりにもタイミングが出来過ぎている。おそらく、例の崖崩れも自然災害じゃないわ。誰かが意図的に、私たちを外へおびき出したのよ」

「……光平にも知らせた方がいいんじゃない？」佳代が言う。

「分かったわ。今、連絡してみる」
優香がスマートフォンを手に取り、素早く光平の番号を押す。

……しかし。

画面に「通話できません」の文字が表示され、無機質な発信エラー音が繰り返されるだけだった。

「繋がらない……！？ そんな……」

「まさか、通信妨害……？」梨帆が息を呑む。

そのとき――

「みんな、大変だ！」
「こっちに来てください！！」

廊下から、健斗とクリスの叫び声が響いた。
皆が顔を見合わせ、すぐに立ち上がる。

声のした方へ急ぎ足で向かうと、クリスと健斗の二人が地下の通信室の前に立ち尽くしていた。

「……これを見てください！」

彼が指さしたのは、壁面に取り付けられた電話線の束。
それらは無惨に切り裂かれていた。
何者かが工具で切断したような、明らかな故意の痕跡がそこにはあった。

「これは……！」

「ここまで徹底的に遮断されているなんて……完全にホテルごと外界から孤立させようとしているのね……」

緊迫した空気が、喉を締めつけるように重くのしかかる。

そして皆でホテルのロビー階へと戻った、その時だった――

「キキィィィィッ――！！」

不気味な金切り声がホテルの正面玄関から響き、同時にガラスの破壊音とともに怪しげな姿の戦闘員たちが大挙してホテル内に乱入してきた！

「敵だッ！！」

「皆、下がって！！」

とっさにフィリスが優香、クリス、楓花らを後方へと押し下がらせ、迎撃に立ち上がったのは、佳代、心翔、敦、梨帆、そして健斗を含めた5人。
佳代と健斗は無論、今は心翔たちにも変身能力はない――だが、目の前に迫る脅威に、ためらいなど一切なかった。

「宿泊客の人たちを守るんだ！」
「かかってこい、化け物ども！！」

黒い戦闘員が襲い掛かる。
心翔は回し蹴りで一体を吹き飛ばし、敦は肩から組み伏せて投げ飛ばす。

梨帆は椅子を振り回して壁際の戦闘員を殴打し、健斗は鋭い目で距離を読み、拳一閃――
刹那の判断で敵の急所を突き、動きを封じる。

「ふざけないで……！ こんなところで好き勝手させるもんですか！！」
梨帆が叫ぶ。

「こっちは変身できなくたって、戦う覚悟くらい持ってるのよ！！」
佳代の叫びが響く。

ロビーは一時、生身の勇者たちの戦場と化していた。
逃げ惑う宿泊客たちを、彼らは背中で守りながら、圧倒的な数の敵に立ち向かっていく。

その場に、恐怖はなかった。
あったのは――守るべきもののために戦うという、確かな意志だけだった。

悪の陰謀

ホテルを望む丘の上に車を停め、双眼鏡でホテルの方の様子を覗き込んでいる黒百合ダークリリィ。

「フフフッ…妖魔結社ザイザムの奴ら、かねてからの手筈通りに首尾よく事を運んでいるようね…」

双眼鏡をさっと胸元に仕舞い込んだ黒百合は、車へと戻ると後部座席のドアを開け、その中に座っている人物の姿を覗き込む。

「さあ、そろそろ貴女も出番の頃合いよ。これからいろいろと役に立ってもらおうかしら。アハハハッ！！」

「んっ！んんっ！！」

高笑いを上げる黒百合の視線の先には、口にガムテープを貼られ、縄で縛られて必死にもがいているリネア=フリーデン=ヴァイサーの姿があった！

つづく。

---