捕らえられた音祢と詩郎
新設されたばかりのBRAVERS東京オフィス(仮)が入居する超高層ハイテクビルの地下階にある、全く使われていない放置同然の空き部屋に監禁された寺瀬詩郎と綾塚音祢。
「お前ら、俺たちをどうするつもりだ!? 人質なら俺一人で充分だろ! せめてあの娘だけでも解放してくれ!」
「うるせーな、黙ってろ!」
「あの爆弾は何なんだ? まさかこのビルを吹き飛ばすつもりなのか?」
「フハハハハ…心配すんな。そこまでの威力はねーよ。まあせいぜい大きな音と振動を出して、ボヤ騒ぎを起こす程度かなww」
どうやら大規模なテロを引き起こす計画ではなさそうだが、目撃者の自分と女子高生をこうして口封じ目的で監禁しているところからして、単なる悪戯目的とも思えない。
長椅子のソファに縛られたまま座らされている音祢の隣に、並ぶように一緒に座らされる詩郎。詩郎は音祢に励ますように話しかける。
「辛いだろうが、もうしばらく我慢していてくれ。もうじき必ず助けが来るから! 決して希望は捨てるなよ?」
「んっ、んんっ…んーんー!」
音祢は口にガムテープを貼られているため喋れないが、詩郎の言葉に頷くように何度も首を縦に振って反応する。そしてさっきから音祢は、詩郎に何かを伝えたそうに彼をじっと見つめている。
「なあ…もしかしてアンタ、以前どこかで俺に会ったことがあるんじゃないのか?」
「んんーっ!!んーんー!」
詩郎からの問いかけに応えるように、懸命に頷いて反応を示す音祢に、詩郎は確信を得た。
「やっぱり…。実は俺には過去の記憶がないんだ。俺が誰なのか教えてくれ!」
「おっと、お喋りはそこまでにしときな!」
「…な、何しやがる!? んぐっ、んむむーっ!!」
核心に迫った肝心なところで累児が横槍を入れ、詩郎も音祢と同様に口にガムテープを貼られてしまった。
緊急事態
安土市にあるBRAVERS本部セントリネル・ハブに緊急通報が!
BRAVERS東京オフィスが入居している超高層ハイテクビルで、爆弾が破裂したと思われる振動と爆発音が起き、それに伴うボヤ騒ぎが発生したと同時に、ビルの管制室のコントロールが何者かに奪われ、出入り口のシャッターが全て閉じられてしまったのだ。現在、BRAVERS東京オフィスが入居している階層エリアのみ人の出入りが出来ず、中にいる大勢の人間が閉じ込められてしまっている状況だ。当然言うまでもないが、安土市本部と東京オフィスを繋ぐ通信ラインも全て遮断されていて、向こうとの連絡も取れていない。
「みんな、大丈夫かしら…」東京オフィスにいるであろう佳代やクリスたちを心配する、医療部門統括担当秘書官の沢渡優香。
「今日は確か、埼玉の鷺島市から社会科見学で公立高校の生徒たちが来ているはずよ。もし生徒たちに何かあったら大変だわ…」と、事態を憂慮する副長官の仲里深雪。
「向こうには佳代ちゃんたちもいるんだ。滅多なことはないと思うけど、深雪さん、念のため俺も現場に出ます。優香と一緒に留守を頼みます!」
「分かったわ」
「光平くん、気をつけて」
「ああ、いつもみたいにサクッと片付けて、さっさと帰って来るよ♪」
優香と深雪に見送られ、いざ自ら東京に急行しようとしたBRAVERS長官・牧村光平だったが、突然それにストップをかける不快な声が長官室のスピーカーから響き渡った!
「ちょーっと待ったァァッッ!!」
「誰だ!?」
「長官専用の通信ホットラインからだわ!💦」
次の瞬間、長官室に据え付けられているモニター画面が自動的にスイッチが入り、どこかの場所が映し出された。
{光平にいちゃん! 優香ねえちゃん! 助けて―!!}
「そんな…晴真!?」
モニター画面を見て絶句する優香。モニターには赤いTシャツと白い半ズボンを着用した小学生の少年が縛られていて、助けを求めて光平と優香の名を叫ぶ様子が映っていたのだ。この少年は柏村晴真といい、沢渡優香の従弟で、牧村光平にとっても弟分のような東京在住の小学6年生だ。
「誰だお前はッ!?」
光平は、縛られた状態で立たされている晴真の背後に立つ、長い髪を紅く染めた、細身ながら引き締まった細マッチョな体をしていて、それを際立たせるようなピッチリとした服を着ている男に対して、鋭く睨みつけるように問いかけた。
{good afternoon♪ はじめまして牧村光平長官、いいえ、それとも天凰輝シグフェルとお呼びした方がいいのかしらん? 私は黒の革命軍・司令官よ。ヨロシクッ!}
「黒の革命軍だって? そんな名前のテロ組織は聞いたこともないな」
{そんなことはどーだっていいの。ともかく、アンタとアンタの可愛いガールフレンドが実の弟のように可愛がっているこのボーズは、黒の革命軍が人質に頂いたわよん!}
「…単刀直入に聞く。要求は何だ?」
{なぁに、凄く簡単な事よ。アンタはこのまま安土市のBRAVERS本部の長官室でふんぞり返ったまま、じっとしていてくれたらいいの。アタシたちの仕事が終わるまでね!}
「何だって!?」
{アンタみたいなチートなスーパーヒーローに出しゃばってこられると、アタシたちの仕事がやりにくくなるのよ。言っておくけど、少しでもおかしな動きをしたら、その瞬間にこのボーズの命はないものと思ってちょーだい}
「卑怯なッ!!💢」
{アハハハハ!! 何とでも仰いなww}
東京の現場に向かおうとした矢先、ベラドンナの紅虎によって動きを封じられてしまった牧村光平。果たして今、BRAVERSの東京オフィスでは何が起こっているのだろうか!?
つづく。
コメント
ご無沙汰しております。遂に紅虎さん始動‼晴真君を人質に取って光平君の動きを封じるあたり流石抜かりがありませんね。当面は俊一君と佳代ちゃんの奮戦で持ちこたえそうですが、人質となった報道部の面々を見せられて…、ということになりそうです。
急を聞いて駆けつけようとする千秋ちゃんの下に双璧が…、と来ればかなり胸アツな展開になりそうです。
彩人君も病身を押してエターナルライバルとして駆け付けようとするでしょうが、果たして美佳ちゃんという壁をこえられるんでしょうか?
> 急を聞いて駆けつけようとする千秋ちゃんの下に双璧が…、と来ればかなり胸アツな展開になりそうです。
そういえば千秋ちゃんの扱いを今回どうするか、まだ考えていませんでした(;^_^A アセアセ・・・
「どこか別の場所に出張中で、今回は不在」ということにして片付けるつもりでしたが、やっぱ出した方がいいですかね?
音祢ちゃんを人質にとられやむを得ず捕らわれの身となった詩郎くん、音祢ちゃんの反応に自分の忘れた過去がまた明らかに…ってとこで空気読めよ馬鹿累児…
そして、一般人をすんなり通してしまう割とザルセキュリティーのBRAVERS東京オフィスが入居している超高層ハイテクビルで、爆発事件が起きる!
…警備体制を少し見直した方がよろしいのではないでしょうか、牧村長官…あきらかに派手な不審者が侵入しとるやんけ!
>ビルの管制室のコントロールが何者かに奪われ、出入り口のシャッターが全て閉じられてしまったのだ。現在、BRAVERS東京オフィスが入居している階層エリアのみ人の出入りが出来ず、中にいる大勢の人間が閉じ込められてしまっている状況だ。当然言うまでもないが、安土市本部と東京オフィスを繋ぐ通信ラインも全て遮断されていて、向こうとの連絡も取れていない。
とりあえず警備責任者クビね…いきなり出発段階で重要施設がテロに襲われるとか…ってまあこの手のストーリーだとなぜかいきなりこんな不備が起きちゃうものなんですよね~
ここで一番のセキュリティーである長官自身が出動…ってところでいきなり水をさしたのは我らがお姉、紅虎様だった!
いきなりハッキングされたモニターに映し出されたのは縛られた弟のような存在の晴真くん!
「私は黒の革命軍・司令官よ。ヨロシクッ!」
なんかそれぞれのメンバーに洋酒の名前がついてそうな組織だな…まあベラドンナって名乗ったらマズいでしょうからね…
紅虎姉さんの言う通り、こんなチートがいきなり出張ってこられるとバランス崩れちゃいますからね~、大人しくしてもらうのが良いでしょう。
それにしても…ベラドンナだけでこんなテロ起こすわけないですし、裏で糸を引いている存在がいる筈ですが…いったい…やっぱりあのジジイかな…
> そして、一般人をすんなり通してしまう割とザルセキュリティーのBRAVERS東京オフィスが入居している超高層ハイテクビルで、爆発事件が起きる!
> …警備体制を少し見直した方がよろしいのではないでしょうか、牧村長官…あきらかに派手な不審者が侵入しとるやんけ!
もしこれが現実に起こった出来事でしたら、間違いなくトップである長官の引責辞任ものですが、フィクションの中のお話ですので、まあ大目に見てあげてください(;^_^A アセアセ・・・
> それにしても…ベラドンナだけでこんなテロ起こすわけないですし、裏で糸を引いている存在がいる筈ですが…いったい…やっぱりあのジジイかな…
ベラドンナにクリス誘拐を依頼したのは、果たしてMr.unknounなのでしょうか!? それとも…?
縛られた晴馬くんに萌えます❤
リンク先の登場人物紹介の晴馬くんも同じコーデでしたが、最近はこうしたコーデも食わず嫌いをしない大首領JUDOであります。
是非ともゼウスの少年隊員にスカウト・・・なんて(;^ω^)
> リンク先の登場人物紹介の晴馬くんも同じコーデでしたが、最近はこうしたコーデも食わず嫌いをしない大首領JUDOであります。
おっ!ついに大首領JUDO様のブログにおいても半ズボン少年が登場ですか!?
> 是非ともゼウスの少年隊員にスカウト・・・なんて(;^ω^)
外見容姿を除いたキャラクター設定だけでしたらご自由にお使いいただいても構わないのですが、キャラクターデザインの著作権は、ココナラで柏村晴真のデザインをしてくださったクロダ様にありますので、その点にご留意頂ければと存じます。寺瀬聖佳&詩郎姉弟のような一から(商用利用可の)画像生成AIで作ったオリキャラでしたら、いつでもご自由にお使いください。