BRAVERS EDITION　episode.10

撮影

「んっ、んんっ…」

あれから縛られたままアジトの地下牢に放り込まれていた天岸アンジェリカ愛優美。やがて天山桜桃がそこへやって来た。

「そろそろ時間です。出なさい」

桜桃は愛優美を牢から出し引っ立てて連行。そして辿り着いたのは、上の階にある撮影スタジオのような部屋だった。桜桃は愛優美の縄を解くと、別の服に着替えるよう彼女に命じる。

「…こ、これはボクの体操服じゃないか！？ 一体いつの間に！？」
「お喋りは無用です。さっさと着替えなさい。これから楽しい記念撮影の時間ですから」(￣ー￣)ﾆﾔﾘ

桜桃に強要されるがままに、いつも学校の体育の授業で着ている体操服に着替えさせられる愛優美。着替えが終わったのを見届けるや否や、すぐに桜桃は愛優美を有無を言わさず手際よく縛り上げていく。

「…いやっ、何をするの！？ 放してよ！！ んっ、んぐぐーっ！！」
「静かにしなさい！ 暴れても無駄ですよ！」

「んぐぐっ、んんーっ！！んむむーっ！！」

自分が縛られてもがく姿をビデオカメラに撮影され、訳も分からず困惑しながら不安な感情に駆られる愛優美。桜桃は愛優美の自宅から体操服の他にも彼女の私服を幾つか盗み出していた。繰り返しいろいろな衣服に着替えさせられながら、その都度縛り直されて拘束されている姿を撮影され続ける愛優美。

「んんんっ…んむむっ……（この人たち、いったい何を考えているの？ いつまでこんなことが続くの？ 怖い…誰か助けて……）」

恐怖で頭の中が混乱しながらも、桜桃たちの言うがままに従うしか術のない愛優美。しかしそんな永遠に続くかと思われていた時間も、シエロ・アスール共和国軍部の工作員たちが殴り込みをかけて来たことにより終わりを告げようとしていた。

仲間割れ

「おい貴様、いつまで経っても天岸アンジェリカ愛優美の身柄をこちらに引き渡さないとはどういうことだ！？ 契約違反だぞ！」
「契約…？ 契約なら一度きっちり果たしたではありませんか。一度身柄を引き渡した後で、その後彼女に逃げられたのはあなた方がマヌケだっただけ。今の天岸アンジェリカ愛優美は我々の獲物です。どうしても欲しいと言うなら追加料金を払っていただきましょうか？」
「何だと！？」
「私共の組織はタダでは技は売りませんので…」

愛優美の身柄を引き渡してほしければ対価を支払えという桜桃に対して、シエロ・アスール軍の工作員たちは逆ギレ。桜桃と大乱闘をおっ始めた。スタジオ内に銃撃音が飛び交う危険な状態の中、そこへ錦俺佳代やライオンレギウスたちブレイバーズが到着。

「そこまでだ！ お前たちは完全に包囲されているぞ！」
「…ブ、ブレイバーズだとッ！？ なぜここが分かった！？」

実は愛優美と一緒に捕まったと思われていた寺瀬詩郎の身体にはGPS発信器が取り付けられていたのだ。敵が偽の愛優美を使って詩郎を捕獲しようとしていたのは最初からブレイバーズ側にはお見通しで、まさに敵の裏の裏をかいたのであった。

「た、隊長！ あのメイドの女がいません！」
「くそーっ、あのアマ逃げたな―ッ!!💢」

天山桜桃は、工作員たちを置き去りにしてさっさと自分一人だけ逃げ果おおせたようだ。こうしてシエロ・アスール軍の工作員たちは生かしたまま一網打尽。国際犯罪の生き証人をブレイバーズに抑えられた形となったシエロ・アスール本国のフアレス大佐は、より厳しい立場へと追い込まれることになるであろう。

エピローグ

「詩郎のドジ！ 役立たず！ 本当に怖かったんだからね!!💢」
「悪かった。反省してる。次は君を絶対に今回みたいな目には遭わせない。約束する」
「…な、何よ。そんなに素直に謝られても困るじゃない。いつもみたいに言い返してみてよ！💦」

いつもは慇懃無礼な態度の詩郎に素直に謝られて、意外な反応にかえって困る愛優美。

「Pero en realidad me sentí un poco aliviado de que nos pillaran juntos. Gracias.（でも、一緒に捕まってくれて本当は少し安心してたんだ。ありがとう）」
「…ん？ 何か言ったか？」
「…べ、別に💦」

母方の母国のスペイン語で思わず本音を吐露した愛優美だったが、彼女は気づいていなかった。詩郎は言葉が分からないふりをしていたものの、実は彼はバイリンガルでスペイン語も理解できるということに…。記憶喪失とはいえ、そうした知識は彼の頭の中に残っていたようだ。

END

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