BRAVERS EDITION episode.51

BRAVE SUCCESSION
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※この作品はフィクションであり、実在の人物・団体・事件とは一切関係ありません。
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ブレイバーズ本部セントリネル・ハブ地下にある監獄から脱獄した黒百合ダークリリィは、逃走途中で獅場俊一の妹・楓花を人質に取り、部下の百合鴉と共に廃墟ビルに立て籠もった!

黒百合の要求

廃墟ビルは、Leonardo.AiのモデルDreamshaper v7で生成しました。

「えー、犯人に告ぐ犯人に告ぐ! 君たちは完全に包囲されている! 速やかに人質を解放し、武器を捨てて出て来なさ~い!」
「田舎のお母さんは泣いているぞ!」

黒百合たちが4階に籠城している無人の雑居ビルは、周囲を完全に警察のパトカーと機動隊に包囲されていたが、中にいる黒百合は「もし警察が突入して来たら、爆弾で人質を道連れに自爆する」と脅し、事態は膠着状態に陥っていた。

一方セントリネル・ハブでは、先に安土に帰していた沢渡優香錦織佳代に遅れること、ようやく与党要人との折衝を終えて来た長官の牧村光平が戻って来ていて、優香たちから事態の報告を聞いていた。海外の紛争地帯の平和維持活動に協力する任務に就いていた寺瀬詩郎稲垣千秋も急報を聞きつけ、それぞれ任地から大急ぎで日本に戻ってきている。

地下の監獄ブロックでは、黒百合が脱獄した逃走経路の鑑識作業が進められる中、ブリーフィングルームでは、みすみす目の前で妹を奪われた俊一が壁に拳を殴りつけて己の不甲斐なさを悔いていた。

「…くっ、俺が側についていながら、みすみす楓花をッ…!」
「俊一、お前だけのせいじゃない。何しろ相手はあの黒百合だ。」
「そうよ俊一! みんなで力を合わせて楓花ちゃんを助け出しましょう! ね?」

俊一に慰めの言葉をかける詩郎と千秋。一方籠城中の黒百合は、包囲中の警察にブレイバーズ長官・牧村光平との直接交渉を要求して来た。通信モニターを介して、長官室で黒百合と対峙する光平。

「お久しぶりね、正義の味方気取りのブレイバーズ長官の坊や」
「楓花ちゃんは無事なんだろうな?」
「勿論よ。何といったって私たちの身の安全を保障してくれる大事な保険だもの。丁重におもてなししているわ」
「単刀直入に言う。要求は何だ?」
「私は一度狙った獲物は決して諦めない主義なの。今日私が盗みそこなったゼログラビティスーツ2着、それに逃走用のヘリもセットで差し出してもらおうかしら?」
「俺の一存では今すぐには決められん。時間が欲しい」
「3時間だけ待ってあげるわ。それまでに必要な調整があるなら済ませなさい。言っておくけど、もし1分1秒でも遅れたら、その時点で人質の命はないわよ」

黒百合から要求を突きつけられた光平は、熟慮の末、要求を受け入れてゼログラビティスーツを引き渡すという苦渋の決断をする。しかし、それに真っ向から反対したのは意外にも俊一であった。

「長官! 長官は俺にブレイバーズを辞めさせるつもりですか!? 妹もブレイバーズ隊員の兄を持った以上、いざという時の覚悟は出来ているはずです!」

「まさか楓花ちゃんを見捨てるの!?」と口を挟む千秋。

「そんな訳ないだろ! 楓花は必ず俺の手で助け出す! みんなに迷惑はかけない!」
「すまないな俊一、一番辛いはずのお前の口からそんなことを言わせてしまうなんて、俺はブレイバーズ長官失格だな…」
「長官……」
「でも人の命には代えられない。ここは俺の命令に従ってくれ」

そこへ副長官の仲里深雪がやって来て、何事かを光平の小耳に囁く。

「光平くん、アスカロン財団の日置支部長が見えているわ。”至急長官にお目にかかりたい”んですって…」
「こんな時に…。分かりました。今行きます」

光平は急ぎ足で、来客の待つ応接間へと向かった。

会談

日置善和へき よしかず――ブレイバーズと並ぶ世界規模のスーパーヒーロー支援組織「アスカロン財団」の日本支部長である。実態は微妙ながら一応は協力関係となっているブレイバーズとアスカロン財団のやり取りの際は、基本的に彼がアスカロン財団側の窓口となっている。

「失礼、お取込み中でしたかな?」
「ご用件をお伺いします」

このタイミングでいきなりアスカロン財団の日本支部責任者が、アポなしでセントリネル・ハブに乗り込んで来たのだ。日置が何の目的で訪れたのかは、光平にはおおよその見当はついていた。

「おたくの隊員のお身内の方が、今現在ヴィランの人質となっているようですな?」
「さすがにご存知でしたか。現在、人質解放に向けて交渉中です」
「それで、犯人の要求はゼログラビティスーツの引き渡しですかな?」
「………」

光平の予感は見事に当たっていた。日置はブレイバーズに対して黒百合からの要求を吞まないように釘を刺し、ゼログラビティスーツの引き渡しを阻止しに来たのだ。

「牧村長官にも当然お分かりとは存じますが、ゼログラビティスーツの開発資金には我々アスカロン財団も出資しております。あれはあなたの私物ではない」
「勿論承知しています。しかし――」
「たとえ人質を見捨てることになっても、テロリストの要求には屈しない。これは国際常識です。ブレイバーズにも是非その精神で事態への対処に臨んでいただきたい。申し上げたいことは以上です」
「くっ……」

先手を打たれる形で動きを封じられ、歯噛みしながら立ち尽くしている光平に無言で軽く会釈をして静かに退室する日置。廊下をエレベーターホールに向かいながら、彼はこう独り言をつぶやいた。

「悪く思わんでくれよ。俺だって人質になっている女の子を見殺しにするような真似はしたくはねぇんだ。だが俺は言うだけのことは言った。あとはブレイバーズ若いもんのお手並み拝見だな…」

日置も決してただ非情なだけの人間ではなかった。しかし時には立場上、自分の本心とは異なることを言わればならない時もある。中間管理職の悲哀である。もしもブレイバーズが黒百合にゼログラビティスーツを引き渡そうとしたとしても、「自分は言うべきことは言ったから、あとは知らない」として黙認する心づもりでいたのである。ただ日置は、ブレイバーズが黒百合に対して全面的に白旗を揚げるつもりだとも思えないのであった。

次回、いよいよ楓花救出作戦開始!

つづく。


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コメント

  1. 旅鴉 より:

    楓花ちゃんを人質に廃墟ビルに立て籠った黒百合姐様と百合鴉嬢、今回は背景メインで楓花ちゃんの縛られた姿が拝めないのは残念ではありますね、

    >「田舎のお母さんは泣いているぞ!」

    黒百合姉様の田舎ってどこだよ!?

    そしてブレイバーズ本部のセントリネル・ハブには続々とブレイバーズの面々が戻って来る、そう言えば詩郎くんと千秋ちゃんの姿が見えないと思ったら、海外出張中だったんですね。

    そしてまた「…くっ」って状況な俊一くん、前回は千秋ちゃんで今回は妹の楓花ちゃん…最近マモレナカッタ…が多いが、その分強敵も増えてきてるってことでしょうね。

    >「何しろ相手はあの黒百合だ。」

    何だか詩郎くんの評価は高いですね黒百合姐様は、まあ前に一度やられてますからね。

    そしてその黒百合姐様は堂々と牧村氏と交渉、なんだかゼログラビティスーツに御執着、そして逃走用のヘリも…最近飛べるキャラが多くて麻痺ってましたが…黒百合姐様は一応人間の範疇に入ってましたね…

    そして牧村氏は要求を受け入れてゼログラビティスーツを黒百合姐様に引き渡す選択を、それに猛反対するのは妹を人質にとられている俊一くん、なんだか覚悟が決まってるようで。

    そんなバタバタしてるときにアポなしの来客…なんとそれは悲しき中間管理職、アスカロン財団日本支部長の日置善和氏だった!

    やっぱりゼログラビティスーツ…アスカロン財団が絡んでましたか、先を見越してゼログラビティスーツを渡さないように釘を刺しにくるとは、これは一体誰の意見なのでしょうかね?
    だが…牧村氏が見えなくなったところで日置のおやっさんがボソっと、

    >「悪く思わんでくれよ。俺だって人質になっている女の子を見殺しにするような真似はしたくはねぇんだ。だが俺は言うだけのことは言った。あとはブレイバーズ若いもんのお手並み拝見だな…」

    なにこのイケオジ、ちょっと格好良いオヤジに仕上がってますね日置善和、あえてイメージは上げてませんが、なんだかハードボイルドな感じになってますね。
    さて、次回ブレイバーズはどう動くか、気になるところですね!

    ちなみに、アスカロン財団のプロフィを読み直してみると、ちょっと誤字脱字が結構ありましたね…
    まあ、意味が通じるところはほっといて良いかなって思ってはいるのですが、

    「彼の一族の姓名と同じ竜殺しの聖剣アスカロンのように」って所の「姓名」ってところを「姓」に直して頂けるとありがたいです、「名」を余計につけてしまってたことに気づきました…

    • > 今回は背景メインで楓花ちゃんの縛られた姿が拝めないのは残念ではありますね、

      「縛られた楓花ちゃんの姿がセントリネル・ハブの長官室のモニター画面に映っている」という描写を入れようかどうか迷っているうちに、自分でも結局面倒くさくなっちゃったのか(⇦オイッ!!💢)、気がついたら該当シーンを入れないままシナリオを書きあげてしまってました。次回は必ず楓花ちゃんの緊縛挿絵を挿入しますので、どうかお許しを!🙇💦

      > 黒百合姉様の田舎ってどこだよ!?

      ツッコミありがとうございます。

      > これは一体誰の意見なのでしょうかね?

      アーロン会長か? それともレイチェル本部長か? 果たしてどちらなのでしょう?( ̄ー ̄)ニヤリ

      > なにこのイケオジ、ちょっと格好良いオヤジに仕上がってますね日置善和、あえてイメージは上げてませんが、なんだかハードボイルドな感じになってますね。

      今回はchatGPTに頼らず、久しぶりにほぼ自力で書いた文章だったので、決して非情なだけの人物ではないという日置氏のイメージがきちんとブログ読者様にも伝わるか心配でしたが、管理人の杞憂だったようでよかったです(;^_^A アセアセ・・・

      > 「彼の一族の姓名と同じ竜殺しの聖剣アスカロンのように」って所の「姓名」ってところを「姓」に直して頂けるとありがたいです、「名」を余計につけてしまってたことに気づきました…

      修正しておきました。よろしければご確認くださいませ。

  2. JUDO より:

    前回に続き、こちらでも黒百合&百合鴉のコンビが大活躍?で嬉しい限りですね(^▽^)/
    画像のような数階建ての廃ビルを見るたびに色々と妄想してしまうのは、当方だけですかね?勿論、監禁&脱出の妄想なわけで・・・(;^_^A

    • > 前回に続き、こちらでも黒百合&百合鴉のコンビが大活躍?で嬉しい限りですね(^▽^)/

      鳳様原案のオリキャラとJUDO様原案のオリキャラ、異なる二つ以上の創作サイトのクロスオーバーを実現できて、管理人も感無量です。

  3. bakubond より:

    >「えー、犯人に告ぐ犯人に告ぐ! 君たちは完全に包囲されている! 速やかに人質を解放し、武器を捨てて出て来なさ~い!」
    「田舎のお母さんは泣いているぞ!」

     定番の説得パターンとはいえ、二人がこれに応じるタマではないことを知る我々からすれば間が抜けている印象は拭えませんね。旅鴉様の突っ込みも納得です。

     黒百合&百合鴉のコンビの要求は予想通りのゼログラヴィティスーツの引き渡し。そこへアスカロン財団の日本支部長の日置善和氏が‼事態を把握したうえで要求に応じるなと釘を刺すあたりなかなか食えない印象を与えてますね。最後のセリフに込めた管理人様の想い、私も受け止めました。

    >さて、次回ブレイバーズはどう動くか、気になるところですね!

     両手の花がゼログラヴィティスーツを着用して登場‼
    「要求通りに来たわ。着て来るなとは言ってなかったわね。欲しければ腕ずくで来ることね」
    というのは少しリスキーですかねえ。その前にはクリス君との
    「まだテストは終わってません、危険です‼」
    「ならここで実戦テストをすればいいじゃない‼」
    「私からもお願いするわ‼」
    というある意味定番なやり取りも入りそうです。

    • > 着て来るなとは言ってなかったわね。

      バレちゃいましたか(;^_^A アセアセ・・・
      ネタバレになりますが、実はクライマックスはその展開でやろうと考えてました。

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