北関東某県にある蛇ノ谷村の公営キャンプ場へと合宿にやって来た、鷺島国際大学のテニスサークル「Seabreeze Aces」のメンバーたちだったが、2年の白川澪が大庭竜二と田淵毅の二人組に拉致されてしまうが、柏葉美佳と黒瀬律によって無事に保護される。しかし先日の集中豪雨の土砂崩れによって道路は寸断され、蛇ノ谷村は完全に孤立してしまう。さらに今度は2年の南條陽菜と1年の高槻紗季が大庭たちによって拉致され、早乙女陽飛も捕らえられてしまった。
※chatGPTで生成した文章に、一部編集を加えております。
蛇神神社――囚われの佐伯瑛人
蛇ノ谷村の山深く、鬱蒼と生い茂る木々に囲まれた蛇神神社。
昼なお薄暗い境内には、風に揺れる木の葉の音だけが響いていた。
その境内の奥にひっそりと建つ、古びた本堂。その内部で、一人の青年がゆっくりと意識を取り戻した。
「…………う……」
佐伯瑛人は、重たいまぶたを開いた。
ぼんやりとした視界に映ったのは、黒ずんだ木の天井と、ところどころに染みの浮かんだ古い木造の壁だった。
「………」
瑛人はしばらく呆然としていたが、やがてはっとしたように周囲を見回した。
――こ、ここは……?
見覚えのない場所だった。
床板は古びていて、壁際には用途の分からない木箱や、埃をかぶった祭具らしきものが置かれている。どうやら、古い神社の建物の中らしい。
そこで瑛人は、ようやく自分が置かれている状況を思い出し始めた。
――そうだ! 俺、陽飛先輩に頼まれて、みんなのところへ戻ろうとして……!
早乙女陽飛の指示を受け、テニスコートへ応援を呼びに戻る途中だった。
蛇神神社の前を通りかかった際、周囲の異様な雰囲気に気を取られた。そして、木々の陰に潜んでいた、蛇の頭を持つ鎧武者の姿を目撃したのだ。
逃げようとした瑛人だったが、次の瞬間には、その怪物がすぐ背後に迫っていた。
そこから先の記憶は、途切れ途切れだった。
「………!」
瑛人は慌てて上半身を起こした。
――こんなところで油を売ってる場合じゃない……!
早乙女陽飛が待っている。廃工場に囚われているかもしれない南條陽菜や高槻紗季も心配だ。何より、仲間たちのもとへ戻り、廃工場の場所を知らせなければならない。
すぐにでもここを出なければ!
(よっ……と!)
瑛人は床に手をつき、立ち上がろうとした。
しかし――。
「……んっ?」
身体に力を込めても、思うように動かない。
「んんっ……? むぐぐっ、うぐうぅぅ~!!」
そこで初めて、瑛人は自分の身体に異変が起きていることに気づいた。

両手が背中側で固く縛られている。
両足にも縄が巻きつけられ、自由に動かすことができない。さらに、口には布を押し込まれ、猿轡を噛まされていたのだ。
「んむぐっ!? むぐぐっ、んむううううっ!!」
瑛人は目を見開き、必死に身体をよじった。
手首を動かし、足をばたつかせ、何とか縄をほどこうと試みる。しかし、縄はきつく結ばれており、少しも緩む気配がなかった。
もがけばもがくほど、縄が手首や足首に食い込んでいく。
「んむっ……! んんんっ……!」
やがて瑛人は、荒い息をつきながら動きを止めた。
――くそっ……! どうなってるんだよ、いったい……!
焦る気持ちを抑え、瑛人は必死に考えた。
自分を捕まえたのは、あの蛇の顔をした鎧武者だ。気絶した自分を、この本堂まで運び込んだのだろう。
だが、なぜ自分を捕らえたのか。
そして、あの怪物は何者なのか。
そもそも、ここは本当に蛇神神社の本堂なのだろうか。
考えれば考えるほど、分からないことばかりだった。
その時――。
キン……キン……キン……。
「……!?」
どこからか、金属を打ち鳴らすような音が聞こえてきた。
一定の間隔で響く、硬質で不気味な音。
瑛人はびくりと肩を震わせた。
――な、何の音だ……?
恐る恐る、音のする方へ顔を向ける。

すると、少し離れた場所に置かれた石の台の前で、あの蛇武者が刀を研いでいた。
蛇の頭部。古びた甲冑。全身から漂う、ただならぬ威圧感。
怪物は片手で刀を支え、もう片方の手で研ぎ石を動かしていた。刀身が石に触れるたび、乾いた金属音が本堂の中に響き渡る。
キン……キン……キン……。
刀身には、薄暗い室内のわずかな光が反射していた。
瑛人は、喉の奥がひゅっと縮むのを感じた。
――ま、まさか……あの刀で……!
何に使うつもりなのか。
自分を脅すためなのか。それとも――。
考えたくもない想像が、頭の中を駆け巡る。
その時、蛇武者がふと手を止めた。
そして、ゆっくりと顔を上げる。
蛇のような眼差しが、まっすぐに瑛人を捉えた。
「――ッ!!」
視線が合った瞬間、瑛人の全身が凍りついた。
逃げなければ。
そう思っても、手足は縛られ、声を上げることすらできない。
「ん――っ! んん――――っ!! むぐぐぅ――――っ!!!」
瑛人は必死に呻いた。
助けてくれ。
誰か、ここから出してくれ。
その声にならない叫びは、蛇武者のいる本堂の中に虚しく響くだけだった。
……いや。
正確には、ただ一匹だけ、その異変に気づいている者がいた。
◇ ◇ ◇
本堂の外。
狛犬像の陰に、黒い体毛に覆われた小さな生き物が身を潜めていた。

リスのようにも見えるが、普通の動物とはどこか違う。つぶらな瞳と特徴的な体つきは、魔法の世界からやってきた妖精――カーバンクルのそれだった。
クロエルである。
クロエルは、先ほどから本堂の様子を窺っていた。
実は彼は、気絶した瑛人が蛇武者によって本堂の中へ担ぎ込まれるところも、しっかりと目撃していたのだ。
「…………」
クロエルは狛犬の陰から、慎重に本堂の入口へと視線を向けた。
中からは、かすかに人の呻く声と、刀を研ぐ金属音が聞こえてくる。
――やはり、あの青年は捕らえられているか。
クロエルは眉間にしわを寄せた。
蛇神神社で何かが起こっている。それも、単なる人間同士の争いでは済まない、尋常ならざる事態が進行しているようだった。
しかし、今の自分が正体を明かして正面から乗り込んだところで、何が起こるか分からない。
何より、彼にはすぐに知らせるべき相手がいた。
――美佳に伝えなければならないな。
クロエルは、もう一度だけ本堂を振り返った。
助けを求める瑛人の声は、まだ微かに聞こえていた。
「…………」
今は、ルミナを呼ぶのが先だ。
クロエルは狛犬像の陰からそっと抜け出すと、境内の木々の間を駆け抜けていった。
目指すは、柏葉美佳のもと。
蛇神神社に潜む怪異の正体を探るためにも、そして囚われた青年を救い出すためにも、星彩のルミナの力が必要になるかもしれなかった。
だが、彼らはまだ知らない。
この神社の奥に潜むものが、村全体を揺るがす事件と、どこまで深くつながっているのかを――。
◇ ◇ ◇
村の定食屋――指名手配犯のやりたい放題
一方その頃、蛇ノ谷村の小さな定食屋では、二人の男がテーブルを占領していた。

「はぁ~~っ! 食った食った!」
大庭竜二は、満足げに腹をさすりながら、空になった丼をテーブルに置いた。
彼の前には、焼き肉丼とラーメンのセット。どちらもきれいに平らげられ、丼の底が見えていた。
向かい側では、田淵毅がラーメンの最後の一口をすすっている。
「ズズッ……ぷはぁ! いやぁ、こんなド田舎の定食屋にしちゃあ、なかなか美味かったッスね、兄貴」
「だろ? 腹が減ってちゃ、まともに頭も回らねえからな」
大庭は満足げに笑い、椅子から立ち上がった。
「よし、それじゃあボチボチ戻るとするか……」
「あいよ、兄貴!」
二人が店の出口へ向かおうとした、その時だった。
「あ、あのぅ……お客様」
店の主人が、おずおずと二人に声をかけた。
「お代の方を……お願いできますでしょうか?」
大庭の足がぴたりと止まった。
「……あぁ?」
ゆっくりと振り返った大庭の顔から、先ほどまでの満足げな表情が消える。
「てめえ、今なんつった?」
「い、いえ、その……お食事のお代を……」
店主は顔をこわばらせながらも、何とか言葉を続けた。
すると、大庭はわざとらしく目を見開いた。
「ハァ!? てめえ、俺たちから金を取ろうってのか!?」
「そ、そんな……! お代をいただくのは当然で……」
「俺たちが誰だか知ってて言ってんのか?」
田淵が横から凄みを利かせた。
「俺たちは指名手配中の凶悪犯だぞ! 警察がここまで来られねえことくらい、知ってんだろうな!?」
「ひっ……!」
店主の顔から血の気が引いた。
大庭は腕を組み、鼻で笑った。
「そういうこった。俺たちに逆らわねえ方が身のためだぜ?」
「で、でも……」
「まだ何か文句があんのか?」
大庭が一歩近づく。
店主はびくりと身体を震わせ、それ以上何も言えなくなってしまった。
「へへっ。最初からそうしてりゃいいんだよ」
大庭は勝ち誇ったように笑い、田淵を促して店を出ていった。
「ごちそうさん!」
「……あ、あの……!」
店主のか細い声は、二人の耳には届かなかった。
残された店主は、呆然としたまま空になった丼を見つめるしかなかった。
指名手配犯が村に潜伏している。
その情報は、すでに村中に知れ渡っていた。
しかし、村へ通じる唯一の国道は土砂崩れで寸断されている。県警の応援が駆けつけることもできず、電話も携帯電話も通じない。
そんな状況を、大庭と田淵は最大限に利用していた。
食事代を踏み倒すだけではない。
気に入った品物を店から持ち去り、文句を言う者がいれば脅しつける。自分たちが指名手配犯であることすら隠そうとせず、むしろそれを恐怖の道具として振りかざしていた。
かくして、平穏だったはずの蛇ノ谷村は、二人の凶悪犯によって一種の無法地帯と化しつつあったのだった。
◇ ◇ ◇
村の交番――定年間近の巡査長
村の中心部にある、古びた小さな交番。
その前には、数人の村民が集まっていた。
皆、一様に怒りと不安を顔に浮かべている。
「いつまであの無法者を放っておくんだ!」
「そうだ! アンタ、それでも警察か!?」
「店で食い逃げをしたうえに、逆らったら脅すなんて……このままじゃ商売もできやしない!」
次々と飛んでくる苦情に、交番の中にいた井出巡査長は、困り果てたように額の汗を拭った。
定年間近の高齢の警察官である井出は、長年この村の交番に勤務してきた。
だが、平穏な田舎暮らしに慣れきっていた彼にとって、今回のような凶悪犯が絡む騒動は、まさに頭の痛い問題だった。

「そ、その……皆さん、落ち着いてください……!」
「落ち着いていられるか!」
一人の村民が、井出の胸元を指さした。
「その腰にぶら下げている拳銃は飾りか!?」
「ひぃっ……!」
井出は思わず肩をすくめた。
「い、いや、そう言われましても……私は警察官生活四十年、拳銃なんて一回も発砲したことはないんですよ……💦」
「そんなことは聞いてない!」
「だったら、あの二人を何とかしてくれ!」
村民たちの怒声が、狭い交番の中に響き渡る。
井出は何度も口を開きかけては閉じ、どう答えたものかと視線を泳がせた。
相手は指名手配中の凶悪犯。しかも二人組で、これまでに誘拐や窃盗、強盗致傷などの罪を重ねている。
自分一人で正面から対峙するのは、危険が大きすぎる。
かといって、何もせずにいるわけにもいかない。
井出はしばらく考え込んだ末、ようやく口を開いた。
「と、とにかく……通行止めが解除されて、県警の応援が駆けつけるまで、村民の皆さんは不用意に外出しないでください」
「な、何だと?」
「指名手配犯を刺激しないようにしていただきたいんです。相手は何をするか分からない危険な連中ですから……。いいですね?」
井出は、何とか落ち着いた声を装ってそう告げた。
だが、村民たちの表情は晴れなかった。
「つまり、応援が来るまで何もできないということか……」
「そんな……いつまで我慢すればいいんだ……」
不満と不安が入り混じった声が、交番の中に広がっていく。
井出は返す言葉を失い、ただうつむくしかなかった。
四十年にわたる警察官生活。
それでも、拳銃を抜かなければならないような事態には一度も遭遇しなかった。
その平穏な経歴が、今になって裏目に出ているのかもしれない。
しかし、今の蛇ノ谷村には、彼以外に警察官はいない。
村民たちは不安を抱えたまま、指名手配犯の横暴に耐えるしかなかった。
そして森の奥では、蛇神神社の本堂に囚われた青年が、助けを求める声すら上げられずにいる。
廃工場には、三人の大学生が捕らわれている。
さらに、村のどこかには、まだ誰も知らない不穏な企みが潜んでいた。
外部との連絡手段を絶たれ、逃げ道も塞がれた蛇ノ谷村。
その小さな村を覆い始めた暗雲は、もはや単なる土砂崩れの災害だけでは済まされないものになりつつあった――。
(つづく)
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