連続誘拐 閉ざされた村の夏 第3話

Seabreeze Aces

北関東某県にある蛇ノ谷村の公営キャンプ場へと合宿にやって来た、鷺島国際大学のテニスサークル「Seabreeze Acesシーブリーズ エーシズ」のメンバーたちだったが……。

一方その頃、柏葉美佳黒瀬律の二人も蛇ノ谷村を訪れていた。

※chatGPTで生成した文章に、一部編集を加えております。

ひと汗かいた後は――?

 蛇ノ谷村の公営キャンプ場。

 夏の午後、森の中に設けられたテニスコートでは、鷺島国際大学のテニスサークル――**Seabreeze Aces(シーブリーズ・エーシズ)**のメンバーたちが、合宿初日の練習に汗を流していた。

 蝉の声が木々の向こうから降り注ぎ、時折、山間を吹き抜ける涼しい風がコートを横切っていく。

「よしっ!」

 パァン!

 ラケットから放たれたボールが、鋭い音を立てて相手コートへ飛んでいく。

 打ち返したのは副キャプテンの羽柴蒼真だった。

「ナイス、蒼真くん!」

 ネットの向こうから白川澪が声を上げる。

「澪、もう一本!」

「任せて!」

 澪が軽快にボールを返す。

 対する海老名碧斗は素早くネットへ詰めると、タイミングを合わせてラケットを振った。

「――そこ!」

 パシッ!

「うわっ、海老名のボレー速い!」

 蒼真が思わず声を上げる。

「まだまだ!」

 桐谷茜も負けじとサーブを構えた。

「いくよ、碧斗くん!」

「オッケー、茜!」

 再びコートに軽快な打球音が響く。

 合宿とはいえ、Seabreeze Acesは大学の正規体育会系テニス部とは違う。

 もちろんテニスそのものは真面目に楽しむ。

 しかし、勝利至上主義というわけではない。

 テニスを通じて仲間と交流し、大学生活を楽しむ。

 それが、このサークルの基本的なスタンスだった。

 とはいえ――。

「……ふう」

 しばらくして、ゲームが一区切りついた。

 蒼真が額の汗をタオルで拭う。

「いやー、暑いっスね」

「夏だからな」

 そう答えたのは、初心者指導担当の三年生、伏見湊だった。

 ライトグレーのテニスポロシャツに眼鏡。

 落ち着いた雰囲気の彼は、コートの様子を眺めながら小さく息をついた。

 その表情には、何か気に掛かっている様子がある。

「……おい、羽柴」

「はい?」

 蒼真が振り返る。

 湊は少し困ったような顔で尋ねた。

「風間と新海さんを知らないか?」

「あれ?」

 蒼真は周囲を見回した。

「そういえば見てないなぁ……」

 確かに、黄色いウェアを着た風間悠磨新海美羽の姿がない。

「二人とも、どこ行ったんだろ?」

 そのときだった。

「あの……」

 コートの入口から、一年生の藤堂咲耶が顔を出した。

「風間先輩と新海先輩なら、フィールドアスレチックの方に行くって言ってましたよ」

「フィールドアスレチック?」

 蒼真が目を丸くする。

「……まさか」

 湊が額に手を当てた。

 蒼真は苦笑する。

「やれやれ、しょうがないなぁ~、あの二人は」

テニスコートでの羽柴蒼真、藤堂咲耶、伏見湊は、Dreamina: Create realistic talking avatars with AI avatar generatorで生成しました。

「羽柴」

 湊がじろりと蒼真を見る。

「はい」

「お前も副キャプテンなら、今回の合宿の意図をきちんと同じ二年生に周知してもらわないと困るぞ」

「……はい」

「いくらウチが体育会系の正規テニス部と違って、お気楽なテニスサークルとはいえ――」

 湊はコートの中を見渡す。

「俺たちはここに、テニスをしに来たんだからな」

「どうもすみません……」

 蒼真は苦笑しながら左手で頭を掻いた。

 その様子を見ていた咲耶が、眼鏡の位置を直しながら小さく笑う。

「羽柴先輩、頑張ってください」

「咲耶ちゃんまで……」

 そこへ、隣のコートから二人の一年生がやって来た。

アスレチックの話に興味津々な様子の佐伯瑛人と高槻紗季は、Dreamina: Create realistic talking avatars with AI avatar generatorで生成しました。

「フィールドアスレチックっスか?」

 爽やかな笑顔を浮かべているのは佐伯瑛人

「なんだか面白そうッスね」

 その隣では、高槻紗季が目を輝かせている。

「私たちも行ってみましょうよ!」

「えっ?」

 蒼真が振り返る。

「いや、だから今ちょうど湊先輩が――」

 蒼真は湊を見る。

「……いいですか、湊先輩?」

「やれやれ、お前たちもか」

 湊は呆れたように肩をすくめた。

「しょうがないなぁ。三神には俺から話しておくよ」

「ホントですか?」

「ああ。行って来い」

 そして、湊は人差し指を立てた。

「ただし、四時には夕飯の支度を始めるから、それまでには戻って来いよ」

「ありがとうございます!」

 蒼真が頭を下げる。

「ほら、瑛人、紗季ちゃん、咲耶ちゃん。行こう!」

「はい!」

「楽しみですね!」

「……なんだか、私まで行く流れになってません?」

 咲耶は苦笑しながらも、結局三人についていく。

 湊はそんな後輩たちを見送りながら、ぼそりと呟いた。

「……まあ、たまにはいいか」

 そして再びテニスコートへ目を向ける。

「ただ、あいつらが帰ってきたら、ちゃんと練習はしてもらわないとな」


アスレチックにて

 一方、その頃。

 テニスコートからほんの少し離れた場所にある、キャンプ場併設のフィールドアスレチック。

「うおおおおっ!」

 ジャングルジムの上から、風間悠磨の楽しそうな声が響いていた。

「美羽! 見てくれよ! 俺、こんなところまで登れたぞ!」

「すごーい!」

 下から新海美羽が拍手する。

「じゃあ、次は私!」

「えっ、ちょっと待てって!」

 美羽はそう言うなり、近くの滑り台へ走っていった。

「それじゃ――」

 タタタッ!

「いっきまーす!」

 シュウウウッ!

「きゃははははっ!」

 滑り台を勢いよく滑り降りる美羽。

 着地すると、そのまま振り返って悠磨へ手を振った。

「悠磨も早く!」

「よーし!」

 悠磨もジャングルジムから降りようとする。

アスレチックで遊ぶ風間悠磨と新海美羽は、Dreamina: Create realistic talking avatars with AI avatar generatorで生成しました。

 そこへ――。

「お~い、お前ら!」

 聞き慣れた声が響いた。

「そんなところで何やってんだ~!?」

 悠磨が顔を上げる。

 そこには蒼真たちが立っていた。

「――あっ!」

 悠磨の顔がぱっと明るくなる。

「羽柴!」

 そして大きく手を振った。

「みんなもこっち来いよ!」

 蒼真は腰に手を当てる。

「お前らなぁ……!」

 だが、悠磨はまったく悪びれる様子がない。

「こっち、すげー面白いぞ!」

 美羽も満面の笑顔で叫ぶ。

「とっても楽しいよ♪」

「……お前らなぁ」

 蒼真が呆れたように息を吐く。

「湊先輩、怒ってたぞ~!」

「えっ?」

 美羽が一瞬だけ固まった。

「……怒ってた?」

「うん」

「……」

 美羽は悠磨を見る。

 悠磨も美羽を見る。

 二人の視線が交差する。

「……まあ、いっか!」

「いいんだ!?💦」

 蒼真が思わずツッコむ。

「だって楽しいんだもん!」

 美羽は笑顔のまま、再び滑り台へ向かう。

「ほら悠磨、もう一回やろう!」

「おう!」

「待て待て待て!」

 蒼真が慌てて追いかける。

 しかし――。

「うわっ、これ面白そう!」

 瑛人まで別の遊具に目を奪われた。

「紗季、あれ見て!」

「本当だ!」

 紗季も興味津々。

「……おい、お前らまでかよ」

 蒼真が頭を抱える。

 すると咲耶が静かに口を開いた。

「羽柴先輩」

「ん?」

「せっかく来たんですから……」

 咲耶は目の前のアスレチックを見上げた。

「少しくらい遊んでもいいんじゃないでしょうか?」

「咲耶ちゃんまで!?」

 蒼真が驚く。

「だって……楽しそうですし」

 そう言って、咲耶もほんの少し笑った。

「……まあ、確かに」

 蒼真は苦笑する。

「じゃあ……ちょっとだけな」

「やったー!」

 美羽が歓声を上げる。

「羽柴、あれ一緒にやろうぜ!」

 悠磨が手招きする。

「はいはい、分かったよ!」

 蒼真もとうとう観念した。

 こうして――。

 本来ならテニスの合宿であるはずの一行は、いつの間にかフィールドアスレチックで遊び始めることになった。

「うわっ、蒼真さん、そこ危ないですよ!」

「大丈夫大丈夫!」

「羽柴先輩、右側から行った方がいいです!」

「分かった!」

「蒼真くん、頑張って!」

「澪まで応援するなよ!」

「茜、碧斗くん! こっち来て!」

「俺たちは後から行くって!」

 森の中に、大学生たちの笑い声が響き渡る。

 真面目にテニスをするはずだった合宿初日。

 しかし、この時ばかりは誰もが童心に返っていた。

 ――ただし。

 この楽しいひとときの裏側で、蛇ノ谷村には、彼らがまだ知らない異変が静かに忍び寄っていた。

 そして彼らが楽しそうに遊ぶフィールドアスレチックのさらに奥。

 深い森の向こうには――。

 村人たちが「決して近づくな」と恐れる、蛇谷神社がひっそりと佇んでいた。

ノクタの陰謀

 そこは、現実世界のどこにも存在しないかのような、奇妙な空間だった。

 天井も壁も判然としない暗闇の中に、ただ一つ、紫色の光を放つ巨大な水晶玉が浮かび上がっている。

 水晶玉を載せた重厚な台座の前には、黒と紫を基調とした異様な玉座が据えられていた。

 その玉座に、少女が一人。

 黒いドレスに身を包み、紫色の瞳を細めながら、まるで自分こそがこの空間の女王であるかのように悠然と腰掛けている。

 ――常闇のレギーナ=ノクタ

 その姿は、年端もいかない少女でありながら、纏っている雰囲気には不思議な妖艶さと威圧感があった。

 玉座の脇には、一匹の黒猫が座っている。

 その名はルナフィリス

 かつて異世界で魔導士として生きていたものの、長い年月の果てに堕落し、今や猫の姿となった存在だ。

 そして、そのさらに後方には――。

 巨大な黒い身体を持つ異形の男が、腕を組んで無言で立っている。

 赤と黒の装甲じみた衣装に身を包み、頭部には角を思わせる意匠のマスク。

 忠実なる用心棒、ヘル=ギガース

 その正体は、かつてプロレス界で「マッド・ボルケーノ」のリングネームを名乗り、悪役レスラーとして名を馳せた岩動剛である。

 もっとも今の彼にとって、華やかなリングは遠い過去のものだった。

 現在は建設現場や解体現場を転々とする日雇い労働者。

 そんな彼が、なぜこの異様な少女の用心棒を務めているのか。

 その事情を知る者は、ここにはいない。

 ――否。

 知ろうともしていない。

 彼ら三人の視線は、ただ一点。

 目の前の巨大な水晶玉へと注がれていた。

蛇神神社の祠の様子を映し出す水晶玉を見つめている、黒猫ルナフィリス、常闇のレギーナ=ノクタ、ヘル=ギガースは、Dreamina: Create realistic talking avatars with AI avatar generatorで生成しました。

 水晶玉の中には、深い森に囲まれた古びた神社が映し出されている。

 蛇ノ谷村。

 その奥にひっそりと鎮座する、蛇神神社。

 そして、その社殿のさらに奥。

 木々の間に隠れるように建つ、小さな祠。

 そこには、この土地で古くから「蛇神様」と呼ばれてきた存在が眠っている。

 しばし水晶玉を眺めていたルナフィリスが、ふと口を開いた。

「今度は、どんな仕掛けで遊ぶつもりなのかしら? ノクタ……」

 猫の姿には似つかわしくない、妖しげな女の声だった。

 ノクタは玉座の肘掛けに頬杖をつき、くすりと笑う。

「決まってるじゃん」

 紫色の瞳が、楽しそうに細められた。

「――星彩のルミナを、もう一度立ち上がらせるのさ」

「……立ち上がらせる?」

「そう」

 ノクタは玉座から立ち上がると、水晶玉へとゆっくり歩み寄った。

 そこに映る祠を見つめながら、彼女は独り言のように続ける。

「前回の戦いで、ルミナちゃんはアタシに完膚なきまでに叩きのめされた」

 その言葉には、奇妙な恍惚が混じっていた。

「今のルミナちゃんは、まだアタシにどう反撃すればいいのかも分からない。身も心もズタズタ……ってところかな」

 ルナフィリスは尻尾をゆらゆらと揺らす。

「だったら、そのまま放っておけばいいじゃない。せっかく勝ったんだもの」

「ダメだね」

 ノクタは即答した。

「いつまでも塞ぎ込んでいられちゃ困るんだよ」

 振り返った少女の顔には、狂気じみた笑みが浮かんでいた。

「ルミナちゃんには、もう一度立ち上がってもらわなきゃならない」

「……あなた、本当に変わっているわね」

「褒め言葉として受け取っとくよ」

 ノクタは肩をすくめる。

 彼女が望んでいるのは、単純な勝利ではない。

 ルミナを倒し、永遠に敗北させることでもない。

 むしろ、その逆だった。

 ――自分を倒すために、何度でも立ち上がってほしい。

 ――限界まで追い詰められたルミナが、それでもなお自分に立ち向かってくる姿を見たい。

 そして最後には。

 自分自身が、そのルミナによって打ち倒されたい。

 それこそが、常闇のレギーナ・ノクタ――佐々倉紫乃の抱く、歪んだ「聖戦」の終着点だった。

 だからこそ、彼女はルミナを壊してしまうことを望まない。

 ギリギリのところまで追い詰め、それでもなお立ち上がる姿を見届けたいのだ。

 その瞬間こそ、自分がもっともルミナを身近に感じられる。

 ノクタにとって、それ以上の幸福はなかった。

「そのために……」

 ノクタは水晶玉に映る祠を指差した。

「ここに眠ってる蛇神様を、ちょっとばかり利用させてもらうのさ」

 ルナフィリスが水晶玉へ視線を戻す。

「でも来るかしら? ルミナが」

 そして、少し意地悪そうに続けた。

「そう都合よく、あなたのところへ来てくれるとは限らないでしょう?」

 ノクタは一瞬だけ黙った。

 だが――。

「来る」

 短い言葉だった。

「……」

「ルミナちゃんは、必ず来る」

 それは願望ではなかった。

 確信だった。

 ルナフィリスが小さくため息をつく。

「まったく……どこからその自信が出てくるのやら」

「アタシはね、ルミナちゃんのことなら何だって分かるんだよ」

 ノクタは胸を張る。

 しかし、ルナフィリスはそんな彼女を横目で見ながら、ふと思い出したように口を開いた。

「……でも」

「ん?」

「ルミナが来る前に、またあのヴァルダーとかいう例のブリキ缶詰がしゃしゃり出てくるんじゃなくて?」

「…………」

 空気が変わった。

 ノクタの笑顔が消える。

「……チッ」

 少女の口から、露骨な舌打ちが漏れた。

「ヴァルダーか……」

 紫色の瞳が鋭く細められる。

「――あの身の程知らずのブリキ野郎ッ!!」

 拳を握り締める。

 ノクタにとって、重機装士ヴァルダーは明確に目障りな存在だった。

 首都圏に現れて以来、悪と戦うスーパーヒーローとして派手な活躍を続けるヴァルダー。

 その一方で、メディアで星彩のルミナが取り上げられる機会が以前より減ってきたように、ノクタには感じられていた。

 もちろん、それが実際にどの程度の変化なのかなど、彼女にとってはどうでもいい。

 問題は――。

 ヴァルダーが、ルミナとの戦いに割って入る可能性があること。

「せっかくのルミナちゃんとの聖戦を、あんなブリキ野郎に邪魔されてたまるか……!」

 ノクタの顔に、不敵な笑みが戻っていく。

「……でもね」

 彼女はくるりと振り返った。

「今回は抜かりがない」

 ルナフィリスが片耳をぴくりと動かす。

「ほう?」

「ブリキ野郎対策は、ちゃーんと用意してある」

 ノクタは指を一本立てた。

「一重じゃない」

 二本目。

「二重でもない」

 三本目。

「――三重だ」

 その言葉に、ルナフィリスがニヤリと笑った。

「随分と念入りね」

「当然だろ?」

 ノクタは再び水晶玉へ向き直る。

「今回ばかりは、ヴァルダーには蛇ノ谷村へ近づかせない」

 そして、後方に立つ巨漢へ視線を向けた。

「なあ、ギガース」

「……」

 ヘル=ギガースが顔を上げる。

「いざとなったら――」

 ノクタは口角を吊り上げた。

「お前にも出張ってもらうぜ?」

 しばしの沈黙。

 やがてギガースは、低く短く答えた。

「……承知!」

 重い声が、暗闇の中へ響き渡る。

 その返事を聞いたノクタは、満足そうに笑った。

「よし」

 再び水晶玉へ目を向ける。

 そこに映っているのは、何の変哲もない静かな祠だった。

 木々は風に揺れ、古びた社殿はただ静かに佇んでいる。

 しかし――。

 その地下深く。

 長い、長い眠りについている「何か」が存在している。

 ノクタには、それが見えているようだった。

「さあ……」

 少女は呟く。

「そろそろ目を覚ましてもらおうか」

 紫色の水晶玉が、ぼうっと明滅した。

 その瞬間。

 祠の奥から――。

 ほんの僅かに。

 何かが蠢いたように見えた。

 ノクタは、それを見逃さなかった。

「……フフッ」

 その顔に、嬉しそうな笑みが浮かぶ。

「待っててね、ルミナちゃん」

 それは、敵に向ける言葉とは思えないほど優しかった。

「今度こそ――」

 そして彼女は、静かに言った。

「アタシのところまで、這い上がってきてよ」

 暗闇の中、水晶玉だけが不気味な紫色の光を放ち続けていた。

(つづく)

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