鉄面卿の挑戦　第2話

　神出鬼没の大怪盗・鉄面卿が、会社社長・川上雄太郎氏（60）の邸宅に予告状を送り付けて来た！

　川上社長が所蔵する時価十数億円もするアマゾンの秘宝『ナイルターザの腕輪』を今夜頂戴するという。武智探偵が出張中で不在の中、咲間警視から出動要請を受けた相馬晴彦たち武智探偵事務所の学生探偵たちも警察と共に警備に当たるが、腕輪を奪われるのを阻止した代わりに、イサム=ルワン=ラーティラマートが鉄面卿に誘拐された！

真衣との出会い

「…き、君はいったい！？」💦
「んんーっ！！んんーっ！！」

　監禁部屋から脱出した先で縛られていた制服姿の女の子を発見したイサム。すぐにその女の子を助け出した。

「助けてくれてありがとうございます。ところで、あなたは誰…？」
「僕はイサム=ルワン=ラーティラマート。学生探偵さ」
「私は広田真衣といいます。お願いです！ 父を助けてください！」

　少女の名前は広田真衣。やはり東京都内在住の女子高生だった。数日前に考古学者の父と共に鉄面卿に誘拐されたのだという。

「すると君は、数日前に失踪した考古学者の広田博士のお嬢さんかい？」
「父をご存知なんですか！？」
「いや…ニュースで見て知ってるだけだ。しかしなぜ鉄面卿は君たち父娘を？」
「父は私を人質に取られて、鉄面卿に無理やり協力させられているんです！」

　真衣の話によると、広田博士は古代アマゾン文明に関する何らかの研究を手伝わされているらしい。

「古代アマゾン文明か……。鉄面卿が狙っているナイルターザの腕輪も古代アマゾン文明に由来する代物だ。これは何か関係がありそうだな」
「父がいる研究室まで案内します。ついて来てください！」

父娘の再会！？

「お父さん！」
「真衣！？ どうしてここに！？」

　あっさり広田博士の場所まで辿り着いたイサムと真衣。どうやら博士は無事なようだ。

「この人が助けてくれたの！」
「君は誰かね？」
「武智探偵事務所のイサム=ルワン=ラーティラマートと言います」
「武智…??　おおーすると君は、あの名探偵の武智恭介氏のお弟子さんかね！？」
「広田博士、鉄面卿はここで博士に何をさせていたんですか？」
「うむ、実は…」

　広田博士の話によると、鉄面卿はこの部屋に博士を監禁し、娘の真衣を人質に取って古代アマゾン文明の隠された遺跡の在処を示した古文書の解読を強要されていたらしい。そして遺跡の扉を開くためには、どうしても鍵としてナイルターザの腕輪が必要なのだった。

「なるほどな。それで鉄面卿はナイルターザの腕輪を狙っていたのか…」
「ねえお父さん！ 早くここから逃げましょう！」
「そ、そうだな…」
「僕が先頭に立ちます。お二人は僕の後ろについて来てください！」

　イサムが先頭に立ち、アジトの出口に向かって歩き始めようとしたその時、広田博士は手近にあった花瓶を掴んでイサムの後頭部を思いっきり殴ったのであった。

「…ど、どう…して……!?」

　イサムは気を失って倒れてしまった。驚く真衣。

「お父さん！ どうしてイサムさんを！？」
「フフフッ…」
「ち、違うッ…あなたはお父さんじゃない！！」

　なんと広田博士は、鉄面卿が変装していた偽物だったのだ！

「キャアアッ！！」
「おっと、どこへ行くのかね？」(￣ー￣)ﾆﾔﾘ
「イヤァァァッ！！放してェェェッッッ！！」

　鉄面卿は悲鳴を上げて逃げようとする真衣の腕を掴んで捕まえた。そこへアジトに怪しい者が侵入したとの警報が鳴り響く。

「フハハハハハ！！ どうやらあちらも獲物が罠にかかったようだなww」

そして晴彦と梨奈も罠に！

　イサムのGPS信号を頼りに、横浜市内の郊外にある廃ビルの中へと足を踏み入れた相馬晴彦と雨宮梨奈。

「梨奈、油断するなよ！」
「晴彦もね！」

　そう言った矢先から、いきなり床に開いた落とし穴の罠に嵌ってしまう二人。

「うわァァッッ!!」
「キャアァァッッ!!」

　こうして4人の学生探偵の内、3人が鉄面卿の手に落ちた。
　果たして明日の貿易協定調印、さらには鉄面卿が予告した明後日のナイルターザの腕輪再奪取。
　この立て続けの窮地を学生探偵たちは見事乗り切ることができるのか！？

つづく。

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