埼玉県立琥珀高等学校に転入してきた謎の転校生・寺瀬詩郎。そして以前から仄かに恋心を抱く綾塚音祢が詩郎と妙に親しそうにしている様子に焦りを抱く逢沢彩人。彩人が危機感を抱く理由はそれだけではない。というのも、親友の妹でサバゲ―仲間の柏葉美佳の証言によれば、蛇神山で美佳を捕まえた悪党一味の一人が詩郎とよく似ていたというのだ!
彩人VS詩郎 テニス対決!
寺瀬詩郎の正体を怪しみ、その素性を突き止めようと毎日放課後に尾行を繰り返す逢沢彩人。しかしいつも途中で詩郎に撒かれてしまうのであった。
そんな詩郎が彩人と同じ男子テニス部に入部し、なんと彩人と練習試合することに。
熱い太陽が輝くテニスコートで、男子テニス部の練習試合が行われる。彩人と詩郎が対戦することになった日、特別な空気が漂っていた。部員仲間たちも興味津々で、二人の熱い対決を見守っている。
彩人は心の中で勝利を誓い、テニスラケットを握る手に力を込めた。彼の視線は真剣そのもので、詩郎との戦いを燃え上がらせていく。
一方の詩郎も真剣勝負に臨み、彩人との対戦に意気込んでいました。微笑むことが少ない詩郎の顔にも、この試合を楽しみにしている様子が見て取れたのだった。
試合が始まり、彩人と詩郎は見事なテニス技術を競い合った。球を追いかけるスピードと正確さ、そして鮮やかなショットの数々。彼らの息の合ったプレーに、周囲からも拍手がわき起こる。
激しいラリーが続く中、彩人がボールを強打しましたが、詩郎は見事なスマッシュで返球した。さらに彩人の返球を詩郎が巧みに打ち返すシーンが続く。二人の闘志がぶつかり合う中、試合は激しい展開を見せる。時には彩人がリードし、時には詩郎が逆転を果たすなど、見応えのある展開が続くのだった。
激しいラリーが続く中、結果は詩郎が見事なスマッシュを決め、試合は詩郎の勝利で終わった。彩人は少し落胆していたが、彩人に近づいてきた詩郎は彼を認めるかのようにこう言ったのだった。
「お前、なかなかやるな。素晴らしい試合だったよ。確か逢沢って言ったっけ。また次の試合でも戦ってくれるよな?」
彩人も満足げに微笑みながら言い返す。「次は必ず勝つよ、待ってろ寺瀬!」
その瞬間、彩人は自分の中で何かが変わった気がした。試合を通じて、詩郎との間に友情が芽生え、彼との競い合いが楽しいものに変わっていったのかもしれない。彩人は自信を持ち、改めて綾塚音祢への想いに向き合う勇気を得た気がするのだった。
尾行
さて、詩郎との良きライバル関係を築きつつも、あくまでもそれはそれ、これはこれ。まだ彩人は詩郎への警戒心を全て解いたわけではない。今日も放課後の校舎裏でスタンバイしていた彩人は、未だ正体不明の詩郎の行動を突き止めるために尾行を試みていた。しかし、詩郎の動きが予測できず、今日も彩人は彼の姿を見失ってしまう。あれから毎日これの繰り返しだ。心の中で焦りを感じながら、彩人はふと後ろから声をかけられてびっくりした。
「逢沢くん、こんなところで何をしているんですか?」と、懐かしくも可愛らしい声が背後から響く。
振り返ると、そこには綾塚音祢が立っていた。彩人は顔を赤らめながら、彼女に対して尾行のことを誤魔化す言葉を探る。
「あ、綾塚さん、あの、ちょっと何かを探していて……」
彩人はどうにか言い訳をつらぬくが、音祢は微笑んで彼を見つめる。
「逢沢くん、ここ最近、いつも放課後何か変ですけど、本当に大丈夫なんですか?」
「ほ、本当に大丈夫だよ。心配かけてゴメン💦」
「それじゃあ、せっかくだからお茶しませんか? 近くによく行く喫茶店があるんです」
彩人は思いもかけぬ音祢からの提案に、心が躍る。「それは嬉しい!じゃあ、行こう!」
喫茶店「LILY」
学園通りにあり、学生たちに人気のある喫茶店『Lily』である。琥珀高校の生徒の他、近くの鷺島国際大学に通う大学生たちもよく利用している。喫茶店の扉が軽く開く音と共に、彩人と音祢は店内に足を踏み入れた。店内は落ち着いた雰囲気で、柔らかい光が照らされたテーブル席が並んでいる。
彩人は三つ編みのヘアスタイルをした若い女性店長の美しい容姿に思わず目を奪われ、ほんのりと顔を赤らめてしまう。音祢も彩人の様子に気付いて微笑ましく笑っている様子。
店長は愛想よく笑顔で二人を迎えた。
「いらっしゃいませ。音祢ちゃん、今日はボーイフレンドを連れているの?」
「もうっ、優姫さんったら! 逢沢君はそんなんじゃありません」( ⸝⸝•ᴗ•⸝⸝ )テレテレ♪
揶揄われた音祢は少し照れながら否定する。それを横で聞いていた彩人は何か少し残念そうだ。
「ところで今日は侑衣梨さんはいないんですか?」
「ごめんなさい。今日彼女は急な用事で出払っているの。だから今日はこの店にいるのは私一人よ」
どうやらいつもはいるもう一人の店員さんが、今日は急用とやらで不在らしい。店長さん一人で店を切り盛りとは大変だな、と彩人は思った。
「逢沢くん、紹介します。こちら、この喫茶店Lilyの店長で鷹松優姫さんです」
「逢沢彩人と言います。よろしくお願いします」
「店長の鷹松です。そう畏まらないで。今日はお店も空いてるから、どこでもお好きな席へどうぞ」
「メニューは何がおすすめですか?」
店長の優姫は微笑みながら言った。「特におすすめは、こちらの自家焙煎コーヒーと、本日のケーキセットですよ。どちらも当店自慢の味です」
彩人は迷わず、少し緊張しながらも注文を告げる。「では、自家焙煎コーヒーをお願いします」
音祢も彩人に続いて注文をしました。「私は紅茶をお願いします」
優姫は若いながらもベテラン店長らしくが優雅に頷く。「かしこまりました。お飲み物はすぐにお持ちしますね」
彩人と音祢は席に着き、優姫の背中姿を見送りながら少し緊張した雰囲気で目を合わせた。
彩人は緊張をほぐすように微笑んで言いました。「綾塚さん、ここは落ち着いた雰囲気がいいね。初めてのデートとかにもってこいだよ。」
彩人のさりげなく放った「デート」という言葉にこそ無反応だったが、音祢も笑顔で返す。「確かに、素敵な雰囲気ですね」
ここで彩人は心の内を打ち明ける決意をして、緊張しながら言葉を切り出した。「実は、綾塚さんに相談したいことがあって……」
危機に陥った3人
彩人は、実は寺瀬詩郎を尾行していたことを音祢に正直に告白した。
「どうしてそんなことを…!」と音祢はショックを隠し切れない様子だ。
「でも、綾塚さん。なぜ寺瀬が琥珀高校に転校してきたのか、それが気になって……」
彩人は言葉を続けるが、音祢は「詩郎くんが怪しいとはとても信じられない」と言う。
「分かったよ、綾塚さん。でも、もう少し距離を置いて、寺瀬をじっくり観察してみたいんだ。それでいいかな?」
粘り強い説得が効いたのか、音祢は納得したように微笑んだ。
「分かりました。逢沢くんのペースでいいから、焦らずに詩郎くんと向き合ってくれればと思います」
「ありがとう、綾塚さん!」
音祢も彩人に気の済むまで詩郎のことを調べさせれば、いずれは彼の詩郎に対する疑念も晴れて、彼の潔白も証明されると思ったのだろう。そんな時、ふと気がついたように音祢は左手首の腕時計に視線を向ける。
「大変!もうこんな時間! 逢沢くん、ごめんなさい。わたし、これから家に帰ってから大事な用事があって……」
「…あ、うん、分かった。今日はお茶に誘ってくれてありがとう。また明日、学校で」
こうして割り勘で先に支払いを済ませた音祢と別れた彩人だったが、音祢が店から出た数秒後、彼女の「キャアアッ!!」という悲鳴が店の中まで響いてきた!
何事か!?と驚いて様子を確認しに店の外へ出た彩人と優姫が見た光景とは、2人組の男によって今にもワゴン車で連れ去られようとしていた音祢の姿だった!
「んんー!んんー!!」
「お前ら、綾塚さんに何をするんだ!」
「彼女を今すぐ放しなさい!!」
「チッ、現場を見られちまったか…」
「こうなったらしょーがねぇ。コイツらも一緒に連れて行くか!」
「おいお前ら、そのまま下手に騒がずに、一緒に車に乗り込んで俺たちと一緒に来るんだ! さもないとこの娘の命はないぞ!」
音祢を人質に取られては言うことを聞くしかない。抵抗を諦めた彩人と優姫、そして音祢ら計3人を乗せたワゴン車はいずこかへ走り去って行った。そしてその一部始終と無人となった喫茶店Lilyの様子を遠くから密かに窺っていた寺瀬詩郎。
「アイツらは一体何者なんだ? うちの傘下じゃなさそうだが…」
詩郎の口ぶりだと、どうやら音祢たちを誘拐したのはおかめ党ではないようだ。詩郎はすぐに配下の戦闘員を呼び出し指示を出した。
「今のワゴン車の跡をつけて、行先を突き止めろ」
「キキー!!(了解!!)」
つづく。
コメント
ドリュアデスと詩郎編スタートですね
愛しの音祢ちゃんに何やら親しくする男が現る、突然のライバルの出現にヤキモキする彩人くん、まあ気持ちは解りますが…
自分はハーレム系より見る砂糖が好きなので、2人を温かい目で見守ってましたが…こうゆう障害があるのもまた良いですね~
>親友の妹でサバゲ―仲間の柏葉美佳の証言によれば、蛇神山で美佳を捕まえた悪党一味の一人が詩郎とよく似ていたというのだ!
記憶消しとらんのか~い、割と抜けてますねあの紫頭は…
色々疑惑のあるライバルキャラを毎日ストーキングする割とヤバい奴になりかけてる彩人くん、ですがやっぱりド素人の尾行ではあっさり撒かれてしまいますね~
そしてなんと、詩郎くんがテニス部に入部!?
練習試合で熱戦を繰り広げる2人…はい確実に手を抜かれてますね、まあサイボーグ野郎が本気出したらスパイファミリーみたいなテニヌになっちゃいますからね(笑
これで夕焼け番長のごとく勝負の後で友情を深め合った2人…彩人くんちょろ!
…っと思ったら、まだまだ詩郎くんを警戒する彩人くん、馬鹿ではないです。
そしていつものごとく詩郎くんを尾行してたらまさかの音祢ちゃんと遭遇、
まさか音祢ちゃんからのお茶の誘い、おい、顔にやけてないかボーイ?
喫茶店は…『Lily』!
はいきました~、待ってましたよ、最近全然姿を見せなかったので寂しかったですよ優姫さん!
さて…自分的には前も言ってましたが優姫さんと音祢ちゃんと接点を持たせたいと思ってたので嬉しいのですが、彼女の正体を音祢ちゃんはご存じってことでしょうか?
そしてなんだか成り行きでデートみたいなことになっている彩人くんですが(残念音祢ちゃんには自覚なし)、浮かれてばかりいられない、ここで思い切って詩郎くんに疑念を持っていることを打ち明ける…
ああ…選択肢間違えたかな~って思ったのですが、音祢ちゃんも激怒することなく冷静に聞いてくれているようで安心しました。
さて、話も一段落したところで用事を思い出した音祢ちゃんが席を立つ…ここで痛恨の選択ミス、割り勘ではなく男らしく奢っておけば良かった…
店出た瞬間に何者かに襲われる音祢ちゃん、そして音祢ちゃんを人質にとられ誘拐犯に従わざるおえなくなった彩人くんと優姫さんの2人、とうとうおかめ党が動き出したのか…
>「アイツらは一体何者なんだ? うちの傘下じゃなさそうだが…」
どうやら別勢力のようですね…いったい何者なのか、そして何を目的に音祢ちゃんを誘拐しようとしてるのか、次に明かされることでしょうね…
そして…店に帰ってきたら誰もおらず…なにがなんやら、どうする笹南侑衣梨!?
> 喫茶店は…『Lily』!
> はいきました~、待ってましたよ、最近全然姿を見せなかったので寂しかったですよ優姫さん!
長らく鷹松優姫の出番をお待たせしてしまい、申し訳ございませんでした。
今回の彼女は、刑事スタイルではなく私服スタイルでの姿がメインになります。
綾塚音祢ちゃんの制服スタイルのイラストと共にお楽しみください。
> 彼女の正体を音祢ちゃんはご存じってことでしょうか?
おそらくまだ知らないでしょう。でも今回のエピソード編でバレる可能性も…。
> そして…店に帰ってきたら誰もおらず…なにがなんやら、どうする笹南侑衣梨!?
果たして、今回侑衣梨婦警の出番はあるのでしょうか?(実を言うとまだ決めてません💦)