名探偵・武智恭介の謎の失踪に始まり、悪の組織ベラドンナの狩人・紅虎に誘拐されていた雨宮梨奈は、偶然監禁場所の近くを通りかかった小学生の朝霧尋紀に助けられるが、仲間のイサム=ルワン=ラーティラマートに化けた演劇部によって再捕獲されてしまった。
再捕獲
「んんーっ!! んんんむぅぅーっ!!」
「んんっ!! んぐぅぅ~~ッ!!」
「んんむむぅ!!」
一緒にいた尋紀や本物のイサムと共に、再びベラドンナに捕らえられてしまった梨奈。やがて紅虎も小屋にいるブラザーズに合流して来た。
「よくやったわブラザーズ。アンタたちにしては上出来よ。ムショから脱獄して来たのは伊達じゃなかったみたいね」
「この麻酔針と吹き矢がなかったら、さすがの俺たちでも危なかったッスよww」
母国の軍特殊部隊にも籍を置き軍事訓練を受けているイサムがブラザーズに容易に捕らえられてしまったのは、一瞬の隙を突かれて麻酔針を撃たれたからであった。
「ところで演劇部はどうしたの?」
「もう帰りましたよ。何か向こうもいろいろ忙しいらしいッス」
「あらそう…。挨拶くらい交わして行こうかと思ったんだけど、それは残念ね。それでは、さてと……」
紅虎は梨奈の猿轡を外した。
「さてお嬢さん、さっきの質問の続きだけど…」
「何度聞いたって無駄よ! 私もイサムくんも何もしゃべらないわ」
「それはもういいわ。それは諦めました」
「えっ…?」
紅虎の意外な答えにキョトンとなる梨奈。
「その代わり、武智探偵事務所に案内してくれないかしら? どうせ他の貴女の仲間たちもこの近辺まで来ていて、今貴女たちを必死に探しているんでしょう? つまり今なら武智探偵事務所は誰もいない無人でもぬけの殻。あの軍事施設並みにセキュリティ厳重な探偵事務所の中に、是非ともアタシたちを入れてほしい訳💓」
「ふざけないで! そんなこと出来るわけないでしょ!」
「イヤなら今度こそ本当に痛い目に遭ってもらうことになるわよ。アタシは本当は若くて美しい貴女たちを傷つけたくはないの。でも仕事だからねぇ…。ビジネスの世界では私情を押し殺して割り切らなきゃいけないこともあるわけ。分かる?」
「脅したって無駄よ。私もイサムくんも探偵の端くれよ。いざという時の覚悟は出来てるわ!」
「そうでしょうね。でも関係ないのに勝手に首を突っ込んで来たこの子ならどうかしら?」
紅虎はニヤニヤ笑いながら、縛られている尋紀の方へと近づく。
「んっ、んんむっ!!」((((;゚Д゚))))ガクガク
「やめて! 尋紀くんは関係ないじゃない!」
「そんなこと知ったこっちゃないわ。さあて坊や、恨むならわざわざ助けてやったのに自分を見捨てようとしているこの強情なお嬢さんを恨んでね」( ̄ー ̄)ニヤリ
紅虎は拳を握って、本気で尋紀を殴ろうとする仕草を取るが――
「待って! 分かったわ…。事務所の中へは案内する。だからその子にひどいことはしないで!」
「フフフッ…素直で助かるわ。よしっ、それじゃあ直ちにここを引き払うわよ!」
捜索
一方、イサムと手分けして梨奈の行方を捜索していた相馬晴彦と不破詩織は、同じく野球ボールを探しに行ったまま帰って来ない友達の朝霧尋紀を心配する小学生の友貞稜太、譜久里知世と偶然出会い、一緒に仲間を探していた。
「お~い詩織、本当にこの辺りで間違いないんだよな?」
「間違いないのです。最後に梨奈との連絡が途絶えたのはこの裏山の辺り。すなわちこの近辺のエリアに梨奈がいるのは間違いないのです」
「いつの間にかイサムもどっかにいなくなっちまうだなんて、いったいどうなってるんだ…💦」
4人で懸命に裏山の森の中を捜索する中、稜太が何かを見つけたらしく大声で叫んで知らせて来た。
「晴彦さ~ん! 詩織さ~ん! こっちに怪しい小屋がありましたよぉ~!!」
「本当か!? よしっ、行ってみよう!」
稜太が見つけたのは、ついさっきまで梨奈、イサム、尋紀の3人が紅虎たちに捕まっていた小屋であったが、晴彦たちが中に踏み込んだ時、すでにそこには誰もおらず、もぬけの殻であった。
「晴彦くん、見てください!」
詩織が一本の抜け落ちた若い女性のものらしき長い毛髪を拾って、晴彦に見せる。
「きっと梨奈の髪なのです」
「さっきまでここに梨奈がいたつてことか…。くそっ、一足違いだったか…!」
「もしかしたらイサムくんや尋紀くんもここに捕まっていたのかもしれないのです」
その時、稜太と知世が何か小さな音が鳴っていることに気がついた。
「何か聞こえるわ…」
「何だろ。チクタク言ってるのは?」
「――まずいッ!! みんな、急いで外に出るんだッ!!💦」
仕掛けられた時限爆弾によって、一瞬で跡形もなく木っ端みじんに吹き飛んでしまった小屋。果たして晴彦たちの運命は?
つづく。
コメント
ブラザーズ、ゴツくなっただけでなくあの方の口調までうつったような気が…。それはともかく尋紀君を人質に武智探偵事務所への潜入といい、小屋に突入した後に爆破といい、あちこちに決戦へのフラグが立っているように見えるのは気のせいではなさそうですね。未だに姿を見せぬ武智氏。果たしていずこに‼
> ブラザーズ、ゴツくなっただけでなくあの方の口調までうつったような気が…。
元々ブラザーズは石鼠姐さんの舎弟ポジションで体育会系口調でしたから、某おかめ党首領と言葉遣いが似ているのは偶然でしょう(;^_^A アセアセ・・・
> あちこちに決戦へのフラグが立っているように見えるのは気のせいではなさそうですね。
まだまだ決戦には早すぎるかと…。ベラドンナの大ボスである魔女が今回まだ姿を現していませんからね。魔女が姿を見せるまで、武智探偵も決して姿を現さないでしょう。まさに武智探偵と魔女の根競べなのです。
いくら軍事訓練を受けているとはいえ、騙し討ちで捕らわれるとはまだまだ若いですねイサムくん、まあブラザーズは一応捕獲のプロですからね。
さて、武智氏の消息を探るのは諦めた紅虎の次の手は、武智探偵事務所へ入り込むこと、軍事施設並みにセキュリティ厳重な探偵事務所っていったい…
だがどこかの姫様のように拷問では簡単には屈しない梨奈ちゃんとイサムくんだが、ただの一般ピープルの小学生の尋紀くんでは話は別、紅虎さん素敵に卑劣ですね!
尋紀くんに乱暴すると脅され、しぶしぶ武智探偵事務所へと紅虎達を案内することとなった梨奈ちゃんとイサムくん…
そして、2人の消息を絶った梨奈ちゃんとイサムくん達を探して2人が監禁されていた小屋まで辿り着いた、晴彦くんと詩織ちゃん、そして…尋紀くんのお友達の稜太くんと、知世ちゃん…
2人がいた梨奈ちゃんがいた形跡は見つかったものの、一歩遅かったことに気づく…が、落胆する間もなく小屋が爆発、証拠隠滅も抜かりなしですね紅虎さん。
まあ爆発は生存フラグでしょうから大丈夫でしょうが、事務所は今もぬけの殻ですね、どうなることやら…
> さて、武智氏の消息を探るのは諦めた紅虎の次の手は、武智探偵事務所へ入り込むこと、軍事施設並みにセキュリティ厳重な探偵事務所っていったい…
紅虎の次なる狙いは、武智探偵事務所にあるパソコンの中の機密データを盗み取ること。これまで武智探偵が解決してきた数々の難事件の中で表には出ていない部分の重要な秘密情報も含まれており、きっとベラドンナにとっては喉から手が出るほど欲しい宝の山の筈です。
> 2人がいた梨奈ちゃんがいた形跡は見つかったものの、一歩遅かったことに気づく…が、落胆する間もなく小屋が爆発、証拠隠滅も抜かりなしですね紅虎さん。
しかし、ここで詩織まで爆殺してしまった(と思い込んでいる)紅虎さん、後で「しまった! やっちまった!💦」と後悔することに…。
綺麗なお姉さんと少年の連縛・・・美少女同士の連縛と並んで好きなパターンかも・・・
アジト(隠れ家)に仕掛けられた爆弾でドカン!!・・・は、きっと生きているパターンでよろしいんでしょうね(;^ω^)
> 綺麗なお姉さんと少年の連縛・・・美少女同士の連縛と並んで好きなパターンかも・・・
以前に尋紀くんは美空ちゃんとも一緒に誘拐されて縛られたことがありましたから、綺麗なお姉さんと一緒に悪人に捕まることは、きっと彼にとって生まれ持った天性なのです(^^♪
> アジト(隠れ家)に仕掛けられた爆弾でドカン!!・・・は、きっと生きているパターンでよろしいんでしょうね(;^ω^)
はい、勿論です。しかしここで詩織まで一緒に吹き飛ばしてしまった(と思い込んでいる)ことは、後で武智探偵事務所のパソコンから機密データを奪取しようと企む紅虎さんにとってきっと困ることになるでしょう。