宿命の対決

詩郎の裏切り

　おかめ党最高幹部・寺瀬詩郎は、ついに同じ高校のクラスメイトである綾塚音祢を人質に取り、ミラージュＸこと逢沢彩人に一対一の直接対決を望む挑戦状を叩きつけた！

「んっ、んんっ…!!」
「悪いな綾塚、大人しくいい子にしていれば危害は加えない。もう少しの間だけ辛抱していてくれ」

　木に縛り付けられている音祢と、それを見張るバトルサイボーグモードの詩郎。やがてそこへ挑戦状を受け取った彩人が駆けつけて来た。

「見損なったぞ寺瀬！ お前は綾塚さんにだけは手は出さないと信じていたのに!!」
「甘いな逢沢、俺はあくまで悪の組織おかめ党の幹部なんだ。今までお前たちと馴れ合っていたのも、全てはお前たちを利用するためだったに過ぎない」
「黙れ！ 綾塚さんの信頼を裏切ったお前を俺は決して許さない！」
「フッ…いよいよ決着をつける時が来たようだな。さあ、どこからでもかかって来な!!」

　すかさず彩人はミラージュＸに変身。バトルサイボーグ詩郎との激しい死闘が開始された！

「んんーっ！！んんーっ！！（やめてー！！二人ともやめてー！！）」

　二人が戦うのを必死に止めようと懸命に呻き声を挙げる音祢だったが、如何せん猿轡が嵌められているため、その声が戦闘中の二人に届くことはない。

城島美蘭の介入

　しかしその激闘は、あっけなく終結の時を迎えた。

「ミラージュ・エルボー・クラァァッッシュ!!!!!!」

「ウギャアアッ!!!!」

　突然、天空から急降下して来た城島美蘭の強烈な一撃によって、寺瀬詩郎は撃沈したのである。強い衝撃で地面にのめり込んだ詩郎だったが、何とか地上に這い出て来た。

「…て、てめぇ!! 漢同士の一対一の対決に横から何しやがるッ!?💦」
「あ、貴女は城島さん!? どうしてこんなところに!?」
「あんたバカァ？ もう上司の顔を忘れちゃったわけ？💢」
「…えっ!? 上司って……いや待てよ、城島美蘭……じょうしまみらん……上司ミラー……ミラージュ上司……ﾅﾝﾀﾞｯﾃ━━━━━━(； ･`д･´)━━━━━━ｯ!!!!!!」

　その通り、何を隠そう謎の転校生美少女・城島美蘭の正体は、ミラージュ星人の上司ことミラージュ星治安維持局隊長・ツィズンルア=トンヤ=バレレナ=プニュロサその人だったのである！

「只者ではないと思っちゃいたが、てめえがミラージュ星人の親玉って訳か。ちょうどいい。まとめて片付けてやるぜ」
「ꉂꉂ(˃ᗜ˂*)ｱﾊﾊ あんた本気でアタシに勝てるとでも思ってんの？ ちょー受けるんですけどぉー？」
「ふざけやがって!!💢 さっきたまたま不意打ちが成功したくらいで調子にのんな！ その軽口を叩いたことを後悔させてやるぜ!!」
「まあ待ちなさいよ。アンタをぶちのめすのは簡単なんだけどさ、こっちは上層部からアンタを生け捕りにしろって言われてんのよねぇー。まずはこの映像を見てくれる？」

　ミラージュ上司が指パッチンすると、空中にスクリーンのような映像が映し出された。なんとそこには！？

「ハァ！？ 何言ってんのよ！ かの正義のヒーローのレジェンド大先輩、仮○○イダー1号と2号も、磁〇団長とヨロイ〇士を縛り上げて人質に取ってマ〇ーン大〇帥を脅迫してるじゃない。業界関係者ならそんなこと常識っしょ？」
「…く、くそぉッ!!」_|￣|○ｶﾞｯｸｼ･･

　がっくりと崩れ落ちる詩郎。ミラージュ上司に論破され、完全に戦意を喪失した。

「さあＸ、ボサッと突っ立ってないで、さっさと寺瀬詩郎を逮捕して」
「…えっ？💦 あ、は、はい！…寺瀬詩郎、誘拐監禁の現行犯でお前の身柄を拘束する」

こうして寺瀬姉弟は、その身柄をミラージュ星の裁判所に送られることとなったのである。

あっさり帰って来た詩郎

　一夜明けて、朝のホームルーム前の埼玉県立琥珀高校の教室。

「逢沢くん！ 詩郎くんはこれからどうなるんですか！？」
「いや、それには何とも……💦」
「私、詩郎くんには縛られた以外は何もひどいことはされていません！ きっと詩郎くんにもいろいろとやむを得ない事情があるんです！」

　自分を誘拐した詩郎を必死に庇い、何とか彼の罪を軽くすることは出来ないか？と彩人に訴える音祢。それを傍で聞いていた柏葉章介は「お人好しが過ぎる」と呆れ気味だ。だがそこへ詩郎が何事もなかったかのように登校して来た。

「よっ、おはよう！」
「…て、寺瀬!?💦 お前何で学校に!?」
「この裏切者。よくもぬけぬけと俺たちの前に顔を出せたな？」
「フッ、随分とご挨拶だな柏葉」(￣ー￣)ﾆﾔﾘ
「待ってください柏葉くん！ どうか詩郎くんを責めないで！ 詩郎くんもすぐに喧嘩腰になっちゃダメです！」

　一触即発になりそうな雰囲気を間に入って必死に宥める音祢。そこへ詩郎に続くように城島美蘭も現れた。

「城島さん、詩郎くんは結局どういうことになったんですか！？」
「どうもこうもないわよ。おかめ党って悪の組織を標榜する割には最近何も悪事らしい悪事を働いてないでしょ？ そこに未成年であることも加味されて、お姉さん共々仮釈放されて保護観察処分になったわ」
「釈放！？ よかった…これで詩郎くんも聖佳さんも自由なんですね？」
「ま、一応監視はつけさせてもらうけどね♪」
「フン、おめでたい奴らだぜ。俺たちおかめ党は決して世界征服を諦めたわけじゃないからな！」
「いいんです。この私がいつか必ず詩郎くんを悪の道から更生させてみせます！」
「綾塚さん……」(´･ω･`) ｼｮﾎﾞｰﾝ

　どうやら綾塚音祢の周辺は、まだまだ賑やかな状況が続きそうである。

END

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