新メンバー加入編　後編

亜沙美を救え！

鷺島国際大学の報道部は、同じ大学の芸能音楽学部ダンス＆ヴォーカル学科に通う１年生の漆崎亜沙美から、アイドルデビューを夢見る若者たちを騙して大金を巻き上げるという悪徳芸能事務所の悪事の証拠を掴んでほしいと依頼された。早速その芸能事務所への監視を始める報道部の面々だったが、依頼主であるはずの亜沙美が勇み足で、その悪徳プロダクションの男たちに捕まってしまうのだった。

亜沙美の危機を察知した報道部カメラマンの小寺洸介と同じく部員の鳳凰院優は、同じ部のチームディレクターの桜庭陽平にも連絡を取り、芸能プロダクションの入っているオフィスビルへと踏み込んだ！

「小寺！ 漆崎さんが奴らに捕まったっていうのは本当か！？」
「間違いない！ 彼女はこのドアの中にいる！」

いざ事務所の中に踏み込もうとする洸介たちだったが、ドアには鍵がかかっていた。

「すみませ～ん！ 誰かいませんか！？」
「仕方ない。ドアを蹴破るぞ！」

洸介と陽平が二人がかりの同時タックルでドアを強引に蹴り破って開けると、3人は亜沙美の姿を探して中へと乗り込む。

「漆崎さ～ん！ いたら返事をしてくれ～！」
「もうここには誰もいないのかしら…」
「おい小寺、こっちに怪しい部屋があるぜ！ 来てくれ！」
「分かった！」

陽平が見つけた建物内の隅の目立たない扉を開けると、そこは倉庫になっていて、中で縛られて猿轡を噛まされ監禁されていた亜沙美の姿を発見した！

「んっ、んん～んむむぅぅ…」

「漆崎さん！？」
「よかったぁ、無事だったんだな！」
「待ってて、今すぐ解いてあげるから！」

優たち3人の手によって、亜沙美は口の猿轡を外され手足の縄も解かれた。

「ふぁー、助けてくれてありがとう。一時はどうなることかと…。あっ、でも大変！ 早く追いかけないと、事務所の社長がお金を持って海外に逃げちゃうわ！」
「大丈夫さ、もう警察には通報してある」

その後、悪徳芸能事務所の社長は成田空港で海外便に乗る寸前だったところを警察によって逮捕され、騙し取られたお金も全て被害者のもとに戻ったのであった。

エピローグ

「この間は本当にありがとう。お礼に来ました～！」

数日後、亜沙美がお土産を持って報道部にお礼に訪れた。

「あっ、それは数時間も行列を並ばないと手に入らないという和鈴堂の高級羊羹！？」
「もうっ、手に入れるのに苦労したんだからね～♪」
「わざわざありがとう。よかったら一緒に食べましょう？」
「うん、じゃあお言葉に甘えて♪」

優がお茶を入れて、亜沙美も交えた4人でテーブルを囲みちょっとしたお茶会を始める報道部の面々。ここで陽平が亜沙美に対して切り出した。

「それにしても今回の漆崎さん、なかなか行動的だったよね」
「てへ、でも結果としてみんなに迷惑かけちゃったね。反省してます…」
「いやいや、褒めてるんだよ。友人のために危険も顧みず正義感と行動力、是非ともうちの報道部に欲しい人材だ」
「どうかしら漆崎さん、うちに入る気はない？」

突然の陽平と優からのスカウトに、亜沙美は困惑。

「いやいやいや…無理、絶対無理だから。あたし、小寺くんみたいに重いテレビカメラなんか担げないよ？」
「まさか、女の子に力仕事なんかさせないよ。実は優ちゃんの他にも、もう一人キャスターを追加募集しようと思ってたところなんだ。漆崎さんもアイドルを目指してるだけあって、ルックスも十分なんだけどな」
「もう、やめてよぉ…恥ずかしい。あたし、鳳凰院さんと違って全然理知的に見えないし…」
「そんなことないよ。漆崎さんも十分魅力的な女性よ！」
「まあ無理強いはしないけど、考えといてくれないかな？」
「…う、うん。分かった。少し時間をちょうだい」

鷺島国際大学報道部に正式にスカウトされた漆崎亜沙美。
果たして彼女はどのような返事を出すのであろうか？