BRAVERS EDITION　episode.82

※chatGPTで生成した文章に、一部編集を加えております。

おかめ党の遺産

　ここは滋賀県・安土市にある、地球防衛組織ブレイバーズの本部――通称《セントリネル・ハブ》。最新鋭のテクノロジーが詰まった指令室のモニターが静かに光を放つ中、話題は一つの奇妙なキーワードに集中していた。

「そもそも《おかめ党の遺産》って何なんですか？」

　短くも真剣な問いを発したのは、ブレイバーズ所属の若き戦士、獅場俊一。彼は、持ち前の正義感と熱血さで仲間たちを引っ張る存在だ。

　隣に立つもう一人の隊員、稲垣千秋も頷きながら声を重ねた。

「長官は、何かご存知なんですよね？」

　静かに立つのは、若き司令官・牧村光平。その表情は、普段の軽妙さを封じたように険しく、迷いすら感じさせる。

「……そうだな。いつまでもお前たちに隠しておくわけにもいかないな」

　重い口を開こうとしたその時――。

　シュウ、と扉が音を立てて開き、一人の青年が指令室へと足を踏み入れた。

「……長官、それは俺の口から説明するよ」

　その声に全員の視線が集まる。寺瀬詩郎。かつては「黒詩郎」と呼ばれる、おかめ党の幹部だった過去を持つ青年だ。

「詩郎！？　もう体の方は大丈夫なのか？」

　俊一が思わず駆け寄ると、詩郎は少し照れたように笑って答えた。

「ああ、おかげさまでな。すっかり元気になったよ」

「でも、あんまり無理するなよ？」

「ありがとな、俊一」

　そんな二人のやり取りを見ていた千秋が、ふと核心を突く問いを投げかける。

「もしかして、失われていた記憶が戻ったの？」

　詩郎は一瞬だけ言葉を探し、それから少し苦笑いしながら答えた。

「いや、その……“戻った”っていうよりは、“共有できるようになった”って感じかな。俺の中にいる、もう一人の人格――黒詩郎とな」

　空気が一瞬、張りつめた。

　詩郎が語り出すのは、かつての記憶――暗黒街の帝王と恐れられた悪の組織《おかめ党》。その首領《おかめの御前》が生前に打ち立てたという、狂気の計画の全貌だった。

「“誘拐帝国建設プラン”……それが、あいつが遺した計画の名前さ。名前だけはご立派だけど……中身は酷いもんだった」

　詩郎は苦笑いしながら、頭を抱える。

「要は、自分の趣味全開の“美少年美少女ハーレム計画”。あいつの好みで選んだ“拉致対象リスト”が作られてて、それを“地球支配の鍵”みたいに吹聴して回ったんだ」

　呆れたように俊一が声を上げる。

「なんじゃそりゃ！？　はた迷惑にも程があるだろ！💦」

「……俺もそう思うよ。しかも質が悪いのは、その“計画”を持ってる者が地球上の暗黒街を牛耳れる……みたいな尾ひれを、おかめの御前自身が面白半分で広めたってことなんだ。おかげで、今はその《おかめ党の遺産》を巡って、まんまと噂に乗せられた悪の組織同士で壮絶な争奪戦を始めてる」

　詩郎の声はどこか虚しさを帯びていた。黒詩郎としての記憶があるからこそ、その愚かしさも深く理解できるのだろう。

　牧村光平が、静かに話を引き継ぐ。

「確かにバカバカしい話ではあるが――そのリストが本当に存在するなら、そこに名前が載っている人間が今後、狙われる可能性が出て来る」

　俊一と千秋の背筋が一気に伸びる。

「だからこそ急がねばならない。鍵を握るのは、《おかめ党の遺産》のパスワードの半分を握っているはずの人物――詩郎の姉さん、寺瀬聖佳の行方だ。一刻も早く、彼女を見つけ出す」

「了解！」
「了解！」

　二人の声が重なる。

　こうして、ブレイバーズは新たなる任務へと動き出した。《おかめ党の遺産》――かつての「おかめの御前」の悪ふざけによる置き土産が、今まさに現実の脅威と化そうとしていたのだった。

師弟の再会

安土市の中心部にひっそりと佇む喫茶店「カフェ・パストラル」。アンティーク調の内装と、深煎りの香りが漂う落ち着いた空間に、一人の美少年が静かに足を踏み入れた。

金髪に碧眼、清冽な気品を纏ったその姿は、周囲の客の目を一瞬で引きつける。

「えっと……確か、この店だったはずだけど……」

店内を見回すクリストフォロ＝エヴァルド＝コルティノーヴィス三世、通称・クリス。ブレイバーズ技術革新部の顧問でありながら、まだ16歳の彼は、年齢を超えた知性と風格を備えていた。

「お〜い、クリス君、ここだよここ♪」

奥の席からひときわ明るい声が響いた。手を大きく振っていたのは、髪も髭も雪のように白い、品のある老紳士だった。

「ファインズ博士！」

思わず表情をほころばせ、クリスは足早に席へと向かった。

メルヴィン＝ファインズ博士。かつてマサチューセッツ工科大学で教鞭を執り、飛び級で入学したクリスに直接講義を行っていた恩師。現在はアスカロン財団の研究開発本部長として、世界的な科学者たちを束ねる地位にある。ちょうど日本で開かれていた学会に出席したついでに、安土市にも立ち寄ったところであった。

「博士、お久しぶりです」

「お互い忙しい身とはいえ、だいぶご無沙汰だったね。元気にしとったかね？」

懐かしい再会に、自然と会話が弾んでいく。

「“天は二物を与えず”というが、君は経営学、理化学、機械工学を一度に全て修めた上に、そのうえ容姿端麗ときたもんだ。天は君に二物も三物も与えおったな」

「よしてください、博士。僕はそんな凄い人間なんかじゃありませんよ」

クリスは頬を赤らめ、視線を落とした。謙遜というより、本心から自分を特別とは思っていないのだ。

そんな彼の様子に、ファインズは満足そうに頷くと、コーヒーに口をつけ、ふと声を潜めた。

「――どうかね、クリス君。アスカロン財団に来て、儂の研究を手伝ってくれるつもりはないか？」

一瞬にして、クリスの表情が引き締まる。今のブレイバーズとアスカロン財団が一種の緊張関係にあることを知らぬクリスではない。これは人材の引き抜き工作なのか…？

「……お誘いいただけるのは光栄です。でも、申し訳ありません。僕は今、ブレイバーズの一員として――仲間たちと共にいるこの場所が、何よりも大切なんです」

短く、しかし力強く。少年の声には確固たる意志が宿っていた。

ファインズは微笑み、静かに頷いた。

「……たぶん君ならそう言うと思っていたよ。ダメもとで言ってみただけだ。気まずい思いをさせてすまん。今の話は忘れてくれたまえ」

「ご期待に沿えず、申し訳ありません」

「謝ることなどないさ。――で、その代わりと言ってはなんだが……」

ファインズは、言葉の間を少しだけ空けて続けた。

「儂の弟子を一人、ブレイバーズの君のところに出向させてはもらえないかね？」

「……え？」

「名前はアルマ＝ブラックバーン。若干十五歳にして、すでに複数の特許を持つ天才少女だ。だが、少々――いや、かなり性格に難がある。だからこそ、外の組織の空気に触れさせて、見聞を広めさせたいのだよ」

クリスは苦笑を浮かべながら、慎重に言葉を選んだ。

「博士のお気持ちは理解しました。でも、今この場で僕の一存では決められません。長官の牧村光平に相談してみます。……それでよろしいですか？」

「もちろんだとも。あくまで相談として、受け取ってくれればそれでいい」

握手を交わす二人。やがて話題は他愛ない昔話へと戻り、日が傾きかけた午後の喫茶店に、師弟の静かな時間が流れていった。

――そして、クリスはこの時まだ知らなかった。
後にブレイバーズの中で、とんでもない“問題児”として名を轟かせる少女・アルマが、まもなく彼の前に現れることになるとは――。

つづく。

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