これはまだ、シブルリックオーダーの戦闘ユニット部隊に紫城心翔、美濃本敦、瀬尾梨帆ら3人の日本人高校生が選ばれ召集される前の話まで遡る。
フィリスとの出会い
秘密組織シブルリックオーダー総司令フィリス=ミラ=エクセリアは、新開発されたハイテクオリハルコンスーツの装着適合者の難航している選抜審査と並行して、伝説の金属オリハルコンの新鉱脈が日本の琉凪諸島で発見されたとの情報の真偽を確認するため、極秘裏に琉凪市を訪れていた。しかしその途中、妖魔結社ザイザム傘下の犯罪組織ズレンドゥッヒ=ファミリーの襲撃を受けてしまう。護衛のSPともはぐれてしまい、極東の異国で孤立無援の危機に陥った彼女を救ったのは、その日たまたま高校からの下校途中だった紫城心翔であった。
「暴走族に絡まれているのか…。よぉーし!」
直感で異常事態を察した心翔はフィリスを連れてズレンドゥッヒ=ファミリーの追手の追跡を掻い潜りつつ何とか自宅マンションまで帰り着き、彼女を自宅へと匿うのであった。ちなみに今日は心翔の両親は共に仕事で帰りは遅くなる予定だという。
さて、一方紫城心翔と同じマンションのすぐ隣の部屋に入居しているのが、心翔の幼馴染である瀬尾梨帆の一家である。梨帆は心翔の部屋から女性がいる匂いを嗅ぎ取り、同じく幼馴染の美濃本敦を巻き込んで心翔の部屋へと二人で強引に踏み込んだ! 心翔は慌ててフィリスを押入れの中に隠す!
「ねえ心翔、今誰か来てるでしょう?」
「いねーよ。なんでそう思うんだよ?💦」
「玄関に女物の靴があるもん」
「それは母さんの靴じゃないの?💦」
「おばさんはあんな若い人向けの靴なんか履かないでしょ! こっちか!?」
「ちょ…ちょって待って!!💦」
紆余曲折を経て、とうとう梨帆に押入れの扉を開けられフィリスを見つけられてしまった。鬼の形相の梨帆相手に小さくなって「悪い奴らに追われていた女性を訳あって匿ってるんだ!」と必死に土下座しながら釈明する心翔。そうこうしているうちにフィリスの居場所を見つけたSPたちが心翔宅にやって来た。
「助けてくれてありがとう。でも何も知らない方が貴方たちの身の為よ。今ここで起こった事は誰にも言ってはダメ。私の事はどうか忘れて」
それだけ言い残してフィリスはSPたちと一緒に車に乗り、どこかへと立ち去ってしまった。
「何なのあの人! せっかく心翔が助けてあげたっていうのに!」
「どこかのお金持ちのお嬢様ってところかな?」
「………」
これでこの話は終わりかと思われたが、後日、心翔たちを大変な事態が襲うことになる。
梨帆、誘拐!
あれから数日後、梨帆が何者かに誘拐されてしまった!
休日に学校の同じクラスの女友達と一緒に街へと遊びに出かけていた最中、黒塗りの車に乗った数人の黒服の男たちに強引に連れ去られたという。話を聞いた心翔と敦は懸命に梨帆の姿を探す! そんな二人の前に現れたのは、フィリスからの使いだと名乗る謎の女子大生・磯崎詩歩だった。
「フィリス総司令が貴方たちのことを心配しています。でも、遅かった…」
「まだ遅くなんかない! どうしてあの時全てを話してくれなかったんだよ! そのせいで梨帆は!」
「総司令…?? あの人、フィリスさんだっけ? とりあえずそのフィリスさんに会わせてくれ」
「それは出来ません。フィリス総司令は誰にも会いません」
「俺たちには会う権利があると思うけどな!」
「…分かりました。黙ってついて来て」
詩歩に隠れ家の別荘へと案内された心翔と敦は、そこでフィリスと再会する。
「紫城心翔さん、美濃本敦さん、ごめんなさい。梨帆さんが事件に巻き込まれたのは、全て私の責任です」
「教えてくれフィリス! このままじゃ梨帆を救い出せない! あいつは何も知らないのに!」
「訳は言えません。貴方たちが深入りすれば、後戻りは出来なくなる。私の話を聞くのは命がけになるわよ。それでもいいの?」
「聞いてやるよ! その命がけの話を!」
「梨帆さんを誘拐した犯人は、ザイザムという名の影の組織よ」
「影の組織だって!? そんなものが…」
「貴方たちもニュースで見聞きしたことはあるはずよ。科学者の謎の連続失踪や蒸発、政治家や財界要人の暗殺、ビルの爆破テロ…」
「それが全部影の組織の仕業だっていうのかよ!?」
「ええ、そうよ」
そのザイザムの脅威に対抗するため、シブルリックオーダーと呼ばれる特務組織を設立して来た経緯を心翔と敦に打ち明けるフィリス。そしてザイザムに立ち向かえるのは、ハイテクオリハルコンスーツを装着した戦士のみである。
「お父様! それは本当なのですか!?」
フィリスの元に、海外に滞在している彼女の父親=エクセリア前国王から驚きの情報がもたらされた。
コンピューターによる遠隔スキャンの結果、紫城心翔と美濃本敦、2人の日本人こそシブルリックオーダーの組織が長い期間探し求めていたハイテクオリハルコンスーツの装着適合者だと判明したのだという。
囚われの梨帆
ここは、妖魔結社ザイザム傘下の犯罪組織ズレンドゥッヒ=ファミリーのアジトである。
誘拐された瀬尾梨帆は、この場所の地下室に監禁されていた。
「お前の学校のクラスメイトは我々の邪魔をした。だからお前が代わりに償いをするのだ!」
「むぅうっ んむむうぅッ!!」
無人の地下室に掲げられたスピーカーから聞こえるおぞましい男の声に、縛られている梨帆は怖くて思わず身震いしてしまう。どうやら以前、心翔があの外国人美少女を救ったことに関りがあり、自分はその報復として悪い奴らに誘拐されたらしい。
「っ…むっ…むぐぅうぅっ…!!(…心翔!敦!私、怖い! 早く助けに来て!!)」
まだこの頃の彼女は当然ながら戦闘訓練など受けておらず、一介の非力な女子高生に過ぎない。
果たしてシブルリックオーダー戦闘ユニット部隊の初陣は、彼女の救出に間に合うのであろうか!?
コメント
過去の話がきましたね、ちょっとフィリス王女と3人との出会いが気になっていた。
>「暴走族に絡まれているのか…。よぉーし!」
直感で異常事態を察した心翔はフィリスを連れてズレンドゥッヒ=ファミリーの追手の追跡を掻い潜りつつ何とか自宅マンションまで帰り着き、彼女を自宅へと匿うのであった。
なんだこの行動力…謎のヒャッハーどもに襲われている外国人女性を救い出し…家族が留守してる家に連れ込む…思わず…「おい、小僧…」っと呟いてしまいました…
>紆余曲折を経て、とうとう梨帆に押入れの扉を開けられフィリスを見つけられてしまった。
なんですかこの修羅場…いきなり楽しいことになってますね、梨帆ちゃんがブチキレるってことは、カップリング的に心翔くん&梨帆ちゃんなのかな…?
そして、フィリス王女と接触してしまったことで、犯罪組織ズレンドゥッヒ=ファミリー目をつけられてしまい、まさか梨帆ちゃんが誘拐されてしまうことに…
まだパンピーだったころの梨帆ちゃん、怯えた小鹿のような表情がいいですね~
>「お前の学校のクラスメイトは我々の邪魔をした。だからお前が代わりに償いをするのだ!」
さて、どんな償いをさせる気でしょうか、このあたりが気になりますな~ぐへへ(外道)
そういえばこの頃はまだ妖魔結社ザイザムはフィリス王女がシブルリックオーダー総司令ということを突き止めてない頃でしたね、それなのに傘下の犯罪組織ズレンドゥッヒ=ファミリーが極秘に動いているフィリス王女を襲撃するということは…
やはり、組織内もしくはシブルリックオーダーと関係がある別組織に裏切者がいるということでしょうか?
> なんですかこの修羅場…いきなり楽しいことになってますね、梨帆ちゃんがブチキレるってことは、カップリング的に心翔くん&梨帆ちゃんなのかな…?
心翔と梨帆とフィリスの三角関係ですね。
心翔は本人は自覚していませんがフィリスに一目会った時から一種の憧れのような感情(恋愛感情かどうか?はまだハッキリしてない)を抱いており、それを女の直感で察した梨帆が勘ぐって焼きもちを焼いているという構図です。まあシブルリックオーダー入隊後の梨帆とフィリスの関係は非常に良好なのですが。
> そういえばこの頃はまだ妖魔結社ザイザムはフィリス王女がシブルリックオーダー総司令ということを突き止めてない頃でしたね、それなのに傘下の犯罪組織ズレンドゥッヒ=ファミリーが極秘に動いているフィリス王女を襲撃するということは…
> やはり、組織内もしくはシブルリックオーダーと関係がある別組織に裏切者がいるということでしょうか?
はい、ご説明申し上げます。
それはですね、この後ズレンドゥッヒ=ファミリーが一連の経緯を上部組織であるザイザムに報告する前に、初陣した心翔と敦によって壊滅されられてしまったからですww
またズレンドゥッヒ=ファミリーにしても「何やら旧エクセリア王国と関りがあるらしそうな正体不明の女が、オリハルコンの鉱脈に関係して琉凪市でウロチョロしている」程度の情報しか掴んでおらず、まさかそれが王女だとまでは分かっていませんでした。