いつものカフェテリアにて
とある日の放課後、鷺島国際大学芸能音楽学部ダンス&ヴォーカル学科1年生の漆崎亜沙美とその親友である熊川悠里は、大学構内にあるちょっとおしゃれなカフェテリアにて仲良くお茶をしていた。
「それで、その後報道部の人たちとはどうなの?」
「大分仲良くなったよ。もう優とはお互い下の名前で呼び捨てで呼び合うほどの仲になったし、プロデューサーの陽くんもあたしのこと亜沙美ちゃんって下の名前で呼んでくれてるんだ」
「そうなんだ…。最初は少し心配だったけど、亜沙美が楽しくやれてるなら、もうわたしは止めないよ」
「ありがとう悠里! やっぱり持つべきものは親友だよ~~( ノД`)シクシク…」
「これくらいのことでそんな感激しないでww それじゃあ今度報道部のことに関しても、何か面白そうな話があったら聞かせてよ」
「うん、いいよ♪」
こうしてその日は亜沙美と悠里は別れた。しかし悠里には話していなかったが、実は亜沙美にはまだ少し気がかりなことがあった。同じ報道部のカメラマンである小寺洸介が、未だに自分のことを「漆崎さん」と苗字にさんを付けて呼ぶのだ。仮にも同じ部の仲間なんだし、そうして距離を作られるのは亜沙美は苦手なのだが、どうしてまだ洸介は自分に対して他人行儀なんだろう?と考え事をしながらアパートまでの帰路を歩いていると、人の少ない裏通りに差し掛かったところで突然目の前に車が停まった!
そして運転席から降りて来たのは……。
「フフフッ…お久しぶりねぇ~お嬢さん?」
「……あ、あなたは!?」
忘れるはずもないその顔……。以前に部の取材で琉那市を訪れたときに、自分を誘拐した一味の女リーダーだ。間違いない!
「どうやら覚えててくれたようねぇ…」( ̄ー ̄)ニヤリ
「――ッッ!!」
危険を察した亜沙美は咄嗟に逃げようとしたが、車を運転していた例の女=石鼠が亜沙美の腕を捕まえる方が早かった。あっという間に羽交い絞めにされた彼女は、口と鼻に何か薬品の匂いがするハンカチを押し当てられる!
「おっと、逃がさないわよ、お嬢ちゃん!」
「…んっ!? んんっ…んぐんんんんー!!」
抵抗空しくクロロホルムが効いてきて意識を失ってしまい、その場に崩れ落ちる亜沙美。しかしその現場を、たまたま近くを通りかかった小寺洸介が目撃していた。
「あれは確か漆崎さん!? 間違いない! おいっ、お前! 彼女をどうするつもりだ!?」
襲われた亜沙美を助けようと駆け寄る洸介だったが、何者かに背後から後頭部を殴られて気絶してしまう!
「うっ…!」
洸介を気絶させたのは、言うまでもなくブラザーズだ。
「おやおや、予定にない坊やまで巻き込んじゃったかぁ~」
「どうするんです姐さん?」
「確かこの坊やも例の報道部とやらの一員だったわねぇ~。ならかえって都合がよかったかも。そのガキもお嬢ちゃんと一緒に車の中に放り込んで!」
「了解ッス!」
こうして亜沙美は洸介共々、車でどこかへと連れ去られてしまった!
お礼参り
「放して! あたしをいったいどうしようっていうのよ!?」
亜沙美は気がつくと、どこか見知らぬ場所で両手両足を鎖付きの鉄枷に繋がれて拘束されていた。そんな今にも泣きそうな顔をしている亜沙美の様子を見て、さっきから同じ部屋にいる石鼠は満足そうに嘲笑っている。
「よぉ~く似合うわよ、お嬢ちゃん! その情けない泣き顔もとっても素敵ィッ♪」
「あたしを捕まえて、何が目的なの?」
「そんなの、お礼参りに決まってるでしょ」
「お礼参り…? なによ…それ」
「アンタたちのせいで、危うくアタシたちは上から粛清されるかもしれないところだったんだからね! だから代わりにアンタたちに責任を取ってもらおうと思ってさww」
「そんなの…逆恨みもいいところじゃない!! あなたたちは悪いことをして警察に捕まったんでしょ!」
「おだまりッ!」
「痛い…ッ!」
石鼠は亜沙美を黙らせるために、彼女の顔に一発平手打ちをお見舞いした。
「ん、んん……」( ノД`)シクシク…
「もうっ、そんな悲しそうな顔しないの! 殴ったりして悪かったわよ…。それじゃあ、お嬢ちゃん、一つゲームを始めましょう?」
「ゲーム…? いったい、何を始めるつもりなの…?」
「まあ、一種の賭けね。カッコイイ白馬の王子様がお嬢ちゃんを助けに来てくれるのが先か、それとも猛毒サソリがお嬢ちゃんの美味しそうな太ももに噛みつくのが先か?」
「な、なんですって…!?」
石鼠は持っていた小箱の蓋を開けると、中から小さなサソリが出て来て部屋の床を這い始めた。
「イヤァァァッ!!!! 助けてェェッ!!! 誰か助けてェェッ!!!!!!」
「それじゃあアタシは隣の部屋で監視カメラから様子を見物してるからww せいぜい健闘を祈るわww」
石鼠はさっさと扉を閉めて部屋の外へと出て行ってしまった。
今、亜沙美に最大の危機が迫る!
脱出ゲーム、スタート!
「――漆崎さんッ!?」
一方その頃、牢屋の中に閉じ込められていた小寺洸介は、今一瞬、亜沙美の悲鳴が聞こえたような気がした。胸騒ぎを覚える洸介だったが、そこへブラザーズの毬雄と累児がやって来て、鉄格子の鍵を開けた。
「おい、牢屋から出してやる。出ろ!」
「えっ…!?」
驚く洸介だったが、とりあえず素直に従い言われるがままに牢屋から外へと出た。
「どういうつもりだ?」
「姐さんからの言いつけだ。これからゲームの始まりだとさ」
「ゲームだって!?」
「今、この同じ建物内のどこかにお前の仲間の女の子が捕まっている。そいつを自力で見つけ出して助け出せってさ」
「早く行かないと、あの女の子は巨象すら一発で仕留める猛毒サソリの餌食になっちまうぜww」
「な、なんだって!?」
驚愕した洸介は、ケラケラと笑う毬雄の胸倉をつかんで問い詰める。
「教えろ! 漆崎さんはどこにいるんだ!」
「お前ちゃんと話聞いてたのかよ? だからそれをお前が自力で探すんだって! これはゲームなんだからな」
「それよりもこんなところでグズグズしててもいいのかなぁ~? こうしている間にも、あの女の子はさそりに刺されちゃうかもよ?」
「クソォォッッ!!!!」
洸介は亜沙美の姿を求めて、ブラザーズに向けて捨て台詞を吐きつつ、廊下を一目散に駆け出す!
「覚えとけよ、お前ら! 漆崎さんを助け出したら、てめぇらぜってェッ真っ先にぶっ飛ばしてやるからなッッ!!」
果たして洸介は間に合うのか!?
つづく。
コメント
新たなストーリー更新お疲れ様です!
>同じ報道部のカメラマンである小寺洸介が、未だに自分のことを「漆崎さん」と苗字にさんを付けて呼ぶのだ。
亜沙美ちゃんに対して未だ距離をとるような態度を見せる洸介くん…完全に意識しとりますね~、これは新たな恋のストーリーが生まれそうな予感…
…リア充の臭いがぷんぷんするぜ!その臭いに誘われたのか…深淵を彷徨う毒女…帰ってきた石鼠姐さん、飢えた猟犬どもを従え復活!
八つ当たりのような理由で亜沙美ちゃんを誘拐、そこに運が良いのか悪いのか居合わせてしまった洸介くんブラザーズに強襲され仲良く誘拐…これまたカモネギですね~
そして始まる亜沙美ちゃん救出ゲーム、亜沙美ちゃんのエロいフトモモに迫る毒サソリ…
牢から解放され、亜沙美ちゃんの救出に向かう洸介くん…まあ、石鼠姐さんのことですから、向かう先々で色んな罠を仕掛け、苦労する洸介くんをモニター越しに眺めながらニヤついていることでしょうね~、はたして洸介くんは無事に亜沙美ちゃんを助け出し、この監禁場所から脱出することが出来るのでしょうか…
「覚えとけよ、お前ら! 漆崎さんを助け出したら、てめぇらぜってェッ真っ先にぶっ飛ばしてやるからなッッ!!」
…これ、ガチですね、間違いなく洸介くんは亜沙美ちゃんのことを…なんだか色々と面白くなってきましたね~
> 亜沙美ちゃんに対して未だ距離をとるような態度を見せる洸介くん…完全に意識しとりますね~、これは新たな恋のストーリーが生まれそうな予感…
> …これ、ガチですね、間違いなく洸介くんは亜沙美ちゃんのことを…なんだか色々と面白くなってきましたね~
管理人としては、洸介くんと優ちゃん、陽平くんと亜沙美ちゃんのコンビで固定化していくつもりでしたが、あえて変則型コンビとして今回だけ洸介くんと亜沙美ちゃんにペアを組ませてみたら、読み手にそのように受け取られるとは、これは妙な具合になってきました。洸介くんとしては、あくまで「漢として大事な仲間であるか弱い女の子を守る!」という責任感からあのような態度に出たもので恋愛感情ではないと管理人は解釈しておりますが、これは結末にどうオチをつけたものか考えなきゃいけませんね。亜沙美ちゃんを救出した瞬間に泣きじゃくる彼女に抱き着かれ、洸介くんが初めて亜沙美ちゃんを女性として意識してしまうようなシーンを入れてみようかなぁ~。
> …リア充の臭いがぷんぷんするぜ!その臭いに誘われたのか…深淵を彷徨う毒女…帰ってきた石鼠姐さん、飢えた猟犬どもを従え復活!
石鼠姐さん(とブラザーズの2人)は管理人と相性がいいのか、数あるハンターや猟犬の中でもSSの中で非常に扱いやすいキャラクターなんですよね。だからまだまだ粛清とかで退場させたくないというのが管理人の本音です。いずれおかめ党とも組ませてみようかなと考え中です。
>いずれおかめ党とも組ませてみようかなと考え中です。
自分も石鼠だけでなく、組織としておかめ党と組むこともあっても良いかなと思ってました。
別に組織はMr.Unknownとはビジネスで繋がってるだけで、彼のパシリではありませんからね…契約が終了したら関係ないですからね。
まあ後の仕事に支障があるかもですが、検非違使の件といい情報外のイレギュラーの介入でババ引かされてますから、少々ジジイに不信感もあります。
石鼠・・・ぜひとも我が軍にスカウトしたいい逸材・・・いつかは、その御姿を拝見しとうございますお代官、もといおかめ様ぁ・・・
> 石鼠・・・ぜひとも我が軍にスカウトしたいい逸材・・・
一応、石鼠姐さんのキャラクター設定原案は旅鴉様が著作権をお持ちですので、JUDO様のブログへの出演交渉に関しましては旅鴉様の方にお願いいたします。管理人としましては、JUDO軍団に雇われて暗躍する石鼠姐さんも見たいですね。
> いつかは、その御姿を拝見しとうございますお代官、もといおかめ様ぁ・・・
いや、それは無理ッス。ゴメンナサイ……。
管理人のお財布の中身も無限ではないのです。
限られた予算は、出来るだけ悪役(ヴィラン)よりも縛られた囚われのヒロインの方に多く割り振りたいのです。
ご期待に応えられず相済みませぬが、その儀ばかりはどうかご容赦を🙇
> 石鼠・・・ぜひとも我が軍にスカウトしたいい逸材・・・
ああ、OKですよ、管理人様が大丈夫なのでしたらお好きに使ってやってください、組織に対する忠誠心も薄い奴ですし…
一応こっちでプロフィール載せて頂いてます、まあ眼鏡外せばそれなりに美人な女と付け加えておきます(自覚なし
https://okamenogozen.com/hunter/
でもよろしいのでしょうか?こいつ性格くそ歪んでますよ…