安土市内で小学生誘拐事件が発生。幸い程なくして被害者の友貞稜太は無事に救出されるが、稜太は自分を助けに来た者たちの中に、同じクラスメイトの桐橋勇人の姿を目撃していた。稜太から相談を受けた親友の稲垣健斗は、勇人に直接問い質すべく森の中で彼と対峙する。勇人から話を聞いた健斗は、ブレイバーズ関係者の個人情報が外部に漏れていると確信。詳しく調べるため、ブレイバーズ本部セントリネル・ハブへと向かう。
※chatGPTで生成した文章に、一部編集を加えております。
稜太の父
小金井の足音が遠ざかり、第2ラボに静けさが戻ると、健斗はすぐさま友貞主任の前へと歩み出た。
「友貞利彦主任ですよね?」
「……? 君は確か、稜太の学校のクラスメイトの……」
思いがけない来訪者に、友貞主任は目を細める。
「どうも。俺、稜太君の同級生で――稲垣健斗って言います。稜太君にはいつもお世話になってます」
丁寧に頭を下げる健斗。しかし、その瞬間。
「ダメじゃないか!」
友貞主任の声がラボ中に響いた。
「子供がこんなところまで勝手に入って来ちゃ! そもそも、いったいどうやってここまで来たんだ!? 警備は何をしていた!」
怒鳴られた健斗は「うっ」と肩をすくめる。
当然といえば当然だ。ここはブレイバーズ本部の核心区画。その最先端研究室に、一般の小学生が入り込んでいいはずがない。
「あ、ああ、友貞主任。実は――しかじか、かくがくで……」
クリスが気まずそうに目を伏せ、主任の耳元へそっと顔を寄せた。
声を潜めてささやく内容は、もちろん――
健斗が少年忍者であること。
そしてブレイバーズの協力者として既に何度も任務に関わっていること。
ひと通り聞き終えた友貞主任は、目をぱちぱちと瞬かせた。
「……そうだったのか」
次の瞬間、彼は深く頭を下げた。
「いや……いきなり怒鳴ったりして、すまなかった。どうか許してほしい」
「全然、大丈夫っすよ。このことは稜太には内密に…。それよりも――」
健斗は視線をまっすぐ友貞主任に向けた。
「友貞さん、今あなたが担当してるプロジェクトについて、詳しく教えてくれませんか?」
「……プロジェクト?」
「はい。俺、今――稜太を誘拐した奴らの 黒幕 について調べてるんです」
その言葉に、友貞主任の顔色が変わった。
「黒幕……!? でも、息子は無事に帰ってきたし、犯人も全員逮捕された。事件はもう解決したはずでは!?」
その反応は当然だ。父親として、あの悪夢を終わったものだと思いたい気持ちは痛いほど分かる。
しかしクリスが静かに口を開いた。
「友貞主任。僕からもお願いします。健斗くんに、プロジェクトの内容を話してあげてください。……彼の調査に必要なんです」
クリスの碧い瞳は真剣そのものだった。
友貞主任はその視線を受け、しばし黙り込み――大きく息を吐いた。
「……分かりました。お話しましょう」
その声音には、父としての不安と、研究者としての覚悟が入り混じっていた。
ラボの奥、プロジェクト資料の並ぶ大型モニターが、静かに青い光を放っていた。
波乱の予兆
友貞主任から技術革新部の極秘プロジェクトについて一通り話を聞いた――はずだったが、健斗の胸の中には、どうにも晴れないモヤモヤだけが残った。
(やっぱり…黒幕に繋がるような決定的なヒントはねえか……)
帰宅後も思考は堂々巡りを繰り返し、布団に入っても眠りが浅かった。
そして翌朝。重いまぶたをこすりながら六角小学校へ向かい、6年2組の教室に入る。
いつもの喧騒が広がる中、健斗は椅子に腰を落とし、ふと視線を横へ送った。
桐橋勇人――。
彼は相変わらず、誰にも関心を示さず、一人で本に没頭している。その姿を見ただけで、昨日から背にまとわりついている焦燥感がまた顔を出す。
(あのよそよそしい態度…やっぱり何か隠してんだよな、アイツ)
ため息がひとつ、机に落ちた。
やがてチャイムが鳴り、担任の若い女性教師が教卓に立つ。
「みんな、おはようございます。今日はみんなにお知らせがあります。
実は――今日から新しい転校生がこのクラスに入ります」
「ええーっ!?」
教室のあちこちで驚きの声があがる。
(マジかよ…ついこの前、勇人が転校して来たばっかだぜ?)
健斗も目を丸くした。
「それじゃあ入ってね」
ぱん、と扉が開く。

「小田原から転校してきました、相模路香っていいます! 皆さん、今日からよろしくお願いします♪」
明るい声が教室中に弾けた。
ポニーテールのように高く結んだサイドテールが軽やかに揺れ、屈託のない笑顔を浮かべる女の子。
勇人とは正反対――空気を一気に陽気に染めるタイプだ。
教師が席を指示しようとした、その瞬間。
「先生、あたし――あそこの席がいいな!」
路香はずんずんと歩き、まっすぐ健斗の隣へ。
まだ教師が何も言っていないのに、勝手に椅子を引き、どすん、と座った。
そして、ニヤァ……と口角を上げて健斗の顔をじっ、と凝視する。
健斗「……な、何だよ!?💦」
路香「稲垣健斗くんだよね? これから仲良くしましょ♪」
健斗「……えっ!? どうして俺の名前を……?」
彼女の目は、突き刺さるようにまっすぐで――下手な大人よりも何もかも見透かしているような鋭さがあった。
勇人の冷たい静けさと、路香の異様な積極性。
ふたりの転校生に挟まれた朝、健斗は悟った。
――これは、ただの偶然じゃない。
何かが動き出している――そんな予感が、じわりと胸を締めつけた。
(つづく)

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