ブレイバーズの錦織佳代、クリストフォロ=エヴァルド=コルティノーヴィス3世(クリス)、寺瀬詩郎の3人は、アスカロン財団との定期会合のために、財団本部オメガ=タワーズを訪れる。佳代たちを出迎えるアルマ=ブラックバーンだったが、そのアルマが脱獄した黒百合によって拉致され、あろうことか詩郎にアルマ誘拐の容疑がかかってしまう。
※chatGPTで生成した文章に、一部編集を加えております。
潜入
ニューヨーク市の中心街から遠く離れた外縁区――
地図にも載らない、廃ビルと錆びついたコンテナが積み上がるスラムの一角。
黒百合がアジトとして使っている雑居ビルの周囲は、今や銃火と怒号が飛び交う戦場と化していた。
「撃てぇッ!逃がすな、黒百合を潰せ!」
香港マフィア〈竜門会〉の幹部・王有才が率いる“騰蛇”部隊が、黒百合と百合鴉を包囲していた。
黒百合は、鋭いナイフを雨のように投げ放つ。
百合鴉は、闇の中を縫うように動きながら有才の手勢を次々と切り倒していく。
爆音、硝煙、血飛沫。
混沌の渦の中、その騒乱に紛れて――二つの小さな影が、音もなくアジトの奥へと潜入していた。
「ここが黒百合の拠点……ね」
囁く声は、優しくも凛とした響きを持っていた。
アスカロン財団・特務エージェント〈ライトシーカー〉の一人、三刀谷真玲。
「アルマさんの生命反応、地下に反応あり」
無表情の声で告げたのは、もう一人のエージェント、周翠琳。
緑のカンフー服に身を包み、黒髪を団子にまとめた少女だ。
その瞳は冷たく澄んでいて、敵意も焦燥も感じさせない。
二人は崩れた階段を降り、暗い地下室へと滑り込む。
そこには、縛られたまま、憔悴しつつも気丈な表情を保つ少女――アルマ=ブラックバーンがいた。

「アルマさん!」
真玲が駆け寄り、すぐに彼女の猿轡を外して縄を切る。
「アルマさん、どこにも怪我はない?」
「…ったく、遅いじゃないか!」
「それだけ減らず口が叩けるなら大丈夫そうね♪」
真玲はにっこりと笑い、優雅に手首を返して縄を払い落とした。
しかし、安堵の空気が広がったのも束の間――
「貴様ら! そんなところで何をしている!?」
鋭い怒声が地下に響き渡った。
振り向けば、〈騰蛇〉部隊の兵士が銃を構えて立っている。
その背後から、さらに数名が続々と現れた。
「ヤバッ!💦」真玲の表情が一瞬にして引き締まる。
翠琳は一歩前へ出た。
無言のまま、足を開き、両手を構える。
その姿勢は、まるで水面に映る蓮の花のように静かで美しい。
「ここは私が引き受ける。真玲はアルマさんを」
真玲は一瞬だけ翠琳を見つめ、頷いた。
「……分かった。無理はしないで」
翠琳は応えず、ただゆっくりと呼吸を整える。
次の瞬間、銃声が鳴った。
だが――弾丸は翠琳の前で空気に弾かれ、床に落ちた。
見えない壁のように気功が弾丸を逸らしているのだ。
「なっ……!?」
「喝ッ!!!」
翠琳が掌を突き出すと、気の奔流が炸裂し、最前列の兵士たちが壁に叩きつけられた。
軽やかなステップで敵の懐に入り込み、回し蹴り。
一撃で三人を薙ぎ倒す。

翠琳の動きはまるで舞のようで、暴力的でありながらも神聖な均衡を保っていた。
「今のうちに行って!」
その声に背を押され、真玲はアルマの手を取って走る。
暗い通路を抜け、瓦礫の隙間を潜り抜けると、外の風が頬を撫でた。
上空にはヘリのサーチライト、遠くで爆発が起こる。
「翠琳……大丈夫よね」
真玲は小さく呟きながら、アルマの腕を支えて地上へと駆け上がった。
――背後では、翠琳の気功弾が再び炸裂し、騰蛇の兵たちの悲鳴が地下を揺るがしていた。
その闇の中、少女たちの脱出劇が始まったのだった。
鳳凰飛来
地下から地上へと続く錆びた階段を駆け上がる真玲とアルマ。
背後では翠琳の戦闘音が遠ざかり、かわりに地上の振動が徐々に強まっていく。
――あと少しで外だ。
しかし、その希望の瞬間は、唐突に叩き潰された。
「待て! 逃げられると思っているのかッ!!」

怒号とともに、鉄骨を押し曲げながら立ちはだかったのは、異形の影だった。
全身を覆うのは、黒鋼の竜鱗を思わせる装甲。
腕には鋭利な爪、背には機械仕掛けの翼。
そしてその顔は――まさに“竜”そのもの。
「竜門会・竜生九子の一人、“蒲牢”! お前らごとき、俺の前では塵に等しい!」
声は電子と咆哮が入り混じったような異音。
人間・王有才が、完全なる竜型サイボーグ怪人へと変貌していた。
「くっ…! まさか、ここで来るなんて!」
真玲は霊剣「白光」を構えた。
だがその手は、僅かに震えていた。
この男の殺気は尋常ではない――霊力の障壁が空気の圧で歪むほどに。
蒲牢が一歩、踏み出す。
その足音と同時に、壁のコンクリートが砕け散った。
「死ねェェェッ!!」
咆哮とともに放たれた巨大な槍――まるで雷そのものだった。
真玲が辛うじて身を翻し、霊剣で弾いた瞬間、爆風が通路を吹き飛ばす。
アルマ「真玲っ!」
真玲「下がって! アルマさん!」
だが追撃は止まらない。
蒲牢が咆哮とともに飛び上がり、突撃してきた。
――その瞬間。
空の彼方から、紅蓮の閃光が走った。
ゴォォォォッ――!!

轟音と共に、炎の翼が夜空を裂き、蒼黒の廃ビル街に神々しい光が降り注ぐ。
地上に着地したその姿は、赤き鎧と黄金の羽を備えた神鳥の如き戦士――
「天凰輝シグフェル!」
紅蓮の光が弾け、舞い散る埃の中でシルエットが立ち上がる。
その声は鋭くも穏やかに響いた。
「ここは俺が引き受けた! 君たちは今のうちに早く!」
アルマ「牧村長官!? どうしてここに!?」
シグフェル「細かいことは後だ! 急げ!」
真玲は一瞬迷ったが、光平――いや、シグフェルの目を見た瞬間、何も言わずに頷いた。
「……行きましょう、アルマさん!」
二人は瓦礫の陰を駆け抜け、地上出口へと走る。
その背後で、蒲牢の咆哮が轟いた。
「貴様が……天凰輝シグフェルか! お初にお目にかかる! 我が名は竜生九子の一人・蒲牢ッ!! 相手にとって不足はないッ!!」
シグフェルは静かに剣を構えた。
右手に握られたのは、烈火を宿す伝説の剣――〈火星剣マルスエンシス〉。
赤き光刃が夜を照らす。
「行くぞ、竜の化け物――!」
剣と槍が激突した。
轟音、衝撃、閃光。
空気が爆ぜ、建物が揺れ、周囲のガラスが一斉に砕け散る。
赤と蒼、炎と雷が交錯し、二つの力が互いを押し潰す。
蒲牢の尾がシグフェルの胸を打ち、火花が散る。
シグフェルの剣が逆に蒲牢の装甲を裂き、金属と血が飛沫を上げる。
「シグフェルうううッ!!」
「これで終わりだあああッ!!」
二人の咆哮が重なった瞬間――
アジト全体が爆ぜた。
地鳴りとともに、ビルの壁が崩れ、天井が落ちる。
地上にいたアルマと真玲の足元まで激しい震動が伝わった。
真玲「……まさか、あの二人が!?」
アルマ「牧村長官……!!」
遠く、紅蓮の光と黒い炎が絡み合い、崩壊する建物の中へと沈んでいく。
その頃、別の通路で戦っていた黒百合と百合鴉も異変に気づいた。
百合鴉「黒百合様!? このままではアジトが!」
黒百合「チッ……このアジトもそろそろ潮時ね」
黒百合は舌打ちしながらも、余裕の笑みを浮かべた。
「次の幕が上がるのは――もっと面白い場所で、ね」
二人は闇の中へと姿を消す。
――そして、崩れ落ちる瓦礫の中、
紅蓮の炎と黒い閃光が、最後の瞬間までぶつかり合っていた。
勝敗は不明。
生死も、誰も知らない。
ただ、空のどこかで、
一瞬だけ黄金の羽が光ったように見えた――。
(つづく)

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