秘密指令！政界の権力闘争から少年をガードせよ！　第5話

次期与党幹事長の座を巡る権力闘争に絡んで、首相補佐官を務める前衆議院議員の孫・中西なかにし 隼しゅん少年のボディーガードを依頼された武智探偵事務所。イサム=ルワン=ラーティラマートと不破詩織のコンビが、隼の身辺警護を担当することに。徐々に隼とも打ち解け、彼と3人で遊園地に遊びに来たのだったが……。

※chatGPTで生成した文章に、一部編集を加えております。

買収

遊園地の管理棟、その最奥にある事務室。
壁にはマスコットキャラのポスターが貼られ、机の上には書類が山のように積まれている。だが、今その部屋の空気は明るさとは無縁だった。

詩織が両手を机につき、身を乗り出して支配人に訴える。
「一人の男の子の命がかかっているかもしれないのです！ どうか、警備室のモニターを見せてほしいのです！」

支配人は白髪まじりの頭を掻きむしりながら、困惑の表情を浮かべる。
「何を言っとるんだ君たちは？ そんなこと出来る訳ないだろ！ そもそもここは部外者立入禁止区域だ！ はいはい、もう帰りなさい！」

「帰れないのです！」
詩織が必死に食い下がる。
しかし支配人は聞く耳を持たない。
「警察でもないのに勝手に映像を見るなんて非常識だ！ だいたい遊園地の安全は我々が――」

その瞬間。
イサムが静かに、しかし確固たる声で言い放った。

「だったら、たった今からこの遊園地は僕が買い取った。」

「……は？」

「オーナー命令だ。すぐに警備室へ案内してくれ。」

言葉の意味を理解するまでに数秒かかった。
支配人は目を瞬かせ、ぽかんと口を開けた。

「……えっ？ いやいや、何を訳の分からんことを……。頭、大丈夫かね君は？」

その時――
♫♪――（支配人の携帯が鳴る）

「ん、なんだねこの忙しいときに！」
不機嫌そうに電話を取る支配人。

「もしもし、こちら支配人の――……あっ、これは社長！？ はい……はい……えっ！？ なんですって！？　わ、我が社が……買収されたァァッ！？💦」

支配人の顔が見る見るうちに蒼白になる。
受話器を落としそうになりながら、うわずった声で続けた。
「フィオ王国の……国営企業に……！？　は、はいっ！　承知いたしましたぁぁっ！！」

電話が切れた。
支配人は恐る恐るイサムの方を振り返る。

イサムはいつもの穏やかな微笑みを浮かべていた。
「説明は、もう要りませんよね？」

支配人の額には玉のような汗。
「は、はいっ！　じ、事情はすべて理解いたしましたっ💦　すぐに警備管理室へご案内いたしますっ！」

腰を直角に折り曲げ、平身低頭で誘導する支配人。

その横で詩織は呆れ半分、感嘆半分といった表情で小声を漏らした。
「イサムくん、まさか本当に遊園地を買収してしまうとは……なのです」

イサムは苦笑しつつ肩をすくめる。
「他に手っ取り早い方法が思いつかなかったからね」

フィオ王家の財力恐るべし！
――こうして、わずか数分前まで門前払いされていた二人は、
今や遊園地の“新しい支配者”として、監視室への重いドアを開けるのだった。

囚われの隼

遊園地・警備管理室。
モニターが壁一面に並び、まるで無数の目が園内を監視しているようだ。
詩織はその中央の操作卓に腰を下ろし、素早く指を動かして映像を切り替えていく。目は鋭く、息を詰めるように集中していた。

イサムが後ろから声をかける。
「どうだい、詩織ちゃん？ 何か分かった？」

詩織は画面から目を離さず、短く答えた。
「ちょっと待ってて欲しいのです！」

次々と映る人混み、アトラクション、フードコート、トイレ周辺。どの映像にも隼の姿はない。焦燥が胸を締めつける。だが次の瞬間――。

「これは……？」
詩織の指がぴたりと止まった。画面の一つ、敷地の隅にある古びた物置小屋に、黒服の男たちが何かを運び込む姿が映っていた。
「まさか……もしかして……」

---

その頃、まさにその小屋の中。
薄暗い電球がちらつき、埃と油の匂いが漂う。
椅子に座らされた隼は、両腕を鎖で縛られ、口をガムテープで塞がれていた。
目の前では、黒服の男たちがひそひそと相談している。

「閉園まであと三時間だ。客がいなくなったらトラックで外へ運び出す」
「監視カメラにはもう映ってねぇよな？」
「問題ねえ。子ども一人誘拐するなんてチョロいもんだぜww」

その言葉に、隼の全身が震えた。怖い。だけど――泣いてなんかいられない。
そのとき、外から聞こえてきた声に、隼の心が一瞬だけ明るくなった。

「隼くーん！ どこにいるのですかぁ～！？」

詩織の声だ。
「……！！」
隼は必死に椅子を揺らし、声を出そうとする。
「んんーっ！！ んんーーっ！！」

「おいコラ、黙れっ！！」
黒服の一人が慌てて隼の口を押さえつけた。
「クソっ、外に聞こえたら面倒だぞ！」

詩織の声は遠ざかっていく。
隼の瞳に、絶望の涙が滲んだ。
「（詩織さん……僕、ここだよ……）」

黒服たちはほっと息をつく。
「危ねぇとこだったな。早く夜になってくれりゃいいんだが……」

だが、その時だった。
ブゥゥン……と微かな電子音。
一匹の虫のような小さなメカが、暗がりの中を飛び込み、隼の肩口にそっととまった。
金色の光を帯びた羽が、静かに揺れている。

――《キューティーおまもりレイディアス☆守ってあげたいちゃん》。
詩織が密かに開発した、掌サイズのドローンだった。

そこから小さなスピーカーを通して、あの優しい声が流れる。
「隼くん、聞こえますか？」

隼の瞳が見開かれる。
「……！？」

「隼くん、私です。詩織なのです。必ず助けるのです！ もう少しだけ、辛抱しているのですよ」

その声を聞いた瞬間、隼の中で何かが灯った。
恐怖で凍りついていた心が、少しずつ温かくなっていく。
彼は無言で、しかし力強くうなずいた。

小さな光が、闇の中でひときわ強く瞬く。
――詩織は、ちゃんと気づいていた。
希望はまだ、消えていないのだ。

（つづく）

---