シブルリックオーダーの美濃本敦に擬態した途端、その筋の恐い黒服のお兄さんたちに本人と間違われて誘拐されてしまったミラージュマスクの運命は?
尋問
シブルリックオーダーの敵は妖魔結社ザイザムだけではない。地球上のあらゆる悪の組織が、その存在を危険視し、日夜その正体に迫ろうと暗躍しているのである。某国際マフィア組織の工作員によって郊外のアジトに連れて来られた偽者の美濃本敦こと自称:大宇宙の大いなる正義の使者ミラージュマスク(ここでは便宜上「敦マスク」と呼称)は厳しい尋問を受けていた。
「え~い!くどいぞ! だから私は美濃本敦などではない!」
「こいつ、まだ言うか!」
「少し痛い目に遭わせてやった方がいいんじゃないのか?」
堂々巡りの押し問答が繰り返される中、黒服男の仲間たちが薄灰色のレディーススーツ(ジャケットとロングパンツ)を着た一人の若い女性を連れて来た。どうも見た目からして女ジャーナリストのようだ。
「ちょっと! 何すんのよ! 放しなさいよ!!」
「いいからここに座れッ!!」
女ジャーナリストは敦マスクの目の前で椅子に無理やり座らされて口に猿轡を噛まされ、背もたれに縄でぐるぐる巻きにされた。
「んんーっ!! んんんーっ!!」
彼女の名は志賀野紗季。ミラージュ星人のスーパーヒーローを独自に追っている女性ジャーナリストだ。収監されていたミラージュ星人が刑務所から出所するという情報をキャッチして網走を訪れていた彼女だったが、運悪く国際マフィアの監視網に引っ掛かってしまったようだ。
「さあ、お前たちシブルリックオーダーの秘密基地の在処、総司令と仲間たちの素性に至るまで全て吐くんだ。さもないとお前の目の前で、これからこのお姉さんにいろいろとエロいことをしちゃうぜ?」
志賀野紗季を人質にして、敦マスクに情報提供を迫る国際マフィア。しかし――
「別に。好きにすれば?」
「…えっ?💦」
「んんっ!?」
そうですよね。ミラージュマスクってこういう奴でしたよね~。正義の味方にあるまじき意外な返答に困惑する国際マフィアの黒服男たち。
「つまらんハッタリはやめろ! 本当にこの女がどうなってもいいのか!?💢」
「いや、やるならむしろ早くやってくれよ。私も両目をしっかり見開いて見物してるからさぁ。ぐへへ…」
「…こ、このガキッ!!💢」
「おい、やはり美濃本敦がシブルリックオーダーのユニット部隊員というのはガセネタじゃないのか? そもそもこんな高校生のエロガキに秘密組織の特殊部隊が務まるとは思えん…」
「そんな馬鹿な。うちの諜報部が仕入れた確かな情報だぞ!」
「と、とにかく…ひとまずボスにお伺いを立てよう。話はそれからだ」
黒服男たちは、敦マスクと紗季を残してその場から慌ただしく出て行った。
バトル!
「さてと…!」
敦マスクはスルスルッと縄抜けして、同じく縛られていた紗季の縄を解いてやる。しかし感謝されるものと確信していた敦マスクにお見舞いされたのは、紗季の強烈なビンタであった!
「…な、何をする痴れ者!?💦」
「あなた、最低ねッ!! 私がレ〇プされそうになったのを止めようとしないばかりか、むしろ黒服男たちと一緒になって見物しようとしていたでしょう!?💢」
「失敬な! あんなものは奴らを欺くためのハッタリに決まっているだろうが!」
「どうかしら? あの時のあなたの目、どう見ても性的欲望むき出しの目だったわよ」
「そ、それは何かの誤解というものだ。ヒューヒュー♪」
「口笛を吹いて誤魔化すな!!💢」
そうこうしているうちに、今後の方針の話し合いを終えた黒服男たちが戻ってきてしまった!
「…き、貴様らいつの間に!?」
「某国特務機関が捕虜を拘束する時に使う特殊繊維で編まれた縄をあっさり自力で解くとは…。一般人ならもがけばもがくほど縄が引き締まる筈だ。やはり貴様、シブルリックオーダーだな!?」
「シブルリックオーダー? あんな奴らと一緒にするな! 今こそ私の真の姿を明かしてやろう! トォォッ!! ミラージュ、変身ッ!!」
敦マスクはミラージュ星の超科学パワーにより、大宇宙の大いなる正義の使者ミラージュマスクに変身するのだ!
「…う、嘘!? 本物のミラージュ星人!? シャッターチャンス!! あっ、でもカメラがないわ!!💦」
さっき黒服男たちに捕まった際に取り上げられたカメラを急いで探しに行く紗季。
「ミ、ミラージュマスクだと!? あの大迷惑ヒーローがもう娑婆に出て来ていやがったのか!」
「構わねえからやっちまえ!!」
「よし、かかって来い悪党どもよ!逮捕するぞ!」ミラージュマスクは、彼らに向かって叫びながら、超高速で近づいていく。
国際マフィアの構成員たちは拳銃を取り出し、彼を迎え撃つ。「撃て!撃て!あいつをやっつけろ!」彼らは必死で引き金を引くが、しかし、全く効果がない。ミラージュマスクはその場の空気をあやつり、弾丸が彼の体を通り抜ける様子を優雅に躱す。
「ほらほら、そんなものじゃ私には通用しないぞ!」ミラージュマスクは笑いながら言う。
彼の手から放たれる光線が、一瞬にして国際マフィアの構成員たちを襲う。彼らは次々と吹き飛ばされ、空中を舞う。
「これがミラージュビームだ!」ミラージュマスクは得意気に宣言し、その煌めくビームで悪党たちを一掃していく。
「降参します。どうか、どうか命ばかりはお助けを!💦」
情けなく白旗を振る黒服男たちのリーダー。結局、国際マフィアの構成員たちはミラージュマスクの前に一方的にフルボッコにされ、彼の圧勝で終わってしまった。こうして世界はまた一歩、平和な日々に近づいたのであった。
エピローグ
それから数日後、北海道網走から遠く離れた南国の琉凪県立青鷺高等学校では、その日の朝、いつも通り登校した美濃本敦が他の生徒や教職員たちから送られる微妙な視線が気にかかっていた。
「みんな一体どうしたんだ? なんか妙に視線が気になるんだが…」
「お~い!敦ッ! 大変だ! これを見て見ろよ!!」
図書室から週刊誌を敦のところへ持ってくる紫城心翔。心翔が敦にページを開いて見せると、そこにはあの志賀野紗季が執筆を担当した記事に「異星人ヒーロー・ミラージュマスクの正体判明!」という大見出しと共に、その正体とされる「少年A」の顔写真が掲載されていた。その顔写真の目元部分には黒い横線が引かれて加工が施されてあったものの、見る人が見れば一発で美濃本敦その人と判別できる写真だったのだ。
「…な、なんじゃこりゃあァァッッ!!💦」
お後がよろしいようで…。
END
コメント
某国際マフィア組織の工作員…ひょっとしてブラックマフィアですかこいつら…?
勘違いされたまま(…って言うか姿が敦くんなわけですし…)、敦マスクへの尋問が始まろうとしていたところで…
ミラージュ星人が出所する情報を聞きつけた物好きジャーナリストの紗季さんが、運悪くマフィアに遭遇して捕まって連れて来られた、なんかこのパターンで何度も捕まってくれそうですねこの人…
卑劣、マフィアどもは関係ない紗季さんにエロいことすると脅し、ジブリックオーダーの情報を敦マスクに吐かせようとするが…
全然気にしないどころか…むしろそれを楽しもうとしてやがる…
駄目だこいつ…早くなんとかしないと…
流石にコイツの態度を見て、困惑するマフィアどもが、上にお伺いに…そりゃこんなエロガキがジブリックオーダーな訳が…って思いますよね~
野郎どもが席を外している間に縄を解き、紗季さんも助け出し、「ありがとう!助かったわ、素敵!」とか言われると思ったかバーカ!
待っていたのは強烈なビンタ、そりゃあ野郎どもと一緒になってグヘってりゃそりゃキレられる。
2人がギャーギャー言い争っている間に帰ってくるマフィアども、そこでここぞとばかりに自分の正体を明かす敦マスクことミラージュマスク!
ミラージュ星人を追いかけてた紗季さんは大興奮、ある意味この人もおかしい…
>国際マフィアの構成員たちは拳銃を取り出し、彼を迎え撃つ。「撃て!撃て!あいつをやっつけろ!」彼らは必死で引き金を引くが、しかし、全く効果がない。ミラージュマスクはその場の空気をあやつり、弾丸が彼の体を通り抜ける様子を優雅に躱す。
こんなに技多才でしたっけこいつ…巨大化するぐらいしか能がなかったような…
何はともあれ、圧倒的な力でマフィアの野郎どもを圧倒するミラージュマスク、まあウサ晴らしにはなったようで…
そして風評被害…
ミラージュマスクが敦くんに変身してたことで、紗季さんの中では敦くん=ミラージュマスクとなったみたいで…
とんだとばっちりを受ける敦くん…これから奴が何かをやらかす度に敦くんに被害を受けることになるのでしょうか…?
> こんなに技多才でしたっけこいつ…巨大化するぐらいしか能がなかったような…
長期間のムショ暮らしで規則正しい生活が身に付き、それが修行成果となってパワーアップを果たしたようです(;^_^A アセアセ・・・
> とんだとばっちりを受ける敦くん…これから奴が何かをやらかす度に敦くんに被害を受けることになるのでしょうか…?
兄貴のミラージュジャックがいろんな女の子に融合しているのと同様に、ミラージュマスクも今後いろんなイケメン男子に擬態するのを試すのではないでしょうか?
「ヒーローの正体発覚!?」な展開は、本家本元の特撮ヒーローなどではこの後深かったり、重々しい話が続くこと間違いないんですが、果たしてミラージュマスクの場合は・・・(;^_^A
今回のエピソードは「ヒーローの正体発覚」よりも「悪の組織がヒーローの偽者に悪事や不祥事を働かせて本物の評判を落とす」に近いかもしれませんね。
>卑劣、マフィアどもは関係ない紗季さんにエロいことすると脅し、ジブリックオーダーの情報を敦マスクに吐かせようとするが…
全然気にしないどころか…むしろそれを楽しもうとしてやがる…
駄目だこいつ…早くなんとかしないと…
この件についてはフィリス様及びミラージュ上司の耳にも入っているのは確実でお二方が協議の上、お灸をすえる算段をしているのかもしれませんね。その上で紗季さんにもブ〇〇クエン〇〇ズ張りに強烈な警告を発するということになりそうです。
フィリス様とミラージュ上司が実は親友同士という裏設定は面白いかも…。