鷺島国際大学芸能音楽学部ダンス&ヴォーカル学科1年生の漆崎亜沙美は、同大学のサークルである報道部に体験入部するため、小寺洸介、桜庭陽平、鳳凰院優の3人に同行して瀬戸内海の無人島・羽孔島(はくしま)を訪れていたのだが、島内のとある寂れた小屋の中に監禁されていた人気アイドル・琴川玲奈を発見、救出した。しかしそれと入れ替わるように、今度は優が行方不明になってしまう……。
犯人のまさかの正体!
「もしかして鳳凰院さん、玲奈ちゃんを誘拐してた犯人に捕まったんじゃ!?」
「よしっ、それじゃあ俺が森の中を探して来る。桜庭は玲奈さんと一緒にここで待機していてくれ」
「分かった!」
「漆崎さん、例の小屋まで案内できるかい? 優が誘拐犯に捕まってるとしたら、今そこにいる可能性が高い」
「分かった。任せて!」
こうして陽平と玲奈を船着き場に残し、洸介と亜沙美は森の中へと足を踏み入れて行った。
「くそっ、やっぱり圏外だ。無人島なんだから当然か…」
とりあえず陽平は警察に通報を試みたが、やはりスマホの電波は島外へは届かなかったようだ。
「こうなったら夕方に漁船が戻って来るのを待つしかないな。そこから無線で本土に連絡してもらおう」
「ごめんなさい。私一人のために、皆さんにご迷惑を…」
「気にしなくていいよ。君は本来なら一番の被害者なんだし」
そこへ船の汽笛の音が近づいて来る。陽平たち報道部がこの島に上陸する際に利用した漁船がもう戻って来たのだ。
「あれっ? 迎えの時間にはまだ早いはずなんだけどな…。でもまあいっか」
「あの船は何なんですか?」
「僕たちが朝この島に来るときにチャーターした漁船だよ。おーい!こっちこっち!!」
近づいて来る漁船に向かって、大声で叫んで大きく手を振る陽平。やがてその漁船は船着き場へと到着して、中からあの親切そうな漁船の船長のおじさんが砂浜へと降りて来た。
「船長さん、こっちこっち!」
「やあ君たち、一体どうしたんだね? それに朝は一緒にいた他の子たちの姿が見えないようだが?」
「緊急事態なんです! 漁船の無線を使って警察に連絡出来ますか?」
「まあ出来ないことはないがね」(* ̄▽ ̄)フフフッ♪
「…い、イヤッ、そんな…嘘でしょ……嘘よ!」
船長の男の顔と姿をしかと見た玲奈が、突然恐怖で怯えるように震え出した。
「どうしたんだい玲奈さん?」
「その人…私を誘拐して……この島に連れて来た……あ、あぁ!!」(((( ;゚Д゚)))ガクガクブルブル
「な、何だって!?」
玲奈の反応と一言にびっくりした陽平が再び船長の方へと顔を振り返ると、なんと船長はニヤニヤと笑いながら陽平と玲奈に拳銃の銃口を向けていたのだった!
優の救出
一方こちらは、森の中にある琴川玲奈が捕まっていたという小屋へと二人でやって来た洸介と亜沙美。しかしそこに優の姿はなかった。
「くそっ、収穫無しか…」
「待って小寺くん、こっちにエレベーターみたいなのがあるよ!」
小屋の物陰に隠れた奥に、亜沙美はもう今は動いていないような半世紀前の古びたエレベーターの扉を発見した。
「さすがにもう動いていないんじゃないのか?」
「ポチっとな♪」
「お、おい! 迂闊に触るなって!」
好奇心半分でエレベーターのボタンを押してみる亜沙美。すると突然エレベーターが動き始めて、洸介と亜沙美の目の前で音を立てて扉が開いたのである!
「うそっ!? ホントに動いた!」
「どうする?」
「どうする…って、やっぱ乗るっきゃないしょ!」
「だよなぁ…💦」
恐る恐るエレベーターに乗り込み下階へと向かう洸介と亜沙美。
「この島の地下にこんな場所があったなんて!」
「奥に続いてるみたいだ。行ってみよう」
どうやら中は炭鉱の坑道のようになっているようだ。懐中電灯を片手に、さらに奥へと進む洸介と亜沙美。2人はそこで、縛られた状態で牢屋の中に放り込まれていた優を発見した!
「んむむっ…んむむぅぅ~!!」
「鳳凰院さん!?」
「優、待ってろ!今解いてやる!……あーちくしょー!この扉どうやったら開くんだ!?」
「どっかに鍵はないの!?」
優の拘束を解いてやりたいものの、牢屋の扉には厳重に南京錠がかけられていて、開けて牢屋の中に入ることが出来ない。洸介と亜沙美は近くに牢屋の扉を開く鍵はないか?と周囲をくまなく探し始める。
「あったー! たぶんこれじゃないかな?」
「すぐに開けてくれ!」
「オッケー♪」
牢屋の鍵を見つけた亜沙美は、重い鉄格子の扉を開ける。すぐに洸介が牢屋の中に入って優を縛っている縄を解いて口の猿轡も外した。
「優、大丈夫か!?」
「ありがとう…。小寺くん、漆崎さん。それよりも大変よ! 私達をこの島に連れて来てくれた船長が!」
「あの人の好さそうな船長さんがどうしたの?」
「あの船長、とんでもない人だったのよ! 私を捕まえてここに閉じ込めたのは――」
瀬戸内の静かな海にて
瀬戸内海というと鳴門の渦潮のような激しい潮流のイメージがあるが、羽孔島周囲の一帯は比較的緩やかで静かな海である。今そこで一隻の小型漁船と海上保安庁の巡視船がすれ違ったが、巡視船は特に何も気づかぬまま漁船とすれ違い通り過ぎていく。その様子を確認した漁船側の船長はニヤリと不気味な笑みを浮かべると、甲板下の船室内部を覗くように確認した。
「んぐぐっ…むむぐぅぅ!!」
「んんーっ!んんっ!!」
暗くて狭い船室の中では、口に猿轡を噛まされて両手足をロープで縛られている陽平と玲奈の姿が!
「お二人さん、もうしばらくの辛抱だぜ。じきに楽しいところに連れてってやるよ! フフフッ…」
ついに悪魔の本性を現した漁船船長に連れ去られた陽平と玲奈の運命は!?
そして羽孔島に置き去りにされた洸介、優、亜沙美はどうなってしまうのか!?
つづく。
コメント
連日の更新お疲れ様です!
漁船も近付けるような平和な島に…ってまさかの漁船の船長、お前かい!
探偵ものにはかならず犯人は序盤からいるもので、その法則は壊してはいけないって言いますからね。
漁師の副業がまさかの人攫いだったとは、獲るのは魚だけにしとけ!
拳銃も所持してますし、ただの猟奇的なやばい奴っていうようよりは仕事でやってる感じがしますね。
なんとか亜沙美ちゃんと洸介くんの探索で、優ちゃんを見つけ出し、こんな島からおさらばだっと思ったところで今度は陽平くんと玲奈ちゃんが誘拐犯だった船長に捕らわれの身に、海上保安庁の巡視船にも気づいてもらえずどんどん島から離れていく漁船…
どことも解らぬ場所へと連れて行かれてしまう陽平くんと玲奈ちゃん、そして船もなく、島から出る手段もなく、無人島に残されてしまった亜沙美ちゃん、洸介くん、優ちゃん3人…本当にどうするんでしょこれ…普通に考えれば絶望的な状況ですが、これからどうやって島を脱出しながら2人を助けるのかとても楽しみですね!
解決編を更新しました。
https://okamenogozen.com/https-okamenogozen-com-urushizakiasami-seishikisannyu-final/
事件解決の様子と亜沙美ちゃんの正式入部のシーンがメインですので、DIDシーンはほとんどありませんが、そちらに期待していた皆さんすみませんm(_ _)m
でもようやく亜沙美ちゃんが報道部の正式メンバーに加わったことにより、
https://okamenogozen.com/university-student-news-club-new-member/#comment-569
旅鴉様の↑こちらでのコメントにあった「アンチリア充の陰キャラな誘拐エージェント」がいよいよ動き出してくれることを密かに期待しています(^^)