捕らえた戦闘員に言い含めて懐柔し、捕虜になったと見せかけて敵のボスであるティラノレギウスの前に引き出される牧村光平。しかしティラノレギウスは光平の姿を見た途端、すぐさま指先からの怪光線で連れて来た戦闘員を処刑してしまう。
「ギャアアッ!!」
周囲でそれを見ていた他の戦闘員たちは混乱して狼狽する。
「テ、ティラノレギウス様、その戦闘員は牧村光平を捕らえたお手柄の!?」
「牧村光平君、上手い手を考え付いた物だな。しかし私の目は誤魔化せんのだ! 奴の両手を縛っている縄をよく確認しろ! すぐ解けるように細工してあるかもしれん!」
ティラノレギウスの言いつけで、戦闘員たちが光平を縛っている両手の縄をチェックする。
「報告します! 別段、異常は見当たりません!」
「ご覧の通り、今の俺は手も足も出ない袋の鼠だ。そんな怖がる必要なんかないぜ」
「フフフッ、いい度胸だ若造。牧村光平君をVIPルームにご案内しろ。丁重にな」
「キキ―ッ、畏まりました!」
光平はVIPルームとは名ばかりの粗末な牢へとぶち込まれた。
「ここで大人しくしていろ!」
それだけ言い放つと、見張りに立つこともなく戦闘員は去って行った。
しばらくは牢屋の中で文字通り大人しくしていた光平だが、やがて腕時計の時間を確認すると…。
「さてと、そろそろだな…」
光平はシューズの靴底裏に仕込んで隠し持っていた小さな鑢を使って両手のロープを切り、フェンスを研磨してあっさりと牢を破った。
「た、大変です! 牧村光平が地下牢から脱走しました!」
「なんだと!?」
「報告します! 他の捕虜も姿を消しました!」
監視カメラのモニターの視界から、捕らえていたはずの錦織佳代や寺林柊成たち3人の姿が消えていた。さらに久峨ドリームパーク東京の周囲を、いつの間にか桜川礼奈警部補が指揮を執るパトカーの大群が包囲していたのである。
「光平くんから連絡を受けた時は半信半疑だったけど、まさか本当に久峨ドリームパークがゼルバベルの秘密基地だったとはね…」
かねてから久峨コンツェルンの闇の部分を独自に追っていた桜川礼奈は、光平から「久峨コンツェルンを調べたいならドリームパークを調べてみろ」と言われていたのである。
「…とはいえ、あたし一人の力ではここまで警察の組織力は動かせなかった。牧村光平くん、本当に何者なのかしらね?」
光平は自分の出自や過去についてはあまり周囲に話したがらず、詳しい事情を知っていると思われる沢渡母娘には何度聞いてもはぐらかされるばかり。もしかすると光平がどこぞの財閥か政治家の御曹司か何かという噂も案外本当かもしれないと思慮したが、それ以上の詮索はやめにした。
「玲奈さ~ん!」
「優香ちゃん! みんなも無事でよかったわ!」
テーマパークの正門から沢渡優香や無事に救出・保護された柊成たちが出て来て礼奈たち警官隊と合流する。しかしそう思って安堵したのも束の間、突然天空からプテラレギウスが舞い降りて来て、いきなり優香を捕まえ遥か彼方へ飛び去ってしまった。
「キャアアッ!!」
「しまった! 優香ちゃんが!!」
「大変だ! 沢渡さんが翼竜の化け物に攫われた!」
「やってくれたな牧村光平、いや、天凰輝シグフェル! だがまだ勝負は終わってはいないぞ! 女を助けたければ一人でテーマパーク内にあるライブホールのステージまで来い! 待っているぞ!!」
「…っ…むぅ…うぅんっ…!!」
この後、天凰輝シグフェルVSティラノレギウスの一騎打ちとなるのだが、管理人は戦闘シーンを描くのが苦手なので今回はここまでです。閲覧ありがとうございました。m(_ _)m
END
コメント
お疲れさまでした。
これにて一件落着、とはいかず、シグフェルVSティラノレギウスのラストバトルが残っていますが、無事シグフェルが勝利して優香を救出することと思います。一介の警部補である礼奈が警察の大部隊を動員するのは無理でしょうから、おそらく光平は斯波旭冴あたりに先に連絡していたのでしょうね。
ところでゼルバベルとしては「久峨ドリームパークがゼルバベルの秘密基地だとばれる」という大問題が発生したわけですが、どう後始末をつけるのかもいろいろ想像の余地がありますね。予想としては
・取り合えずロバート・サザーランド/ティラノレギウスに全責任をおっかぶせて「会社に潜り込んでいたゼルバベルの手先が勝手にやった」ことにする
・橘カオリ/ラベンダーレギウスが来て関係者の記憶を片っ端から改竄する
・後は警察OBの松永久雄議員の政治力で適当に辻褄を合わせる
あたりでしょうか?サザーランドも座して死を待つ気はなくて必死で知恵を絞るでしょうが。
> ところでゼルバベルとしては「久峨ドリームパークがゼルバベルの秘密基地だとばれる」という大問題が発生したわけですが、どう後始末をつけるのかもいろいろ想像の余地がありますね。
「オープン前に突然ゼルバベルの一味がドリームパークに押し入ってきて、開園準備中だった善良な従業員・スタッフたちを監禁。パークはゼルバベルに乗っ取られていたのです! わが社も被害者なのです!」とサザーランドが記者会見で知らぬ存ぜぬを押し通して終わりです。ただし以前から久峨コンツェルンに胡散臭いものを感じていた桜川礼奈刑事や牧村光平などは、(まだ確信までには至らないものの)久峨コンツェルンに対する疑念をますます深めていくことでしょう。