前日譚、ベラドンナからの使者
これは寺瀬聖佳がおかめ党に呼び戻される数日前のお話である。
味方とも敵とも言い難い微妙な関係にある犯罪組織ベラドンナの動きを探らせていた新人の美少女工作員・コードナンバー「ブラッドファルコン009」こと星奈 彩羽(ほしな あやね)が消息を絶ってからしばらくして、おかめ党の本拠地であるおかめ城に意外な訪問客が現れた。
「フフフ…大胆不敵にもおかめ党にわざと捕まり、堂々と難攻不落のおかめ城に乗り込んでくるとは見上げた奴ッス。よろしい、話だけでも聞いてやるッス!」
「さすがはおかめの御前様、ありがとうございます」
白いテーラードジャケットにおかめの御前好みのショートパンツを着用して美脚を露わにしているこのブロンド髪の美女こそ、犯罪組織ベラドンナの女ボスである魔女の信任厚き仲介者のイザベルである。このイザベルは、おかめ党にスパイの捕虜返還を申し出て来た。
「いかがでしょうか? おかめの御前様のお好みのコーデで試してみたのですが?」
「全てはリサーチ済みということッスか。そこは感心するッス。ところで用件は?」
「我らベラドンナの方で捕えているおかめ党のスパイの少女を、そちらにお返ししてもよろしゅうございます」
「へぇー、それで? 勿論タダではないっしょ」
「はい、実はおかめの御前様ご寵愛の寺瀬聖佳嬢に、是非ベラドンナに賓客としてお越しいただきたいとの魔女様のたってのご希望でございます」
「なにーっ!? 聖佳ちゃんを!? それは…それだけは成らぬッス!!」
「ではこちらで捕えたスパイの少女は、こちらで処断してもよろしゅうございますか?」
「さぁて、余には一体何のことやら、記憶にございませ~ん! 怪しい女を捕まえたなら、そっちで煮るなり焼くなり好きにするといいッス。我がおかめ党は一切関知いたしませ~ん!」
こうしてイザベルを追い返し、ベラドンナに囚われた星奈彩羽と引き換えに聖佳を人質に送る案を蹴ったおかめの御前だったが、その事を知った聖佳は閉居先からおかめ城に押しかけて来て、おかめの御前に彩羽の命乞いを懇願した。
「おかめの御前様! どうか彩羽ちゃんを助けてあげてください! 聖佳は喜んでベラドンナに人質として参ります!」
「それは成らぬッス。しくじりを犯した配下を許したとあっては、悪の組織としての示しがつかぬのは聖佳ちゃんも知ってるっしょ?」
「それは重々承知しておりますが、彩羽ちゃんはわたしにとって妹同然の可愛い後輩なんです。そこを曲げてなんとか!」
「いやダメッス。そもそもブラッドファルコン009のような新人を送り込んだのは、いつ切り捨てても問題ないようにするためッスよ。009には気の毒ながら、向こうで〇んでもらうしかないッスね」
「そんな、ひどい…。どうしても彩羽ちゃんを助けてくれないなら、わたしはここで舌を噛み切って〇にます!」
「……なっ!? ま、待て!! 早まるでないッス!!💦」
こうして聖佳に押し切られる形で、おかめの御前はベラドンナとの初取引に応じることにしたのである。
覚醒の儀式
「相変わらず姉貴は甘すぎるぜ…」
事の経緯を聞き、弟の寺瀬詩郎は姉・聖佳の優しさに呆れていた。
「いいのよ。それにこれは彩羽ちゃんだけのためじゃないわ! わたしが自らベラドンナの中枢に乗り込んで、おかめ党にとっても不明だったあの組織の実体を探るチャンスなのよ」
「分かったよ。姉さんの自由にやればいいさ。出来れば俺も一緒について行ってやりたいけど」
「おっと、それはダメっすよ。これから詩郎にはパワーアップのための最後の仕上げが待っているッス」
「チェッ、分かってるよ。それじゃあ姉さん、くれぐれも気をつけてな。何しろ相手はあの魔女だ。決して無理だけはしないでくれ」
「ええ、分かってるわ。わたしも詩郎の覚醒の儀式に立ち会えないのは残念だけど、頑張ってね」
こうしておかめ党の美少女幹部である寺瀬聖佳は、ベラドンナの魔女の元に事実上の人質としてしばらく身を寄せることになった。その代わりベラドンナ側からは捕虜の身柄解放だけでなく、エージェントの人材をおかめ党に派遣することになった。実はおかめの御前には以前からベラドンナ側に目を付けていた人材がおり……。
「あ、あぁ…ッッ!! この感触は!? 俺の体に……力が漲って来る!!」
「我がおかめ党の崇拝する邪神アルドーの魂を、今こそ選ばれしお前がその身体全体に宿すッス!!」
おかめの御前から奇妙な呪文を詠唱する中、天空から降り注ぐ謎のパワーを一身に浴びる形で受け取る寺瀬詩郎。果たして彼の身に何が起ころうとしているのか!?
つづく。
コメント
『取引成立』
「へ~、本当に上手くいくとはね~、思った以上に甘ちゃんのようね聖佳ちゃんって」
ソファーにもたれかかりながら、魔女と呼ばれる「ベラドンナ」のボスは、イザベルの報告をスマートフォンで聞きながら楽し気に笑った。
「取引が成立しなかったらあの密偵どうしようか思案してたところだったのよね、後腐れなくあっさり〇っちゃうのがこの世界の常だけど、なかなか可愛かったからさ~、そのまま飼うか、いっそ転売してしまおうかと…う~ん、ちょっと味見した後でも遅くは…」
『マスター…』
電話の向こうから低い声が聞えてくる。
「冗談よ、冗談、あんなエビで寺瀬聖佳ってタイが釣れたんだから儲けものよね~、いや~本当に、予想通りの動きをしてくれるなんて、クスクスクス…」
堪えきれずに思わず笑いだすボス。
「あの子の耳に入れば自ら動いてくれるって思ってたのよね、あの子一度捕まえたことあったけど、ああ、あの時直ぐにMr. Unknownの爺様に引き渡したのだけど、なかなか良い性格だったの覚えてるわ、その頃からちょっと興味あったのだけどね」
『ですが、逆にあっさりとこちらに寺瀬聖佳を引き渡したのが気になりますが』
「そうね…彼女はおかめの御前にとっては、私にとってのあなたのような存在でしょうからね、断腸の思いでしょうね」
『・・・』
「あら照れてるのイザベル~」
突如無言になったイザベルをからかうボス。
『そ、そうです…それをあっさり承諾したのが…、何かあちらにも企みが…』
「あるでしょうね~、おかめの御前にも寺瀬聖佳にも…まあいいわ、何はともあれ取引に応じてくれたんだし、こちらも対価を払わないとね~、おかめの御前はあれが所望なんでしょ?」
『ええ、予想通り、エージェント石鼠をご所望と』
「OK、早速あいつに連絡とって、ごねるようだと海が良いか山が良いか聞け!」
『承知しました』
「それと…プロセルピナだけど、石鼠のサポートの他に聖佳ちゃんの相手も任そうかしら」
『それこそ大丈夫でしょうか?』
「まああの2人色々あったからね、でも今は同盟関係みたいなもんだし、ここで過去のことは水に流し親睦を深めて…」
『マスター…面白がってますよね?』
「わかる~、お互いどんな顔するか見ものよね~」
「で…なんでアンタから連絡あるの?張さんは…?」
石鼠は電話の相手に、不機嫌そうに言葉を返す。
『この度の件は私イザベルが担当することとなりました』
「…まあいいわ、で、仕事は…?」
『とりあえずはおかめ党への派遣ということになりました』
「はぁ!?ちょっと何言ってんのかわからない!」
唐突な話に、思わず叫び声を上げる石鼠。
『ですからまずはおかめ党へと向かい、その後であちらの依頼を聞くという形に…』
「なんで私があんなやべぇ奴のところに行くことになってんの!?」
『あちらがあなたを随分と気に入られたようで、是非とも』
「それこそなんでさ、気に入られる心当たりないんだけど…っていうか、それ受けなきゃ駄目?」
『ボスからですが…あなたは海と山どちらがお好きかと…』
「はいはい選択肢なしと、行けばいいんでしょ行けば、下手にごねるとまた童顔チビの〇し屋が後ろに立ってそうで恐いからね」
そう言いながら大きく溜息をつく石鼠。
『お引き受けくださり有難う御座います、詳しいことはまた連絡しますので、それではまた』
そう言って冷徹に電話を切るイザベル。
「あ~あ、しくじりすぎた~、あんなやばい組織に派遣とか今度こそやばいかもね~、まあいいや、この際だからあの化け物と呼ばれる変態おかめの御前がどんな野郎か拝ませてもらうおうじゃない!」
さて、改めましておかめ党に出向することになった石鼠姐さんですが、今度は誰を誘拐してもらいましょうか( ̄ー ̄)ニヤリ
リア充嫌いの姐さんのことですから、今度はTEAM FRIENDS辺りでもターゲットにしてもらうことになりそうですね。
彩羽ちゃんの身柄と引き換えに聖佳の身柄を要求してくるイザベルさん、欲深いというかいい性格してますねえ~。まあこれを言ってしまえばベラドンナはいい性格をした連中の集合体となってしまいますが…。
自身と引き換えに彩羽ちゃんを救出しようとする聖佳ちゃんの健気さ相変わらずですね。これからベラドンナの魔女に愛玩される日々が始まりそうでその様子も少し見てみたい気がします。
おかめの御前様が目を付けられた人材が果たして誰なのか、多士済々過ぎて少し予想がつきませんでした…。
> これからベラドンナの魔女に愛玩される日々が始まりそうでその様子も少し見てみたい気がします。
プロセルピナも絡んでくるみたいで、これから訪れるであろう聖佳ちゃんの受難の日々が楽しみですww
>工作員・コードナンバー「ブラッドファルコン009」こと星奈 彩羽(ほしな あやね)
名前あったんか~い、もうメインキャラみたいだったので思わず旧サイトへ確認に行っちゃいました、聖佳ちゃんの後輩ちゃんだったんですね!
しくじった工作員をあっさり切り捨てようとするおかめの御前様、流石悪の組織の首領、冷酷ですな~…って思ったら
>「おかめの御前様! どうか彩羽ちゃんを助けてあげてください! 聖佳は喜んでベラドンナに人質として参ります!」
どこで聞きつけたのか、後輩を救うために戻って来た聖佳ちゃん、すいませんここは魔女の思惑通りということのさせて頂きました。
さすがにお気に入りの聖佳ちゃんに諭されて、工作員の彩羽ちゃんを助けることに決めたおかめの御前様、本当に聖佳ちゃんに甘いですな~…ってベラドンナに聖佳ちゃんくるの!
これはおもしろくなってきましたね~、ちょっと因縁あるプロセルピナとも(監視も兼ねて)絡ませたくなりましたね~
そして、もう1つの条件として、ビッ〇…もとい、石鼠を派遣することとなったベラドンナ、散々やらかしとうとうとんでもないところに行かされることとなった石鼠姐さん、彼女の運命はいかに…割とイキイキと頑張ってくれそうですね~、おかめ党での活躍が楽しみです!
そしてとんでもないことと言えば…
>「あ、あぁ…ッッ!! この感触は!? 俺の体に……力が漲って来る!!」
「我がおかめ党の崇拝する邪神アルドーの魂を、今こそ選ばれしお前がその身体全体に宿すッス!!」
サイボーグ化の上にクトゥ〇フ神話(詳しくないですが)に出てきそうな邪神を降ろすとは、どこまで化け物になっていくのでしょうか詩郎くん…おかめの御前様を超えるラスボスを目指してるのか…?
とりあえずイザベルさんのプロフィールも載せときますね
> 名前あったんか~い、
とりあえず名前は付けてみましたが、AIで生成したイラストのキャラクターですので、今後レギュラー入りする予定はありません。所詮は工作員など使い捨て。おかめ城におめおめと帰って来た彼女には、おかめの御前からの怒りのお仕置きビームによる制裁が待ち受けていることでしょう。
> サイボーグ化の上にクトゥ〇フ神話(詳しくないですが)に出てきそうな邪神を降ろすとは、どこまで化け物になっていくのでしょうか詩郎くん…おかめの御前様を超えるラスボスを目指してるのか…?
最初は黒髪だった詩郎くんが紫髪になるのは、紫の鱗を持つ大蛇の邪神アルドーの力を宿したからだったりします。寺瀬聖佳&詩郎姉弟の先祖は、豊臣秀吉の庶子で豊臣秀頼の腹違いの兄にあたる豊臣秀邦公であり、生母の身分が低く且つ淀殿の嫉妬から守る為、幼少期に大坂城から出て家臣である寺瀬甚左衛門の手によって育てられて、大坂落城後も徳川の追手から逃れつつ身分と出自を隠して代々隠れ住んでいた云々というエピソードを考え中です💦
仲介者イザベル
ストレートロングのブロンド髪の西洋人の美女。
犯罪組織「ベラドンナ」の女ボスである魔女のメイド兼秘書であり仲介者であり、弟子。
礼儀正しく物腰も柔らかい、傍目裏社会で働いているようには見えない淑女。
イザベルは組織に入ってから与えられた名前で、本当の名前ではないが、それは捨てたと語る。
その時々によってボスの呼び方を「社長」「オーナー」など変えるが、基本は「マスター」と呼んでいる。
昔、ボスに救われたことに恩があり、ボスに絶対的忠誠を誓う、〇ねと言われれば自ら命を絶つことも躊躇わない。
あらゆる面で高い能力を持ち、ボスも信頼も厚く、重要な仕事を任される事も多い。
ボスとの関係は上司部下以上のものがあり、夜の相手をすることもある、警戒心が強く疑り深いボスが、寝食を共に出来る数少ない人物の1人。
魔女であるボスの弟子ということもあり、ボスと同じく魔術が使えるとも。
組織内の位は張 秀狼の方が上だが、重宝されているのはイザベルの方である。
最近週一のブログ更新がやっとの状況で、本当に申し訳ございません。
今は「張 秀狼」氏一人が「狩人(ハンター)」の項目に間借りしている状況ですが、「仲介者」も2人以上に増えましたので、なるべく早めに「仲介者」の項目も独立記事として立ち上げておきますね。
イザベル様、クールビューティー系キャラと思いきや・・・・
最終的に女性最大の武器=泣き上戸を使うとは・・・でも、こういう強気キャラが見せる弱い部分に魅かれることも多いのです・・・
そして、詩郎くんがいよいよ怪人に・・・!?
> そして、詩郎くんがいよいよ怪人に・・・!?
怪人…というよりは、超〇イヤ人みたいな姿になるかも(;^_^A アセアセ・・・