遥か遠い未来、核戦争で人類の文明が崩壊した地球では、人間に取って代わった猿族、狼族、蜥蜴族の3つの種族が世界の覇権を巡って争っていた。そんな時代にひょんなことからタイムスリップして迷い込んでしまった平凡な普通の高校生、夏幹時生と広田真衣の運命は…!?
狼族の子供を救え!
前回からのあらすじ:猿族に捕まっていたところを助かったと思ったのも束の間、今度は蜥蜴族に捕らえられてしまった時生と真衣。しかし何とか蜥蜴族の監視の目を盗んで逃げだすことに成功する。
蜥蜴族の追ってから逃れるべく、森の中を当てもなく必死に走る時生と真衣。そんな時、二人は蜥蜴族の兵士に襲われている狼族の幼い子供たちを発見する。
「大変! このままじゃあの子たちは蜥蜴族にどんなひどい目に遭わされるか分からないわ! 助けなきゃ!」
「ほっとけよ! どうせ狼族も俺たち人間のことは敵視してるんだ。可哀そうだけど、蜥蜴族の目が狼族の子供に向いている今のうちに俺たちだけでさっさと逃げようぜ!」
「…でも、放っておけないッ!!」
「ま、待てよ真衣!! あーもうッ、しょーがねえーなぁッッ!!💦」
狼族の子供たちを救うべく飛び出して行った真衣。時生も腹を決めて真衣の後を追う!
「フハハハハハ!! せっかく逃げ出したのに、わざわざ戻って来るとはな!」
「飛んで火にいる夏の虫とはお前らのことだ。狼族のガキと一緒にお前たちも捕まえてやる」
「おねえちゃん、怖いよぉ…」
「大丈夫よ! あなたたちは絶対に私たちが守るから!」
「真衣! お前はその子たちを連れて先に逃げろ! ここは俺が食い止める!」
絶体絶命のピンチ! しかしそこへ森で迷子になった子供たちを捜索していた、勇敢なる狼族の戦士たちが駆けつけて来たのだった!
狼族の里へ
狼族の戦士たちによって蜥蜴族は撃退され、時生と真衣は狼族の里へと招待されることに。しかし時生の危惧した通り、狼族も決して人間に対して友好的という訳ではなかった。「人間は信用できない」「すぐに村から追放すべきだ!」という声が大勢になりつつあった中、それを鶴の一声で覆したのは、先程時生と真衣と狼族の戦士たちを蜥蜴族から助けに来た戦士団の一人で、里の中でも高名な勇者で同族からの信頼も厚いシブードだった。ちなみにシブートは、先程蜥蜴族に襲われていた狼族の子供の中の一人の父親でもある。
「待ってくれみんな! この人間二人は、身を挺して蜥蜴族から子供たちを守ってくれたんだ。私は確かにこの目で見た! まずはこの二人の話だけでも聞いてみないか?」
最初は時生と真衣に拒否感を示していた狼族たちも「あのシブードがそう言うならば…」ということで納得する。時生と真衣は、自分たちが過去の地球からタイムスリップして来たこと、猿族や蜥蜴族に捕まっていたところを脱出して来たこと等を話した。
「どうやらおぬしたちを誤解していたようじゃ。子供たちを助けてくれたことには礼を言う」
狼族の里の長老が時生と真衣に対して非礼を詫び、よければいつまでも里に滞在してもよいと申し出てくれた。しかしそこで時生が正直に告白する。
「礼なら真衣だけに言ってくれ。俺は最初は、狼族の子供たちを見捨てて自分だけ逃げようとしたんだ。俺には貴方たちの世話になる資格はない」
「時生! 黙ってれば分からないのに!」
「いいんだよ真衣。さあ、俺を煮るなり焼くなりどうにでもしてくれ!」
最初は狼族の子供を見捨てようとした罪悪感から、いかなる罰をも受ける覚悟を決めていた時生だったが、意外にもその正直な態度が返って狼族に好印象を与えたようだ。突然シブードが豪快に笑いだした。
「ガハハハッ!! 時生、お前は正直だな。ずる賢い猿や蜥蜴どもとは確かに違うようだ。狼族は正直な者が好きなのだ!」
「でも、俺は…」
「案ずるには及ばぬ。例え最初はどのような考えだったとしても、結果を見ればお前も子供たちを助けてくれたことには変わりはない。我々狼族はお前を歓迎する!」
「あ、ありがとう…!」
感激した時生は、シブードと固い握手を交わす。こうして時生と真衣は、当面の間、狼族の里に滞在することになった。
死の谷の謎
あれから一か月が過ぎた。今ではすっかり狼族と打ち解けた時生と真衣。時生はシブードたちに格闘術や銃器の扱いなど戦闘の心得を教わる一方で、真衣は狼族のご婦人たちから料理を教わったり、子供たちの遊び相手を務めたりしていた。
そんな時生と真衣はある日、シブードたち戦士団からある噂を聞かされた。狼族の里から北の方角に遠く離れた死の谷と呼ばれる場所に、今も知能を持った人間たちの生き残りが潜むように住んでいるというのだ。
「死の谷は危険だ。今まで行って生きて帰った者は一人もいない」
「それでも行きます! もしかしたら元の時代に帰るための手がかりがあるかもしれない!」
「分かった。そこまで言うのならば、これ以上は引き留めまい。武運を祈る!」
こうして死の谷へと挑むことになった時生と真衣。果たして2人は現代へと帰還する手掛かりを得ることはできるのであろうか!?
次回、後編では真衣ちゃんのDIDシーンにご期待ください( ̄ー ̄)ニヤリ
つづく。
コメント
実は動物の中でも狼は好きな部類に入りますね、基本犬派ですしビジュアルがたまらなく格好良いですからね、それに賢い!
猿も賢いですが、人間に近いですし、そのせいなのか、たまにムカつく時がありますから…
狼族の子供達を迷わず助けに入った真衣ちゃんと、見捨てて逃げようと提案する時生くん、これだけ見ると優しい真衣ちゃんと非情な時生くんって感じですが、あの状況だと人間らしいのは時生くんでネジ飛んでんのは真衣ちゃんってとこですね、狼族の戦士が助けに来なかったら今度こそ蜥蜴の餌になってたかもですからね~、でも無謀な行動でも優しさを見せる真衣ちゃんは好き!
そして狼族の戦士シブード、これはブシドーとかけてますね、確かに武士って感じの漢ですね!
さて、知能を持った人間たちの生き残りが潜むように住んでいるという死の谷の情報を聞いた2人、これで元の世界へ帰れる手がかりを得る事が出来るかもと希望を持つことが出来たのだが…死の谷だぞ…名前からしてもどう考えてもアウトだろ!
大体…もっとも恐ろしいのは人間ですからね、そりゃ狼族の先祖狩りまくったのも人間ですし…その結果が今の日本の獣害の殆どですからね…
> でも無謀な行動でも優しさを見せる真衣ちゃんは好き!
そういう純真な心優しい美少女こそ、ヴィランにとって誘拐して人質にし甲斐があるのでございます( ̄ー ̄)ニヤリ
> そして狼族の戦士シブード、これはブシドーとかけてますね、確かに武士って感じの漢ですね!
言われてみれば確かに……。
「シブード」が「武士道」のもじりみたいに見えるのは、実は全くの偶然です。
シブードの名前は↓のツールを使って作成しました。
https://groovy-life.sakura.ne.jp/AutoGenerator/RandFantasyKanaName.cgi