琉那市に遠征合宿に訪れていた鷺島国際大学女子バドミントン部エース選手の星愛怜美花、同じく同大男子陸上部所属の女子マネージャーである天帆美空の失踪を皮切りに、次々と琉那市で巻き起こる若者の失踪!
連続誘拐事件の可能性が濃厚であると判断したシブルリックオーダーは直ちに極秘捜査を開始したが、合宿を取材に来ていた鷺島国際大学報道部の取材クルーである漆崎亜沙美の拉致に巻き込まれ、紫城心翔も犯人一味に捕らえられてしまった!
京都・関白近衛邸にて
シブルリックオーダーの総司令フィリス=ミラ=エクセリアは、極秘裏に京都の関白・近衛綾麿卿の屋敷を訪れ、朝廷の奥の院を取り仕切る大物と言われる桔梗局と会談していた。
「この度の琉那市での一件、御上も大変ご憂慮あそばされております」
「すでにシブルリックオーダーも水面下で動いておりますが、今回の敵は彼らの手にも余るかもしれません。是非とも検非違使の力を借りるべく、お局様にも何卒お力添えを…」
事件の捜査に動いていたはずのユニット部隊チームリーダーの心翔すら連絡が取れなくなってしまい、今回ばかりは宿敵ザイザム以外の並々ならぬ敵が動いていると予感したフィリスは、桔梗局から協力に前向きな言質を取って帰還の途に就くが、帰りの専用車の後部座席に乗り込んだその時に異変が!?
「貴方は誰!? いつもの運転手じゃないわね!」
「フフフッ…しばらく眠っててもらおう」
言うが早いか、後ろに振り返った運転手――いや、正しくは運転手に変装していた狩人(ハンター)黒狗によって、フィリスは催眠スプレーを吹きかけられ眠ってしまった。
囚われの心翔と亜沙美
琉那市で起こった一連の事件の実行犯である狩人(ハンター)石鼠と猟犬ブラザーズのアジトへと連れ込まれてしまった紫城心翔と漆崎亜沙美。2人とも両手両足を縛られている。
「お前たち、いったい何者なんだ? ザイザムの手先か!?」
「ザイザム? なんだそりゃ? そんなの知らねーよ」
「星愛怜美花さんと天帆美空さんはどうしたの!? 彼女たちはどこにいるのよ!!」
「そんなの内緒だよ。教えるわけないじゃんww」
「は~い♪ そろそろ質問タイムは終わり。お前たち、この二人の口を塞いじゃいな!」
「ちぃーす!」
「…な、なにすんのよ!! ちょっとやめ…んむぐぐッッ!!」
「んむむぅぅー!! んんーっ!!」
心翔と亜沙美は、しっかりと口に猿轡を嵌められてしまった。そこへ電話の受話器が鳴る。
「姐さん、ゲームマスターから電話だぜ」
ブラザーズの累児から、ベルが鳴った受話器を受け取って電話へと出る石鼠。
「あ~もしもし、アタシよ。何の用? えっ!? ボーナス!? 一気に2人分…この男子高校生のガキんちょが? マジでかぁ……。まず分かったわ。ええ了解よ。それじゃあ」
相手の通話を終えて電話を切る石鼠。
「姐さん、ゲームマスターから何と言ってきたんですかい?」
「…驚いた。特例ボーナスだって。この小僧1人でノルマ2人分の達成を認めるってさ」
「マジっすか? やりぃ♪」
「ゲーム」の主催者から、捕獲した紫城心翔一人につき本来であれば1ポイントのところを2ポイントを特別ボーナスで認めると石鼠たちに通知してきたのである。そして囚われの身となりながらも、その場で耳に入った石鼠とブラザーズの会話のやり取りを冷静に考察する心翔と亜沙美。
「んっ、んんっ……(俺の身柄に特別ボーナスだって? 奴らの黒幕は俺の正体を知ってるのか!?)」
「んんっ……(確かゲームマスターとか言ってたよね。そいつがコイツらの黒幕なのかな?)」
「さてと…」
石鼠は縛られている心翔の目の前で屈み、まじまじと顔を覗き込む。
「ねぇキミ? キミはいったい何者なんだろうねぇ~?」( ̄ー ̄)ニヤリ
「………」
心翔の素性に興味を示し始めた石鼠。そして心翔は少しも臆することなく、自分を見る石鼠を精一杯睨み返してやるのだった。
ボンド星人主催の誘拐ゲーム、
ボーナス追加によりクリア条件達成まで、あと4人。
管理人よりコメント
思わぬボーナス点獲得に喜んでいい気になっている石鼠とブラザーズですが、その間にもライバルの黒狗が単独でフィリス様の誘拐に成功(フィリス一人で、一気にノルマ10人分のボーナス獲得)して一足先に誘拐ゲームを全クリしてしまっていることに、彼女と彼らはまだ知りませんww
コメント
とある黒いワンボックスカーのラゲッジスペースに、手足を縛られ猿轡を噛まされたフィリスが転がされていた。
「このお嬢ちゃん1人で10ポイントだってよ」
運転席から後ろを覗きこみながら、狩人(ハンター)黒狗は隣に座る女に話しかける。
「あの螻蛄女、俺の事を出し抜いたつもりらしいが…馬鹿だね~、ゲーム内容把握してなかったみたいだな、あいつ説明書読まないタイプだろ、俺は攻略本も読むタイプなんだけどな」
「ターゲットは条件に合えば誰でも良かったようですが、それぞれポイントがあり、とある重要人物に対しては高いポイントが付与されるってことでしたね、その情報、先に仕入れといてよかったですね」
そう話す女に、黒狗は体を戻しながら答える。
「まあ、そうゆうこと、無駄に数捕まえりゃ良いってことじゃないんだよな今回のゲームは」
黒狗は後ろのフィリスを指でさし、女にたずねる。
「ところで演劇部、後ろのあれに化けれる?」
「変装の用意はしてますよ、勿論他の女の子達のもね」
「抜かりないです」と言いながら「演劇部」と呼ばれた女が笑顔で親指を立てる。
「さ~ってと、これからどうするかね~、俺はこれでノルマ達成らしいんだけど、ついでにシブルリックオーダーとやらの他の奴らも捕まえてポイント増加しとくか、それか奴らが的にしてる報道部とやらも狙ってみるか…俺としては野郎は邪魔だが、あのクソ女に嫌がらせ出来るならそれはそれで面白いけど…俺って性格悪いかな?」
「良いのではないですか、私もあの人正直言って好きではないです、あの一緒にいる品のない犬達も…」
「俺はブラザーズとは一緒に仕事することがあるから、あんまり喧嘩したくなかったんだが…あんなんでも一応使える奴らだし…でもまあ、今回はあんなのに尻尾振ってると損するってことを教えといてやるかな」
そう言いながら軽く伸びをする黒狗。
「あ、でも、このフィリスって娘が10人分なら、もうこのゲーム終了ってことになりませんか?」
「…あ、そっか…そうなるのか…ノルマ達成しちまったら終了ってことか…まあそれはそれで奴はブチギレだろうから面白いけど…このまま終わっちまって大丈夫なのか?」
「それはゲームマスターさんの指示待ちってことで良いのでは、ただフィリスお嬢様は京都あたりの妙な組織に協力を仰いでいたようですし、彼女が率いているジブリックオーダーもなかなか強力な組織のようですから、このまますんなりと事が運べば良いのですが…」
そう言いながら心配そうな表情を見せる演劇部に、黒狗は笑顔を見せながら言った。
「ま、どう動いてもいいように準備だけはしておこうぜ、奴らの目は多分派手に動き回っている石鼠達に向いてるだろう、その間に奴らの捕まえた獲物も回収してとんずらってのも考えてる、奴らのアジトも影猿に探らせてるしな」
「あなたも悪い人ですね~」
演劇部の言葉に、鼻で笑いながら黒狗は答える。
「最初に出し抜こうとしたのあいつだぜ、いや~お互い協力し合うことが出来ればもっと上手くやれるのに残念だな~」
…っととりあえず、石鼠を出し抜いた黒狗とパートナー演劇部の軽い会話のSSを、これからどうにでも進められる感じで。
どうやら検非違使も動き出しそうな気配、これは誘拐組織も危うしかな…
しかし、先手をうってジブリックオーダーの頭のフィリス王女を黒狗が見事に誘拐…指揮官も行方不明になってしまったジブリックオーダー、はたしてどうなることやら…
そして先に誘拐されている心翔くんと亜沙美ちゃん、心翔くん、ストレートな悪の組織「妖魔結社ザイザム」とはまた違った汚さを持った大人の悪党もいるんだぞ、例えば目の前のクソ女とか、よく覚えておくんだ!
>「んっ、んんっ……(俺の身柄に特別ボーナスだって? 奴らの黒幕は俺の正体を知ってるのか!?)」
「んんっ……(確かゲームマスターとか言ってたよね。そいつがコイツらの黒幕なのかな?)」
こんな状況でもしっかりと会話に聞き耳を立てれる冷静な2人、実戦慣れしてる心翔くんはともかく亜沙美ちゃんもなかなか胆が据わってますね、さすが報道部にスカウトされるだけはある!
ゲームマスターからの特別ボーナスの知らせを受け、喜びいい気なっている石鼠とブラザーズ、これでゲームも一気にクリア、ギャラ総取り、やったぜ姐さん………
残念…ゲーム内容をよく把握していなかった石鼠姐さん…出し抜いたつもりがまさかの逆転負け確定…超得点のキャラクターフィリスをゲットしたのはまさかの黒狗、哀れ石鼠姐さん…次回はどんな顔してるんだろうか…
そして捕らわれの美男美女の運命は…黒狗に捕らわれたフィリス王女の行方は…友人や仲間が行方不明となり残された者たちの行動は…次回が色々と楽しみですね!
黒狗の行動にフォローを入れていただきましてありがとうございます!
果たしてこのまま誘拐ゲームは終わってしまうのでしょうか?
いえいえ、勿論そんなことはございませんww
次回にご期待ください。
ゲームマスター・・・もしかして、デザ神なるものも現れたり・・・!?
いえ、ゲームマスターとは、あくまでボンド星人からゲームの管理を委託されたMr.unknown配下の天山桜桃のことです。