BRAVERS EDITION　episode.128

安土市内で失踪した大学生の捜索・救出作戦を命じられた獅場俊一と寺瀬詩郎の二人は、地球連邦軍オメガ・ヴェール基地にあるディオドスシステムを使って、セレスティア=スパークル少尉（セリィ）と共に異世界タシェニュヴルアへと渡るのであった。

※chatGPTで生成した文章に、一部編集を加えております。

暗黒の城

厚い雲が空を覆い、稲光が時折空を裂く。大地を睥睨するように屹立する暗黒の城は、まるで世界そのものを支配する意志を持っているかのように不気味な存在感を放っていた。断崖絶壁の上に築かれたその威容は、どこから見ても地球上の風景とは思えない。

その一角――牢獄へと続く冷え切った石造りの廊下では、中世風の甲冑を身に纏った兵士たちが無駄話に興じていた。

「どうだ？　あれから異世界人の捕虜の様子は？」
「相変わらずだ。大人しいものよ」
「最初にここに連れて来られた時は、暴れてなかなか言うことを聞かなかったのが嘘みたいだな」
「まったくだ。フハハハハ……」

湿り気を帯びた空気の中、兵士たちの嘲笑が響き渡る。

鉄格子の奥にいたのは、安土大学考古学部の学生・草川律希であった。彼の手足には重々しい鎖が巻きつけられ、さらに口には分厚い鉄の枷が装着されている。助けを求める叫び声を封じるためというよりは――舌を噛み切ることも、毒を飲み下すことも許さないための「生かすための拘束」であることは明らかだった。

律希の瞳には疲労と絶望が入り混じり、思考は繰り返し同じ問いへと回帰していく。

（どうしてだ……どうして俺たちは、こんな目に……）

目を閉じれば蘇るのは、ほんの数日前の記憶。あの日の朝、大学へ向かう通学路。

「あの日」の出来事

「草川くん、おはよう♪」
軽やかな声に振り返れば、そこにいたのは憧れの先輩――桐尾史奈だった。

「あ、史奈先輩！　おはようございます！」

心臓が不自然なほど高鳴る。律希にとって彼女は、遠く手の届かぬ存在でありながら、ほんのわずかな希望を与えてくれる光でもあった。だが、その穏やかな朝は突如として破壊される。

突如、世界が闇に塗りつぶされたのだ。周囲の光景が霞み、まだ朝だというのに夜のように真っ暗になった。そして足元には青白く光を放つ円形の魔法陣が浮かび上がる。

「……な、何なのこれ！？」
「どうなってんだ！？」

通りを歩く人々は、誰一人として異変に気づいていない。異常は、律希と史奈だけを選び取っていた。

「史奈先輩、こっちへ！」
「えっ！？　あ、うん！！」

反射的に史奈の手を取り、路地裏へと駆け込む。しかし魔法陣は逃げ場を許さず、影のように二人を追いすがる。やがて魔方陣は暴発するように輝きを強め、世界そのものを飲み込もうとする光の奔流を放った。

「うわああッッ！！」
「キャアアッ！！」

そこから先の記憶は途切れている。

気が付けば律希はこの牢獄に囚われ、鎖に繋がれたまま。隣にいるはずの史奈の姿はどこにもない。彼女は今、どこで――無事なのか？　それすら分からない。

その時だった。無機質な金属音と共に、牢の鍵が開けられる。数人の兵士がずかずかと踏み込み、律希の鎖を外し始めた。

「出ろ。女王様がお呼びだ」

無造作な声に心臓が跳ねる。鉄の枷で声を塞がれていても、律希の胸の内では激しい鼓動が鳴り響いていた。

（女王様……？　一体、何者なんだ……）

恐怖と不安を抱えたまま、律希は半ば強引に引っ立てられる。どこへ連れて行かれるのか、何が待ち受けているのか――それは誰にも分からない。ただ確かなのは、彼の運命が大きく動き出そうとしているということだけであった。

（つづく）

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