悪の組織ネオブラックマフィアの違法薬物取引の現場を偶然目撃してしまった、ごく普通の平凡な男子高校生・夏幹時生。その時生を警護するため、ブレイバーズの錦織佳代と甲賀流天才少年忍者・稲垣健斗は、ICPO特命捜査官・彩堂寺戒と3人でチームを組んで警戒に当たる。
ネオブラックマフィアは時生をおびき出すため、彼の幼馴染・広田真衣を誘拐。戒たち3人は、真衣の救出に向かった。
※文章は、chatGPTで生成しております。
廃工場の罠と反撃
薄暗い廃工場の広い区画。その中央には、一人の少女が椅子に縛り付けられていた。広田真衣だ。両手と両足はロープでしっかりと縛られ、口には布が噛まされて声も出せない状態だ。彼女の目には恐怖の色が涙が浮かんでいる。
廃れた空間には金属のきしむ音が響くだけで、人影はないかに思えた。しかし、不意に足音が近づく。真衣は小さく声を上げようとしたが、猿轡がそれを阻む。
「んんっ…!?」
足音の主は、夏幹時生だった。彼は慎重に周囲を見回しながら真衣の元に近づく。
「しーっ、静かに。待ってろ、今すぐ縄を解いてやるからな」
時生はそう囁くと、真衣の手足を縛るロープに手を伸ばした。しかし、その瞬間、背後から不気味な笑い声と共に声が響いた。
「キキーッ!!」
暗がりの中から現れたのは、ネオブラックマフィアの戦闘員たちだった。彼らは時生を完全に包囲し、じわじわと距離を詰めていく。
「約束通り一人で来たぞ! 真衣を解放してくれ!」と時生が叫ぶ。
しかし、戦闘員の一人が冷笑を浮かべた。
「バカめ! そんな約束を守るつもりなぞ、最初からこちらにはないわッ!」
「くそっ、騙したな!」
時生は悔しげに歯噛みしたが、多勢に無勢。抵抗する間もなく捕らえられてしまう。そして真衣と同じようにロープで縛られ、猿轡をされてしまった。
「んんんーっ‼んんぐぅっ‼んんんむぅー‼」
「んんんぐむぅー‼んんむぅっんぐむぅっ‼」
「愚かなガキどもめ。こうして二人そろって仲良く死ぬがいい!」
並んで椅子に座らされ、無力な状態の時生と真衣。戦闘員たちはその光景を見て大笑いし、彼らを嘲弄する。デスクローン総統から「人質は殺すな!」と厳命されているとはいえ、旧ブラックマフィアの流れを汲んでいる一部の構成員たちは、未だ外道な畜生働きを働く昔の悪い癖が抜けきっていない者もいるようだ。もはや時生と真衣の命も風前の灯火か…!?
だが、戦闘員たちが油断しきり、時間が経って見張りの人数が減った頃。
不意に、時生が身体を激しく揺さぶり始めた。縄がゆっくりと緩み、やがてするりと抜け落ちる。
「な、なんだと!?」驚く戦闘員たち。
時生――いや、正確には彼の姿を借りていた人物は、ロープを解いた後、猿轡を引き剥がすと、不敵に笑った。
「さて、そろそろ頃合いね♪ 正体を明かしてやるとしますか!」
「女の声だと!?」時生の声色が突然変わったことに、戦闘員たちは困惑する。
時生は顔に付けていたマスクをベリベリッと剥ぎ取り、さらに着ていた服を脱ぎ捨てた。そして現れたのは、くノ一姿の錦織佳代だった!
「本物の夏幹時生くんは別の安全な場所にいるわ。残念だったわね!」
戦闘員たちは一瞬呆然としたが、すぐに怒声を上げて襲いかかる。しかし、佳代の動きは素早かった。
「遅いわ!」
彼女はくるりと回転して一人の戦闘員を蹴り飛ばし、手刀で別の一人を昏倒させる。次々と戦闘員たちを忍刀で斬り倒していく佳代。その動きは隙がなく、彼らは手も足も出ない。
最後の一人を倒すと、佳代はすぐに真衣の元へ駆け寄った。
「大丈夫?今、縄を解くわ」
佳代は素早く真衣の縛られたロープを忍刀で切り、猿轡も外した。自由になった真衣は、驚きと安堵が入り混じった表情で佳代を見つめる。
「あなたは確か、病院で時生と一緒にいたブレイバーズの…?」
佳代は微笑みながら、真衣の肩に手を置き、周囲を警戒しながら立ち上がると、真衣の手を取った。
「さあ、ここを出ましょう。こんな場所に長居は無用よ!」
廃工場の罠と救援
廃工場の薄暗い通路を、真衣を守りながら佳代が慎重に進んでいく。逃げ道を探しながらも、警戒の目を怠らない。
「外はすぐそこね……」佳代が低く呟いたその瞬間。
「止まれッ!」
鋭い声と共に、数人のネオブラックマフィアの戦闘員たちが前方に現れた。全員が飛び道具を構え、銃口を二人に向けている。
「動くな。こちらには弾丸がたっぷりある。大人しく降伏しろ!」銃を構える戦闘員が不敵に笑う。
佳代は唇を噛み締めた。真衣を守るためにも戦う必要があるが、飛び道具を前に無策で突っ込むのは無謀だ。たちまち窮地に陥ってしまう佳代と真衣の二人。
「くっ……!」
佳代は手裏剣を構えつつ一瞬の逡巡を見せたが、その時だった。
「ガシャンッ!」
突然、天井裏から何かが落ちてくる音がした。それに続いて、白い煙が充満する。
「なんだ!?」
「煙幕だ!?」
戦闘員たちが混乱する中、煙の中から小柄な影が飛び降りてきた。その人影の正体は、稲垣健斗だった。
「よう、遅くなったな!」健斗は軽快に言いながら、手にした忍者刀で戦闘員たちの武器を狙い撃つように斬り落とす。
「健斗!?」佳代が驚きながらも、すぐに状況を理解する。
「佳代さん、今のうちにやっちまおうぜ!」
佳代は頷き、煙の中で素早く動き始めた。健斗が煙幕で敵の視界を奪う間、彼女は次々と戦闘員たちを手裏剣を投げて仕留めていく。
「こいつめ!」戦闘員の一人が煙の中から銃を構えるが、佳代が一瞬で間合いを詰め、その銃を蹴り飛ばした。
「おやすみなさい!」佳代は手刀を繰り出し、戦闘員を昏倒させる。
健斗も負けていない。素早い身のこなしで戦闘員たちを翻弄し、次々とその戦力を無力化していく。
「これが忍者の実力ってやつだ!」健斗は最後の戦闘員を蹴り飛ばし、悠然と息を吐く。
煙が晴れた頃には、全ての戦闘員が倒されていた。佳代は真衣の方に駆け寄り、彼女の無事を確認する。
「真衣ちゃん、大丈夫?」
「は、はい……! ありがとうございます……!」真衣は安堵の涙を浮かべながら答えた。
佳代と健斗は互いに目を合わせ、頷き合う。
「よし、これで邪魔者はいなくなった。さっさとここを出ようぜ!」健斗が軽く笑いながら言うと、三人は廃工場を後にするために歩き始めた。
彼らの背後には、倒れた戦闘員たちが静かに転がっていた…。
月狼輝ザジロード VS ネイビータイガー
廃工場の冷たい鉄骨に囲まれた出口の手前。佳代、健斗、真衣の3人が、凍りついたように立ち尽くしていた。その視線の先には、青い虎のような姿をした怪人「ネイビータイガー」が、不敵な笑みを浮かべて彼らを見下ろしていたからだ。
「ここで終わりだ!」低く唸る声に、鋭い牙と爪が光る。ネオブラックマフィアの幹部・加茂嶋青虎がその本性を現した姿だった。
佳代は真衣を背に庇い、冷静を装いながらも内心では焦りを隠せない。健斗も額に汗を滲ませながら、刀を構えて虎視眈々と隙を窺っていた。
「さすがに、これ相手じゃ分が悪いな……」佳代が小声で呟く。
「どうした? 動かないのか?」ネイビータイガーはその巨体を揺らしながら一歩ずつ近づいてくる。
その時だった。
「おい、そこの虎野郎!」
場の緊張を断ち切るように響いた声。それは、廃工場の上層部分から降りてきた一人の銀髪の青年だった。
「お前がここを仕切ってるボスか?」青年は余裕の笑みを浮かべ、悠然と地面に着地する。
「何者だ!?」ネイビータイガーは鋭い目を光らせる。
「俺の名前を知る必要はない。ただ、覚えておけ。俺はお前を倒すためにここにいるってだけのことだ」
そう言うと、青年――彩堂寺戒は両手を前に組み、「牙装!」と一声上げた。
瞬間、月光を模した蒼白い光が彼の全身を包み込む。装甲が形作られ、月狼輝ザジロードがその姿を現す。銀と黒のボディに、背中に輝く月輪の紋章が映える。
「俺が相手だ、かかって来い虎野郎!」
「面白い。どれだけ吠えられるか試してやる!」ネイビータイガーは鋭い爪を振り上げ、ザジロードに襲いかかった。
猛スピードで繰り出されるネイビータイガーの連撃。しかし、ザジロードは巧みな身のこなしでかわし続ける。
「それだけか? もっと強いと思ったが!」ザジロードは嘲笑するように言い放つ。
「貴様ァ!」ネイビータイガーは怒り狂い、さらに激しい攻撃を繰り出すが、ザジロードの動きは一層冴え渡る。
「そろそろ終わりにするか……」ザジロードは長刀「月牙閃」を構えた。その刃には、蒼い月光が宿っているように見える。
「この一閃で決める!」ザジロードの声が静寂を切り裂く。
「蒼月一閃!」
彼が力強く刀を振り抜くと、月光の刃が螺旋を描き、ネイビータイガーに直撃した。
「グアアアアッ!」ネイビータイガーは苦しみの叫び声を上げ、その巨体が地面に崩れ落ちる。
木っ端微塵に大爆発するネイビータイガー。
「見事だわ…戒」佳代が呟き、真衣も安堵の表情を浮かべる。
ザジロードは静かに刀を納め、彼女たちに振り返った。「これで安全だ。さあ、出口まで急ごう。」
「さすがだぜ、銀髪メガネ!」健斗は興奮気味に親指を立てる。
正義の刃が悪を打ち砕いたその廃工場には、再び静寂が訪れていた。
帰るべき日常、そして次なる旅路
青空が広がる午後の街並み。廃工場での激闘から数日が経ち、事件は無事に解決を迎えた。ネオブラックマフィアの違法薬物販売網は、夏幹時生の勇気ある証言とICPO及びブレイバーズの迅速な対応によって壊滅。平和が戻った街は、いつも通りの穏やかな日常を取り戻していた。
その日、学校帰りの時生と真衣が笑いながら歩く姿が、近くのビルの屋上から見える。真衣が何かを言い、時生が慌てて頭を掻きながら弁解する。二人のやり取りはどこまでも微笑ましく、青春そのものだった。
屋上でその様子を眺めていたのは、稲垣健斗だ。柵に腰をかけ、足をぶらぶらさせながら、平和な日常を満喫する二人を見守っている。その表情には、どこか満足そうな笑みが浮かんでいた。
そこへ、風に混じる足音が近づいてくる。
「何だよ、銀髪メガネ。何か用か?」
健斗は振り返り、立っていた人物に軽く目を向ける。そこにいたのは、いつものように涼しげな顔で佇む彩堂寺戒だった。
「ほらよ、受け取れ。」
戒は近くの自販機で買ってきたらしい缶コーラを、無造作に健斗に向かって投げた。
「っと……!」
健斗はそれを片手でキャッチし、プシュッと音を立てて開けると、一口飲む。
「で、何の用だよ?」
「俺は午後の便で成田を発つ。」
「もう行っちまうのかよ。もっとゆっくりしていけばいいのに。佳代さんとデートでもしてけば?」
健斗はコーラを飲みながら肩をすくめる。
「あいにく、俺は仕事柄忙しい身だ。一つの場所に留まってのんびりしてるわけにはいかない。」
「ふ~ん。まあ、佳代さんが可哀そうだな。」
健斗が挑発的に口元を緩めると、戒はわずかに眉を上げた。そして、少し真剣な目で健斗を見つめる。
「俺はいつもアイツのそばにいてやれない。それを承知の上で、アイツもこの道を選んでいる。」
「……。」
「だから、健斗。」
「ん?」
「俺が日本にいない間、お前が代わりに佳代のそばについててやってくれ。」
戒の意外な言葉に、健斗は思わず目を丸くした。
「はぁ? 何だよそれ。俺が代わりだって?」
「そうだ。」戒は言い切った。「お前はアイツを守れるだけの力を持っている。だから頼む。」
その場を静かに立ち去る戒。健斗は呆然としたまま、しばらくその背中を見送っていた。
――「健斗。」
戒が自分を「健斗」と呼んだことに気付いたのは、その背中が屋上の出口に消える頃だった。
「……フフッ、あの野郎。」
健斗は満足そうにニヤリと笑みを浮かべる。いつも「ボーズ」としか呼ばれなかった自分の名前が、最後に戒の口から出た。それが何を意味するか、彼は十分に理解していた。
「やっと俺を一人前として認めたってわけかよ。悪くないねぇ。」
健斗は空になった缶を手のひらで回しながら、もう一度下を見る。平和な街並みと、歩いていく時生と真衣の姿が、夕日に照らされて輝いていた。
「さてと、俺も頑張るとしますか。」
彼は缶をゴミ箱に放り投げ、軽やかに屋上の端から飛び降りた。
平和な日常の中で、それぞれの道がまた動き出す。
――完――
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