安土市内で小学生誘拐事件が発生。幸い程なくして被害者の友貞稜太は無事に救出されるが、稜太は自分を助けに来た者たちの中に、同じクラスメイトの桐橋勇人の姿を目撃していた。稜太から相談を受けた親友の稲垣健斗は、勇人に直接問い質すべく森の中で彼と対峙する。勇人から話を聞いた健斗は、ブレイバーズ関係者の個人情報が外部に漏れていると確信。詳しく調べるため、その足でブレイバーズ本部セントリネル・ハブへと向かい、稜太の父・友貞利彦上席主任研究員にも会って話を聞くが、大した手掛かりは得られなかった。その翌日、健斗や稜太の通う小学校に勇人に続く新たな転校生・相模路香が現れた。再度稜太が狙われると読んだ路香と健斗は、まんまと勇人を出し抜いたうえで稜太と健斗を入れ替え囮作戦を実行する。稜太の身代わりとなって誘拐された健斗の運命は!?
※chatGPTで生成した文章に、一部編集を加えております。
突入準備
安土市工業団地の外れ――
時代から取り残されたように佇む、錆びた外壁の廃倉庫。その闇の中に、竜門会の影が巣食っていた。
倉庫から少し離れた物陰で、二つの人影が静かに息を潜めている。
一人は、鋭い眼光を宿した少年――桐橋勇人。
その正体は、秘密チーム「オリンポス」に所属する《ヘルメス》。
もう一人は、赤毛に赤い顎鬚を蓄えた、がっしりとした体格の男。三十代前半に見えるその男は、重火器を肩に担ぎながら不敵な笑みを浮かべていた。
マリク=イェンセン。
コードネーム、《ポセイドン》。
二人はすでに、いつでも突入できる体勢を整えている。
耳元の無線が、微かにノイズを走らせた。
『――こちらアフロディーテ』
後方の指令車にいる仲間、アフロディーテの落ち着いた声が届く。
『倉庫内部にいる竜門会の構成員は、小型スパイドローンの確認では十数名。……二人だけで行ける?』
勇人は、迷いなく答えた。
「問題ない」
マリクは鼻で笑い、弾倉を軽く叩く。
「竜門会の“騰蛇”の連中なんて、所詮は雑魚だろ。楽勝だ。一人残らず――」
その目が、獣のように光る。
「――この重火器で蜂の巣か木っ端みじんにしてやるぜ」
『……敵のリーダーは必ず生け捕りにすること』
アフロディーテの声が、少しだけ強くなる。
『くれぐれも油断しないように。頼んだわよ』
「了解」
勇人が短く応じた瞬間――
作戦開始の合図は、もう間近だった。
健斗と路香
一方その頃。
倉庫の奥、薄暗い監禁部屋。
コンクリートの冷たさが骨に染みるその場所で、友貞稜太――否、その姿に変装した稲垣健斗は、必死にもがいていた。
「んっ……んんんーッッ!!」
両手を縛る縄は、先ほどよりも明らかにきつい。
肩が軋み、呼吸が浅くなる。
(くそ……やり過ぎだろ、あの野郎……!)
焦りが、胸を締め付ける。
その瞬間――
頭上から、かすかな風切り音。
「……?」
次の刹那、天井の闇から“何か”が落ちてきた。
ドサリ、という軽い着地音。
「んんっ!?」
健斗が目を見開く。

現れたのは、口元を黒い覆面で覆い、黄色を基調とした鮮やかな忍び装束に身を包んだ少女だった。
「やれやれ……」
呆れたような声。
「どうせ、縄抜けしてるところを見られて、きつく縛り直されたんでしょ? 本当に世話が焼けるわね」
そう言うと、少女は迷いなく健斗の背後に回り、手際よく縄を解いていく。
ほどなくして、両手が自由になった。
健斗は自分で口のガムテープを乱暴に引き剥がす。
「ぷはっ……!」
そして、少女を睨み据えた。
「……お前、もしかして路香か?」
少女は、覆面の奥でニヤリと笑った気配を見せる。
「正解。どう、この忍び装束。似合うでしょ?」
そのとき――
倉庫の外から、乾いた銃撃音が響いた。
ダンッ、ダンッ――!
続いて、怒号と乱闘の物音。
路香が、耳を澄ませる。
「どうやら……始まったみたいね」
健斗の表情が一変する。
「もしかして……勇人と、その仲間か?」
「もしかしなくても、そうよ」
その返答を聞いた瞬間、健斗はニヤリと笑った。
「チッ……あいつに先を越されてたまるかよ!」
次の瞬間――
健斗は稜太の顔をしたマスクを、べりべりと剥ぎ取る。
続けて、着ていた稜太の服を脱ぎ捨てると、まるで影が形を変えるように、一瞬で自身も忍び装束へと変わり身した。

「行くぜ!」
勢いよく部屋を飛び出す健斗。
「あっ、ちょっと! 待ちなさいよ!!💦」
慌ててその後を追う路香。
銃声と混乱が渦巻く廃倉庫へ――
二人の忍は、疾風のごとく駆け込んでいった。
運命の歯車は、いよいよ大きく回り始めていた。
(つづく)

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