BRAVERS EDITION　episode.122

地下迷宮を彷徨っていた錦織佳代、稲垣千秋、クリストフォロ=エヴァルド=コルティノーヴィス3世、安城アリアドネ明日香たち4人は、新たに八雲睦美も加えて再合流を果たす。残るは沢渡優香の救出のみ。

一方その頃、Mr.unknoun配下の天山桜桃が、海底移動要塞〈ブレイバーベース〉と宇宙戦艦〈ラ・クーロンヌ・セレスト〉に関する機密情報を狙って、セントリネル・ハブに潜入していた。

※chatGPTで生成した文章に、一部編集を加えております。

潜入失敗

　鋼鉄の扉が自動で開き、低い唸りを上げる冷却装置の音が天山桜桃の耳を打った。
　そこはセントリネル・ハブ地下深く、ブレイバーズの頭脳とも言えるメインコンピュータールームだった。

　「……ここまで来れば、後は簡単ですわね」

　漆黒のスーツを纏った桜桃は、長い紫髪を払いながら端末に接続ケーブルを差し込む。
　瞬時に暗号解読プログラムが走り、幾重にも重なるセキュリティの壁を破っていく。

　――だが。

　画面に現れたデータの山を探しても、求めるものが見つからない。
　ブレイバーベースの機密も、ラ・クーロンヌ・セレストの仕様も、どこにも存在しなかった。

　「……そんな、ありえない……っ！？」
　桜桃の声に焦燥が滲む。指先がキーを叩く速度を上げても、結果は同じ。

　その時。

　「探しているのはこれか！？」

　背後から鋭い声が響いた。振り向けば、ブレイバーズの若き長官――牧村光平が立っていた。
　彼の手には、銀色に輝くUSBメモリ。

　「……くっ、どけ！」

　作戦は失敗。桜桃は即座に判断し、光平に体当たりして脇をすり抜ける。
　冷却装置の低音が響く廊下に飛び出した瞬間――

　「観念して投降しなさい！」

　眼前に、副長官・仲里深雪が立ちはだかっていた。
　光平が後方、深雪が前方。挟み撃ち。
　桜桃の表情に、初めて焦りの色が宿る。

　「……こうなったら――！」

　彼女は腰からナイフを抜き、切っ先を深雪へ向けて突進した。

　「どけーっ！！」

　風を裂く刃。
　光平の叫びが響く。

　「深雪さぁぁんッッ！！」

　だが次の瞬間――

　「………っ！」

　深雪の体がしなやかに動いた。
　刃をかわし、桜桃の腕を払う。
　返す力で相手の体勢を崩し、膝蹴りが寸前で止まる。
　格闘術の冴え渡る応酬に、桜桃の瞳に驚愕が走った。

　「なっ……あなた、ただの事務方では……！」

　わずかな隙を突かれ、桜桃は後退する。
　刃を構え直した時には、すでに出口のシャッターが降り始めていた。
　「……チッ！」
　彼女は窓から非常シャフトへと身を投じ、闇の中に姿を消す。

　静寂が戻る。

　「深雪さん、怪我は！？」
　駆け寄った光平が息を切らして問う。

　深雪は袖についた僅かな埃を払い、穏やかに微笑んだ。
　「この通り、大丈夫よ」

　「それにしても……驚きましたよ。一体いつの間に格闘術なんかを……？」
　光平の瞳に隠しきれぬ驚きが浮かぶ。深雪は冬季オリンピック出場経験のある元アスリートだが、戦闘は素人だと思っていたからだ。

　深雪は唇に笑みを浮かべ、涼やかに言った。
　「これでも私はブレイバーズの副長官よ。ちょっとした護身術の嗜みよ♪」

　その声音には、戦いをものともしない自信と気品が宿っていた。

堰合救出

　鉄格子の錆びた音が、冷たい地下牢に響き渡った。
　「キキ―ッ!!　二人とも牢から出ろ！」
　戦闘員の濁声に、堰合幹事長は蒼白な顔で身を震わせた。

　「ううっ……つ、ついにこれまでか……っ」
　膝から力が抜けかける堰合を、隣の老人――旧ブラックマフィアのボスは、無言で支えるでもなく静かに立ち上がる。
　その目は諦念に沈み、長き闇の人生の終着を悟っているかのようだった。

……そう、牢から出されると言っても、解放されるわけではない。用済みとして「始末」される時が来たのだ。

　鉄扉の外へと引きずり出された瞬間――

　「そこまでだ！」

　低く鋭い声が地下に轟いた。
　黒い革ジャンを翻し、銀髪の青年が姿を現す。金色の瞳は鋭い閃光のごとく輝いていた。

　「お前は……！」
　戦闘員が慌てて銃を構えるが、次の瞬間、青年の蹴りが閃き、鉄骨のような衝撃で戦闘員たちは吹き飛ぶ。

　「堰合幹事長ですね？　ICPO特命捜査官、彩堂寺戒です」
　青年は冷静に身分証を掲げた。

　「た、助かったぁ～！！！」( ﾉД`)ｼｸｼｸ…
　堰合は安堵で情けなく泣き崩れる。

　「……お前は旧ブラックマフィアのボスだな？ お前にも同行してもらう」
　戒の視線が老人を射抜く。

　「フン。今さら抵抗はせん。こんな老いぼれに用があるなら、どこへでも連れていけ」
　老ボスは唇の端を歪め、不敵に答えた。

　三人は急ぎ脱出口を目指す。だが暗い通路の先、待ち構えていたのは異形の怪人軍団。
　鋭い爪を振り翳す獣人、背から火を吹く怪人、影のように忍び寄る異形――。

　「チッ……！」
　戒は彼らを睨み据え、長刀を抜き放つ。

　「牙装ッ！」

　銀の光が奔り、青年の肉体は一瞬にして漆黒の装甲に包まれる。
　月狼輝ザジロード――銀色の双眸が闇を貫き、手には必殺の長刀〈月牙閃げつがせん〉が握られていた。

　「行くぞッ！」

　斬撃が唸りを上げ、怪人の群れを切り裂く。
　だが背後には堰合とボス。守りながらの戦いは必然的に不利で、押し寄せる軍勢に次第に押されていく。

　そのときだった。

　「……仕方あるまい」
　老ボスが低く呟き、ゆっくりと上着を脱ぎ捨てる。
　現れた胸板に巻かれていたのは――数本のダイナマイト。

　「なっ……！　あ、あんた、いつの間にそんな物を!?💦」
　堰合の顔から血の気が引く。

　「いつの日か脱獄に役立つと思って隠し持っていたが……こんなところで役に立とうとはな」
　老ボスの声に、奇妙な誇りと哀愁が混ざっていた。

　「ここは俺に任せて先に行け！」

　ザジロードが振り返る。
　「……お前――」

　「デスクローンッ！　ブラックマフィアのボスの最期の姿……とくと見ろォッ！！！」

　次の瞬間、轟音と共に紅蓮の爆炎が地下を呑み込んだ。
　怪人たちの断末魔がこだまし、アジトの壁が崩れ落ちる。

　堰合は戒に腕を引かれながら出口へと走り抜け、ようやく地上へと脱した。
　振り返れば、暗い夜空に炎柱が立ち昇り、秘密基地が火に呑まれていく。

　「……そ、そんな……儂はまだ、お前さんの名前すらマトモに聞いてすらいなかったのに……」

　堰合の声は震え、目尻に熱い雫が光った。
　短い幽閉の間、共に囚われていた老人に、彼は奇妙な友情を抱いていたのだ。

　傲慢で鼻持ちならなかった男の背に、わずかに人の温もりが芽生えていた。

　炎の赤が二人の顔を染め、夜風が吹き抜ける。
　戒は黙したまま、静かに金色の瞳で燃え盛る瓦礫を見つめていた。

（つづく）

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