BRAVERS EDITION　episode.104

スワローレギウスに変身不可能な状態に陥り、再度捕らえられてしまう稲垣千秋。しかしそんな時、安城グループ総帥令嬢・安城アリアドネ明日香とそのボディーガード・八雲睦美が天舟島の地に降り立った。

※chatGPTで生成した文章に、一部編集を加えております。

明日香と睦美

その日の午後、安城ホールディングス社長令嬢・安城アリアドネ明日香と、彼女のボディーガードである八雲睦美は、センター職員の福利厚生施設のひとつ――人工芝のテニスコートにいた。

二人ともテニスウェアに着替え、ラケットを片手に軽快なラリーを楽しんでいたが、明日香はやや不満げだった。

「……せっかく南の島に来たのに、海で泳げないなんて、正直つまらないです」

ラケットでボールを軽く返しながら、明日香がこぼす。

対する睦美は、球を軽やかに打ち返してから冷ややかに返す。

「遊びに来たんじゃありません。まして、この島は断崖絶壁が多く、唯一の砂浜にも鮫が出る。泳ぐなんて自殺行為ですよ」

「つまらないことばかり言うのね、睦美さんは。……で、私たちは“いつ”動くの？」

睦美は手を止め、明日香の方をじっと見た。

「……私たちはついさっき着いたばかりで、周囲の警戒がまだ強い。だから今は泳がず、走らず、打って返すだけ。動くのは、職員たちが眠りに落ちた深夜が適当でしょうね」

邂逅の夜、密やかな救出

――そしてその夜。

時刻は深夜二時を過ぎていた。装備実用化試験センターの建物全体が、静寂に包まれている。

睦美は白いパジャマ姿から一転、黒の軽装戦闘服に身を包み、音もなく部屋を抜け出していた。
手には極小のタブレット端末と探知機、腰にはスタンガンとナイフを携行し、訓練された動きで廊下をすり抜けていく。

館内の端末セキュリティに残されたログや配電図から、地下階層に「通常アクセス不可の区画」があることはすでに突き止めていた。

――そこに、何かがある。

見回りの警備員の動きを監視カメラと赤外線で避けつつ、睦美は鍵のかかった鉄製ドアの前に立つ。
カードキーを解析して解錠。スッと扉が開き、ひんやりとした空気が漏れ出す。

階段を降りると、そこは備品倉庫のような地下区画だった。だが、棚の影で微かに人の気配がある。

……呻き声だ。

「ん……っ、んんっ……！」

音のする方へ近づき、睦美は目を見張った。

――両手両足を縛られ、猿轡を噛まされたまま身動きできずにいる若い女性。
三つ編みの髪は乱れ、制服の裾がかすかに破れているが、目の奥には鋭い光が宿っていた。

「あなた、もしかして――稲垣千秋さん？」

千秋はその名を聞くや否や、目を見開き、強く何度も頷いた。

「んんっ！　んんーっ！」

睦美はすぐに近寄り、猿轡を外し、拘束された縄を手早く解く。

「っはあ……っ。……ありがとう、助かったわ。でも、あなたは……？」

千秋が荒い息の合間に睦美を見つめて問う。睦美は名乗らず、冷静に告げる。

「あなたに会わせたい人がいます。話はそれから。まずはここを出ましょう」

千秋は迷いも見せずに頷いた。
この状況で味方になってくれる者がいること、それだけで十分だった。

睦美に導かれるまま、千秋は暗い廊下を静かに駆ける。センターの職員たちは皆眠りに就いており、巡回の警備も睦美が事前に麻酔銃で眠らせていた。

やがて彼女たちは、センター上層にあるVIPルームの一つへと辿り着く。

睦美がノックもせずドアを開けると、そこにはネグリジェ姿でソファに座っていた明日香が、優雅な紅茶の香りと共に微笑んで待っていた。

「まあ……あなたが稲垣千秋さんですのね？」

驚きに言葉を失う千秋。

「安城アリアドネ明日香と申します。どうぞ、まずはおかけになって。あなたの知っていることを、ぜひ聞かせてくださいな」

――夜の静けさの中で、ついに三人の運命の糸が交わった。

それは、安城重工の闇を暴き出す夜明けの、はじまりだった。

（つづく）

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