黒百合の暗躍　第5話

黒百合ダークリリィの暗躍によって藤永沙織と岸本愛実、そして星本有理紗までもが囚われの身となった。しかし彼女たちが監禁されているそのアジトに鷹松優姫刑事と笹南侑衣梨婦警が到着。ようやく囚われの沙織たちに救いの手が差し伸べられるのか！？

潜入

正体不明の女誘拐魔・黒百合ダークリリィがアジトに使っている廃墟の中へと潜入した鷹松優姫。かなり奥まで廊下を進んだところで、人が近づいている気配を察知した優姫はすぐに物陰に身を隠した。

「この期に及んでジタバタしないの。言われた通りに歩きなさい」
「んんーっ！！ んんーむぐぐっ！！💦」
「んむむ～っ！！ んむむ～っ！！💦」

二人の猿轡を噛まされて縛られているテニスウェアを着た女の子を、黒百合がどこかへと引っ立てて連行して行く場面に遭遇する優姫。テニス少女たちは懸命に抵抗しているように見えるが、黒百合はとても女性とは思えないほどの想像以上に強い腕力で二人を縛っている縄尻を掴んで決して離さない。優姫は気づかれないよう息を潜めて物陰に隠れながら、じっと様子を窺っていた。

「…ごめんなさい。すぐに助けてあげたいけど、私一人だけで今迂闊に手を出したら、かえってあの人質の女の子たちに危険が及んでしまう。必ず後で助けに行くから、どうかもうしばらくの間だけ辛抱していて…！」

やがて黒百合と囚われのテニス少女二人は、その場を通り過ぎて行き、優姫の視界から完全に消えた。黒百合のこれまでの犯行状況から考え、直ちにあのテニス少女たちに危害が加えられる可能性は低いと予測した優姫は、たった今黒百合が出て来た部屋のドアの前に立つ。

「いったいこの中に何があるというのかしら…？」

優姫は意を決してドアを開き、部屋の中へと警戒しながら足を踏み入れた。

保護

「んっ、んんんっ…！！」

部屋の中へと入った優姫は、そこで縛られた両手を天井から吊るされている、高校生くらいの年頃のポニーテールの少女を発見した。テニスウェアを着ているところからして、おそらく先程黒百合がどこかへ連れて行ったテニス少女たちと同じ仲間なのだろう。

「んむむっ！？💦」
「しーっ、静かに！ 安心して、私は警察よ。待ってて、今縄を解いてあげるから！」

警察手帳を提示した優姫によって縄の戒めを解かれたテニス少女はは、優姫の身体に抱き着きどっと泣き崩れた。

「うわあぁぁぁ～～～んっっ！！」｡･ﾟ(ﾟ⊃ω⊂ﾟ)ﾟ･｡ｴｰﾝｴｰﾝ
「ほら、もう大丈夫だから泣かないの。怖かったでしょう。無理もないわ。でも泣いてばかりいたら事情も分からないわ。だから落ち着いて、この部屋で何が起こっていたのか？ そして貴女はなぜここにいるのか？順を追って話してちょうだい。きっと力になるわ！」
「…うっ…うっ……すみません。私、星本有理紗っていいます。黒いライダースーツの女に誘拐されて来たんです」
「やはり黒百合…ッ!! …それで、さっきこの部屋から黒百合に連れて行かれた女の子二人は、貴女のお友達なの？」
「同じテニスクラブでお世話になっている先輩です。早く愛実さんと沙織さんを助けてあげてください。そうしないと、あの女にどんな目に遭わされるか…！」
「分かったわ。でもいつまでもここにいては危険よ。まずは出口に向かいましょう。有理紗ちゃんを一旦安全な場所まで連れて行ったら、その愛実さんと沙織さんという二人の先輩も必ず私が助けるから」

保護した有理紗を、ひとまず侑衣梨が待つ安全な外へと連れ出すことにした優姫。しかし、果たしてそう上手くいくのであろうか？

つづく。