さらば、ミラージュマスク！　後編

ミラージュ星にいる上司から最後通牒を突きつけられた大宇宙の大いなる正義の使者ミラージュマスクは、悪の組織おかめ党最高幹部・寺瀬聖佳を誘拐。大胆不敵にもおかめ党に囚われている少女・津雲露華との人質交換を要求して来たのだった！

リミッター解除

廃工場の内部に広がる暗闇の中、悪の組織おかめ党の美少年サイボーグ幹部・寺瀬詩郎は、冷たい光を発するビーム鞭の右手を構えて立ちふさがる正義の味方たちと向き合っていた。詩郎の悪辣な笑みが顔に浮かび上がる。

「やれやれ、正義のヒーロー連中がこんなところにまで追い詰めてきたか。さて、どうするかな？」

孝森祐宜、椿姫絢那、楓子、蒼煌天斗、そしてウェン=リーナは固く決意し、前に進む。孝森祐宜は愛刀を抜いて構えながら関西弁で言い放つ。

「くやしいっすねぇ、詩郎はん。でも、これ以上の悪事は許せへん。これからが本番やで！」

寺瀬詩郎はビーム鞭を振り回し、エネルギーを帯びた一撃を放つと、蒼煌天斗が前に立ち、その超能力でエネルギーを弾き返します。ビーム鞭のエネルギーが空に散る。

「サイボーグ能力を使っても、俺たちには勝てないぞ。覚悟しろ寺瀬詩郎！」

椿姫絢那は弓を引き絞り、一矢を放つと、ウェン=リーナがカンフーのスピードで飛び跳ね、楓子は妖気を発し、一斉に詩郎に向かって飛びかかる。

「祈りの力とカンフーの技、絶対に負けません！」
「私たちの技を見くびらないで。カンフーの力で、あなたを倒します！」

詩郎は苦笑しながら、ビーム鞭を振り回し、猛烈な攻撃を仕掛ける。対してヒーローたちも絶えず連携し、攻撃を避け、反撃を試みる。戦闘の激しさが工場内に響き渡る。

「お前ら強いな。でも、まだ俺を倒すことはできないぜ。これで終わりだ！」

しかし、詩郎が必殺の攻撃を繰り出す前に蒼煌天斗が超能力を最大限に発揮し、詩郎を浮かせ、空中に巨大なエネルギーボールを形成。一瞬の静寂の後、そのエネルギーボールが詩郎に向かって飛び去り、爆発音と共に工場が炸裂した。

「くっ…これが…ブレイブジェニウスの力か…」

天斗の必殺技が炸裂し倒れたかに見えた寺瀬詩郎は、苦笑しながら体内のリミッターを解除すると、その美少年サイボーグの体が一瞬で光り輝き始めた。彼の瞳は冷徹なまでに輝いている。

「お前たちを甘く見たつもりはない。俺の本当の力、フルパワーを見せてやろう！」

詩郎の身体全体から怒涛のエネルギーを放出される。その拳は空を裂き、正義のヒーローたちに襲いかかる。孝森祐宜、椿姫絢那、楓子、蒼煌天斗、そしてウェン=リーナはあわてて避けようとするが、その速度はあまりにも驚異的で、避けることができなかった。

「くっ、速すぎる！」

詩郎が続々と繰り出した攻撃が彼らに直撃し、炸裂するエネルギーで工場内が揺れ動きます。正義のヒーローたちは一度に吹き飛ばされ、地面に叩きつけられます。激痛と混乱が体を覆いました。

「力の差だな。正義も力なくして何もできないのがよく分かったか？」

正義のヒーローたちは困難な状況に立たされ、詩郎のフルパワーに苦戦を強いられる。

ミラージュマスクの暴挙

その時、突然廃工場の外から地響きがした。まるで巨人が歩いて近づいて来るかのような大きな足音。その場にいた一同が一時休戦して窓の外を覗き込むと、なんとそこには巨大化したミラージュマスクの姿があったのだった！

「てめえ…いつの間にか姿が消えていたと思ったら、そんなところにいやがったのか！？」
「フフフッ…この時を待っていたのだ。寺瀬詩郎、今の貴様はリミッターを解除したせいでパワーを使い果たしたはず。今こそ我が必殺のミラージュ光線を食らうがよい！」

「んっ、んんっ!! んむむぅぅー!!……ハァ、ハァ」

今まで横で縛られたまま放置されていた津雲露華が、何とか自力で口の猿轡を外したようだ。彼女は外にいる巨大ミラージュマスクに向かって全力で猛抗議する！

「ちょっとあなた、私もまだ中にいるんですよ！ 私や他のヒーローさんたちごと建物を吹き飛ばすつもりですか！？」
「お嬢さん、気の毒だが正義の為なら多少の犠牲はやむを得んのだよ…」

案の定「ふざけんなー！」「この裏切者ォォッッ!!」と祐宜や天斗たちから非難轟々の嵐が飛ぶが、全く意に介す様子のないミラージュマスクは、ついに廃工場に向けてミラージュ光線を発射してしまった！　ついに超えてはいけない一線を越えてしまったミラージュマスク。果たして廃工場の中にいた面々の運命は！？

管理人さくしゃは知～らない！っと…(・ε・)

因縁の相手

「わたしを助けるだなんて、一体どういう風の吹き回し…？」

ミラージュマスクのアジトに捕まっていた寺瀬聖佳を助け出した人物。それはなんと、犯罪組織ベラドンナの狩人（ハンター）であるプロセルピナであった！

「特に理由はなくてよ。単なる気まぐれ…まぁ、強いて言うならば、お礼を言うならわたしにじゃなくて星奈彩羽に言いなさい」
「彩羽ちゃんですって！？ 彩羽ちゃんが貴女にわたしを助けるようにお願いしたって言うの！？」

その聖佳の質問には答えることなく、プロセルピナは凄い剣幕で聖佳にぐっと顔を近づける。

「いい？ 覚えておきなさい寺瀬聖佳！ 貴女を玩具にして弄んでいいのは、この世でただ一人、わたしだけ！　二度と他の奴らに捕まるだなんてヘマは許さないわよ!!💢」
「………」
「おかめ党には連絡しておいたから、そのうち迎えが来ると思うわ。今日はこれでわたしは帰るけど、いつかまた会いましょう、聖佳ちゃん♪」

プロセルピナは立ち去って行った。しかし今の聖佳の胸に去来する思いは、救出されたことに対する安堵ではなく、悪の組織の女幹部としての屈辱であった。

「覚えていなさいプロセルピナ！ これでわたしに貸しが出来たなんて思わないことね！」

次回、いよいよ完結編に続く。

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