サバゲ―サークル「DRYADES」の新規加入メンバーである上江洲紗樹は、夜に自宅近くで変質者に襲われたところを星彩のルミナに救われた。それ以来、紗樹はルミナの熱烈なファンとなる。
しかしその後、女子大生を狙った新たな拉致監禁事件が発生。アスカロン財団の加藤段十郎も喫茶店Lilyに姿を現し、またDRYADES代表を務める羽鳥瑠璃華の発案で学生たちによる自発的な夜間パトロールも始まり、事態は俄かに動き出す。
加藤段十郎も敵のアジトの一つの廃墟ホテルで鷹松優姫、リネア=フリーデン=ヴァイサー、星彩のルミナと合流して、囚われていた別城寿莉愛を救出した。優姫と笹南侑衣梨の電話内容を聞いていた瑠璃華は、先走って単身で廃工場へと向かってしまう。
※chatGPTで生成した文章に、一部編集を加えております。
二人の怪盗紳士
鷺島市西部工業団地の外れ。
錆びついた鉄骨と、割れた窓ガラスが闇の中に沈む――
数年前に倒産し、今も放置されたままの師和金属工業・旧工場。
そのすぐ隣に建つ雑居ビルの屋上。

夜空を背に、二つの影が身を伏せていた。
黒いマントを風に揺らし、双眼鏡越しに廃工場を見下ろしているのは、
二人の怪盗紳士――エターナルライバルと、エターナルフレンド。
数分前。
彼らははっきりと確認していた。
上江州紗樹を乗せた車が、この廃工場の敷地へと入っていくところを。
そして続けざまに、綾塚音祢と漆崎亜沙美も、別の車で連れ込まれた瞬間を。
「……くっ……」
ライバルが、歯噛みする。
「これ以上は待てん。
今すぐ――突入だ!」
今にも屋上の縁から飛び降りそうな勢いだった。
フレンドが、すかさずその腕を掴む。
「待て、ライバル。落ち着け」
「だがッ……!」
ライバルの声は、抑えきれない焦りで震えていた。
「こうしている間にも……
綾塚さんの身に、もしものことがあったらどうする!」
フレンドは一瞬だけ目を細め、静かに言った。
「ここで迂闊に動けば、かえって――
中にいる人質たちに、危険が及ぶ」
「……っ!」
ライバルは言葉に詰まる。
夜の工業団地は、不気味なほど静かだ。
遠くで聞こえるのは、風に揺れる看板の軋む音だけ。
フレンドは、低い声で続けた。
「我々は、闇に紛れて世を忍ぶ怪盗紳士だ。
焦って姿を晒せば、それだけで命取りになる」
「……」
「根競べに負ければ――
失うのは、宝ではない。生命だ」
その言葉を聞いた瞬間。
ライバルは、きょとんとした表情で、隣の相棒を見つめた。
「……」
「……?」
フレンドが首を傾げる。
「……どうしたのだ、ライバル」
しばしの沈黙の後。
ライバルは、ぽつりと呟いた。
「いやさぁ……」
そして、ふっと力の抜けた笑いを浮かべる。
「章介、お前……
なんかマトモなこと言うようになったんだなぁ、って思ってさ」
「――はぁっ!?」
フレンドの額に、わかりやすく青筋が浮かぶ。
「そりゃどういう意味だ、彩人ッ!!💢」
「いやいや、だってさ、いつもならもっと勢いで――」
「失礼にもほどがあるだろうが!」
ひそひそ声ながら、完全に漫才のテンポで言い合う二人。
怪盗エターナルライバルとエターナルフレンドではなく――
ただの逢沢彩人と、柏葉章介の素に戻った瞬間だった。
「ていうかさ、今の言い回し、どこで覚えたんだよ」
「貴様こそ話を逸らすな!」
「図星か?」
「違う!💦」
……その、ほんのわずかな隙。
屋上から見下ろせる廃工場の裏手。
壊れかけた非常口の扉が、静かに軋んだことに、
二人は気づかなかった。
闇の中。
人影が、ひとつ。
身を屈め、足音を殺しながら、
ためらいなく、その扉の中へと滑り込んでいく。
羽鳥瑠璃華だった。
たった一人で。
迷いも、ため息もなく――
人質が集められている廃工場の中へ。
「……」
そして、扉は、音もなく閉じられた。
その頃、屋上では。
「彩人、お前は少し危機感というものをだな――」
「はいはい、説教は後でな」
今まさにその真下で起きた羽鳥瑠璃華の侵入を見逃すという“致命的なミス”を、
二人の怪盗紳士は、まだ知らなかった。
捕らえられた瑠璃華
廃工場の内部は、外よりもさらに深い闇に沈んでいた。
割れた天窓からわずかに差し込む月明かりと、
羽鳥瑠璃華の手元の懐中電灯だけが、錆びた床と壁を照らしている。

コツ……コツ……
自分の足音が、やけに大きく響いた。
(この中のどこかに……)
胸の奥で、焦りと不安がせめぎ合う。
(紗樹ちゃんも、里恵たちも……きっと……)
瑠璃華は唇を噛み、懐中電灯を左右に振りながら、慎重に前へ進んだ。
使われなくなった機械。
倒れた作業台。
床に散らばる金属くず。
どこから誰かが飛び出してきてもおかしくない。
――その瞬間だった。
頭上で、
ガシャンッ、と鈍い金属音が鳴った。
「……え?」
反射的に見上げた次の瞬間。
影が落ちる。
視界いっぱいに、黒い塊が広がった。
「……な、何よこれ――!?」
ドサッ!
重たい網が、真上から瑠璃華の身体に覆いかぶさった。
「ちょっ……ちょっと!!
いったいどうなってるのよ!!」
慌てて腕を振り上げ、足を動かす。
だが、動けば動くほど――
ぎゅっ、と。
網は容赦なく体に絡みつき、腕も脚も、思うように動かなくなっていく。
「うそ……ほどけない……!」
必死にもがく。
しかし、絡んだロープは逆に締まり、肩も腰も、完全に自由を奪われてしまった。
「……っ!」

バランスを崩し、床に膝をつく。
懐中電灯が手から転がり、
工場の床を転がりながら、壁をぼんやりと照らした。
静寂。
聞こえるのは、荒くなった自分の息だけ。
「……しまった……」
小さく漏れた声は、広い工場の中で虚しく消えていった。
こうして――
羽鳥瑠璃華は、あまりにもあっけなく。
DRYADESの仲間を助けに来たはずのこの場所で、
自らも囚われの身となってしまったのだった。
(つづく)

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